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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【IF話】 もしもQ極TSカプセルが誕生しなかったら
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エロ姉ぇすと~り~ ⑤ 高波 三五 ・ 一世一代の超お騒がせ  エロ姉ぇルート

 「バッキャロ~ッッ!!」


 バキィィッ! ➡️ ガンッ!


 「グハァァ~ッ!」


 父さんに。普段あんなに温厚で、声を荒げることすら滅多に無い、あの父さんに。思いっっきりブン殴られた。オマケにブッ飛ばされてTVに頭をぶつけた。



 エロ姉ぇの妊娠が発覚した後、その足で高波家(ウチ)に直行した。


 まず母さんにエロ姉ぇを紹介し 「彼女のお腹の中にはオレとの子供がいる」 と報告したところ……。


 「ヒエエェェ~!? た、大変じゃないの~っ!? ア、アナタ~ッ! 助けて! 助けてぇ~っ!」


 大パニックに陥った母さんが電話で助けを求めると、父さんは会社を早退してスッ飛んで帰ってきてくれた。


 両親が揃ったところでオレは土下座を敢行。


 「この度は……誠に申し訳ございませんでした! 全てこのオレが悪うございます!」


 額を床に擦りつけていると、父さんに 「立て」 と命じられた。

 条件反射でスッと立ち上がったら、ガツンとブン殴られて冒頭に至る、というワケだ。


 フラフラになりながらも、オレは再度土下座。


 「オレ、今からでも仕事探してきて働きます!」


 「分 際 を (わきま) え ろ ! 今のテメエにそんな甲斐性があるワケねぇだろ、この脳足りんがッッ!」


 「ア、アナタ、アナタ落ち着いて……ら、乱暴はダメよ、乱暴は……」


 「オメ~はすっこんでろぃ! 今は親と子じゃなく、男と男で話をしとるんだぃ!」


 「ヒャアァッ、ハッ、ハイィッ」


 涙目の母さんがエロ姉ぇと一緒にキッチンへ退がっていく。普段の勝ち気な性格が見る陰も無い。



 「背筋を伸ばせコラァァ! いいか、良~く聞け!」


 父さんの怒涛のお説教が始まった。


 お前は全てにおいて考えが足りない。

 出産するという事がどれだけ大変で苦しいものか想像がつくか? ましてや学生の身空ならば尚更だ。

 惚れた女を苦境に叩き落とすバカがどこに居る。頭沸いてんのか、社会のダニが。

 彼女の親御さんはどんな気持ちになると思う? 何て言って詫びれば良いか、言葉が見つかんねぇよ。

 オメエが仕出かした事は(まさ)しく外道の所業だ!

 「人間(ヒト)(サル)の仲間」 だと偉い学者先生は仰った。ならばヒトとサルを区別するものとは何か? お天道さまの下、ヒトとして正しい道を歩けているかどうかだよ!

 お前はその道を外れた! お前はサルだ! オレ達夫婦はサルを産み育てちまった! ご先祖様に申し訳が立たねぇ!


 「人間に戻りてぇか!? 日の光が当たる道を歩きてぇか!?」


 「も、戻りたいです! 歩きたいです!」


 「猿が人間様の言葉で喋るなァァ~ッ! 猿の言葉で喋れぇ~いッッ!」


 「ウッキッキィッ(人間にッ)! ウキキキイッッ(戻りたいッッ)!」


 「よ~し! 赤ん坊の養育費からテメエの学費から、全部このオレが都合してやる! くれてやるんじゃねぇぞ! 貸してやるだけだ! キッチリ耳揃えて返しやがれ! それが済まなけりゃあ、テメエはいつまで経っても猿のまんまだぃ! わかったかバカ野郎!」


 「ハ、ハハァ~ッ!」


 何という威厳。何という慈愛に満ちたお裁き。

 まるで遠山の金さんだ。

 一生頭が上がらない。オレ、オレ、父さんの息子に産まれて本当に良かった!



 「よし、メシにすっぞ!」


 父さんが両手をパァン! と叩いて場をシメると、それを合図に母さんとエロ姉ぇがキッチンから現れて、夕食を食卓に並べてくれる。


 時計を見るといつの間にやら20時を回っていた。


 女性陣は女性陣で話し合っていたようだ。

 エロ姉ぇのご家族にも電話口で事情を説明して、とりあえず晩ごはんはウチで食べてってもらうってことになったらしい。


 「よぉぉ~し! いっぱい食べてモリモリ力をつけるぞっ!」


 これから忙しくなるからな! 何と言っても身体が資本だからよ!


 「エロ姉ぇも遠慮しないでいっぱい食べなよ! お母さんになるんだからさ!」


 「えええええええぇぇぇぇ~~ン?? 三五きゅんてば、一体ど~ゆ~メンタルしてるのン?」


 父さんがリモコンでTVを点ける。

 すると液晶画面にデッカいクモの巣みたいなキレツが走っていて、ちょっとウケた。


 「ワッハッハ! えれぇコトになってんな!」


 「本当ですね! お父さん!」


 「テメ~のせいだろがww」


 バシン!


 「痛って~ww」


 「ほ、朗らかな家庭ってコト、なのン?」


 「アホなだけよ……今日からアンタも含めてね……」



 夕食の後は父さんがエロ姉ぇを車で家まで送り届けてくれて、オレも同乗させてもらった。


 訪ねるには非常識な時間帯だが、事が事だけに一刻も早くお詫びをさせてもらいたいと思ったのだ。


 「お義父さんッ! この度は誠に申し訳ございませんでしたッ! どうかお気の済むまで殴ってくださいッッ!」


 「………………」


 お義父さんとのファーストコンタクトは豊四季(とよしき)家の玄関で。

 オレは土間で土下座をし、お義父さんはソレを見下ろすというシチュエーションだ。

 オレは良いんだが、尊敬する父まで土下座に付き合わせてしまったのが本当に辛い。


 「…………良いんだよ、お義父さんなんて呼ばなくても……」


 あ、あれえ? 「テメエに義父さんなどと呼ばれる筋合いは()ぇ! 娘を傷物にしやがって!」 ガツ~ン! ってなる場面(シーン)じゃないの?

 な、何だか全てに疲れ切ってしまったかのような声色だ。


 「どうせウチの娘から誘惑したんだろう。親の言うことなど聞かずに、はしたない格好で遊び歩いて……たまたま君の時に子供が出来てしまった。そうだろう?」


 お、お義父さん!?

 瞳に光が宿っていない! 自由奔放極まる娘に絶望しているのか!?


 「ち、違いますよ、お義父さん!? 確かに一番最初はエロ姉ぇ、いえ、カレンさんの方からでしたが……」


 「ホラ見なさい、何も違わないじゃないか。……というかヨソではそんな呼ばれ方をしているのか、ウチの娘は……」


 あああ! お義父さんの顔がみるみる憔悴していく!


 「産まれてくる子供の面倒はウチで見る……君は娘と子供のことは一切忘れなさい。二度と悪い女に引っ掛かるんじゃないよ……」


 「! お、お待ちください! ど、どうかカレンさんとの結婚を認めてください! 子供の父親にならせてください! 男の責任を果たさせてください!」


 半ば自暴自棄(ヤケクソ)になり濃ゆい負のオーラを漂わせているお義父さん。


 オレは父さんと二人がかりで必死に説き伏せた。

 その説得は深夜にまで及んだ。


 心が折れているお義父さんを熱意で根負けさせる形になってしまったのは非常に心苦しいが、なんとかカレンさんとのことを認めてもらうことが出来た。


 「どうやら君も相当イカレた男のようだね。いいとも。ならばトコトン苦労するがいい。絶望の沼でもがき苦しむがいいさ……」


 後日改めてお詫びに伺う旨、家族同士の話し合いの場を設ける旨をお約束させていただき、本日は辞去した。


 長い一日だった。


 しかし、オレが頭を下げねばならない相手はまだまだ居る。



 「三五ぉ~っ! ボクがあれだけ言ったのにぃぃ~っ! バカバカバカバカァァ~ッッ!」


 ドカドカドカドカァァ~ッッ!


 「グハグハグハグハァァ~ッッ!」


 湖宵から放たれる拳の雨に撃ち抜かれるオレ。


 「悪い女に引っ掛かるなんて! お姉ちゃん、アンタをそんな風に育てた覚えはないわよぉぉ~っ!」


 ギリギリギリギリギリ……!


 「ウギイァァ~ッッ!」


 彩戸(さいど)さんからコブラツイストを極められる。


 この二人からは散々 「あの女だけは止めろ」 「のぼせ上がった頭を冷やせ」 「大事なことだからよ~く考えろ」 などなどなどなど言われまくってきた。

 それらを全て無視した挙げ句にこのザマよ。

 まな板の上の鯉になって、甘んじて制裁を受けるしかあるまいて。


 「三五さぁぁ! ボク、何百回も言ったよね!? エロ姉ぇは男グセが悪いって! 絶っっ対に浮気されるに決まってる! そん時に泣いたって遅いんだかんね!?」



 「そんな(いとま)は与えない! 毎夜毎晩エロ姉ぇを! コマシてコマシてコマシまくるッッ!!」


 

 「「筋肉で全ての問題を解決しようとすんのヤメ~や!」」


 今よりもっと男を磨いたオレに愛されまくって抱かれまくって、それでも尚、エロ姉ぇが他の男を求めるというのなら……その時はもう認めよう。

 エロ姉ぇのエロパワーがオレよりも勝っていた。彼女の器がオレよりもデカかった。ならば一人の男に縛り付ける方が間違ってる。

 間 男 (ジョ~) (ト~) 仏 恥 義 理 だゴルァ! そこんトコ 夜 露 死 苦ゥ!


 「うわぁ……ダメだこりゃ。オバカ三五、無敵過ぎるよぉぉ」


 「このコはもおぉ、ホンッットにおバカなんだからぁぁ」


 ガックリうなだれる二人。


 「罰としてどっか楽しい所に連れてってよね! 最近ジムとかトレーニングとかにしか一緒出来なくてつまんないんだけど!」


 「ホントよ! 筋肉メニューばっかりじゃなくて、甘~いお菓子も作らせなさいよね! そんでいっぱいお食べなさいよね!」


 この二人は何があってもオレを見捨てない。

 正直、それを見込んで大胆な行動に出たことは否めない。

 一生の付き合いであることに甘えた卑怯な振る舞いだった。


 ウチの家族にもエロ姉ぇの家族にも多大なるご迷惑 ・ ご心労をおかけしてしまったし。


 本当に悪いことをしてしまった……が、もし時を巻き戻せたとしても、オレは同じことをするだろう。



 「来ちゃったン♡」



 初めてエロ姉ぇと結ばれたあの日から、この結末は決まっていた。



 「世界で一番美しいエロ姉ぇのカラダをオレだけのものに! 世界で一番愛しいカレンさんのココロをオレだけのものに!」



 燃え滾る情熱の炎を消すことなんて不可能なんだから。


 高波 三五 ・ 一生のワガママだ。

 通させてもらったからには、関係各所の皆々様方にはそれこそ一生をかけて償わせてもらう所存!


 ブサイク過ぎるにも程があるが、これがオレとエロ姉ぇのラブストーリーだぁぁ!

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