第47話 繊月 こよいと寄り添いラブラブデート [神速激写篇] 破
まずは繊月邸の美しい庭園を背景に可愛さ120%のこよい姫と一枚撮ろうか。
キラキラと光を弾く噴水の前にこよいと並ぶ。
寄り添って肩を抱くとこよいは幸せそうに笑ってくれる。
「えへへへ~♡」
う~ん、とっても良い笑顔。一枚目に相応しい花丸笑顔だね。
「は~い、撮るわよ~」
彩戸さんがデジカメをこちらに構える。
パシャリ。
次は薔薇の花々と一緒に写ってみようか。
パシャリ。
これは凄い。ホワイトゴスロリファッションのこよいと写るとまるで絵画か、もしくは映画の広告写真のような非現実的な一枚が撮れた。
普通の格好をしているオレの浮きっぷりが逆にストーリー性を演出してイイネ。
生け垣をバックにパシャリ。
ヤマユリ ・ クルマユリをバックにパシャリ。
すっかり慣れっこになってしまっていたが、こよいのお家の庭園って改めて立派で幻想的な空間なんだと再認識する。
気分がアガる ↑ ね!
どんどん彩戸さんに撮ってもらおう。
パシャパシャッパシャッ。
「彩戸さんも一緒に写りましょ~よ♪」
「えっ? 私も?」
撮ってもらってばかりじゃ悪いもんね。
それなら今度はオレが二人を撮ってあげよう。
「は~い、撮るよ~。二人共笑って~」
「にこぉ~♪」
「フフッ♪ お嬢ちゃまったら楽しそう♪」
パシャリ。
おお。これは良い写真だ。
不思議の国に迷い混んだ仕事の出来るマイペースお姉さん ・ 彩戸さん。
彼女はこよいプリンセスにいたく気に入られ、歓待されるのだった……。
そんな風に想像力が掻き立てられる一枚だ。
このペアでもう何枚か撮ってみよう。
パシャパシャパシャッ。
「次は三五と彩戸さんのペアね♪」
「三五ちゃん、こっちこっち~♪」
いいね~。
彩戸さんとペアで写真を撮るなんて実はレアだから、この機会にたくさん撮ってもらおう。
「二人共こっち向いて~♪」
噴水の前に彩戸さんと並ぶ。オレって彩戸さんより背が高くなったんだなぁ~って、改めて実感。頭が上がらないけどようやく一個勝てた。な~んて嬉しがってるのが子供の証拠かな。
「フフ、三五ちゃんも大きくなったわね~。大人っぽい格好も良く似合っているわよ♪」
「いやいや、彩戸さんにそんな事言われたら照れちゃうよ」
今、正に子供っぽい事を考えていたところですし。
「今日に限ってはお嬢ちゃまより私の方が三五ちゃんとお似合いかもね~♪」
さりげなくスッと腕を組んでくる彩戸さん。
「ちょっと彩戸さん。そんなにくっついたら……」
確かにオレの格好は普通だし、お姫様よりかは機能的なスーツを着こなしている彩戸さんと並んだ方が自然なんだろうけど……。
パシャリ。
「ムキ~! ホラ撮ったわよ! おねぇちゃんってば! 三五から離れてよっ!」
「は~いはい」
こよい更に成長した! ちゃんと撮ってから文句を言うなんて!
ハンディサイズの三脚を使って、三人でも撮る。
庭園をぐるっと周りパシャパシャパシャ!
激写、激写!
「フフフッ♪ たまにはこうやって記念撮影するのも良いものね。二人共、気を付けていってらっしゃい♪」
オレ達に笑顔で付き合ってくれた彩戸さんに送り出され、ここからは二人きりのデートタイム!
プリントシールの機械があるゲーセンが本日のメイン目的地。
ゲーセンのある街に繰り出す為に駅に来てみたのだが……。
来る途中、こよいが道行く人達にず~っとジロジロ見られていたんだよね。
そりゃそうだ。オレだって道でゴスロリガールとすれ違ったらチラッと目がいってしまう。
失礼だとは思うんだが、どうしても印象的だからついつい、ね。
それに加えてこよいは絶世の美少女。
何を着ても似合うこよいがファンシー & メルヘンな衣装に身を包んでいたら 「あれ? オレって今夢の中に居るのかな?」 と錯覚して二度見、三度見してしまうのは無理のないこと。
「さ、三五にしっかりくっついてれば平気だも~ん。わたしはもう三五の恋人だから、声なんか掛けてきても無駄だも~ん」
こよいはオレの腕をぎゅ~っと抱き締めてそう言うが、これはちょっと無理をしているな……。
移動は迅速に行おう。
駅の広場とかにも撮影スポットは結構あるんだけど、流石にギャラリーに囲まれながらする気はない。
こよいの笑顔が曇ってしまう。早歩きで人波を掻き分けて行こう。
目指すはゲーセン! ……の前に、そろそろランチタイムだ。
ランチを食べて午後からも元気にデートを楽しもう!




