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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【IF話】 もしもQ極TSカプセルが誕生しなかったら
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彩戸すと~り~ えぴろ~ぐ  メイルート

 オレとメイの関係が変わってから二年の月日が経った。


 オレは大学生となり、念願の運転免許を取得した。


 遂に、遂にやってやったぜ!

 長かった……本当~に長かった。


 今まではデートで遠出するとなったら、必ずメイに車を出してもらって助手席に乗っけてもらわなければならなかった。

 その度にオレは座りの悪い気持ちになりお尻をモゾモゾさせていたものだ。


 「いつかオレがメイを助手席に乗せてあげるんだ!」


 また一つ夢が叶ったぜ!

 フフフ、そしてまた一歩大人の男に近付いてしまったな。


 まあ教習所の受講料は家事手伝いのお駄賃から支払ったし、乗ってる車も父さんからの借り物だけれども。

 良いんだよ! ひたむきに頑張ってればそれで!



 今日はオレが運転手を勤める初めての遠出。

 目的地はデートの定番 ・ 遊園地。


 「到着~! 今日は一日中遊びまくっちゃおう!」


 「賛成♪ お姉ちゃん、遊園地なんて久し振り~。ウキウキしてきちゃったわ♪」


 おおおっ! ウキウキメイさんの気合いの入りっぷりはちょっと凄いぞ!

 珍しくフレアスカートを履いて、黒レースの透け感トップスと合わせたオトナカワイイコーデだぁ!

 髪型もキメキメで超☆絶☆美☆麗☆DAKISHIMETAIぜぇぇ!



 「あのさぁ! 折角のデートなのにな~んでいっつもいっつもボクをつれてくるワケ!?」


 湖宵がプンプン地団駄踏んでる。

 何でと言われてもね。オレとメイのデート (お泊まりは流石に除いて) に湖宵は欠かせないからさ。

 おサイフは忘れても湖宵は忘れない。それがオレ達の常識だろ? (真顔)


 「アンタねぇ! お姉ちゃんを差し置いてちゃっかり助手席に座っておきながら、今更ガタガタ言わないでよねっ!」


 「だ、だって! ボクも運転する三五のお隣に座ってみたかったんだもの! そっちこそ勝負 (ジャンケン) で決めたことに文句言わないでよねっ!」


 ちなみに免許を取ったその日に、ちゃんと一番にメイを助手席に乗せたよ。

 そうじゃなきゃ負けず嫌いのメイは絶対に助手席を譲ったりはしなかっただろう。



 「気を取り直して行くわよ、二人共♪ 時間がもったいないわ」


 メイは右腕をオレの腕に、左腕を湖宵の腕にぎゅ~っと絡ませてご満悦だ。


 「んっふっふ♡ 弟ハーレムDE遊園地デート♡ お姉ちゃん幸せぇ~♡」


 「ねぇぇぇ! この人こんなこと言ってるぅぅ! お仕置きしなくって良いの!? 三五ぉ!」


 「ハッハッハ。それじゃあオレも湖宵とイチャイチャしちゃおうかな」


 「アラ、イイわね♡ お坊っちゃまとの浮気はむしろ推奨よ、三五ちゃま♡」


 「もぉぉぉ! このカップルおかしいよぉぉぉ!」


 とかなんとか言いながらも湖宵だってバッチリおめかしして遊園地を楽しむ気満々なクセに。


 かく言うオレもメイと湖宵と三人でデートするのが嬉しくて仕方がない。

 湖宵との時間がこんなにも多く持てるのもメイと付き合ってるからこそ。

 メイがオレの恋人で良かった、と何度でも思う。


 仲良し三人組、童心に返って楽しく遊ぼう!



 変わらないものがある。



 「さあ、次はジェットコースターに乗るわよ。お姉ちゃんについてらっしゃい♪」


 「「は~い!」」


 メイは頼りになる優しいお姉さんで、オレと湖宵は彼女に従う素直な弟で。


 「ねぇねぇねぇ、お土産屋さんでネコちゃんのお耳が売ってたわよ♪ 二人共、コレ着けてみて着けてみて♪ ………………。アッハハ♪ ニャンコ弟ちゃんキャワワユ~イ♡ 私の! この子達私のっ! アッハハハハハハ♡」


 「メイ姉さんやりたい放題過ぎるよぉっ!」


 「メイも着けてよ! ニャンコお姉さんになってよ!」


 「ヤ~よ、人前だもの。二人っきりの時に着けたげる♪」


 「えッッ!? ふ、二人っきりの時に……!?」


 「あ~♡ 三五ちゃまってば、なんかヤラシ~こと考えてる~ぅ♡ てゆ~かマニアックぅ♡」


 「ムキ~! 三五のエッチ!」


 メイは昔からオレと湖宵をからかうのが大好き。


 そうそう、からかうと言えばこの前、三人で 「ビューティー ・ ブロンド」 を観直したんだ。


 あの映画の金髪ヒロインはからかい上手だけど素直になるのはド下手だった。

 実は主人公のことが大好きなのに、素直になれずについからかってしまうのだ。主人公も主人公で彼女の気持ちに全く気付かず、勝手に身を引いちゃう鈍感っぷり。

 シビれを切らして癇癪を起こした金髪ヒロインは学園中を巻き込む大騒ぎを起こして……なんやかんやあってようやくカップルになるのだった。


 あの映画のテーマというか教訓は 「女の子は好きでもない男を毎日毎日からかったりはしない」 と、いうことなんだろう。

 つまり……。


 メイは小さな頃からオレと湖宵のことが大好きで大好きで仕方がないんだ。


 オレはとっくの昔からメイの大切な人だった。

 メイと離れ離れになる日を想像して絶望する必要なんて全く無かったんだ。

 例え神様のイタズラで運命が大きく変わったとしても、オレとメイと湖宵の三人の絆だけは断ち切れることはない。


 「よ~し、夕方までに乗りものぜ~んぶ制覇しちゃうわよ~♪」


 「「お~っ♪」」


 子供の頃と同じように遊園地でハシャぐこの光景こそが、きっと何よりの証拠だ。



 たくさん遊んだ後はもはや第二の実家である繊月(せんげつ)家へと車を走らせる。


 すっかりお腹がペコペコだ。

 三人で仲良くご飯を作り、遊園地デートの話でワイワイ盛り上がりながら楽しくディナータイムを過ごすオレ達。

 

 高波家 ・ 繊月家 ・ 彩戸家の付き合いは親の代から続いている。

 願わくばオレ達の子供の世代、そのまた子供の世代……と末長~く続いていきますように。



 名残は尽きないが、時計の針が九時を回る頃に解散した。


 楽しかった一日もこれで終わり……ではない。


 オレは繊月邸の裏手に車を停めて待ち人を待っていた。

 そのまま少し経つと、裏口からエプロン姿の彩戸さん(・・・・)が現れる。


 実はオレはデートの合間に秘密のサインを送っていた。

 湖宵にも気付かれないほどさりげないアイコンタクトやボディタッチで。

 『今夜は二人で過ごしたい』



 変わっていくものがある。



 「三五ちゃま」


 「彩戸さん」


 手招きして彼女を側に呼び寄せ、フリフリエプロンのリボンを解いて脱がせる。

 オレは自分の手でクールな有能お手伝いさん ・ 彩戸さんを自分だけの恋人 ・ メイに変えるこの瞬間が大好きなのだ。

 それを知っているからこそ、メイはワザワザエプロン姿でオレの前に立つ。

 誰にも言えない二人だけの秘密だ。


 「メイ、乗って」


 満足したオレは助手席のドアを開けてメイを乗せ、自分も運転席へと飛び乗った。


 待ちきれないとばかりにメイの肩を抱いて、彼女の瑞々しい唇に口付けをする。


 「ん……っ♡」


 付き合い始めた頃はキスも夜の誘いも全部メイからだったけれど、今ではそれらはオレの役目だ。


 「好きだよ、メイお姉さん(・・・・)


 「やだ、キスの時にからかわないで」


 何故メイが照れ臭そうな可愛いお顔になっているのかというと、普段のオレはすっかり 『メイお姉さん』 とは呼ばなくなったから。

 イケナイ遊びをしているようなミョ~な気分になるみたい。


 オレだってちょっとは恥ずかしいけど、メイの可愛い反応が見たいからついついからかいのネタにしちゃうんだよね。


 からかわれる側からからかう側に。

 リードされる側からリードする側に。

 オレも少しずつ大人になっていく。



 「メイ、今夜は仲良くしよう」


 「はい♡ い~っぱい可愛がってくださいね、三五ちゃま♡」



 エンジンに火を点け、夜の街へ。


 

 オレ達の関係は変わった。

 そしてこれからも変わっていく。


 何度も逢瀬を重ねて夫婦に。


 子供が産まれればお父さん、お母さんに。


 長い年月が流れればおじいちゃん、おばあちゃんに。


 どんなに関係が変わっても、いつまでも変わらず一緒に居たい。


 そんな風に思える(ひと)と結ばれてオレは最高に幸せだ。


 こんな幸せな毎日がずっとずっと続いていくんだから。

 

 もちろん幸せにしてもらうばかりじゃない。

 何せメイには返さなきゃいけないツケが溜まりに溜まっているからね。

 それこそ一生かかってでも返していかないとね。


 誰よりも幸せにしてみせる。

 貴女に相応しい男になってみせる。


 楽しみに待っていてね。


 オレの愛しいメイ。




 彩戸すと~り~ END.

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