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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【IF話】 もしもQ極TSカプセルが誕生しなかったら
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彩戸すと~り~ ・ メイ視点 ⑤ お姉ちゃんなのにぃ~……  メイルート

※メイ視点です。

 つ、弦義(つるぎ)さんに見られたぁぁ! 私のはしたない水着姿ぁぁ! 


 ヤバい! ヤバい! ヤバい! ヤバい!

 ヤッバぁぁ~~い!


 急転直下する感情台風!


 でもでも私は痩せても枯れてもお姉ちゃん。

 弟の前ではみっともなく泣き喚いたりなんかしないわ!

 ポーカーフェイスを意地でも維持よ!


 冷たい汗がにじんで頭が冷えたわ。

 あと脳内お花畑も枯れて全滅よ。


 ううう! 私ったらな~んでこ~んな色んなトコがパッカパカ空いてる水着なんか選んじゃったのかしら!?

 メチャメチャ恥ずかしいし気まずいぃ!


 だってだって、私にとって弦義さんは “親しみ” とはかけ離れた存在なんだもの!

 いいえ、お互いにとって、と言い換えた方が良いかしら?


 いくら何でも薄情過ぎん? って思う?

 違うのよ、私達の間には良い感じの距離感があるのよね。


 弟達の面倒を任せて遊びに行きたい弦義さんと弟達のお世話を独り占めしたい私。

 利害が一致してるから交わる必要性が無いってワケ。


 赤の他人、は流石に言い過ぎだとしてもお坊っちゃまの関係者~、ぐらいの位置付けなのよね。お互い。


 そんな人に 「三五ちゃぁん♡ お姉ちゃんの水着♡ 見 ・ て♡」 とか言って誘惑してるトコ見られんのマジ最 & 悪でしょ。


 おまけに弦義さんって恋愛経験豊富っぽいのよね。

 彼女がコロコロ変わるって奥ちゃまが言ってた。

 つまり恋愛初心者の私の魂胆なんかミエミエってこと!


 「へ~、彩戸(さいど)さんって年下 (しかも弟) 好きなんどぅわ~。なんつ~か……必 死 で す な www」

 とか思われてるに違いないわ! (被害妄想 &(からの) 逆ギレ)


 フンッだ!! 何よ!!


 「あら、もうお昼なのね。ランチの準備してくるわ」


 ええ、私は三五ちゃんを誘惑してましたが? それが何? 貴方に関係ありますか? みたいにヘ~キ(ノーダメ)な顔を装いつつこの場を後にする。


 スタスタスタ。



 ガチャッ。


 更衣室に入るなり全身をタオルでくるむ。

 常に全開稼働中だったお姉ちゃんスイッチが十何年か振りにブチッ! と切れた。

 ヘナヘナ~っとその場にうずくまっちゃう。


 「ふえぇぇ~ん、もうヤダぁぁ~」


 もうムリ。ホントにムリぃぃ~。




 ううううう、しばらくこのままでいたいけど、弟達がお腹を空かせちゃうわ。

 お昼ご飯を作らなきゃ。


 パーカーを羽織ってフラフラとキッチンに向かう私。



 トントン グツグツ ジュワッ ジュワ~ッ♪


 気分は落ち込み、八の字眉毛のぴえん顔。

 そんな残念な表情とは打って変わって、身に付いた技術が半自動的に身体を動かし、あっと言う間に美味しそうなランチが出来上がっちゃった。


 アラヤダ! やっぱ私って凄い!

 クールでデキるお手伝いさん + 理想のお姉ちゃんなのよね~♪


 いつものルーティーンをこなしているウチにメンタルが回復。自信が湧いてきたわ。


 お姉ちゃんスイッチ、ON!

 乱れた髪をポニーテールに括って準備OK!


 意気揚々と三人の元へ向かったの。


 そうよ、いつもの私は理想の私。

 三五ちゃんとお坊っちゃまの憧れであり続けられるように一生懸命頑張ってんだから。

 無敵よ! 恐れるものなど何も無いわ!


 でもね~、メイちゃん?

 この時のアンタは頭から抜けてたのよ。


 いつもの姿はたゆまぬ努力があってこそ。素のアンタは突発的な事態にメチャメチャ弱いの。

 直感や閃きに頼ってこなかったツケかしら? アドリブっつ~モンが全然利かないのよね~。


 それがこの私、彩戸 メイの最大の弱点ってワケ。



 「メイお姉さん、パーカー着ちゃってるぅ!?」


 またしてもポーカーフェイスのまま凍りつく私。


 ちょっと三五ちゃぁぁぁぁん!? 正直にも程があるでしょおぉ!? いや、全部私のせいだけれども!


 「今はお姉ちゃんって呼んだらダ~メ」 と、仕事中ですよ~アピールをしてみたものの焼け石に水。

 三五ちゃんの青い情熱の炎を消すことなんて出来なくて……。

 パーカーの胸元とかフトモモとかをジ~ックリ見られちゃうの!


 イヤァァァ! 恥ずかしいぃぃぃ!

 純情な青少年をからかった因果が思いっきり巡ってきてるぅぅ!

 ヤメテよ! 弦義さんまで一緒になって見てきたらどうすんのよ!

 アンタ、自分のお姉ちゃんのカラダ、他の男にジロジロ見られても良いっての!?


 「ちったぁ慎めやw」

 弦義さんたら三五ちゃんの背中をバシン! と叩いてそう言ってくれたの。


 や、やるじゃない!

 チャラい言動とは裏腹に紳士じゃないの!

 私のカラダをガン見したりしないで (当たり前か) 三五ちゃんをたしなめてくれたわ!

 恋愛経験豊富ってのは伊達じゃないわね~。


 お姉ちゃん、もう少しで泣いちゃうところだったわ。ってゆ~かちょっと涙目になったわ。

 全く三五ちゃんったら! ここは一発ビシッと叱ってやんなきゃ!


 「や、止めてよぉ~」

 ダメだわ。弱々しいプルプルビブラートボイスしか出てこないわ。

 

 やっぱり今、この場所に居続けるのはマズい。

 感情が制御出来なくて、絶対にボロが出ちゃうわ。

 今まで大事に築き上げてきたカッコイイお姉ちゃん像が崩れちゃう。

 もちろん大切な誓いまで一緒に……。


 それって 「お姉ちゃん」 失格……?


 そ、そんなの、そんなのアイデンティティ喪失の危機じゃないの!


 こ、ここは逃げの一手を打たせてもらうわ。

 とにかくいつもの自分(彩戸さん)を演じるの。

 チャチャッとお給仕してサササ~ッと引っ込むのよ!


 “お姉ちゃん” でいる時は心が安定するから、弟達を必要以上に子供扱いしちゃったのは悪かったケド……。


 ホントごめんね、三五ちゃん。

 でも一刻も早く一人になりたいの。


 その気持ちが先走り過ぎちゃったのかしら?


 私ったらお片付けの時にお皿を一枚取り落としてしまったの。

 反射的に手を伸ばしてキャッチ! した時には後の祭り。

 バランスを崩して固いプールサイドに倒れ込んじゃったの!


 お、お皿割れちゃう!

 いやその前にコレ絶対痛いヤツぅ!

 私のバカバカ~! もうダメ~!


 ギュッと目をつぶってから一秒。

 ……? 予想してた痛みが襲ってこない?

 

 恐る恐る目を開けてみて驚いちゃった!

 ある意味そのまま床に叩きつけられるよりも(すっご)い衝撃だったわ!


 だって私、弦義さんの腕に抱き留められてんのよ!?

 パーカーの下はエチエチな水着姿だってのにぃぃ!


 血の気がサ~ッと引いていった。

 こ、こんなの浮気になっちゃう! 私には三五ちゃんがいるのに!


 不幸中の幸いで、弦義さんは私の肩や腰なんかをソフトに抱いてエレガントに助けてくれたの!


 GOOD(ぐっど) GOOD(ぐ~っど)! やるわね! やっぱり紳士! 性格こそ違えどお坊っちゃまのお兄様だものね! 流石よね!

 お陰でケガ一つ無いし貞操も守られたわ。


 あ~良かった~、ってぇ! 良くないわよ!

 いつまで抱かれてんのよ! 離れなきゃ!


 シュバババッ!


 「あ、ああっ! ご、ごめんなさい、弦義さんっ!」


 ああ、恥ずかしいったら恥ずかしい!

 それに申し訳なくていたたまれないわ。


 ありがとうとごめんなさいを延々と繰り返す頭ペコペコマシーンと化したお姉ちゃん。 


 弦義さんは 「気にしなさんなっつ~のw 美味しい昼メシありがとチャンw 良い息抜きになったピョ~ンw」 って言って去っていったの。


 言動がアレでさえなければ完璧よね、あの人。

 今回ばかりは私の負けよ。頭が上がらないわ。

 背中が見えなくなるまでペコペコのペコよ。弟達の前で、ね。


 あぁ~ん、姉の威厳がぁ~! もうボロボロよぉ~!



 私の厄日はまだ終わらないわ。

 正に一難去ってまた一難。


 「おねぇちゃんっっ!」


 「キャッ! は、はいぃぃっ!」


 いきなりの怒鳴り声にもビックリしたけど、振り向いてみたらまたビックリ。


 あのお坊っちゃまが怒ってる。

 優しくて人と争うのが大の苦手のお坊っちゃまが。


 「よりにもよって三五の目の前で他の男とベタベタくっつくなんてぇ……っ!」


 「ご、誤解よ! さっきのは単なる事故なの……って、アラ? さ、三五ちゃん、どこ? どこ行っちゃったの?」


 「帰っちゃったんだよぉ! 茫然自失って感じでボクが声をかけても反応が無くって……可哀想に。よくも三五を傷付けたなぁっ!」


 「えっえ~っ!? ど、どうしてぇ!?」


 まさか焼きもちぃ!?

 三五ちゃん (大好き) が弦義さん (クールな距離感) にいぃ!?

 

 そんなアホな……あ゛。

 でも私ったら普段から弟扱いしまくって、焦らしてモンモンとさせちゃってる?

 さっきも露骨に子供扱いしちゃったし、もしかして盛大に勘違いさせちゃってるかもぉ!?

 ヤバぁぁぁい!


 「あ、あわわわわわ、ど、どうしよ~う!? ご、誤解とかなきゃっ! 三五ちゃんに会いに……あぁっ! でもこれからお仕事が! 明日も朝から忙しいし……ああああああぁぁ~ん!」


 ジタバタジタバタ!


 「えぇ~いっ! 落ち着け~っ! そんなポンコツの~みそ状態で三五の前に顔出すなっ!」


 「でもでも、三五ちゃんが、三五ちゃんがぁ~っ!」


 「いつものおねぇちゃんに戻れって言ってんの! 何さ! こんなキワドい水着で浮かれちゃって! こうしてやるっ!」


 ズバババッ!


 「キャアァ~ッ!」


 お坊っちゃまにパーカーを引っぺがされちゃった!

 

 「イヤァ~ッ! こんなはしたないお姉ちゃんを見ないで~っ!」


 両手で身体を隠しながらその場にうずくまるアワレな私。

 凍えるくらい冷たい瞳で容赦無く見下ろしてくるお坊っちゃま。


 力関係が完全に逆転してしまったわ。



 「今日のお仕事が終わったら、ボクの部屋に来るように。良いね?」



 有無を言わせない圧力を放つその一言。

 まるで大統領命令。


 「は、はぁぁ~い……」


 怯えた子犬ちゃんみたいなお返事しか出来ませんでした……。


 わ、私、私、お姉ちゃんなのにぃ……キュウゥ~ン。

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