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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【IF話】 もしもQ極TSカプセルが誕生しなかったら
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あなざ~彩戸すと~り~ えぴろ~ぐ TYPE : A  アンルート

 嵐の一夜以降、アンさんは暴走ムラムラ超特急だった頃が嘘みたいにめっきり大人しくなった。


 憑き物が落ちたとは正にこのこと。


 しかし、だからといってアンさんから個性や存在感が無くなった、とか面白みが無くなった、というワケでは断じてない。

 逆だ。

 ムラムラによって台無しになっていたアンさん本来の輝かしい魅力が溢れに溢れて、オレのハートを惹き付けて止まないのだ。



 例えば毎朝の登校風景。


 オレは家を出て三人との待ち合わせ場所へと向かう。


 「おっはよ~、三五♪」


 「おはよ、三五ちゃん♪」


 湖宵とメイおねえさんはオレの姿を見るなり、真っ先に駆け寄って来て挨拶をしてくれる。


 「おはよう、湖宵、メイおねえさん」


 まず二人と朝の挨拶を交わす。

 その後で控えめにオレの前に出てくるアンさん。



 「おはようございます、三五さん♪」



 「お、おはよう、アンさん」


 柔らかく微笑んでくれるアンさんに胸がドキッ! とする。


 見慣れた制服姿だけれど、前までとは全っ然違う。主に体勢とか。

 前はいつでもタックルを仕掛けられるように腰を落としていて重心が低く、威圧感があった。怖かった。

 それが今やプリンセスさながらの麗しい立ち居振舞いに大変身。


 特に目を惹くのが風になびくフワフワウェービーなロングヘアー。

 オシャレだし、お嬢様みたいなゆったりとした仕草にベリーマッチしててグッとくる。

 前は激しい運動(ストーキング)の邪魔にならないようにギッチギチに結んでいたから尚のこと。


 「ア、アンさん、髪下ろしたんだね。似合ってるよ、可愛いね」


 「ひゃあぁっ♡ あ、ありがと、ござぃます……で、でもストレート過ぎますよぅ……んもぅ、三五さんったらぁ……♡」


 おおぉ!? あのアンさんがモジモジ照れ照れしてる!?


 「カ、カワイイィ~ッッ!」


 ドキドキ~ンッ!


 新鮮な反応が嬉しくて思わずちょっかいかけたくなる。

 クッソ~! 登校中じゃなければなあ! ガマンガマン!


 「ちょっとアンちゃん! 今更カマトトぶってんじゃないわよ!」


 「そ~だそ~だ! 三五と……三五とエ、エッ…………(チなことした)クセにぃ! うぅ゛~、む、むきぃぃ~っ!」


 「お、お二人とも、どうしたんですか? わ、私、何かやっちゃいました?」


 「「ハァ~!? 煽り!? ウザ~い!」」


 何故かメイおねえさんと湖宵がアンさんにキレて突っかかる。

 お陰でオレがアンさんとおしゃべり出来ないんですけど。

 


 「あ、ここでお別れですね。三五さん、湖宵さん、今日もお勉強頑張ってくださいねっ」


 「う、うん、じゃあまたね~」


 あああ、アンさんともっとお話したかった。

 だけどめげないぞ。

 何故なら明日は休日。みんなで遊ぶ約束をしてるのさ。


 よ~し、明日はアンさんとコミュってコミュってコミュりまくってやるぜ~!




 てなワケで翌日。

 

 湖宵の部屋をお借りして皆で集まる。


 「お邪魔しますね、湖宵さん。うわぁ、とっても広~い。素敵なお部屋ですね♪」


 クルクルッと回転しながら湖宵の部屋を見回すアンさん。 (可愛い)

 ヒラヒラッとはためくスカートに視線を奪われる。


 「それにしても湖宵さんのお家ってす~っごく立派なお屋敷ですね。まるで物語の舞台みたい♪」


 「アンタ今更何言ってんのよ。初めて来たワケでもあるまいし」


 「アンさんは三五のことしか眼中になかったもんね! 獲物を狙う肉食獣みたいにさぁ!」


 「テヘヘ♪ その節はどうも♪」


 ペロッと舌を出してウインクするアンさん。

 オチャメカワイイ~!


 つ~かホリデースタイルのアンさんってばメ~ッチャカワゆ!


 髪型もキメキメでバッチリだし、レースたっぷり透け感ドキドキのシフォンワンピも気合い入りまくりでちょ~オシャレ!


 う~! 辛抱堪ら~ん!

 ワイワイしてるところにムリクリ割り込む。


 「アンさん、ちょっとそこのソファーに座って」


 「? はい。あらま、とってもフッカフカ。良い気持ち♪」


 ここですかさずアンさんのおヒザにダ~イブ! 顔を埋めてグリグリしちゃうぜ~♪

 へっへ~ん♪ オレの方がも~っとEキモチなんだよ~ん♪


 「イエ~イ♪ アンさんのヒザまくらサイコ~♪ スカートのレース生地の触り心地もGOOD♪ ちょいスケスケで生足チラチラなのも眼福~♪」


 スリスリスリスリスリスリ♪


 「キャアァンッ♡ も、もう、三五さんったら♡ しょうがないですねっ♡ でもお姉さん以外の女の人にこんなことしたらメッ! なんですからね♡」


 「「ハアァ~!? ズル~い! 私 (ボク) もイタズラされた~い!」」


 「いや、君ら普段スカート履かないやん」


 「お姉ちゃんだってごく稀に履きます~ぅ!」


 「ボ、ボクだって……う゛う゛~! こ、こうなったら思いきってスカート買っちゃうもんね! 破れかぶれじゃ~っ!」


 ユサユサユッサユサ。


 あ~もうっ。

 湖宵とメイおねえさんに揺さぶられてフトモモをジックリ堪能出来ない。

 何をそんなにエキサイトしているのか。


 「「アンちゃん (さん) ばっか構ってズル~い!」」


 「いやいや、アンさんのこの格好を見てみ? こ~んな可愛いお洋服着て来てるんだぜ? オレの気を引く為にさぁ! キュンなんですけど! 構ってあげなきゃイカンでしょ!」


 「いえあの、これ普段着のつもりだったんですケド……?」


 「えっ、恥ずかし! て~ことは甘々ふんわりお嬢様キャラも別に作ってるワケじゃなくて素ってこと!?」


 「は、はい」


 「え~っ!? 好き! 超好きなんですけど! 好みのタイプってヤツ!? 魂にガツ~ン! ときたぜ!」


 なるほどね~。オレってばお淑やかなお姉さんが好みなのか。

 帰国子女で英語ペラペラってとこもギャップがあってイイんだよな~。


 ここにきてアンさんに対する興味が爆アガ ⬆️ ⬆️ り!


 N(ニュー) . Y(ヨーク) に住んでた頃の話とか、その他にも色々な話を聞きたいな。英語でカッコ良く喋ってもらったり。

 話題は尽きない。何せ二年間もまともな会話をしてないんだからな、オレ達。 (白目)



 「つ~か、今夜電話して良い? アンさん、いやさ、アンおねえさん!」



 「も、もちろんですよ~……アハハ……も、もしかして私ってば、暴走さえしなければ割りと簡単に三五さんと仲良くなれてた? な、何てことなの……」


 あれぇ? 喜んでくれね~の?

 アンおねえさんったら何やら遠い目をしていらっしゃるぞ。



 「はいカッチ~ン。三五ちゃん、アンタ今夜は私の部屋に泊まりなさい。一晩中可愛がってお姉ちゃん漬けにしてあげるわ」


 

 アンおねえさん呼びがメイおねえさんの姉プライドを謎に刺激してしまった!?

 有無を言わさぬパワー誘惑だ!


 「ダ、ダメだよ、だってそんなの浮気……」


 「バカ言いなさい! アンタはねぇ! 私! アンちゃん! 湖宵ちゃん! 三人のオンナをトコトン食べ比べて (下ネタ) NO . 1 伴侶を選抜しなければならないの! これは運命義務デスティニーデューティよ!」


 「えええぇ!? オレが間違ってんの!?」

 

 「ボ、ボクも食べられちゃうのぉ!? 心は女の子でも身体(ガワ)は男の子なんですけど!? 良いの!?」


 「ワンチャンクセになるかもしんないでしょ。 (腐女子並感) そうじゃなくても恋愛ってそれだけじゃないしね」


 忙しい時期だけどローテーションを組んで順番にデートしましょうね♪ 一番最初は私ね♪ ってな具合にトントントンと話をまとめるメイおねえさん。

 もう決定事項なの!?


 「ああ……今夜、三五はメイ姉さんと……病むぅぅぅ! クッソ~! 早く順番回ってこないかなぁ!」


 湖宵も受け入れちゃってる!?


 で、でもこんな状況、暴走恋愛特急のアンおねえさんが許すハズないぜ!

 な、ないよね? チラッ。



 「さ、三五さん、今夜は心行くまでお楽しみくださいませっ」


 ニコッ。 (全てをわきまえたオトナの笑み)



 「オイイイィィィ!?!? ニコッじゃないよ、ニコッじゃ! もっと執着しろよ! ギラギラしてたあの頃のアンタはどこに行っちまったんだよ!」


 「だ、だってメイは三五さんのお嫁さんを決める権利を持ってるんですよ? 完全に私より上位の存在なんです! 逆らえません!」


 だから何で屈するんだそこでぇぇ!

 

 理屈じゃないのが恋なんじゃないの?

 この人、一回ヤッただけでもう冷めちゃったの? あんなに狂おしく燃え盛っていたのに!?


 あああ、不安が押し寄せてくる。


 「嫌だああァァァ!」


 ピョ~ン! ガバムギュウゥゥ~!


 アンおねえさんに飛び付いてメチャハグ!


 「キャ~ッ!? さ、三五しゃあぁ~ん!?」


 「オレに飽きちゃったの!? 嫌だよ! N . Y なんかに帰らないでよ! ずっと側に居てよ!」


 「ふぇぇ!? ど、どういうことですかっ?」


 「……前に怖い夢を見たんだよ。アンおねえさんがオレに飽きて N . Y に帰る夢を……そんなことになったらオレ、オレ……!」


 上目遣いの瞳が潤む。

 恋愛感情が高ぶると乙女化するクセ、マジでどうにかしたい。パブロフの犬みたいになってる。


 「キャワワァァ~~ンッ♡ キクゥゥ~ンッ♡」


 ジュワッ! ジュワワワワ~ッ!


 あ、ど~ぱ(ドーパミン)だ! 密着してるからか、アンおねえさんの脳からど~ぱが出る音がハッキリ聞こえたぞ!


 「アンおねえさん♡ はどこにも行きませんよっ♡ 絶対一生未来永劫ずぅぅ~っっと三五さんから離れませんからねっ♡ んあぁ~っ♡ カワイイカワイイカワイイ~ッッ♡♡」


 ギュギュギュ! ムギュギュギュ~ッ!


 アンさんも恋愛感情が高ぶると暴走恋愛特急に戻るんかい! でも何故かちょっとホッとしたりして。


 

 「クフフゥ♡ イ~イコト考えましたっ♡ 赤ちゃん作りましょっ♡ 今すぐに♡ 赤ちゃんがデキちゃったらお互い離れられませんよねっ♡ ささ、ベッドにイキましょ♡ ハァハァ♡ ハァァ~ッ♡」


 ガシィ! ズルズルズル~!


 あ゛~っ! ヤベぇよ! 目がイッちゃってるよ!

 やっぱ前言撤回!

 湖宵(恋敵)の部屋のベッドでコトに及ぼうとするかぁ!? フツ~よぉ!? クレイジー過ぎるぅぅ!


 「ネ、ネトラレダイナミック!? ヤ、ヤラせるかぁぁ~!」


 「ちょっと! 順番抜かしすんじゃないわよ! 次はお姉ちゃんの番!」


 「離しまっせぇ~んっ! だってだって恋は誰にも止められないんですからぁぁ~っ♡」


 四人が一塊になってベッドの上でドッタンバッタン大乱闘。 (下ネタじゃないよ)


 湖宵とメイおねえさんと三人で居ると、まったり穏やかに流れていた時間。


 アンおねえさんと出逢ってからはジェットコースターみたいに一瞬で過ぎていくように感じる。


 面白さとドキドキとスリルがギュ~ッ! と濃縮されたその一瞬一瞬はオレの心に鮮烈に刻まれて、いつでもオレを楽しませてくれるんだ。


 案外オレもアンおねえさんに一目惚れしていたのかもしれないね。





 毎日わちゃわちゃ大騒ぎしながらも何だかんだで受験を乗り越え、オレと湖宵は高校生に。


 メイおねえさんは繊月(せんげつ)家のお手伝いさんに。



 そしてアンおねえさんはなんと、恋愛小説家志望の女子大生に!


 読書したりポエムを書いたりするのが好きで、オレのことが大大大好きなアンおねえさんにはピッタリの進路……なのかな?


 

 「小説のアイディアを出す為に (口実) お姉さんと二人っきりでデートしてくださいっ、三五さん♡」


 「三五ちゃんを独り占めだなんて許されないわっ! お坊っちゃま! お行きなさい!」


 「OK! メイ姉さん! ディフェンス! ディ~フェンス!」

 

 キュッキュ! キュキュキュ!


 「恋のライバルとのバトル! 負けませんよ! ヒロインが華麗に勝利するのが恋愛小説の醍醐味なんですからっ♪」


 

 時が経つにつれ、何かが確実に変わっていく。


 けれど大切な絆や想いは決して変わったりはしない。


 だからこそ、オレは高校生活という新しいステージを全力で楽しむことが出来るのさ。


 大切な人達と、恋するお姉さんと一緒にね。



 「三五さんっ♪ お姉さんと一緒に恋愛小説みたいな恋しましょ♡」



 

 あなざ~彩戸すと~り~ TYPE : A(アン) END.

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