彩戸すと~り~ ・ メイ視点 ⑨ 三五ちゃまシンデレラBOYキラキラプロジェクト ~ メイ & 湖宵のシュミマシマシMix ~ メイルート
※メイ視点です。
「お~ね~え~ちゃ~んんん~!!」
ドタドタドタドタ!
さあ、お仕事お仕事! って張り切ってたら、お坊っちゃまが騒々しくやって来た。埃が舞うから止めてくれないかしら。
「ど、どしたの? そんな怖い顔して」
「はあぁぁ!? どしたの? じゃ、ぬわあぁぁぁ~いっっ! シレッと朝帰りしといて第一声がそれくわあぁぁぁ~いっっ!」
「何怒ってんのよぉぉ! 自分で背中押したんじゃないのよぉ!?」
「アホかぁぁ~っ! イキナリ既成事実までもっていくヤツがあるかぁ~っ! お説教だっ! ボクの部屋まで来ぉぉぉ~いっ!」
ガッシィィッ!
アラヤダ! 首根っこ引っ掴まれちゃったわ!
イヤ~ン! 全然ほどけない! この細腕のどこにそんな力があんの!?
ズルズルズルズル……。
子猫ちゃんみたいになす術もなく引きずられていくお姉ちゃん。
な、なんて無力なの。さっきまでの全能感がまるで嘘みたいだわ……。
「三五ママから聞いたぞぉぉ! デートでお酒パカパカ呑んで三五を……ごにょごにょ……に連れ込んだってぇぇ! バカバカイヤラシおねぇちゃん~っ!」
お坊っちゃまったら私の周りを側転でグルグル回りながらお説教かましてくんの。埃が舞うから止めてくれないかしら。
「初めてのデートでイキナリお泊まりとかあり得ん! ベストなタイミングとかロマンチックな雰囲気とか場所とかさぁっ! もっとこう、あるでしょっ! 三五はピュアピュアなんだぞっ!」
おねぇちゃんのエッチ、ヘンタイ、ヨッキュ~フマン。
配慮足りな過ぎ。ってゆ~か無さ過ぎ!
三五の純潔を奪うんだったら、その前にボクにお伺いを立てろ。ビックリして泣いちゃっただろ。
てゆ~かまず三五に一番気を遣え。
車で連れ回した挙げ句、有無を言わさずホテルとかアホか。
ボクの一番大切な人なんだぞ。もっと尊重しろ。しまくれ。しまくりまくれ。
舌鋒が火を吹くとは正にこのことね。
そうよね。お坊っちゃまも切ないのよね。やるせないのよね。
「わかったわ。今度スる時はアンタも混ぜてあげるから。だから機嫌直して」
「バッ……!? ババババババババッ! バカなこと言ってないでよっ!? じょじょじょ、冗談にしたってタチ悪過ぎんでしょうよぇぇ~っ!?!?」
「そんなこと言ってもデレッとしたお顔は隠せないわよ。正直ちょっぴり期待してんでしょ~?」
「バカバカバカバカッ! そ、そんなの三五が許すもんかっ! 嫌がるに決まりまくってるっ!」
それはどうかしらね~? 言うだけ言ってみるのもアリなんじゃない? いや、マジメに。
私とお坊っちゃまがダブルでおねだりしたらワンチャンあったりして。
少なくとも頭っから拒絶されたりはしないわよ。お坊っちゃまは大切に想われてるんだから。
ちなみにお姉ちゃんが弟ハーレムナイトに溺れたいから言ってるんじゃないわよ。勘違いしないでね。愛なのよ、愛。
「ボクはねぇっ! 三五にはめいっぱい幸せになってもらいたいのっ! 困らせたくないのっ! だから、だからもっと三五を大切にしてよ……ふ、二人っきりの時間をいっぱい、作ってさ……」
お坊っちゃまったら、バカね。無理しちゃって。
そんな風にションボリ肩を落としたアナタを私と三五ちゃまが放っておくワケないでしょう?
距離を置こうとしたってムダムダ。
こ~やって捕まえて、ぎゅ~っと抱き締めちゃうんだから。
「お、おねぇちゃん?」
「二人っきりですって? ダメよ、そんなの。三五ちゃまが寂しがっちゃうでしょ」
「で、でもっ……」
「でもじゃな~いの。私と三五ちゃまの幸せにはお坊っちゃまが必要不可欠なの。デートにも問答無用でついて来てもらうわよ」
「そんなのおかしいよぉぉ!? だってボクだったら三五とのデートにおねぇちゃんがついて来たら邪魔だなって思うもん!」
うぐぅぅ! し、辛辣過ぎにゃい?
泣いちゃうよ? いい歳した大人の女が泣いちゃうよ?
「さ、三五ちゃまはそんなこと思わないしぃ! ってゆ~か思ってたら秒で伝わるしぃ! 隠し事出来ない性格だもの! アンタと違ってぇ!」
「う゛っ……! それは一理ある……」
「それに三五ちゃまは私の言うことならな~んでも聞いてくれるもの♡ メイが喜ぶんならオレも嬉しいよって♡」
「キ~ッ! ノロケムカちゅくぅぅ! もうっ! 離して……って、離れられない!? なんかメッチャ良い匂いしてポカポカ暖かくって……♡ く、悔しい~!」
フッフッフ。そうでしょうそうでしょう。
私のカラダには三五ちゃまの残り香と体温が移っているからね。無類の三五ちゃま好きには堪えられないでしょ♪
そ~れ、もっとぎゅ~しちゃお♪
「あぁんっ! う、浮気者ぉっ♡」
ウ~ン、まだちょっと反抗的ね。
お姉ちゃんと仲良くするととっても良いことがあるって教えてあげなきゃ。お耳に優し~く囁いて、ネ♪ (洗脳とかじゃないから♪)
「お姉ちゃんはね~、三五ちゃまを好きにカスタマイズ出来る許可をもらってるのよ~? つ ・ ま ・ り、お姉ちゃんにお願い♪ すれば、お坊っちゃまの好みも反映されちゃうのよ~?」
「はぅぅっ! さ、三五を、ボクの好みに……?」
「そ~よ~? ちなみに口だけじゃなくてお金も出して良いのよ~? お姉ちゃん、本気でプレゼント攻勢かけちゃうんだから♪」
「さ、三五に課金出来ちゃう!? 記念日でもないのにぃ!?」
ジョ-シキ的に考えたら幼馴染みに貢ぎまくるのはおかしなこと。
特別な日に贈り物をしようとしても三五ちゃまに遠慮されちゃってた。
そう今までは、ね。
でもこの私、お姉ちゃん兼恋人兼婚約者たるメイちゃんという窓口を通せば課金しまくれるってぇワケよ!
三五ちゃまは私のおねだりを絶対に拒めないからねぇぇ!
「あとね~、昨夜の三五ちゃまのことも詳しく教えてあげちゃう♡ もうね、ちょ~ちょ~カワユかったのよっ♡」
「ふ、ふぇぇ!? ゴ、ゴクリッ……」
「ンフフ♡ トロットロに蕩けた甘々ベイビーフェイスと引き締まったフレッシュバディとのギャップが絶品♡ 風味絶佳少年とは三五ちゃまのことね♡」
「うううううあっあ~っ! おねぇちゃん大 ・ 大 ・ 大好きぃ~っ! だからボクの知らない三五のこと、もっと詳しくネットリ教えてぇぇ~っ♡」
私の胸にむっぎゅうぅ~っと顔を埋めるお坊っちゃま。
クッフッフ。堕ちたわね。
これからお姉ちゃんと一緒に仲良く三五ちゃまを魔改造しましょうね♪
具体的に言うと学校に居る時とか、私の仕事中の時とかのサポートをよろしくね♪
ムフフ、これで万全の布陣が完成したわ。
作戦名 : 三五ちゃまシンデレラBOYキラキラプロジェクト ~ メイ & 湖宵のシュミマシマシMix ~
今ここに発動を宣言するわっ!
まずはね~、三五ちゃまの日課の早朝ランニングに付き合っちゃうの。
頑張る 弟 を応援するのはお姉ちゃんの特権☆ キラキラ輝く汗をフキフキするのもネ☆
その流れで高波家にお邪魔して朝食とお弁当作りのお手伝いをさせてもらっちゃうの。
三五ちゃまには極力私の作ったご飯だけを食べてもらいたいからね (暗黒微笑)
その後は三五ちゃまとお坊っちゃまの登校をお見送りしてからお仕事を始めるの。
二人が帰ってきたらおやつ出して、お勉強を見てあげて、晩ごはんも食べさしてあげて。
まったり食休みしたら学校のお話なんかで盛り上がったり、ゲームとかして遊んだり。
時間の許す限り三人で楽しく過ごすのよ。
夜になったら三五ちゃまを車でお家まで送ってあげるの。
でもたま~に間違えて露骨なホテルに送っていっちゃうこともあったりなんかして (大爆笑)
わ、私www 自重しろしwww
しょ~がないじゃな~い、三五ちゃまが魅力的過ぎるんだもの~♪
もうお姉ちゃんってば三五ちゃまにお休みのキスをしないと眠れない身体になっちゃったわ。
むちゅちゅ! むちゅちゅちゅ~!
うぅ~ん♪ 改めて振り返ってみると、なぁんて充実した一日なんでしょ♪
これが毎日続くってんだからサイコ~にハッピィよね♡
三五ちゃま毎日頑張っててエラいからご褒美♪ って名目でプレゼントしまくるのも忘れないわ。
「このジャケット、三五ちゃまに似合いそうじゃない?」
「イイネ~♪ うわっ、見てよコレ! こんなオシャレな腕時計、三五が着けてたマジカッコ良くない!?」
「アラ~♪ ソレは買いね~♪ 見て見て、ここのヘアサロン、あの超有名人も通ってるんですって! ハイ予約~♪」
「クスクス♪ 三五にパーマあてちゃお (笑) 勝手に (笑笑)」
お坊っちゃまとキャッキャしながらプレゼント選びするのがホンットにもう楽しくて楽しくて仕方がない。
これぞ至福の一時♡ 課金サイッコ~ゥ☆
え? 浪費ですって?
何言ってんの! コレはねぇ、投資よ! 投 ・ 資!
遣えば遣う程に三五ちゃまが私達好みにチューンアップされていく……つまり確実なリターンが見込める勝利を約束された投資なの!
断じて無駄遣いではないの! 失礼しちゃうワ! プンプン!
てなワケでお小遣いもあげちゃいマース♪ 無駄遣いしてもOKよ♪ (矛盾)
あ、その代わりバイトは禁止だから。
その分の時間は私とお坊っちゃまの為に使ってね、三五ちゃま♪ ウフフフフ♪
しかし三五ちゃまもさる者。
私達から貢がれまくるのを良しとするままの男の子じゃないの。
そう、真の “漢” なのよ!
バイトが禁止されるや否や、家事手伝いをハチャメチャに頑張ってお駄賃をGET GET GET!
そこから私達へのプレゼント代を捻出するという離れ業をやってのけたの!
「クゥゥッ! な、なんて気持ちのこもったプレゼントなのっ!」
「はぁぁ~ん♡ ボク一生大事にするぅ~っ♡」
嬉しいサプライズはまだ続くわ。
お家のお手伝いを極めるウチにお義母ちゃまからお料理まで習うようになった三五ちゃま。
な、なんと! ある日、私達にってお弁当を作ってくれたの!
「ウッソォォ!? 三五ちゃまが私にぃぃ!? ヤ、ヤバッ! 顔が熱く……三五ちゃま、見ちゃダメぇっ!」
キャ~! ヤダヤダ恥ずかしい! 私ホントにアドリブ利かないんだってぇ! 朝っぱらから全力で喜ばせないでよぉぉぉ!
「ボ、ボクの分もあるのぉ!? やったぁぁ♡ ちょ~嬉し~♡ いつものお弁当の五倍嬉し~♡♡」
ちょっとお坊っちゃまぁ! いつものお弁当はお姉ちゃんが作ってるんですけど!?
しかも 「百倍」 とかじゃなくて 「五倍」 ってトコがガチ感出ててイヤ!
まあ、でも、実際、私も自分で作ったものよりも美味しいって思っちゃったケド……ね。
本職さんがそんな簡単に負けを認めるなって?
本職さんだからこそわかるのよ。
三五ちゃまのお弁当がどれだけ手間暇かけて作られてるか。
味が良いのはもちろん、健康のこともちゃんと考えてくれてるメニューで、彩りとか盛り付けまでこだわって可愛く整えてくれちゃってんの!
おまけにメッセージカードまで添えられてるという至れり尽くせり!
『お仕事お疲れ様。午後からも頑張ってね』
こんなん嬉しいじゃないのよ! 元気がワ~ッて湧いちゃうじゃないのよ! 美味しいじゃないのよぉ~っ!
負けよ! 負け負け! お姉ちゃんの負けぇ~!
わ、私とお坊っちゃまはとてつもなく恐ろしい存在を目覚めさせてしまったのかもしれないわ……。
ああ、でも動き出した歯車を止めることなど出来はしないわ!
今の段階で既に非の打ち所が無い三五ちゃまを更に更に磨きあげていく壮大なプロジェクト。
ドキドキでキュン死するかもしれないけれど、必ずや成し遂げてみせるわっ!
きっとそれが 「お姉ちゃん」 としての最後の大仕事だと思うから!