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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【IF話】 もしもQ極TSカプセルが誕生しなかったら
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彩戸すと~り~ ⑪ 実はオレのことが結婚しても良いくらい大好きだったお姉さん  メイルート

 今、何が起きている? 自分の身に起きていることなのに、現実味が一ミリも無くてワケがわからない。


 例えるなら 「熟した果実が地に落ち……ずに天空へブッ飛んだ!」 くらいのありえなさ。


 んっちゅうぅ~! ちうぅぅ! ちゅ~っっ!


 メイお姉さんに力一杯抱き締められて、唇を唇でチュ~チュ~されて?

 これってまさかアレですか!? KISS(キッス)……ってぇヤツですかい!? しかも恋人同士がする超熱烈濃厚な!?


 こ、これは、ゆ、ゆめ? Dream?

 いや、それもおかしいんだよ。だってオレの貧相な想像力だったら、ほっぺにチュ~が限界(ギリギリ)だもの!

 こんなスッゴいの夢に出てくるワケない!


 ちゅっ! ちゅっ! ちゅっ!

 ……………………………………。

 むちゅうぅぅぅ~~~!


 あっあ~っ! スゴいぜ! マジでスゴいんだぜ!?

 それだけが唯一確かで、その他一切のことは全てが意味ワカラン!


 「ちゅうちゅう、ちうぅぅ~……ポンッ! ふう~、ごちそうさま♡」


 そんなカンジなの!?!?

 何かもう、何かもう…………えええええええ~っ!?!?


 驚き過ぎて 「ああ」 とか 「うう」 とか言葉にならない呻き声しか出やしない。


 「な~によぅ。お姉ちゃんのファーストキスを奪っておいて、そんなポカ~ンとした顔しないでよね」


 いや奪ったのは絶対(ぜって~)オレじゃねぇし!

 目ン玉と思考回路がグルグル高速回転!


 やっとの思いで絞り出した言葉は……。



 「何で!?!?!?!?」


 

 オレ史上最大の 「何で」 だった。


 

 「泣いて土下座しながらプロポーズしといて、何でってことはないでしょ。今のキスがお姉ちゃんなりの返答ってワ ・ ケ♪」


 「えッ!? つまりどういうコト!?」 (思考力鈍化)


 「お姉ちゃんと結婚したいんでしょ? 良いわよ、してあげる。ハイ! 結婚!」


 パンッ!


 メイお姉さんが柏手を一つ打つと、小気味良い音が響いた。


 いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや。

 今ので結婚が成立したとでも!?

 はアアアァァァ!? 事実と感情がバカデカ過ぎて呑み込めねえぇ!

 ここにきて混乱がピークに!


 「おかしいでしょ!? 弦義(つるぎ)お兄さんはいいの!?」


 「いいのいいの。全然い~の」


 「ええんかい! 昨日、弦義お兄さんの前でドギマギキョロキョロしてたのは何だったのさ!?」


 「だってアンタ、考えてもみなさいよ。あ~んな攻め攻め & えちえちな水着姿を勤め先の息子さんに見られたのよ? フツ~キョドるでしょ」


 「実の弟以上に可愛がってる湖宵の実のアニキが 「勤め先の息子さん」 っておかしくねぇ!?」


 アンタどんだけ弦義お兄さんに興味ねぇんだよ。

 それとも弦義お兄さんが実家に寄り付かなさ過ぎ?

 どちらにしろありえん。


 「それにねぇ、弦義さんって恋多き人なんですって。奥ちゃまが言うには。色んな女の子と付き合ってすぐ別れちゃうらしいの。そんなん聞かされたら、ねえ?」


 はっは~ん、なるほどな。

 メイお姉さんは一途な男がお好みと。ようやく一つだけ理解出来たぜ。


 「はいは~い! オレは絶対一生メイお姉さん一筋です! 浮気しようもんなら処してくれて構いませ~ん!」


 「あ、三五ちゃんは学校の女の子とかと自由に遊んでくれて良いのよ」


 「何でだよおおぉぉ! イミワカンナイよおおぉぉ!」


 「だって歳取ってから 「年下と付き合ってみたかった~」 とか言われたらムカつくじゃないのよ」


 「言わないってそんなこと!」


 メイお姉さんの考えがサッパリわからない!

 これが乙女心と秋の空ってヤツ? 

 いや、この複雑さは秋の空の比じゃない! ガンマ線バーストだ! 乙女心とガンマ線バーストだ!


 

 「んもおぉ! メイお姉さんは世界一素敵なレディなんだよ!? だから世界一幸せになってもらいたいんだよ! どんな男でも選びたい放題なのに、ホントにオレで良いの!?」


 「あら、そ~なの? じゃあ私、三五ちゃんを選んじゃおっと。理由 : 大好きな弟だから」


 ドキィィィン!

 不意打ち気味に心臓が射ぬかれた!


 「あのね~、私の一番の幸せはアンタ達のお姉ちゃんでいることなの。だから繊月(せんげつ)家のお手伝いさんになったのよ。人の幸せを勝手に決め付けないでよね!」


 メイお姉さんにビシッ! と指を突き付けられてハッとする。

 た、確かにオレは杓子定規な考えに囚われ過ぎていたかもしれない。



 「お姉ちゃん、三五ちゃんとお坊っちゃまのお世話を焼いてる時が最っっ高に幸せ。二人の成長を誰よりも近くで見ていたいの。おかしいかな? でもね、しょうがないのよ。好きなモンは好きなんだから」



 蕩けそうなくらい幸せな笑顔。

 一目でその言葉に嘘偽りなど無いとわかった。



 「まあでも、三五ちゃんの気持ちにすぐに応えてあげられなかったのはごめんね。お坊っちゃまと一緒の時間を多く取って欲しいなって思ってたの。せめて高校卒業までは、ってね」


 「あっ……メイお姉さんも湖宵の気持ちに気付いてたんだね」


 「そう、三五ちゃんも知っちゃったのね。それでもあの子のこと、これからも大事にしてくれる? 好きでいてくれる?」


 「もちろんだよ! オレと湖宵はずっと一緒だよ!」


 「ウフフ♪ ありがと、三五ちゃん♪」


 ホッと安心したメイお姉さんが浮かべた微笑みは慈愛に満ちていた。


 そうだよな。メイお姉さんは湖宵のことも大好きなんだから。

 湖宵の気持ちにもキチンと配慮してくれるからこそ、オレのバレバレの恋愛感情は今までスルーされ続けてきた。そういうことか。



 「オレのこと焦らしてからかってたワケじゃなかったんだね」


 「いや、めちゃ × 2面白かったけどね?」


 「からかわれてはいたのかよ! んもおぉ~!」


 「ごめんて (笑) でもホラ、プロポーズにはちゃんと応えたでしょ? だから許してよ」


 「オレのこと弟って思ってるクセにぃぃ!」


 「何言ってんの、それがイイんじゃないのよ! 血の繋がってない合法弟 (可愛い) を自分好みに魔改造してOKとか……キャ~ッ♡ テンションアガッ ⬆️ ⬆️ ⬆️ ちゃ~うぅ ⬆️ ⬆️ ⬆️」


 スゲェ盛り上がってる! こんなメイお姉さん見たことない!


 「覚悟しといてよね! 今までは見守ってただけだったけど、これからは育成方針にバンバン口出していくから!」


 「えっ!? それってつまり、言う通りにしてたら自動的にメイお姉さんの理想の男になれるってこと!?」


 「そ~ゆ~ことよ! お姉ちゃんに(まっか)せなさ~い♪」


 オイオイオイ。

 オレは日々の努力をマラソンに例えていたもんだが……。

 メイお姉さんがゴールで待っててくれるどころか、隣で上げ膳据え膳のサポートをしてくれるだとぉ!?

 そんなのもはや苦でもなんでもないじゃん!


 人生の憂いがキレイサッパリ晴れちまったぜ。



 あれ? あれあれあれ?

 一安心したら何だかジワジワジワ~ッと実感が込み上げてきちゃったぞ?


 「メ、メイお姉さん、結婚してくれるってホント? オレを選んでくれるの?」


 「うん。だ~い好きな三五ちゃんからのお願いだもの」


 「うおぁぁぁ……! あっ! そ、そういえばオ、オレってば、メイお姉さんとキスしちゃってたよ! ファーストキス! うわあぁぁぁぁ~~っ!」


 「アッハハww 三五ちゃん、おっそww」


 ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!

 全身の血液が喜びで沸き立ちまくってる!


 ゴポゴポゴポゴポ!


 ヤバくね!? 音、ヤバくね!?


 ジュワッ! ジュワワワァァ~ッ!


 更に耳の奥から脳汁がSplashする音が!


 始まりました! 本日二回目の感情大暴走!

 ただちに発散しなければ、オレの身体に重大な影響を及ぼすこと請け合い!


 「大…………ッッ!」

 

 首を縮め、両腕を折り畳み、腰を落としてヒザを曲げる。

 ダンゴムシポーズで力を一点に集中 ➡️(からの) 圧縮!


 「歓…………ッッ!」


 ヒザのバネを力一杯弾いて跳躍!


 「喜イイイイイイィィィィィィ~~ッッ!!!」


 空中で両手両足を思いっきり伸ばして大の字を描く!

 これが! これこそがオレの大歓喜じゃあ~っ!


 「アッハハハww は、花火ww 自分を打ち上げちゃったww アハハハハハハハハww」


 「やったぁぁ~っ! やったやったぁ~! 大好きな大好きな! 大 ・ 大 ・ 大 ・ 大好きなメイお姉さんと結婚だあぁぁ~いっ! ずっと一緒に居られる! オレは超世界一の幸せ者だっぜぇぇぇ! いぃぃやったぞ~っ!」


 「プププププ~ッ! そ、そんなドストレートな感情表現の仕方あるぅ!? 夏目漱石に助走つけてブン殴られるレベルwwww も~ダメw お腹痛いww アハハハハハwww」


 最高の笑顔を浮かべるオレは噴水の周りをピョンピョン飛び跳ね、ツボにハマりまくったメイお姉さんはお腹を抱えて大笑い。


 凸凹な? お似合いの? カップル成立の瞬間だ。

 そう、今日はオレとメイお姉さんが新しい関係を始める記念日。


 嬉しくて嬉しくてジャンプが止まらない!


 「やったぁ~っ!」


 「アハハハ♪ この子やっぱりチョ~オモシロカワユイ♡ アハハハハ♪ ア~ッハハハハハハ♪」


 夏の陽射しをサンサン浴びた噴水よりも。

 幸せいっぱいのオレ達の笑顔の方がキラキラ輝いていた。

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