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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【IF話】 もしもQ極TSカプセルが誕生しなかったら
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彩戸すと~り~ ② 大好きなお姉さん  メイルート

 「や、やっぱりダメだぁぁ! メイお姉さ、彩戸さんの絵が描いてあるクッキーを食べちゃうなんてぇぇ!」


 だってそんなん踏み絵みたいなモンじゃん!?

 “聖なるもの” が写されたクッキーを噛んで、砕いて、飲み込むなんてよぉ!

 今ならオレぁ、隠れキリシタンの気持ちがよ~くわかるぜ!


 「なぁんでよぉ~、食べなさいよぉ~」


 「う、ううっ!」


 断固拒否したオレだが、彩戸さん(女神さま)からジト目で睨まれつつ直々に食べろと言われてしまっちゃあその決意もグラグラと揺るがざるを得ない。


 更に彩戸さんはチビメイクッキーを一つつまみ、オレの目の前でヒラヒラ~ッと遊ばせてみせた。


 『三五チャン、食ベテ食ベテ♪ 甘サ控エメ、美味シイヨ♪』 (裏声)


 腹 話 術 。

 逆に食い辛さが増した! だってマジで命が宿ってるみて~だもんよ!


 「うう、ううう!」


 『豆乳クッキーダカラ健康ニモ良クテ栄養満点ナンダヨ♪』 (裏声)


 り、理路整然と説得してくるじゃん!


 『……食ベテモラエナイノ? クスン、クスン。悲シイヨ、悲シイヨ』 (裏声)


 かと思いきや泣き落とし!?

 敏腕刑事みたいに手を使い分けてくるじゃん!


 『三五チャンノ栄養ニナルコトガ私ノ存在理由(レーゾンデートル)ナノニ……ソレナノニ……』 (裏声)


 「わ、わかったよぉ! いただきますぅ! いただかせて頂きますぅ!」


 「は~い、じゃあ三五ちゃん、あ~んして♪」


 逆らえずにあ~んと開かれたオレの口の中にチビメイクッキーがポイッと放り込まれる。


 んんんんん~っ!? こ、これはぁぁ!


 噛むとホロホロ崩れるクッキーの繊細な食感、その後に口一杯に広がる優しい甘み……何たる口福!

 そして大好きなメイお姉さんに大好きなメイお姉さん柄のクッキーを手ずから食べさせてもらうというこのシチュ! 普段は 「あ~ん」 に全然きゅんきゅんしないオレですらトキメいてしまうぜ!


 これはもう、あらゆる意味で最高にっ!


 「おいっしイィィ~! 美味し過ぎるぅぅぅ~っ! アッアッアアア~ッ♡」


 サイダーみたいにシュワッシュワになった脳汁がSplash(スプラッシュ)! 魂の叫びが迸るぜぇ~!


 「クフフ♪ クフフフ♪ 三五ちゃんってばリアクション芸人みたい♪ アハハ♪ ア~ッハハハ♪」


 ツボに入っちゃったよ。彩戸さんって意外と笑い上戸なんだよね。


 「ちょっと三五ぉぉ! チビ湖宵クッキーも食べてよぉぉ!」


 何故か湖宵が張り合ってオレにクッキーを食べさせようとしてくる。


 「パクッ♪ ポリポリポリ♪ あ~美味し♪」


 「ああぁぁん! ちょっと彩戸さぁ~ん! インターセプトしないでよぉぉ!」


 彩戸さんが身を乗り出してチビ湖宵クッキーを食べちゃった。


 「ふふん♪ 三五ちゃんにはチビお姉ちゃんクッキーがあんの♪ さ、映画の続きを観ましょ~ね。お姉ちゃんが隣からクッキーをあ~んしてあげるから♪」


 ああっ! 彩戸さんってば面白がってオレの隣に座ってピッタリ密着を! 

 ううう。めっちゃ良い匂いして幸せだけど、すっげ~ソワソワするぅ!


 「はい、三五ちゃんあ~ん♪」


 「うまっ♪ うままままぁ♪」


 「アッハハハハ♪」


 そしてチビメイクッキーをあ~んされる度にオーバーリアクションをしてしまう悲しいオレ。


 「ムキ~! ボクのお部屋でイチャイチャしてないでよ! 映画観よ、映画!」


 そうは言うけどよぉ! 

 こんな状況じゃあ映画の内容なんて………………いや待て! 何かコイツら海でデートし始めた! ヒロインがセクシー水着で主人公を誘惑してやがる! こンのクソアマ! 純粋な男心を弄んでんじゃね~!


 ヤ、ヤバいよ! 彩戸さんと一緒の時にこんなシーンが流れたら気まずいよぉぉ!

 ソワソワ、ソワソワ。


 「クスクスクス♪ や~だ、三五ちゃんたらエッチさん♪ オトコノコねっ♪」


 「ア゛ア゛ア゛!? ア゛ア゛ア゛ア゛~ッ!?」


 「そんなからかい方すんの止めたげて! 三五がかわいそう!」


 嫌だ! 嫌だ! 嫌だ! メイお姉さんにエッチだと誤解されるのは嫌だぁぁ!

 弁明だ! 弁明しないと!


 「違うんだよ! オレがドキドキするのはメイお姉さんの水着だけだよ! だって去年の夏なんか凄かったじゃん! あんなん見せられたらこんな映画のヒロインなんてマジでどうってことないね!」


 「三五も何言ってんの!?」


 「流石のお姉ちゃんでもちょっと恥ずかしいわ」


 オレも自分が何言ってんのかわかんね~!


 「フ、フ~ン。お姉ちゃんの水着、そんなに気に入ってくれたんだ? それじゃあ今年も水着買ってプール遊びの時見せたげる♪」


 「ウオアァ~ッ♡ やった♡ やったァ~ッ♡ メイお姉さんの水着ィィ~ッ♡」


 歓喜の跳躍! &(からの) 空中ガッツポーズ!


 「三五ってば露骨過ぎィ! 少しは自重してよ!」


 自重!? 無理だろ! だって思い返してみろよ、去年の夏の煌めきをよォ! 



 繊月家 ・ 庭園プールにて行われる、毎年恒例の水遊び。


 例年ならば水着にはならずにプールサイドベッドに寝転びながらまったりしていたり、オレと湖宵の面倒を見てくれていたりする彩戸さんだが! 去年はオレ達と一緒にプール遊びしてくれたのだ!

 しかも、な、なんと魅惑の黒ビキニでぇぇっ!


 う゛わ゛~! 思い出すだけでも脳が灼けるぅぅ!

 だってさぁ! 普段は露出少なめでスカートも滅多にはかないメイお姉さんがさぁ! リアル女神な美身を惜しげも無く晒してくれたんですぜ!?


 スラリと長い引き締まったおみ足の脚線美。

 キュキュッとくびれたウエストが描く、彫像を思わせるかの様な芸術的なライン。

 そ、そ、そして鋼の精神力をフル稼働させて見ないように見ないようにしていても尚、視線が吸い寄せられてしまう超蠱惑的かつ超悪魔的魅力を放つ豊満なバスト!


 目のやり場に困りまくるオトナの女性の色香。

 ハッキリ言って他の男共になんか絶対見せたくねぇぇ~!


 「クスクスクス♪ 思春期三五ちゃんたら、面白カワイイ♪ 今年の夏もいっぱいからかっちゃお♡」


 「ヤメテって! 水着の彩戸さんは男だったら誰でも一撃K . O &(からの) 100%テンプテーション待ったなしなんだからさぁ! 世界一綺麗なんだって自覚を持って!」


 とか何とか言いつつも彩戸さんに構ってもらえるのは凄く嬉しい。でもね~、いくらなんでも水着姿でくっつかれたら、テンション極限アゲ ⬆️ アゲ ⬆️ でワケわかんなくなっちゃうんだよな。

 しかもからかい方が結構エグいんだよ、このお姉さん。


 『一日遊ぶとケッコ~焼けちゃうわね~。ホラホラ見て、三五ちゃん。日焼け跡♡』 (水着を指でずらす)


 『アラ~、三五ちゃんてばいつの間にかこ~んなに逞しくなっちゃって♡ ペタペタペタ。腕もこ~んなに太ぉ~い♡ モミモミモミ』 (執拗なボディタッチ)


 ホンッットにヤバかった!

 興奮のあまり極まり醜態を Show(ショウ) Time(タイ!) するトコだったぜ。 (意味不明)


 ふぅやれやれ、とホッと一息吐いたところで立て続けにまさかのドッキリ☆ハプニング大発生!

 なんとメイお姉さんの黒ビキニブラのストラップがハラリと解けちゃったのだ! もちろんお姉さんは直ぐに前を手で押さえたから、大事な所は見えなかったけどね。

 でもそんなの関係無しにオレの心臓はドッキ~ン! と大爆動! &(からの) 鼻血ブッシュ~!


 「あん時の三五ちゃん、マジでウケたわww アッハハハw 今時鼻血ってww」


 「今、令和なのにね~。三五は昭和から(時を)タイムスリップ(かける少年)してきた(だった)……?」 (名推理)


 二人共ニヤニヤしながら言いたい放題。

 悲しい生き物なんだよ、男の子ってのは!


 更には鼻血を出したオレにクルッと裸の背中を向けつつ 『ブラの紐、解けちゃった (笑) 三五ちゃぁん、結び直してぇ~♡』 とか言ってダメ押しからかいしてくるし!


 本当にヤメ…………ないで欲しいけど、手加減だけはマジでして!

 「あわわ! あわわわ!」 みたいな感じで生涯ワースト1クラスの狼狽えっぷりをご披露しちゃったんですけど!

 そんで結局、湖宵がフツ~にシレッと紐を結び直しちゃうっていうね。


 「う゛う゛う゛う゛。何で湖宵は超レアセクシーメイお姉さんを前にしても平静を保てんの!? 僧なの!? やっぱ so なの!?」


 「いやぁだって、ボクにとっては実のお姉さんも同然の人だもの」


 マジかよ!? 全然トキメいたりしね~の? 良いトコのお坊っちゃんとクール美人なお手伝いさんとの恋物語とかありそうなモンなのにな。

 オレ一人だけドキドキしちゃって恥ずかしいんですけど。


 「クスクス♪ ま~たまたぁ、三五ちゃんてば嬉しいクセにぃ♪ こ~んなフリフリエプロンなんか着せちゃってぇ、カワイイ格好したお姉ちゃんにぎゅ~ってされたいんでしょ~♡ わかってんだから♡」


 こ、こ、心の準備も出来てないのにそ、そんな思わせ振りな表情でにじり寄られたらっ!


 「う゛わ゛~! う゛わ゛~っ!」


 生涯ワースト2 ~ 3クラスで慌てふためいてしまうぜぇ~っ!

 実際超嬉しいけれど、格好悪いトコをメイお姉さんに見られるのは嫌だ! 

 湖宵の後ろに隠れよう。盾になってもらうんだ。

 ぎゅうぅぅ~!


 「う゛わ゛ぁぁ~っ! ちょっとそんな三五ぉぉ! 心の準備もしてないのに抱き着かれたらぁっ♡ 一旦離れてよぉっ♡」


 「嫌だっ! 絶対離さないっ!」


 「アッハハハ♪ 二人共カ~ワユイ♡ ア~ッハハハハ♪」


 

 わちゃわちゃワイワイ大騒ぎしまくってたら映画のラストを見逃してしまっていた。


 恋の奴隷と化した主人公と、彼の気持ちに薄々 (?) 気付きつつも素知らぬ顔でからかいまくるブロンド美女との関係は結局、どうなったんだろう?


 ちょっと気になるけど、ま、良いか。


 何たってオレと湖宵とメイお姉さん……いや、彩戸さんとの日常は映画よりもずっとずっと刺激的なんだから、さ。

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