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第33話 繊月 こよい 浮気したらダメ☆ さもなくば……

 パン、パン。と手を叩く音が背後からしてオレとこよいは反射的に振り返った。


 「は~いはい。プールに入る前は準備運動してね~。水分補給も小マメにするのよ~」


 そこには黒いビキニの水着姿の彩戸(さいど)さんが立っていた。水着のデザインはこよいとお揃いだ。


 「「彩戸さん!? 何で居るの!?」」


 今日はデートなんですけど? いつものプールで水遊びするだけだし、監督してもらわなくても大丈夫なんですけど?


 「ライフセーバーよ~」


 「「普段そんな事して無かったでしょ!?」」


 「アンタ達がお外でちゅっちゅしたり、公序良俗に反した行いをしないかどうか見張るの」


 「「社会的なライフセーバー(生命を見守るの)!?」」


 何たる信用のなさ! ううう。いや、彩戸さんに構ってもらえるのは嬉しいよ? でも今日のこよいはこんなに刺激的な格好だし、デレデレしているところを見られたら大分バツが悪いんだが……。


 ジト~っと目線で彩戸さんに抗議してみる。


 「ん~? お姉ちゃんの水着に見とれてるの~? 似合ってるう?」


 ううう。全然堪えてない。ニヤニヤ笑ってこっちを見てる。


 「うう。に、似合ってるよ、その水着」


 「ありがとう~三五ちゃ~ん♪ 褒められちゃった~♪」


 全く、彩戸さんには 「イヤアアアア! 三五っ! 彩戸さんの事そんなに見ちゃイヤアア!」

 突然の悲痛な叫び! 

 オレは慌ててこよいの方を向く。


 「浮気しないでぇぇ! 彩戸さんの艶姿じっくり見たり、褒めたりしちゃイヤイヤイヤァァァン!」


 艶姿とな!? いや、オレはそんな目で見ていた訳では! それに褒めない訳にもいかないし! 

 ってゆか、こよい落ち着いて! そんな風にピョンピョンしたら胸が! 胸がゆさゆさ揺れて、非常に困っちゃうからぁぁ!


 「ごめんよ、こよいっ! 浮気のつもりなんて全然なくてっ! オレがドキドキするのはこよいの艶姿だけだよっ!」


 「じゃあわたしの水着見てっ! 艶姿をお目々に焼き付けてっ!」


 両手をバッと広げるこよい! ああ~っ! し、自然にオレの目線はこよいの胸やらお腹やら脚やらを行ったり来たりぃ~……。こ、これは良くない!


 どうしよう……。あっ。苦し紛れに顔を上げてみると、こよいの髪型がアップになっているのに気付いた。髪が可愛く編み込まれていてイイネ! 精神が落ち着く!


 「こよいっ。その髪型カワイイねっ! 今日はおろしてないんだねっ!」


 「あ~♡ わかっちゃう~? これねぇ、水に濡れても崩れにくいの~♡」


 良し! こよいがご機嫌になってくれた。


 おや? 髪型といえば……。彩戸さんが珍しくお団子ヘアなんてしてる。いつもキッチリ決めてて普段は髪型で遊んだりなんてしないのに。


 「彩戸さん、そのお団子可愛いね」


 「えっ? あ、あら、ありがと~。今のはホントにきゅんときちゃった♪」


 あ、あれ? 彩戸さんが何だか、ほにゃっと顔をゆるませて笑った……? な、何だか本当に調子が狂 「キイィーッ!」

 はっ! オ、オレってばまたやってしまった! こ、こよいが仁王立ちして腕組みしながらこっちを睨んでる!?


 「こ~なったら、わたし以外に目が行かなくしてあげるぅぅ……!」


 こよいが唸る様にそう言うなり、上半身をゆっくり前傾させていく。そして胸の下に組んだ腕を入れて持ち上げ……ってちょっと待ってえぇぇ! それはマズいってぇぇ!


 こ、こよいの胸がぎゅ~って腕に挟まれて、形が変わってぇ! ま、まるで迫ってくるみたいに、オレの視界がこよいの白いビキニと胸で一杯になって……! 


 あぁ、こ、こよいの肌に浮かぶ汗が、つぅ~っと稜線に沿って伝って、胸の谷間に……! 

 ゴクリッと音が鳴る程に息を飲んでしまう。


 「んふ~♡ 三五こ~ゆ~の好きだよねぇ♡」


 蠱惑的な瞳がオレの顔を覗きこむ……! あっあっああ~っ! もうダメェェ! 頭が爆発してるぅぅ! いや、全身の血がギュンギュン巡って、その摩擦熱で発火してしまいそうだぁぁ~っ! そ、それなのに、こよいから目が離せない~っ!


 あっあっああ~っ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっあっあ! あっあ~! ああああああああああああ~~っ! 


 「ごめんなさい~……! エッチな彼氏でごめんなさいぃぃ~……」


 絞り出す様にそう言うのが精一杯。許して下さいこよい様ぁぁ~っ!


 「くふふふふw 三五ちゃん滅茶苦茶困ってるw かわいそうじゃないのw 止めたげなさいよw」


 ああ~っ! さ、彩戸さんに草生やされた! 恥ずかしいぃ~っ!


 「イイノヨ~? エッチな三五だぁい好き♡ エッチな目でこよいのおっぱい見てもイイノヨ~♡」


 「はいお嬢ちゃま、その発言アウト~。一発(いっぱぁつ)! ツモ! 跳ね満で+12,000点~」


 ぺしん。


 「あいた」


 おおっ! ラ、ライフセーバー様が、暴走するこよいの頭をはたいて止めてくれた! 良かったぁ~! オレのライフ(人生)が守られた!


 うぅ~……。熱ぅぅ……っ。顔と言わず全身と言わず、とにかく熱すぎるっ! は、早くプールに入らないとブッ倒れてしまう……っ!

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