あなざ~彩戸すと~り~ ・ アン視点 えぴろ~ぐ アンルート
※アン視点です。
楽しい楽しいお泊まり会 in 彩戸家。
始まり始まりで~す♪
ご飯とお風呂を済ませると、早速メイは三五さんを自室へと連れ込みます☆
私と湖宵さんは恭しくお見送りをした後、私の部屋でお茶やお菓子などをつまみつつ悶々とした一夜を明かすのです☆
ああ、なんて愉しいんでしょう。ウフフフフフフ。(ハマったらダメな愉悦)
チュンチュン、チュンチュン。
長~い夜がや~っと明けました。
私と湖宵さんは熱いモーニングコーヒーやおしぼりなんぞを用意して、いそいそとメイの部屋へと向かうのです。
コンコンコン。
ガチャッ。
「おはようございますぅ~♪」
「お、おはよ~、三五、メイねえさん」
「やあ……おはよう、アンおねえさん、湖宵」
アラマ、三五さんはもうお目覚めだったのですね。
「zzzz……ンフフフ~♡ 三五ちゃまぁ♡」
そして珍しいことにお寝坊しちゃっているメイ。幸せそうな寝顔ですこと。
アララ? でも全然着衣が乱れていませんね?
たっぷり愛し合った後なのにワザワザ身嗜みをサッパリ整えてから寝たんでしょうか?
几帳面ですねぇ、お二人さん。ニヤニヤ。
「その顔ヤメテ! アンおねえさんが想像してるようなコトはシてないから!」
「そんなバカな~」
「え~、ウッソだぁ」
私と湖宵さんは思わず同時にメイの寝顔をチラッ。
「zzz……ンフフ♡ ンフフフゥ~♡」
愛する男性の体温に包まれ、肌を桜色に染める美女がそこにおりました。
いやいやいや、大満足させちゃってるじゃないですか。こ~んなデレッデレのメイなんて生まれて初めて見ましたよ。
コレで、ナニもシてないってのは無理がアリアリでしょ~。
「本当だってばよ! 最後の一線だけは越えないように頑張ったの!」
フムフム。
まずはベッドに並んで腰かけて 「メイおねえちゃんと一緒に寝るなんて久し振りだね」 と甘ぁく囁きながらコテン、としなだれかかる……これでツカミはバッチリと。
そしてスキンシップしながらのベッドイン。
この時重要なのが、小っちゃな頃みたいにゴロゴロ甘えてメイの姉性本能をくすぐること。間違ってもオンナの情欲を刺激しないよう注意深く……う~ん、良く計算されています。
「メイおねえちゃんが初めて作ってくれたクッキーの味、今でもハッキリ覚えてるよ。また作って欲しいなぁ~」
フ~ムフム。
こんな風にメイの気分を良くさせつつ昔話に花を咲かせる……三五さんの手練手管によりメイは身も心も暖か~く気持ち良~くなって寝ちゃった、と。
そういうことだったのですかぁ。
「プププww 千夜一夜物語みたいですネwww」
「てことは三五がシェヘラザードでメイねえさんが処女厨暴君ww 何もかもがアベコベww ウケるwww」
「ウケてないでさぁ! ねぇセーフでしょ!? 仲良し姉弟の範疇に収まったでしょ!?」
「「ハイそれはダウト~!」」
「えぇ~っ!?」
いや、だってガッツリ抱いちゃってるじゃないですか。身体じゃなくて精神を。
むしろ精神的な繋がりを見せつけられる方が私的にはキッツいんですけど。
「フフ~ン♪ ボクと三五の絆だってエターナルなんだからね♪ 次はボクが見せつける番さ! 覚悟しな!」
あっあぁぁ~! キツい~! ハートが締め付けられるぅ~! それでいて甘く切なく……ちょ~新感覚ですぅ~! 性癖歪みそう~!
はぁぁぁん、順番が待ち遠しいでっすぅ~!
「だ~か~らぁ! あの頃の執着は一体どこに行っちまったんだよぉぉ~! アンおねえさぁぁぁ~んっ!」
「コラッ三五! 今日のお相手はボクなんだかんね! ヨソ見しちゃイヤ!」
「ア゛~ッ!」
三五さんと湖宵さんは朝食を召し上がった後に仲良くデートに出かけました。
残された私とメイは食器を洗って後片付け☆
お妾さんの日常、ですか。静けさが染み渡るようです。
「ああ……この侘しさ & もの悲しさが心にキますねぇ~♡」
「わかるぅ~♡ お見送りの時とか胸がキュゥ~ッてなっちゃったぁ♡ 正直、堪らんわよね♡」
メイなんてちょっと前まで同じベッドの中に居たんですもんね~。
今のお気持ち、私に聞かせて♪ な~んて風にお妾トークに徒花を咲かせてみたり♪
ちょっぴり不毛な気もしますケド……静かだと悶々としちゃいますからね。なんか話してないと。
静寂をやり過ごす為に無我夢中で花嫁修業に精を出したり、黙々とポエムを綴る夜もございました。
されども時は移ろうもの。
つ ・ い ・ に! 私の番が巡ってまいりました~♡
三五さんと二人っきりで過ごす週末デートで~す♡
「今日は三五さんのお好きな場所へ行きましょう♪ 私、どこにだってお付き合いしちゃいますよ♪」
「…………………………」
ア、アレレ? 三五さんたら憮然とした表情?
「言いたいコトが百個くらいある!」
アラマアそんなに♪ 私も三五さんといっぱいお喋りした~い♪
「まず第一にさぁ! 怒んね~の!? オレ、湖宵やメイおねえさんとメッッチャクチャイッッチャイチャしたんだよ!? 浮気しまくったんだよ!?」
「アラヤダ、浮気だなんて。三五さんのお二人への想いはガチガチのド本気じゃありませんか」
「じゃあ尚のこと悪くねぇ!? 寂しい想いしてね~の!?」
しておりますとも。ですが全ては真人間へと至る為の修業にございます。
そもそも絶対者 ・ メイが決めたことですからね、真に三五さんに相応しい嫁を選び抜く、と。
よって……。
「妾 ➡️ 妾➡️ 嫁のローテは絶対義務! いかに三五さんとて拒むことは許されませんよ! お忘れですか? 貴方の嫁を選定する権利はメイにある、と!」
「ううう、そうはなっているけどもさぁ……」
「嫁選びの一環として三五さん FC のメンバーにも会ってあげてくださいな」
「話には聞いてっけどさぁ、実在すんの? そんな人達が」
するのです。
実は選定者 ・ メイとの面通しも既に終わっており 「なかなか見込みがある娘達じゃない」 とのお墨付きまでもらっている剛の者揃いです。
「つきましては三五さんFC混浴パーティーを開催致しますので奮ってご参加ください」
ちなみに私は不参加です。
「ウオオォォ~イ!? 知らない女の人と風呂になんか入れっかよ! つ~か入らそうとすな!」
「えッッ♡ それって私も入って良いってコトですかッッ♡」
会長ばっか三五さんと仲良くしてズルっこ~! って言われると思ったから遠慮したんですけどぉ♡ 三五さんがどうしてもと仰るならぁ♡
「違ぇぇ~よ! つ~かもうズバリ核心を突くわ! 焼きもちはどうした! 焼きもちは! 前だったらハチャメチャに妬きまくってただろ!? ワンワン泣きながらよぉ!」
「ふえぇぇ? や、妬いて欲しかったんですか?」
「そ う だ よ ! (ヤケクソ) 何でそんな普通にしてんの!? 「他のオンナの匂いを上書きします!」 とかってラブホにでも連れ込まれるかも~と思って身構えてたんだせ!? こちとらさぁ!」
「アラアラウフフッ♡ そ~んなエッチな期待してたんですか~? クスクス♡」
おかしな三五さん♡ シたいならシたいって普通に言ってくれれば良いのに♡ だって私、拒む権利ありませんし。(前科者だから)
「ちちちちち、違~し! あぁぁもう、オレが言いたいのは……!」
ボボンッ! と火が点いたみたいに顔を赤らめる三五さん。照れちゃってカワイイ~♡
「オレばっかりが! アンおねえさんのこと好きじゃん! ってコト!」
不意打ち。
今度は私のほっぺが真っ赤に染まる番です。
「もう熱い気持ちをぶつけてはくれねぇの!? 心は燃えてねぇの!? 前みたいにさぁ!」
「え゛。ま、前みたいにトチ狂っちゃうのはちょっと……。三五さんだって素の私が好みのタイプなんじゃないんですか?」
「それはそう! それはそうとして、あの暑っ苦しいまでのアピールが無くなるのもヤダ! 常にMAXで愛されてないと不安になるぅぅ! アンおねえさんのせいだよ! 責任取ってよ!」
ワ、ワガママ~!
だけどその気持ち、すっごく良くわかる。制御不可能な気持ちをきっと恋と呼ぶんですものね。
要するに、ス~ンと落ち着いちゃった今のお前は本当にオレに恋してんのか、って仰りたいんですね。
「不安にさせちゃってごめんなさい。私、三五さんのこと大 ・ 大 ・ だ~い好きですっ! もちろん前よりも、もっとも~っと!」
「おお~! 嬉しい~! ホッとした~! う~ん、でもまだ物足りないな。おかわり! ちょ~熱いpassionで!」
おかわりて貴方。
「で、ですからぁ、私の心には色欲という名の妖怪が巣喰ってるんですってばぁ。ヤツを解き放ってしまえば今度こそ官憲にお縄にされてしまいます!」
「大丈夫! 色欲のヤツはこないだパ~ッと解消したじゃん! 小出しにすりゃあイケるって! come on ! join us !」
「で、でもでも、私、卑怯な手段で強引に距離を詰めちゃったでしょう? だから正直、他の娘に悪いなって思ってて……」
「なるほどね。控え目になりたくなる気持ちはわかった。だが敢えて言わせてもらおう! 貴女は間違ってるっ!」
「ふぇぇ!? なんでぇ!?」
「夫婦になるんだるぉぉ!? だったら余計な遠慮など無用! 真っ直ぐな心と心でぶつかり合うんだよ! じゃなきゃ意味ね~よ!」
がが~ん!
た、確かに……この時間はメイと湖宵さんが譲ってくれた貴重な時間。最大限有効活用する為には一歩下がった状態でいてはいけない……そういう物の見方もありますか。
「だからここは心、燃やしてこう! オレはアンおねえさんに好かれたい! ワガママ言ってもらって! 叶えてあげて喜ばれたい! イチャイチャしまくりたいっ!」
ヒ、ヒィィ~ッ♡ 火ィ点きしゅぎィィ~ッ♡
ど、どうしようこの御方! すっごいグイグイ押してきますぅぅ♡ はわわわわわ……♡
「さあ! 早く言いなよ! ワガママな欲求を露にしてごらんよ!」
「ううぅぅ……じゃ、じゃあ、あの~……お、お手々繋いでお散歩してみたいですぅ……」
「はぁ~ん? それだけ~? ささやか過ぎん? 遠慮してない?」
「い、いえ、他にもオシャレなカフェでお茶したりとか……れ、恋愛小説で良くあるシチュを全~部! 三五さんと再現してみたいの! ですっ!」
「ほう恋愛小説とな! あ~んなコトまでしといて今更!? イイネ! めっちゃワガママじゃん! 汝の望み、叶えてしんぜよう!」
三五さんん! さっきから身も蓋もなさ過ぎませんかァァ!? されど私に文句を言う筋合いなどnothing ! 悔しい!
何はともあれ。
ご機嫌になった三五さんは私のお手々をぎゅ~っと握ってデートに連れ出してくださいます♪
まずは三五さん達が幼い頃から馴染みがあるという公園を案内してもらいました。
緑溢れる遊歩道を爽やかな風に吹かれながら歩くと、何とも清々しい心地になります。
お池で泳いでる鯉ちゃんや亀ちゃんの写真を撮ったり……すると見せかけて三五さんのお写真を撮ったり♡ 撮られたり♡ 一緒に写ったり♡
童心に返ってハシャいだ後はデート雑誌に特集されてたオシャレなカフェへ。
「オ、オレ、実はこんなお店に入るの初めてなんだ」
打って変わったオトナの雰囲気にちょっぴり緊張しちゃってる三五さん。
「オレが食べさせてあげる。ホラ、あ~んってしてごらん」
かと思いきや、思い出したかのように恋愛小説の王子様ム~ヴをかましてくる三五さん!
オチャメさんですね~♪ クスクスクス♪
な~んか私もイタズラ心が芽生えちゃいました☆
モロ少女趣味~ってカンジのショップにお付き合いしてもらっちゃいま~す☆
「三五さぁん♪ コッチとソッチ、どっちが似合いますか~?」
「え゛? えっと、そうだね……」
さっきとは比べ物にならないくらいソワソワと落ち着かないご様子の三五さん。
そりゃそうですよね~、男子中学生にとっては完璧異空間なファンシー時空ですもの。
悪いことしちゃいましたね。すぐに……アラ、この新色のリップ、とってもイイカンジ。
これだけお会計したら、すぐにお店を出ましょうね。
ちょっと待っててください、三五さ~ん!
……………………………………………………。
楽しい時間ってホントあっという間に過ぎますね。
もう夕陽が射してくる刻限になっちゃいました。
「帰る前に広場のベンチで休んでいかない?」
三五さんもまだ帰りたくないって思ってくれてるんだ。
駅前広場の並んで座り、ピッタリ寄り添う私達。
「「………………」」
同じ気持ちだからですかね? 口数が少なくなっても気まずくならずにいられるのは。
それどころか心がじんわり暖かくなります。
まったりポカポカです。
あぁ、これが幸せなんだ~ってしみじみと噛み締めていたら、三五さんが 「ハイコレ」 って何でもないみたいに私に小さな包みを……って、ええぇぇ~っ!?
「こ、ここここれって、まままさか、プレゼントォォ~ッ!?!?」
ウソぉぉ!? いつぅぅ!? 私がリップをお会計してた時!? あのショップで!? あんなに居心地悪そうにしてたのに!?
なんたるサプライズ!
さ、三五さん……恐ろしいまでの男子力!
震える指で包みを開けると、中からは……ペアのレザーブレスレット。
「おそろいだよ」 な~んて可愛くはにかんじゃったりして貴方……。
ヤバい、発狂しそう。
お互い手に手を取り合いながらブレスレットの着け合いっこをしたんですけど……これはもうダメですね。
触れ合った手を離したくありません。離してなんかあげません。
クスッと笑った三五さんは一言 「おいで」 って言って私を人目につかない生け垣の陰へと誘いました。
そして……。
唇と唇が自然と触れ合いました。
本当にまるで当たり前みたいに。
初めてみたいな。初めてなのかも?
夕陽のカーテンに隠れて、心と心が重なるキス。
「アンおねえさん、好きだよ」
「三五さん、私も好きです。貴方に恋してます」
本物の恋を。
恋愛小説のテンプレをなぞるみたいなデートだったけど、心と心が通じ合った本物の恋愛ドラマが生まれました。
そう、人と人が熱い気持ちでぶつかり合えば、そこにドラマが生まれるのです。
でもその気持ちは真っ直ぐじゃなければいけません。三五さんの仰る通りに。
それがよ~~くわかりました。
三五さん、私、貴方に誓います。
自分を磨きに磨いて、グウの音も出ない程の真っ直ぐ聖女になることを!
正々堂々、真っ正面から恋のライバル達を打ち負かし!
射止めて魅せます! 貴方のメインヒロイン!
お姉さん、頑張りますからね。
ずっとず~っと隣で見ててくれなきゃイヤですよ、三五さん♪
あなざ~彩戸すと~り~ ・ アン視点 END.