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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【IF話】 もしもQ極TSカプセルが誕生しなかったら
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あなざ~彩戸すと~り~ ⑥ お姉さんとのわちゃわちゃDAYS  アンルート

 「三五っさぁ~ん♡ 今日もステキィ~♡ お持ち帰りしたいぃ! ナンテネ! (真顔)」


 「う゛わ゛~! 冗談にキコエネ~!」


 どこからともなく現れ、突然オレの平穏をブチ壊してくるアンさん。


 「コラ~! 三五から離れろ~!」


 湖宵が猫みたいに怒ってアンさんに噛みつく。

 わちゃわちゃバトル勃発だ!


 しかしアンさんは強い。

 湖宵は次第に劣勢に立たされていく。


 だがここで真打ち登場!


 「待ちなっさ~い! 許さないわよ、悪女 ・ アン!」


 ビシバシ~ッ! とメイおねえさんがアンさんをオシオキ。


 「ぴええ~ん! 次は負けないんだから~!」


 やっつけられて泣きながらピュ~ッ! と走り去るアンさん。

 

 ここまでの一連の流れがすっかりオレ達の間のテンプレートになってしまった。

 冗談抜きで毎日やってるんだぜ。


 折角なのでその一部をダイジェスト形式でご紹介しよう。



● 夏の恒例行事 ・ 繊月(せんげつ)家庭園プール遊び



 「三五さぁん♡ どうですか? この水着ぃ~♡ ウ ・ フ ・ フ~♡」


 「ウ゛ワ゛~!」


 アンさんが選んだ水着は……何かもう紐! ほとんどが紐で構成されていて、大事なところがギリッギリで隠されてるだけ!


 肌色だらけで目のやり場に困る! のだが、目を反らすとそのスキに俊足で距離を詰められてしまう。マジでどうしよう!


 「コラ~! 悪女 ・ アン! そんなお下劣な水着で三五の目を汚すなぁ!」


 「フッフ~ン♪ 負け惜しみですかぁ? 湖宵さんには無理ですもんね~、(い ・ ろ)・ じ ・ か ・ け♡」


 「ク~ッ! 音速(マッハ)で引っぱたいてやりたい! でもそんなことしたら絶対ポロリしちゃう……!」


 「私は構いませんよ~♪ 将来のダンナ様になら、いくら見られても♡」


 オレが死ぬ程構うんだよぉぉ!


 「待ちなっさ~い! 許さないわよ、悪女 ・ アン!」


 おおお! 常識的ワンピース水着に身を包んだ正義の使者 ・ メイおねえさんの登場だぁ!

 だがどうする!? ウカツに手を出すと相手はポロリしちまうぞ!

 かつてない最凶の敵(パブリックエネミー)にどう立ち向かうんだ!?

 頑張れ! 我らがメイおねえさん!


 「アンタなんか日焼け止めでお絵描きしてやるわっ! それそれそ~れ、ネコちゃん! ワンちゃん! ウサギちゃん~っ!」


 ペタペタペタペタァ!


 「キャ~ッ! 冷た~い!」


 メイおねえさんがほとんどハダカ同然のアンさんのカラダに日焼け止めを塗りたくるゥ! だがその塗り方はメチャクチャだぁ!

 このまま放っておけば、たちまち真夏の陽射しに焼かれて面白い形の日焼け跡が残ってしまうだろうて!


 「三五ちゃんに笑われたくなかったら、とっとと着替えてきなさい!」


 「ぴえぇぇ~ん!」


 ダダダダ~ッ!


 かくして悪は去り、平和が訪れた……かに思われたが?


 「ん? どうしたの、三五ちゃん?」


 脳裏に焼き付いたアンさんの肌色が目の前のメイおねえさんの水着と結び付いて……水着の下が透けて見える!? かのような錯覚に(おちい)っているだと!? は、背徳的過ぎんよ~!


 いやだってこの二人(おんな)じ見た目してるからさぁ!

 ヤベぇよ! メイおねえさんの方見ちゃダメだ! へ、変なこと考えちゃダメだ! 無心になれオレ~ッ! ドキドキドキドキ!


 「三五ちゃんたら、お顔真っ赤っか♪ お姉ちゃんのこと意識してるの~? クスクス♪」


 「ご、ごめんなさ~い!」


 「い~のよ♪ 三五ちゃんは特別♪」


 「もぉぉ~っ! 三五! ホラ遊ぼう! 思いっきり身体を動かせばモヤモヤもスッキリするから!」


 「トホホホホ~ッ! 色じかけはもうコリゴリですぅ~っ!」


 

● 高波 三五 F(ファン)C(クラブ) 設立


 「三五さんFCを作りました! 会長は私です!」


 「ズル~い! ボクが三五ファン第一号なのにぃ~!」


 「つきましては三五さん! どうかお写真撮らせてください! 三五さんグッズを作りたいんです! ウチワとかハッピとか、あわよくば写真集もッ♡」


 「そんなこと言われて撮らせるワケないだろ!」


 オレだって写真の一枚や二枚でガタガタ言いたくないよ!?

 イベント(行事)で記念写真を撮る度にアンさんを仲間外れにするのだって本当は嫌だ!

 でもアンタ、オレの写真を変なコトに使おうとするじゃん!


 「やはり三五さんのお写真はそう簡単には手に入りませんか……! ならば私の熱いこの想い! ポエムに乗せて詠ませていただきます! グッときたらお写真ください!」


 何故そうなる!? 聞きたくねえんだが!?


 「待て~い! ボクだって毎夜毎晩、三五を想ってポエムをしたためているんだっ! 三五のお写真が欲しければボクと勝負しろ!」


 「フッ、相手にとって不足なし! 受けて立ちましょう!」


 ワケわからんリリックバトルみて~なモン始めようとすな~!

 ソレ絶対オレが恥ずかしい思いするだけだろ! ヤ ・ メ ・ テ ・ ク ・ レ~!


 「待ちなっさ~い! アンタ達! 三五ちゃんを困らせないの!」


 メ、メイおねえさ~ん! 来てくれたんだね!


 「メイィィィ! じゃあ三五さんのお写真ちょうだいよ! メイが許可してくれないからこんなことになってるんでしょ!」



 「しょ~がないわね~。だったらコレ(・ ・)で撮った写真なら特別に許可してあげるわ」



 そう言ってメイおねえさんが取り出したのは手作りのピンホールカメラ (夏休みの自由研究で作ったヤツ : ダンボール製) だった。


 仕組みとしては江戸時代頃に使われていたカメラと一緒で、上下左右が反転した白黒写真が撮れる。

 現行のカメラのご先祖さま的な存在である、ちょ~原始的なカメラなのだ。


 それだけに撮る時や現像する時に色々と手順があってケッコ~メンドくさい。興味無い人にとってはワリと苦行レベルかも。

 すげ~モン引っ張り出してきたな、メイおねえさんってば。


 「そんなのイヤ~ン! ちょっとスマホでパシャッとさせてくれたらそれで済むのにぃ!?」


 「嫌なら良いわよ! でもコレ以外は絶対に認めないんだから!」


 「う゛~! わ、わかったわよぉぉ、ソレで良いからお写真ちょうだいっ」



 そんなこんなでオレとアンさんが一緒に写る初めての写真が撮影されることになった。

 手作りピンホールカメラで。


 まっさかコイツが実験教材としてじゃなく実用品として日の目を見る日が来ようとはねぇ~。

 ヤベ~! オモシレ~! ワクワクしてきたぞ♪


 四季折々の花々が咲き誇る美しい繊月家庭園を背景(バック)にオレとアンさんが並んで立つ。


 「撮るわよ~」


 メイおねえさんが手作りダンボールカメラを手作りダンボール三脚にセットしてくれる。


 撮るわよ~、とは言うものの。

 ボタンを押せば即座にカシャッとシャッターが切られる普通のカメラみたいに簡単に撮れるワケじゃあないんだな。


 ピンホール(針穴)を覆っている黒テープをはがすと、ピンホール(針穴)越しにダンボールカメラ内部にセットされている印画紙 (プリント用紙) が感光する、ってな仕組みだ。


 めっちゃ弱い光でジックリ感光させるもんだから、撮影完了までちょいと時間がかかる。

 曇りなら数分間、室内なら十数分以上かかる場合も?

 その間、ジ~ッとしていなければいけない。動いたら現像した時に()がブレッブレになるのだ。


 まあでも野外だし太陽もサンサンだから、今回は一分ちょっとくらいかな。

 そんくらいの間なら余裕で姿勢キープ出来るでしょ。楽勝楽勝。


 「クッ……! 三五さんがお側に居るのにジ~ッとしていなければならないなんてっ! こ、これは拷問に近しいですっ!」


 アンタマジかよ!? 一分ちょっともジッとしてらんねえの!?


 「三五ちゃんにちょっとでもタッチしたら写真がブレッブレになるんだからね! 動くんじゃないわよ!」


 「耐えなさい、耐えるのよ、アン! 全ては綺麗な三五さんのお写真の為……!」


 アンさんの自制心を養う訓練も兼ねているのか。なるほどね~。


 

 時間になったらピンホール(針穴)を再び黒テープで覆う。

 これにて撮影終了だ。


 続いて暗室での現像作業に移行。

 繊月家地下室 ・ ワインセラーの隅っこをお借りする。


 まず赤色ランプで室内を照らして、数種類の現像用薬剤に順番に浸していって、水で洗って乾かして……すると明暗が反転したネガ画像が出来上がるから、新しい印画紙の上に貼っ付けて上から白色ライトでピカッ! と照らす。すると光が白く影が黒く写るポジ画像が出来上がるから、そいつをまた数種類の現像用薬剤に……。


 あ~! ホント大変! マジで手間暇かかる!

 それでもアンさんは真剣な目付きで黙々と作業工程をこなしていった。

 そして遂に……。


 「出来ましたぁ~っ♡ 三五さんとのお写真♡ 人力プリントアウト完了でっす~ぅ♡」


 「おお~! 綺麗に撮れてるじゃん!」


 まあ綺麗とは言っても白黒だし、現代の高精細カメラみたいにクッキリ写ってるワケじゃないけど。

 でも優しい雰囲気があって独特の味わいがある一枚となっているのは間違い無い。

 苦労して撮った甲斐があったね。



 「ああっ♡ 嬉しいっ♡ これからはいつでも三五さんと一緒♡ 宝物ですっ♡ 絶対絶対一生大切にしますっ♡」


 

 ……………………。


 何だよ、何だか、すっごい、可愛いじゃん。


 ……………………。

 ハッ!

 い、いやいや、うん!

 大事にしてくれるってんなら良いんだよ! 変なグッズ制作とかに使われたりしないだろうしね! うんうん!


 「う、羨ましいなぁ~、ボクも欲しいなぁ~……ね、ねぇ、三五! ボクとも一緒に撮って♪」


 「お姉ちゃんとも♪ あとお姉ちゃん、三五ちゃんと湖宵ちゃんをダブルでぎゅ~ってしながら撮りたいわ♪」


 「ムギィィ~! メイィィ! そんなのズルいズル~い! 悔ち~っ!」


 時代を逆行しまくる白黒写真ブーム、まさかまさかの大到来!

 スマホやデジカメに慣れ親しんでいるからこそ、逆に心に刺さるものがあるんだよね~。


 家族や友達に自慢出来ちゃうナイスなアイテムをGETして三五さん大満足だぜ。



● クリスマス会 ・ プレゼント交換


 「三五さん、ハイコレ! お金です! お金お金っ! 受け取ってくださいっ!」


 「ヤメロ! 何なんだよアンタは!」


 「「ええ~い! 離れなさ~い!」」


 目の色を変えて詰め寄ってくるアンさんを嫁ガードが力尽くで引っぺがしてくれた。


 「だってだってだってぇん! ズルいんですもぉぉん! メイと湖宵さんばっかり三五さんに高価な贈り物してぇっ!」


 「大胆な課金は♡」 (ドヤ顔)


 「お嫁さんの特権♡」 (ドヤ顔)


 「ん゛あ゛ぁぁぁ! 私も課金したいぃ! 三五さんにお金払いたいぃぃ!」


 マジでヤメてくれってばよ……。

 ただでさえ湖宵とメイおねえさんからいっぱいクリスマスプレゼントもらっちゃったのに……。

 この上でアンさんにまで課金されたらオレのグラスハートが砕けっちまうよ……。


 ハイ、実は今オレが着てるこの洋服。

 上から下までぜ~んぶ二人からのプレゼントなんです!


 おまけに二人に連れられて、美容院デビューまでさせてもらっちゃいました!

 もうね! 普段行ってる床屋さんとは全然(ちげ)~の!


 総額いくらぐらいしたんだろう!?

 ちょ~心苦しい~!

 だってオレが用意したプレゼントなんてマジで大したことないんだぜ!?


 え? 何を用意したのって?

 エ、エコバッグ……。 (震え声)

 いや! でも当然フツ~のエコバッグじゃないから!

 有名なブランドが作ってるヤツでデザインもオシャレだし、丈夫で良い素材だから長~く使えて使い心地も抜群!

 つっても所詮はエコバッグだからな~! いくら高級品でもお値打ち価格だったぜ~!


 あとエコバッグだけ渡すのもアレかな~、と思ったので中に手作りクッキー (箱いっぱいミッチリ) も添えて一緒に渡しました。


 「ンフフ♪ 良い物もらっちゃった♪ お買い物が楽しくなりそう♪ クッキーもおいし♪」


 「ね~♪ やっぱ三五はわかってるね! こ~んな可愛くて素敵なプレゼントを選んでくれるなんてさ!」


 メイおねえさんと湖宵はメチャメチャ喜んでくれてる。

 いやぁでもさぁ、二人からもらった物と比べて釣り合ってるかと言われたら……ねえ?



 「うぅぅ……三五さんの素晴らしいプレゼントと比べたら私が用意した手編みのマフラーと手袋なんて塵芥にも等しいです……」



 「オイオイオイオ~イ! それそれ! そういうので良いんだよ! そういうので!」


 「えっ? でもこんなの原価にしたら……」


 「プレゼントは金額とかじゃないから!」 (自分にも言い聞かせる)


 「えっと、じゃあどうぞ、三五さん」


 「ありがと~! アンさ~ん!」


 まっさかアンさんから今日イチ安心するプレゼントをもらえるなんてね~。

 

 早速身に着けてみる。

 おお~イイネ~、暖かい。

 それに編み目もメッチャ綺麗でシックなデザインがオトナ感あってカッコいい!

 プレゼントしてもらったトータルコーディネートに更なるGOODアクセントを与えてくれる逸品だ。


 「オレ気に入ったよ。ずっと大切にするね」


 「キュキュキュンッ♡ キュキュキュンッ♡ キュンキュンキュゥゥ~ンッッ♡♡ ブ~ッ!」


 ああっ! アンさんの胸が爆発的に高鳴り! 血流がポンプされて盛大に鼻血がっ! こりゃ大変だ~!


 「プププ~ッww リ、リズムが一本締めだったんだけどww おもちろwww」


 「鼻血がブ~ッ! だってww アハハハハwww」


 「そこの二人! 笑ってないで手伝って! アンさんをソファーに寝かさなきゃ!」


 


 こんな調子の大騒動を毎日毎日繰り返していくウチに爆速で時間が流れ過ぎていった。


 そして気が付いたらなんと、アンさんと初めて会ったあの日から一年もの月日が経っていたのだった。

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