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第16話 高波 三五  こよいと屋台巡り 

 「三五さんっ。型抜きの賞品の1000円チケット、半分こにしましょう?」


 こ、こよい優しい~! 

 型抜きをクリアー出来なかったオレにも分けてくれるなんて。


 「うわ~ありがとう! よ~し、それじゃあオレは射的でこよいの欲しいもの獲ってあげる」


 「わ~い♪ 嬉しい~♪ 早速行きましょ♪」


 さっきまでの緊張が嘘みたいに解けている。オレ達(幼馴染み)の間に緊張感なんて長く続くハズも無い。


 手に手を取り合い、オレ達はウキウキと露店へ向かって駆けていく。


 まずはは射的。

 こよいと約束した事だし早めに挑戦したい。

 射的のコツを有効利用するために。


 射的のコツその1はコルク銃の選び方。


 銃は使っていくうちに部品がヘタれていって、徐々にコルクを飛ばす力が落ちていってしまう。

 コルク弾も景品や台などに当たる度に磨り減っていってしまい、銃口に上手くフィットしなくなっていく。


 だからあまり人がコルク銃に触っていない内に挑戦するのがBEST。


 「おっちゃん射的一回!」

 「あいよ!」


 「こよい、景品はどれが欲しい?」

 「えっとねぇ。あっ。あのカワイイウサちゃんのぬいぐるみがイイです♪」


 こよいが選んだのは小さくて可愛らしいウサギさんのぬいぐるみ。

 こよいってば流石、わかってるぅ~。


 射的のコツその2。獲物は小さい物を狙うこと。

 

 例えばウサちゃんの隣にデデンと鎮座ましましているクマのぬいぐるみ。

 コレなんかをコルクで落とそうと思ったら普通に数千円はかかるね。

 長い時間をかけて死ぬほどポコポコ当てまくったらGET出来るかも知れないけれども……。

 それは何かが間違っている様な気がする。


 「よ~く狙って……そこだっ!」


 オレの銃からポーンとコルクが発射され、ポコンとウサちゃんに命中。

 ウサちゃんはグラグラッと揺れる。いい調子だ。


 射的のコツその3。景品の重心を崩す様に当てて、とにかく揺らす。揺らして台から落とす。

 だから揺らせない大きい獲物は狙っちゃダメなんだね。


 ポコンッポコン。グラグラッ。ポトリ。


 「やった~景品GETォ!」

 「きゃ~三五さんすっご~い♪」


 「くっ、兄ちゃんわかってるねぇ。オイラの負けさ。ホラ、景品だ」


 おっちゃんから手渡されたウサちゃんを、こよいちゃんのお手々にポン。


 「はいどうぞ、こよい」


 「わぁいっ♪ 三五さんありがとう♪ わあぁっカ~ワイイ♪」


 輝く笑顔を咲かせたこよいがその場でピョンピョン跳ねて大喜び。


 完璧過ぎるキュートリアクション。


 射的屋の周りのお客さん連中もこよいに見とれつつもホッコリしている。

 こよい効果で家族連れやカップルが続々と射的に挑戦しだしたくらいだ。


 景品を取ってあげたオレも、いや、取らせて頂いたオレも本気で嬉しい。

 こよいってば男を立ててくれる最強美少女だね。


 「よ、よーしこよい、次行こっか~♪」

 「はぁ~い♪」


 お次は輪投げ。


 「次はわたしが挑戦しますよ~♪」


 輪投げ屋のおっちゃんに金券チケットを渡して、三つの輪っかを受け取るこよい。

 ゲーム前にちょっとツッコミを入れておこうか。


 「オイ、おっさん! あのP○4何だよ! 明らかに輪っかに入んねーだろ!」

 「そう思うじゃん? でも毎年取ろうとして投げちゃうバカが、一定数居るんだよなぁ」


 「お祭りの空気ってヤツのせいですね。わたしは騙されません……よっと!」


 大物を狙わずに小さな景品を狙う、クールキューティーこよい。


 こよいの投げた三つの輪っかのうちの一つが見事景品を捕らえた。


 「お見事! はい、景品だよ」

 「ありがとうございますぅ~♪」


 どれどれ~? こよいは何を取ったのかな~?


 あっ! これはサイリウムのブレスレット! 

 しかも二つセット!

 これからの暗くなる時間帯に着けているとキラキラ光ってめっちゃ楽しいヤツだ。


 「はい、これは三五さんの分ですよ♪」

 「ありがとう。お揃いだね、こよい」


 オレは右手、こよいは左手にブレスを着ける。

 繋いだ手の手首にサイリウムブレスが着けられて、オレとこよいは思わずニッコリ。


 あ~早く暗くならないかな。ブレスレットが光るのが待ち遠しい。


 お次は何で遊ぼうかな?


 おっ、輪投げ屋の隣は金魚すくい屋か。


 ビニールプールの中で金魚が元気良く泳いでいて目を楽しませてくれる。

 ちょっとやってみたいなあ。


 浴衣姿のこよいが金魚の入ったビニール巾着を小っちゃいお手々に持ってたらカワイイだろうなあ。


 うーん、だけどなあ。


 「オレ、金魚飼う気無いからなあ」

 「お世話が出来ないのなら、すくっちゃダメですよね」


 生き物を無責任に持って帰るのは良くないよね。

 ここはグッと我慢しよう。


 「リリースしてもええんやで?」


 金魚すくい屋のオヤジィ~! 

 ドヤ顔でプールを指差すぅ~!


 それじゃアンタが得するだけだろ! 

 くっそ~、でもやりたいなあ!


 「お祭りの空気! わたし達は流されたりなんかしませんからねっ!」


 こよいがオレの手を引いてくれる。

 しっかりしてるなあ。

 そんな所も素敵だよ、こよい。


 金魚すくいはちょっと名残惜しいが、他にも面白いお店を探してみよう!

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