あなざ~彩戸すと~り~ ① 劇的イメチェン!? お姉さん アンルート
※もしもQ極TSカプセルが誕生しなかったら。
※もしも彩戸 アンが生まれながらの女子 (以下、 NB 女子) だったら。
※もしも三五の好みがおっとりフワフワお姉さんだったら。
※もしも彩戸 アンがメインヒロインだったら。
そんなもしもの世界線のお話です。
やあ! オレの名前は高波 三五!
この春、晴れて中学校に進学する極々一般的な少年さ!
最近のマイブームはオレと湖宵とメイおねえさんの三人で行くカラオケ。
二人共オレの歌をメチャメチャ誉めてくれるもんだから、もンの凄く気持ち良く歌えるんだよね~。
本日はカラオケ日和の日曜日。
二人を誘って仲良くカラオケ~♪ ……と、いきたいところなんだけど、あいにく二人には予定があって一緒に行けないのだ。寂C。
湖宵は繊月家主催のパーティーに出席。
メイおねえさんには何やらヤボ用があるんだとか。
ヤボ用って何? っておねえさんに聞いてみたら 「んふふ♪ 後でのお楽しみよ。ビックリするから楽しみにしてて♪」 だって。
そんなこんなで珍しくオレは一人で休日を過ごすことになった。
あ~、つまんない。
カラオケ行きたいな~。
グループチャットで誰かヒマしてる連中でも誘ってみるかな。
いや、待てよ? 逆に一人でカラオケ行ってみるっつ~のも面白いんじゃね?
小さな冒険気分でさぁ。中学生的に。
めっちゃ歌練習しまくって最強のセトリを組んで、湖宵とメイおねえさんから 「すご~い♪ 上手~♪」 っていっぱい誉めまくってもらうんだ♪ イイネ~♪
そうと決まったら早速出かけよう!
最寄りのバス停からバスに飛び乗って街まで。
バスから降りたら駅前広場に到着。
ここまで来たらお目当てのカラオケ店は目と鼻の先。
さあ行くぞ、と一歩踏み出したところで……。
「あ、あの……」
突然、高校生くらいの見知らぬお姉さんに声をかけられた。
「三五さん……ですよね?」
とってもお淑やかでハチャメチャに美人なお姉さんだ。
いかにもお上品な良いとこのお嬢様~ってカンジ。
だ、誰? 何でオレの名前知ってんの?
こんな素敵なおっとりフワフワお姉さんの知り合いなんて居ないぞ?
う~ん、でもヤケに親しみを感じるような……?
い、いや、待て! 待てよ!
まさか! まさか、この人は!
「メメメメメメ、メイおねえさぁぁぁ~ん!?!?」
雰囲気はまるっと違うけれど、この端正な顔立ち! このスラッと長い脚! このモデル顔負けの抜群スタイル!
オレが見違うハズがないっ!
「えっ!? えっと、えっと、ええ~~~っと…………………………は、はいっ! メ、メイですっ!」
ウッッソオオォォォ~ッッ!?!?
「何があったんだよ!? 昨日まで普通だったじゃん!? いつものメイおねえさんだったじゃん!?」
「えっと~…………イ、イメチェン! ですっ!」
「それにしたってさあぁぁ!?!?」
あり得んだろ!?
一つ結びにしていたサラサラツヤツヤの黒髪は明るい色合いのゆるふわウェーブヘアに。
ダークカラーのテーラードジャケットにパンツルックといった機能的な組み合わせをクールかつスタイリッシュに着こなしていたのが、真っ白なフリルブラウスに淡い色合いのボレロと裾フリルヒラヒラなフレアスカートと合わせたガーリーで甘々な装いに……!?
一体全体どんな心境の変化があったらファッションセンスがここまで変わるんだよ!? いや、もはやライフスタイルごと変わってねぇかコレ!?
「何か悲しい出来事でもあった!? それとも悩みでもあるの!?」
「い、いえ、何も無いですよ? それどころかとってもハッピィです♪」
じゃあ何か!? この人、ちょっとヤボ用~♪ みたいな軽~いノリで劇的イメチェンしてみたってこと!?
ビックリするから~とは言われてたけども、まっさかここまでビックリさせられるとは思ってもみなかったよ!
オレはまだまだメイおねえさんの凄さをわかってなかったみたいだ。
負けたよ! マジで底知れねぇ~!
「えっと、三五さん。今日はお一人でお出かけなんですか?」
「ってゆ~かさぁぁ! 何その話し方!? オレ達の間で敬語とかヤメテよ! 他人行儀な呼び方しないでよ! メイおねえさぁぁ~ん!」
「あ、あの……今日だけは私のこと 「彩戸さん」 って呼んでもらえませんか?」
「イ ・ ヤ ・ だ ・ よ! 何でそんなによそよそしいんだよ!」
オレ何か悪いことした!?
いやいや、待てよ?
そう言えばこの前オレ、 「もう中学生になるんだから 「ちゃん」 付けしないでよ」 なんて言ったような……。
その時は 「お姉ちゃんにとって三五ちゃんは三五ちゃんなのよ♪」 って軽くあしらわれて終わったけど、まさか今になって……!?
弟扱い終了のお知らせ!? これからずっとこの距離感!?
「ごめん! ごめんなさいメイおねえさんっ! もう生意気言わないから許して! 嫌いにならないでよぉぉ~!」
ガッバァァッ! ムッギュウゥ~!
不安にかられたオレはメイおねえさんの胸にダイブして思いっっきり抱き着いた。
「キャッ♡ キャアアアァァァ~ッ♡ そ、そんなぁぁ~ん♡」
クンクン、クンクン。
なんかお花みたいなフローラルな香りがするんだけど! いつものメイおねえさんの匂いと違ぇ~!
「イヤだよぉぉ~! もう一生子供扱いで良いし、悪いとこあったら全部直すから! だから、だからいつもみたいに仲良くしてよぉぉ~っ!」
「ア、アラアラ……だ、大丈夫ですよ~、お、落ち着いて~? ね? ねっ?」
ポンポン、ポンポン。
メイおねえさんはオレを優しく抱き締めて背中をポンポンしてくれた。
顔を上げてみるとそこには溢れんばかりの愛情を湛えたいつもの女神の微笑みが……。
ああ、いつものメイおねえさんのお顔だ。
「安心してください。お姉さんは三五さんのことがだ~い好きですから」
「ああ、良かった! オレもメイおねえさんのこと、大好きだよ!」
「クッ……! ゴニョゴニョゴニョ……」
あれ? 何か凄く複雑な表情だぞ。
「今日はやっぱりいつもと様子が違うね? 本当に何があったの?」
「え~……実はですねぇ……………………そう! 私ってホラ、繊月家のお手伝いさんを目指してるじゃないですか。だから今日はその予行練習をしたいな、と思いまして」
「あ~! なるほどぉ~!」
だから凄く丁寧な話し方をしていて、ちょっぴり緊張もしているんだね。
「あっ! もしかしてイメチェンもその為に!?」
「そ、そうそう! 私、ちょっと思い切っちゃいました!」
雰囲気を作ってまっさらな気持ちになる為にあえて普段とは違う格好になったのか。
それにしても思い切りの良さ & 本気度の高さがハンパない。ここまでするとかヤバない?
ガチのガチで予行練習に取り組みたいって熱いハートがビンビン伝わってくるぜ!
「マジマジのド本気なんだね! メイおねえさんって呼べないのは寂しいけど……そういうことならオレも協力するよ! 彩戸さん!」
「な、なんて素直な良い子……ゴニョゴニョ……」
それにしても今から将来のこと考えてるなんて凄いな。
流石、春から高校生。大人だな~。
「コ、コホン。それよりも三五さんは何かご用事ですか? 私がご一緒したらご迷惑でしょうか?」
「あ、そうそう! オレ、カラオケに行きたかったんだよ。メイ、じゃなくて彩戸さんも一緒に行こうよ!」
グイグイ、グイグイ。
「キ、キャッ♡ さ、三五さんとカラオケ……♪ は、はいっ! 一緒にた~くさん歌いましょうね♡」
手を引っ張ると嬉しそうに笑ってついて来てくれる。
イイネ、いつもの調子が出てきたぞ。
勢いのままにカラオケ店にご入店~♪
「お支払いはお姉さんに任せてくださいね♪」
ま た だ よ。
彩戸さんったらいっつもこう。
絶対オレ達にお金を出させてくれないの。
しかもここのお店は持ち込みOKだから、いつもは軽食やら飲み物やらも全部彩戸さんが用意してくれるという至れり尽くせりっぷり。
そう、いつもは、ね。
フフフ、今日のオレは一味違うぜ?
「それならオレはドリンクバーとポテトの分を出すね! ホラ、クーポン券持ってるんだ!」
「え゛っ? い、いえ、そんな、悪いですよぉ」
「いいのいいの! いっつもお弁当作ってくれてるじゃん! ほんの些細なお返しだって!」
「えっと……ゴニョゴニョ……」
珍しく勝った!
オレが彩戸さんにご馳走出来る機会なんて滅多に無いぞ! ってゆ~か、もしかしたら初めてなんじゃね!? ラッキィ~♪
今日の彩戸さんは押しが弱いな~。
きっとお手伝いさん RP のせいでいつもとは勝手が違うんだろうな。
フフフ。最初こそビックリさせられたが、今度はオレのターンが回ってきたようだな。
たまにはオレからグイグイ振り回してみたり、ベッタベタに甘えてみたりしてみようかな。
どんな面白いリアクションを返してくれるだろう?
フッフッフ♪ 楽しい休日になりそうだぞ~♪