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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【IF話】 もしもQ極TSカプセルが誕生しなかったら
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彩戸すと~り~ ③ からかい上手なお姉さん  メイルート

 「そんじゃあお姉ちゃん、晩ごはんの準備してくるから。三五ちゃんも食べてってよね」


 「「は~い!」」


 「じゃあ後でね、三五ちゃん。ん~、ちゅっ♡」


 ドッッキィィ~ン!


 「うわああぁ~っ♡ ウ、ウインク &(からの) 投げKISS頂きましたぁ~っ♡」


 「アッハハw オモシロw」


 バタン。

 彩戸(さいど)さんが笑いながら部屋を出ていった。


 フゥ~ッ。ま~だドキドキしてるぜ~。

 嵐を呼ぶ美神(ミューズ)だなぁ、彩戸さんは。


 毎日が毎日こんな調子だから心臓がもたないぜ。

 まあ退屈知らずで刺激的な充実した毎日、と言い換えることも出来るけどね。


 そんなオレの日常において、あえて不満点を挙げるとするなら…………う~ん、特に思いつかないぞ。


 あっ、そうだ。彼女がいないことかな (笑) もうね、オレってばぜ~んぜんモテないの (笑) ちっくしょ~ (笑)



 「はあぁ? 何言ってんの? 三五に彼女なんか出来るワケないでしょ」


 お~っとww 湖宵ってばいつになく辛辣ぅww

 しかもジト~ッとした(ほっそ)い目で心底呆れたような……一言で言うとドアホウを見る目で見られてしまった。これは珍しい。


 「アホアホ三五♪ アホ三五♪ アホアホ三五♪ アホ三五♪」 (ソファーでポインポイン跳ねながらの小バカダンス & 小バカソング)


 「ワッハハハハハハww やあ、愉快愉快ww」

 パンパンパン! (手を叩いて大喜び)


 遂には口に出してアホだと言われてしまったが、湖宵のパフォーマンスのあまりの滑稽さには大笑い。う~ん、花丸!


 「さて、と。ちょっと真面目に聞いて良い? まさか三五、本気で言ってる? 何でモテないの? って。あんっっっなに明確な理由があるのに?」


 え゛ っ っ 。

 こ、湖宵? 湖宵さん?

 オレってそんなハッキリわかりやすいダメダメな欠点があんの!?


 「そ、その理由とはっ!?」


 「いやいやいや。三五ってば彩戸さん、メイ姉さんのことが好きじゃん? Like じゃなく Love で。完全完璧に一人の女性として愛しちゃってんじゃん? それでさあ」


 「ちょちょちょ!? な、何で湖宵がそれを……オレの、オレの隠してた気持ちを知ってるの!?」


 オレ自身、最近自覚したばかりなのに!?

 まるで 「林檎は赤い」 みたいなノリで当たり前みたく語っちゃってるけど、オレまだ打ち明けてないんですけど!?


 「はあああああぁぁぁぁぁ~~? か、隠してた? アレで隠してたつもりだったの!? しかも自覚すら!? あ、頭大丈夫? いや、煽りとかじゃなく本気で」


 もンの凄い 「はあ?」 と言い草なんだけど!

 

 「だって、だってオレさぁ! 関係がギクシャクしたら嫌だって思って自分なりに……」


 「ど ・ こ ・ が ・ だ ・ よォォォ~ン! 三五、いっつもメイ姉さんのこと世界一綺麗とか完璧なレディとか言って口説いてるじゃん!」


 「く、口説いてなんかないって! きゃ、客観的事実を述べているだけであって……」


 「メイ姉さん = 女神は世界一律の共通認識じゃないから! ちょ~思いっきり主観でしょうがソレェ!」


 ビシッ! と指を差されてしまい、グウの音も出なくなるオレ。


 「さっきもメイ姉さんにぎゅ~ってくっつかれて、おっぱい押し当てられて嬉しそ~にデレデレしてたでしょ! 去年もさぁ、水着のメイ姉さんの周りをまるで尻尾振った仔犬ちゃんみたいに……」


 「ウギャアア~ッ! ヤ、ヤメてくれぇ~っ!」


 もはや下心も何もかもまるっと全部バレバレだったぁぁ! 恥ずかし過ぎるぅぅ!


 「そんでもって三五、ドキドキがMAXになると世界の中心で愛を叫ぶじゃん。 「好き好き~!」 っつって。アレで 「隠してる」 って言い張るのは極限☆バカバカ☆カーニバル☆でしょ」


 「た、魂の叫びが漏れていた!? モノローグ(地の文)のつもりだったのに!」


 「あんな自己顕示欲つよつよなクソデカモノローグ君ありゅ!??」


 ガック~ンと崩れ落ち、打ちひしがれるオレ。



 「フ、フフフ。流石は湖宵……幼馴染みには隠し事なんか出来ないってワケか」


 「いや、だからね? 皆が知ってるんだって。みぃ~んなが」


 「え゛え゛え゛!? み、皆って具体的に誰だよぉぉ!??」


 「皆は皆だよ。平たく言うと三五の名前を知っている人全員。そんな状況で三五のこと好きになる娘なんているワケないでしょってハナシよ」


 「ウソだぁぁ! だっておかしいじゃん! 絶対そんなのおかしいじゃぁぁ~ん!」

 

 フツ~、好きな人のことって相当突っ込んだ情報だべ!? それを学校のヤツらとか、近所のおじちゃん ・ おばちゃんとかが全員知ってるとかサッパリ意味不明劇場だろぇ!?


 「何でそんなことになってんだよぉ!」


 「う~ん。ホラ例えばさぁ、ケッコ~前にクラスの男子達が集まって例のあの人の話してたじゃん。あの変態みたいなカッコしたエッチな先輩のさぁ」


 あぁ、エロ姉ぇな。一部の悪シュミな男子にカルト的な人気があるんだよな、あの女。


 「そんで 「高波もエロ姉ぇと付き合いたいと思うよな?」 とか、横から聞かれた時に三五キレたでしょ」


 あ~、そんなことあったな。

 だってムカついたもんよ。女の人の魅力って、そんなんじゃないじゃん。アイツら何もわかっちゃいね~よ。


 「メイ姉さんの写真が映ったスマホを突き付けて 「いいか、よく聞けカス共! こちらのメイお姉さんこそ至高の美女! 女性の中の女性とは内面も美しい! 見てみろ! 立ち姿からもにじみ出てんだろうが!」 とか言って延々と語ってたでしょ」


 う゛ っ 。

 当時は頭に血が上ってて気にしてなかったけど、確かに大声でメイお姉さんの魅力について熱弁してたわ。


 う゛ わ゛ ~ !

 客観的視したらオレがメイお姉さんに気があるって一目瞭然だぁ! むしろなかったらおかしい程! 恥ずかしぃぃ!


 「それにさ、いつだったかのお昼休みにさぁ、姉さんから電話でお使い頼まれたことがあったじゃん。そん時の三五の甘々な声といったらさぁ……アレ、皆が聞いてたんだよ?」


 「う゛え゛ぇ!? しょ、しょうがないんだってぇ! 電話口でからかわれちゃったんだから!」


 そ、そうそう。あの時は学校帰りにお米とか野菜とか重いものを買ってきて、って頼まれたんだよな。

 買い物メモを取っていると、いきなり彩戸さんがシュンと沈んだ声になっちゃったんだよ。


 『ゴメンね? 面倒なことお願いしちゃって。悪いお姉ちゃんだよね。三五ちゃん、嫌いにならないでね? クスン、クスン』


 ハイ。100%ウソ泣きですね。

 が、しかし! わかっててもスルーすることなどオレには絶対不可能!


 『オレがメイお姉さんを嫌いになんてなるワケないよ!』


 『クスン、ホント? じゃあお姉ちゃんのコト、好きって言って?』


 『オレは、高波 三五は! 彩戸 メイお姉さんのことがっ! 大好きですっ!』


 『アッハハw 何でも言うこと聞いてくれるじゃないのw 三五ちゃんてば♪』


 うおおぉい! 好きってバッチリ言ってんじゃね~か! 人がたくさんの教室のド真ン中でよぉ! おまけに実名(フルネーム)も併せてぇぇ!

 過去のオレのアホぉぉ!


 ううう。で、でもあの 「大好き」 はあくまでも姉弟的な……ダメだ、無理があるわ。誰もそうは思わね~わ。悪足掻きすら出来ね~。


 

 「オ、オレって自分で思っている以上にメイお姉さんを話題にしてた? そんでもってフィーバー ⬆️ ⬆️ ⬆️ 状態になったら、ところ構わず 「好きだ~!」 とか叫んでた?」


 「そ~ゆ~コトよ」


 ガッッックゥゥゥン!


 こ、恋は盲目とは聞くが、オレの目ン玉はタピオカででも出来てんじゃねぇのかってレベルで周りが見えていなかった……?

 昔っからメイお姉さんのことを慕いまくってて、それが当たり前だったから気付かなかった。


 「三五は嘘とか取り繕ったりするのとか苦手だもんね。仕方ないよ」


 「こ、湖宵ぃぃ……」


 「それにさ、三五がメイ姉さんの話をしてる時って、とっても幸せそうだから。誰でもわかっちゃうと思うよ。ああ、好きなんだなぁって」


 湖宵はさっきまでとは違い、暖かな優しさとほんの少しの淋しさを湛えた何とも言えない眼差しでオレを見つめるのだった。

 

 そっか、ずっとこんな目でオレを見守っていてくれていたんだな。

 ありがとう、湖宵。

 オレ、湖宵と幼馴染みで良かったよ。



 ハハ、それにしても参ったな。

 オレの想いが皆に筒抜けだったなんて……ん!? 待てよ!? “皆” !? その言葉が意味するコトは……!?


 「こ、湖宵ィ! 皆ってさぁ! 皆って、まさかメイお姉さん御本人も含まれてる!?? ち、違うよね!? 違うって言ってよ、湖宵ィィ!」


 「え゛っ!??」


 顔面から血の気がサーッと引いていく。


 「え、えっとね、えぇぇ~っとねぇぇ……」


 ああ! 湖宵が言葉を探してる!

 な、なるべくショックが軽減されるようなワードをチョイスして明確に伝えてくれ、頼む!


 「あの~、 メイ姉さんが、 気付いて、 ないワケ、 ないじゃん……?」


 「ぐっはぁぁぁ! ド直球ゥゥゥ!」


 DE SU YO NE ~!

 だよな! どう足掻いてもそれ以外の結論は導き出されないよな!


 うううう。と、いうことは……。


 メイお姉さんはオレの気持ちを知っている。

 ⬇️

 でも子供扱いで弟扱い。

 ⬇️

 異性として見られていない。

 

 つまり、つまりっ!


 

 「オレってば………………フラれてる?」



 全身から力が抜け、頭を抱えたままその場に倒れこんでしまう。


 「う゛わ゛あ゛あ゛! う゛わ゛あ゛あ゛ぁ~!」


 「三五ぉぉっ!? し、しっかりしてっ!」


 「ムリだよぉぉぉ! フラれてるぅぅ! フラれてるよぉぉ!」


 「そ、そんなことないって!」


 「ウソだぁぁ! じゃあ脈あんのかよぉぉ!」


 「え、え~っとね……」


 頼む! 頼むよ湖宵! なるべく希望に満ち溢れるワードをチョイスして優しく! 優し~く未来を指し示してくれぇぇ!


 「しょ、正直わかんない。だってあの人、いっつも飄々としているから……」


 DA YO NE ~!

 オレもメイお姉さんとは長い付き合いだけど……彼女の恋愛観とか願望とかは一ミリもわかんないよぉぉぉ!


 本ッ当~にマジで今更感ハンパないが……今この瞬間からパーティーPOPな日常は終わりを告げ、恋に苦悩する試練の日々が始まるのだった……。

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