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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【裏話】湖宵とホモる (ド直球) 高校生活
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裏88話 未来へ向かう為のパーティー 中編 高三 三学期

 だいずちゃんは小海とユイの間に隠れる様にしてうつむき加減で立っていた。

 その表情は曇りを帯びていて酷く落ち込んで見えた。


 一体何故? 何故こんな顔をしている?

 彼女からは滞りなく第一志望の進路が決まったとの報告を確かに受けているのに。


 華やかな場所の隅っこで小さくなっている姿が忍びなくて反射的に声をかけそうになったが、グッと堪えた。

 もしかしてだいずちゃんが暗い顔をしているのには湖宵が関係しているのでは? と思ったからだ。


 とは言えオレは彼女の個人的事情を深く知っているワケではないので一概にそうだと決めつけることは出来ない。

 だけれどもだいずちゃんが小さな子供みたいに大ハシャぎしたりアワアワと大慌てしたり、といった風に強い感情を露にしたのはオレが知る限りでは湖宵に関することだけなのだ。


 もし本人(湖宵)が居る前で本人(湖宵)について悩んでる~、なんて発覚したら気マズいなんてレベルじゃないぞ。しかもお祝いパーティーの最中に。


 少なくとも今はそっとしておいて、湖宵とだいずちゃんがあまり近付かないようにそれとなく見守っているくらいしか出来ることは無いかな。


 

 「ねえねえ三五三五っ♪ コレコレ♪ コレ食べてっ♪ ちょ~美味しく出来たんだよっ♪」


 オレの顔にオードブルをグイグイ押し付けてくる湖宵はどうやらだいずちゃんの沈んでいる様子にはまだ気付いていないみたいだね。

 まあ今の湖宵の浮かれゲージはMAX状態だからよっぽどのことが無い限りは気付かないだろう。好都合、と言っても良いのか?


 「ホ、ホントに色々作ったね。この綺麗なケーキ? みたいなやつは何なの?」


 「これは春野菜のテリーヌだよ♪ チーズとトマトがベストマッチしてんまんまなの♪ 一口バケットに乗っけて食べてね♪」


 他にもバーニャカウダ? とかいう野菜にディップするタイプの超美味しいソースとかサーモンのカルパッチョとか、お高いレストランで出てくるような贅沢なメニューが目白押し。


 「もちろん三五の大好きな唐揚げとかエビフライとかもあるよん♪」


 「「おお~! 湖宵の姉さん♂ マジ女神!」」


 なんと。男子高校生の大好きな揚げ物まで完備しているとは。


 「よく見たらシュウマイとかよだれ鶏とか中華なメニューもいっぱいあるね。こみこみスゴい!」


 「んふふ♪ いっぱい食べてねユイちゃん♪ んふふふふ♪」


 「おお、椎茸の旨煮のなんとも味わい深きことよ。この愛栖(あいす)、箸が止まらぬわ」


 「え~っ!? 愛栖ちゃんも無類の椎茸好きなのぉ!? ボク達ってケッコ~気が合うんだねっ! アハハハハ♪」


 色とりどりのお料理を皆に勧めてくれるちょ~ご機嫌な湖宵。

 しっかし改めて思うけどめちゃくちゃ凝ってるよなぁ!


 和洋折衷の美味しいものがドカ盛りのこのテーブルを用意するには相当な手間暇がかかるだろうに……。

 それすらもものともしない爆アゲ ↑ ↑ モチベーションを持て余しているんだなぁ、今の湖宵は。


 「ど、どれも美味しいよ。ありがとうね、湖宵」


 「んふふ♡ んふふふ♡ 嬉しいぃ♡ 三五大好きぃぃぃ~っ♡」


 お嫁さん♂が真心込めて作ってくれたお料理だもの。

 オレにとっては世界一のご馳走だ。が、どうしてもだいずちゃんの方をチラチラと気にしてしまって、味わうことに100%集中しきれない。


 「キャハ♡ もうね♪ もうねぇ♪ 作ってるウチにちょ~楽しくなっちゃってぇ♪ アレもコレもってい~っぱい作っちゃったんだ♪ だからい~っぱい食べてね、三五♡ キャハハハァ♡」


 ウキウキ湖宵さんはそんなオレの様子に微塵も勘付かないみたいだけど、それが逆に申し訳ないな。ゴメンね、湖宵。



 「ウッメェ~! こんなウメ~もんが食えるなんてサイコ~だよ!」

 「勉強頑張った甲斐があったよな!」

 「キッキィ~♡ 美少女♂の手料理だと思うと尚のこと美味いっキィィ~♡」

 「おや!? このクラッカーに乗っているのは、まさかキャビアかい!? ど、どれ一つ……んん~! なんと濃厚な旨み! そして滑らかなクリームチーズとの相性がまた抜群! これは正に神が造りたもうた至高の芸術だよ!」


 食欲旺盛な男子高校生達はニコニコ笑顔でご馳走を平らげていく。


 一方で女子達は湖宵を囲んでお料理の話に花を咲かせているようだ。


 「どれも美味し~い♪ やるわね、湖宵。さすが三五の奥さんね♪」

 「ホホウ、湖宵は三五の妻君であったか。フッ、善き女性(にょしょう)を選んだな、三五。流石は我が見込んだ男よ」

 「アッハッハ♪ ア~ッハッハッハ♪」


 いや、違ったわ。お料理から繋げて結局はオレの話してたわ。

 ん? 今思ったんだけど、もしかしてああやっておだてることで湖宵の目にだいずちゃんの落ち込んだ姿が映らないようにしているのかな?

 だとするとやっぱり……。


 チラッとだいずちゃんを見る。


 「ハァ…………」

 

 「まめまめ、こよこよの作ったお料理、どれもとっても美味しいよ。食べてみて?」

 

 「ユイちゃん、でも私には……」


 「こよこよはまめまめが美味しいって言って食べてくれたらきっと喜ぶよ?」


 「ユイちゃん……」


 ユイが色々なお料理を取り分けたお皿を持ってだいずちゃんに声をかけていた。

 卒がないってゆ~か、優しいな、ユイは。


 よし、だいずちゃんはユイに任せてここはオレも湖宵をおだてよう! きっとその方が良い!


 

 「湖宵~っ♪ このテリーヌってやつちょ~美味い! 旨みと旨みがぶつかり合って更なる旨みを放出している! 一言で言うと世界一美味い!」

 「え~!? 世界一っつ~たらやっぱ唐揚げじゃね!?」

 「いや、オレはエビフライの方が!」

 「いやいや、コロッケに決まりっキィ! ホラ、カボチャとかポテサラとか中身も凝ってるキィ!」

 「僕はキャビアかな」

 「「「「それただクラッカーに乗せただけだろ!」」」」


 「アッハッハ♪ まあまあ♪ 仲良く食べてね♪ アーッハッハッハッハァ♪」


 

 無礼講でバカ騒ぎしながら会食を大いに楽しんだオレ達。


 皆がお腹一杯幸せモードになった頃、パーティーはまったり歓談モードに移行した。


 さて、だいずちゃんはちゃんとご飯食べたかな?


 「高波っチ♪」


 うわ! ビックリした! 真後ろから恋さんの声が! 音も無く近付いて突然声かけんの止めてもらっていいッスかねぇ!?


 「あのね、高波っチ。だいずっチのお話を聞いてあげて欲しいノンノン♪ 湖宵ッチは私が足止めしとくかランラン♪」


 言うだけ言ったら今度は湖宵にピョイ~ンと飛び付く恋さん。もちろん後ろから。


 「うっひゃあ!? なになに!? どうしたの恋ちゃん!?」


 戸惑う湖宵にもお構い無しの恋さん。

 湖宵の耳に口を寄せて何やら内緒話をし始めたぞ。


 「湖宵っチ♪(コショ) 作戦会議(コショ)しましょん♪(コショ)


 「さ、作戦会議(コショ)って何の?(コショ) ボク、今から(コショ)三五と……(コショ)


 「Q極TSしたぁ♡(コショ) 初めての夜♡(コショ) のぉ() ・ ハ ・ ()シ♡() ケ~ケン者の(コショ)キチョ~なご意見♡(コショ) 聞いといた方が(コショ)良いわヨンヨ~ン♡(コショ)


 「ンキャアァァ♡(コショ) しょ、初夜ぁぁ♡(コショ) 教えてっ♡(コショ) 教えて(コショ)くだっさぁぁい♡(コショ) オトナな(コショ)センパァァァイ♡(コショ)


 何か二人でとんでもねぇ話をしている気がする! (野性の勘)

 恋さんマジで奔放過ぎ!


 話に割って入りたいところだが……クッ!

 今はだいずちゃんを優先せざるを得ない。


 てなワケで早速誘いに行こう。


 「小海、ユイ、だいずちゃん。腹ごなしに庭園を散歩しに行かない? 案内するよ」


 「アラ、なかなか素敵な提案じゃない三五♪」

 「それじゃあお願いね、さんさん♪」

 「……………………………………」


 小海とユイが快諾してくれたお陰でスムーズにパーティー会場から離れることが出来た。


 これから向かうのは繊月(せんげつ)家庭園のド真ん中にある噴水広場。


 日が暮れた現在の時間帯はちょうどライトアップされていて、幻想的な美しさで見る人の心を和ませてくれる。


 打ち明け話をするにはピッタリなロケーションだ。

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