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第48話 繊月 こよいと寄り添いラブラブデート [神速激写篇] 急

 ランチの店はどこにしようかな? 映画デートの時に行った安くて量の多いドカ食い喫茶に行くのも良いな。


 な~んてね。実は今日行くお店はもう既に決まっているんだよね。


 駅近のビルのエレベーターに入って ⬆ ボタンを押す。


 お目当てのお店はこのビルの4Fに入っているテナントだ。


 その名も 『ネコメイド喫茶Cure Cure Cat』!


 オレ達もメイド喫茶に入るのは初めてで、正直なところ少し二の足を踏んでしまっている。それでも今日のデートでは是非来たかったので、ちょっと勇気を出してみた。


 何故かというとここのお店は食事の他に記念撮影も出来るらしいのだ。

 正に今日のカメラデートにピッタリのお店だと言える。

 さあ、いざ入店!


 「いらっしゃいみゃせ~♪ 「C(キュア) C(キュア) C(キャット)」 にようこそ♪ ご主人さみゃ♪ お嬢さ……みゃみゃっ!? このお嬢さみゃ、凄~く気合い入ってるみゃっ! お~い! みんにゃ~っ!」


 ネコメイド喫茶のウェイトレスさんはネコミミ ・ ネコシッポを装着したファンタジックな装いをしていた。

 そんなウェイトレスさんがビックリしてしまうほどに今日のこよいの格好はファンタジッククォリティが高い模様だ。


 「何にゃ? 何にゃ?」


 「わっ! アニメキャラがモニターから飛び出てきたみたいみゃ!」


 「いや、スマホからにゃ! ソシャゲのSSRでこんなキャラいたみゃ!」


 ネコメイドさん達がワラワラ集まってきちゃったぞ。あなた達、本来はお客の目を楽しませるのが仕事なんじゃないんですかねぇ。役割が逆になっちゃってるぞ。


 「ふみゃ~ん♡ なんて上質な生地♡ それにカラフルなパステルリボンの配置でレインボーを描くなんてアーティスティックみゃ! 大空の様なワンピみゃ!」


 「クルクル巻きのプリンセスヘアーも素敵にゃ! キラキラキューティクルもサンシャインの恵みを感じるにゃ~♪ 美容院どこ行ってるにゃ~?」


 「ん~。おリボンで統一されたキュートさの中に一つ混ざった三日月型のバレッタ……。青白のラインストーンに妙に目が行くにゃ。まるでムーンライトにゃ♪」


 人生楽しそうだな~。このネコさん達。


 「あ、あなた達……」


 おっ。こよいがネコさん達に何かを訴えるようだぞ。


 「三五の事をご主人様って呼んで良いのはわたしだけなんだから! このバレッタだって三五がわたしの為に買ってくれたんだから!」


 「「う゛わ゛~! リア充にゃあ~!」」


 ネコさん達が一様に頭を抱えて悶えだしたぞ。良くわからないけどスタッフ間の仲とコンビネーションは良好なようだ。


 「さあさ♪ お席へどうぞ♪ お嬢さみゃ♪ お兄さみゃ♪」


 「メニューをお持ちしたにゃ♪」


 「ラブラブ♡萌えキュン♡オムライスが鉄板メニューですみゃ♪」


 やけにオレ達に……っていうよりこよいに構ってくるな、このネコさん達。本当にこよいのメイドさんみたいだ。

 オレは地味に気分が良いんだが、他のお客さんには迷惑なんじゃ?


 「おお……。我々のメイドさんがリアルプリンセスにご奉仕しておられる……」


 「イキイキしたネコメイドさん達……。ネコミミがまるでピクピク動いている様に見えますなあ」


 あら。メイドさんが楽しそうにしているのを喜んでる。しかも一般のお客さんであるこよいをあまり視界に入れないように配慮もしてくれている!

 モラル高い! 何たるお行儀の良さ! 

 いや~良いお店だあ。入ってみるまで分からないことはあるもんだ。


 「ラブラブですって!? わたくし以外の者が三五とラブラブなんて許しませんわっ! 普通のお料理を持っていらっしゃい!」


 「「は~い♡ お嬢さみゃ~♡」」


 こよい、何かキャラが変わってない? ネコさん達も大喜びでこよいの言うこと聞いちゃってるし。周りのお客さんも微笑ましげに眺めているし。

 何だかオレ、ついていけないなあ。


 そして普通の料理は特別なコメントはないけれども、普通に美味しかった。


 食後はいよいよ記念写真だ。

 こういうお店での記念撮影は普通メイドさんとツーショットを撮るんだろうけど、今日のオレ達はイレギュラー。


 プリンセスであるこよいが中央に立ち、オレがその隣に寄り添う。ネコさん達はその周りをぐるっと囲んでお澄まし顔で控えている。完全に背景になってしまっているのだが、ネコさん達は何故か満足そうだ。


 「は~い♡ 撮りますよ~♡ お嬢さみゃ♡ お兄さみゃともっと寄り添って♡」


 「うふふ♡ 良くってよ♡」


 こよいが嬉しそうにぎゅ~っと抱き着いてきた。

 ちょいと浮いているオレだけど気持ちが盛り上がったので、あえて何も気にせずにぎゅっとこよいを抱き締め返す。


 「可愛いよ、オレのこよい姫」


 「あっ♡ 三五ぉ♡」


 「リア充め~っ! 祝ってやるみゃ~っ!」


 パシャッ!


 「またのお越しをお待ちしてますみゃ~♡」

 「このビルの地下のゲーセンに色々面白いプリントシール機があるみゃよ♪」

 「ご奉仕楽しかったにゃ~♪」


 気の良いネコさん達にたっぷり接待されてしまった。面白かったなぁ。是非また来よう。


 その時のこよいの姿は 「お嬢さみゃ」 じゃなくなってるかもしれないけど、ね。

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