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第29話 三五とこよい 光の花束の下で

 ドッ! ドッ! ドッ! ドドドン! ヒュー……ドドドドンッ! パラパラパラ……。



 オレとこよいが唇を離した瞬間に、天上に光の花束が咲き乱れる。


 スターマイン。


 色とりどりの花火はまるで、オレとこよいを祝ってくれる祝砲であるかの様だった。


 いや、オレ達が夢中でちゅっちゅしている間にも打ち上がっていたんだろうけどね?


 「わぁぁっ♡ まるでわたし達をお祝いしてくれているみたい……♡」


 ホラ、こよいもこう言っている事だし。オレ達がそう思えばそうなんだよ! (強弁)


 「あ、そうだ、三五! わたし、助けてもらったお礼を言うのを忘れてた」


 こよいは一旦オレから一歩離れて、律儀にペコリと頭を下げた。


 「あのね? 三五、わたしの事を守ってくれて、どうもありがとうっ!」


 頭を上げたこよいは、にぱっと笑ってお礼を言ってくれた。


 ああ、この笑顔が見られて良かった。こよいがまた笑ってくれた事。それが何よりの報酬だ。


 「どういたしまして。オレもこよいを守れて本当に良かった」


 「三五、す~っごくカッコ良かったよっ! 大っきなヤツをビカビカってしてやっつけちゃったり、ブシューッと煙でアイツ等追い払っちゃったり、まるで魔法の王子様みたいだった!」


 「魔法の王子様!? あの発狂したオレが!?」


 飛騨山中の奥深くに棲むと云われる、伝説の猿の如く怒り狂っていたオレが 「魔法の王子様」 !? 前々から疑問に思っていたんだけれども、こよいのお目々にはオレは一体どんな風に映っている訳!?


 「もうね! わたし、お姫様だっこしてもらった時にすっごく怖かったんだけどずっとドキドキしててっ! きゅわわぁ~ってなったのぉっ!」


 ぴょんぴょん跳ねて大興奮のこよいchan。あの~?


 「それでねっ! アイツ等が逃げちゃった時なんか、ああ~わたしの運命の王子様って三五だったんだぁ~って改めてわかっちゃったのオォォ~ッ!」


 テンション高っか!? ちょっとこよいちゃんっ!?


 「う、うん。こよいの事はオレがずっと守るよ。それでね?」


 「そ、それぇぇ~っ! そ、そのイケメン過ぎるセリフ何なの!? いや、三五はイケメンだけどっ! でも夏休み前はそんなキャラじゃなかったでしょ!? 何があったの!?」


 おおっと。遂にツッコミが入ってしまった。オレが超絶美少女 ・ こよい姫を前にすると歯が浮きまくるセリフがポンポン口を吐いて出てくる件について。


 「恋をすると人は変わるんだよ。こよいにもっと好きになってもらいたいから」


 そう、それが男の本能ってヤツさ。


 「あっあっあ~っ! サンゴカッコイイ~ッ! き、きゅん死するぅぅ~ッ! 胸がキュインキュインいって苦しくなっちゃうんデスけどォォ~~ッ!」


 ジタバタ暴れだすこよい! 何かもういつもと同じノリなんですけど!?


 笑顔になってくれるのは良いけど、良い雰囲気とか甘~いラブラブムードとかは!? 

 こんなにも特別な夜だというのに!


 どうやったらさっきの様なムードになるだろう? ……そうだ!


 

 オレはジタバタするこよいをきゅっと優しく抱き締めた。そして頭を撫でてあげて、ちゅっ、と一瞬だけこよいの唇にキスを落とした。


 「あっ……♡」


 「花火、見よう? こよい」


 「う、うんっ♡」


 ふふふ、キスで静かにさせて、暴れない様に優し~く抱っこしててあげよう。そうすれば大人しくしててくれるハズだ。




 今日の夜には、オレ達の間に言葉は要らない。


 オレとこよいは彩戸(さいど)さんが迎えに来てくれるまでの間、そうやって静かに花火を眺めていた。


 互いの身体と心の温かさを0距離で感じながら。










 余談だが、彩戸さんは秘密の場所へ向かうのに結構迷ってしまったらしくオレ達はその間た~っぷりとイチャイチャする事が出来た。

 

 さすが彩戸さん、良い仕事するね!


 「お嬢ちゃまぁ! 三五ちゃぁん! 何処ぉ!? 秘密の場所ってアンタ達、お姉ちゃんにまで秘密にする事ないじゃないのよ~っ!」

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