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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【裏話】湖宵とホモる (ド直球) 高校生活
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裏82話 Cure Cure Cat Party ! 前編 高三 二学期

 明けて翌日。


 本日はネコメイド喫茶 『C(キュア)C(キュア)C(キャット)』 の一角をお借りして、イコお姉さんのお見送り会 &(あ~んど) このオレ、高波 三五さんの快気祝いのパーティーが催される。


 「キャ~ッ♡ 三五ぉぉ~っ♡」

 「「三五さぁぁんっ♡」」

 「「三五さまっ♡ 三五さまぁぁ♡」」

 「「お兄ちゃぁぁ~ん♡」」


 湖宵とオレ F(ファン)C(クラブ) の皆さんから声援が贈られる。

 ありがとうありがとう。でも貸し切ってるワケじゃないから騒いだりするのは止めようね。


 「おにぃちゃみゃが元気になったの……にゃっ♡ 嬉し~の……にゃっ♡」

 「お風邪が治って良かったみゃ~♪ お祝いみゃ~! 今日は盛り上がっていくのみゃぁぁ!」

 「この前はお見舞いに行けなくてゴメンにゃ~」


 ネコ(スタッフ)さんが率先して騒ぐの!? 嬉しいけど特定のお客さんを贔屓しちゃうのは如何なものかと思うんですが!?


 「あっ、おにぃちゃみゃが大っきな紙袋持ってるの……にゃ。中身はなぁに? ゴソゴソ。にゃにゃあっ!? 可愛いハコがた~くさんにゃっ! クンクン。ふぁぁ♡ 中から甘~い匂いがするの……にゃっ♡」


 そして誰よりも自由かつ目ざといそ~にゃちゃん!

 う~ん、どうしようかな? 手荷物になってしまうからプレゼントは最後に渡そうと思っていたんだけど……。


 「もう、そ~にゃっ♡ 三五さんのお荷物を勝手に見るなんてグッジョ、じゃなくてダ~メよっ♡」

 「そ、そうですよっ♡ い、一杯の可愛いハコ……も、もしかして私達に……? ひゃ~っ♡」

 「あ、甘い匂い? お、お菓子かな? ま、ま、まさか、おお、お兄ちゃんの手作りっ!?」

 「もらえる!? もらえる!?」


 ダメだわ。皆さん揃ってオレの持ってきた紙袋に視線が釘付けだわ。

 これは先にプレゼントを渡してあげなきゃ、気になっちゃってパーティーが始められない雰囲気だわ。


 「え、え~、実はですね。お見舞いに来てくれたお礼と日頃の感謝を込めて、ささやかですがオレから贈り物をご用意しました」 


 「「「「「キャアアァァ♡」」」」」

 「ああ……何てもったいない……」

 「グスンッ。紫夜(しや)、泣いちゃダメよ。笑顔で三五さまのお気持ちを頂戴しましょう?」


 ヤベェ! FCのテンションがいきなり最高潮(クライマックス)に!

 このままだと騒ぎ過ぎでお店にご迷惑が!


 「お、落ち着いて! 中身はただのクッキーだから! 期待させて悪いけど!」


 「お~っとぉ! 言っとくけど三五お手製☆トキメキ☆アイスボックスクッキーはただのクッキーなんかじゃないぞぉぉ! 星百ツのその味は、正に天上の美味! 断言する! 慣らしながら食べないと美味死する!」


 「「「「「「「キャアァ~ッ♡」」」」」」」


 湖宵~っ! 何故興奮を煽る!? お店の中だってのに!


 「う~♡ 我慢出来ないの……にゃ♡ お一ついただきま~す……にゃ♡ パクッ♡」


 「あっ! バカバカッ! 三五の手料理を食べ慣れてないコがそんな一口で食べたりしたら……!」



 「んんんんんん………………んみゃあああぁぁぁぁ~~っっっ♡ んみゃっ♡ んみゃっ♡ んみゃっ♡ んみゃあぁぁ♡ んんんみゃみゃみゃみゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~っっっ♡♡」



 うわあああああ!? そ~にゃちゃんの小さな身体が稲妻の矢に射抜かれたかの様に激しく打ち震える! 何故!? どうして!? 間違い無く普通の材料で作った普通のクッキーだよ!? マジでマジで! だってオレ、ちゃんと味見したもの!


 「ぷっしゅぅぅ~っ♡ パタリ♡」


 「おっとっと。も~、だから言ったでしょ? 美味死するってさ」


 フラフラ~ッと倒れこむそ~にゃちゃんを支えながら平然とそう宣う湖宵さん。

 いやいやいや。今の衝撃的な出来事を予測していたとでも言うの?

 オレは夢にも思わなかったよ。自分が作ったクッキーを食べた人がブッ倒れるなんて。


 「アラアラ。そ~にゃったら慌てんぼさんね」

 「そ~にゃの三五さん好き好き指数は2000億越えですもの。ああなって当然ですよね、会長」

 「これは自宅など、安全が確保された空間に居る時に頂くべきですね」


 FCの皆さんも平然と事態を受け止めている。


 「マジか~。FCのお姉さん達がオレの作ったクッキーを食べると、皆こうなっちゃうの? イコお姉さんに帰りの新幹線の中で食べてもらおうと思ったからクッキーにしたんだけど」


 「んひいぃぃぃ~っ♡ さ、さ、三五さんのお心遣いがあぁぁ~んっ♡ キ、キクウゥゥゥ~ッ♡」


 うおおおお!? 今度はイコお姉さんが電撃バチバチ状態に!? 

 だから何でだよ!? 今回に至ってはクッキーに口をつけてすらいないんだぞ!?


 「感激死だね! ちなみにプレゼントに添えられている手紙を読んでもこうなるから! 心して読んでね!」


 「お、お、お兄ちゃんからマリたんに宛てたお手紙……!? そ、そんなの絶対に読まなきゃ! 例え感激死するとしても!」

 「カ、カナミんも覚悟をキメて読みます! 念のため遺書も書いておきますっ!」


 オレはとんでもないシロモノを生み出してしまったのやも知れぬ。


 

 「良いみゃ良いみゃ~♪ 私も欲しいみゃ♪」

 「ぼくだってお兄ちゃみゃのファンなんだけどにゃ~♪」


 おおっと。み~にゃさんとし~にゃさんに両側から腕を組まれてしまったぞ。


 「いやいや。もちろんお二人の分もありますよ。ハイどうぞ」


 「ありがとみゃ~♪ あ~ん、パクッ。んん~♪ 甘~いみゃ~♪」

 「プレゼント嬉し~にゃ~♪ ありがとにゃ~♪」


 おお、普通に喜んでくれた。

 み~にゃさんとし~にゃさんは三五ガチ勢じゃないから気軽にプレゼントを渡せてイイね。


 「あ~、良いにゃ~、クッキー」

 「羨ましいにゃ~」

 「ちょっとだけ分けて欲しいのにゃ~」

 「FCに入ればもらえるのかにゃ~?」


 うわ! いつの間にかワラワラ集まってきた他のネコさん達に囲まれてしまった!

 皆さん物欲しそうな目をしていらっしゃる。

 でも大丈夫さ。どうせこうなるだろうと思ったから、予め皆さんの分も用意しておいたんだ。


 「ちゃ、ちゃ~んと皆さんの分のお土産もありますからね~。ハイどうぞ~」


 「「「「わ~い♪ クッキーにゃ~♪」」」」


 順番にクッキー入りのプレゼントボックスを渡してあげると、ネコさん達はたちまちニコニコ笑顔になった。


 そして早速、テーブルに着いてオレの焼いたクッキーを嬉しそうに食べ始めるのだった。


 「んまいのにゃ♪ お兄さみゃったらとってもお料理上手♪」

 「優しい甘さで心蕩けるのにゃ~♪ 恋に落ちちゃうかも♡ にゃ~んて♪」

 「普通に美味しいのにゃ! もう一つ!」

 「サクサクにゃ! 手が止まらないのにゃ!」


 うんうん。喜んでもらえて良かった~……とでも言うと思ったかぁぁ!

 お前ら仕事しろぉぉ! 他のお客さん放っぽらかして勤務中にクッキーに夢中になってんじゃねぇぇ! 

 もおぉぉ! お土産だって言ったのにぃぃ!

 これって完璧に営業妨害じゃん!? クッキーテロを起こしてしまった! 

 どうしようどうしよう! このままではお店に更なるご迷惑をおかけすることに!


 

 「フフフッ。やあ、賑やかだね」


 「ああっ! テ、テンチョーさん!」


 シワ一つ無い真っ白なコックシャツに漆黒のエプロンとスカーフを身に付けた女性が颯爽と現れた。

 彼女はCCCのテンチョーさん。

 一見するとたおやかな美青年かと錯覚してしまいそうな、中性的な美貌を持つ麗人だ。


 「すいません、テンチョーさん! この度は色々とご迷惑をおかけしてしまって……」


 「おかしな高波君だね。迷惑なんて一つもかかっていないよ?」


 えええぇぇ~? そんなことは無いでしょ~よ。


 「オレ、クッキーテロを起こしてしまいまして……。お姉さん達は大興奮の大ハシャギ、ネコさん達はお仕事そっちのけで夢中になって……」


 「賑やかなのは良いことさ。このお店ではね。それに仔猫ちゃん達が奔放なのもいつものこと。後でオシオキされるのもね」


 「「「「にゃ~!?」」」」


 にゃ~じゃないんだよ、にゃ~じゃ。


 で、でもテンチョーさん! それだけじゃないんです!


 「この前はオレのせいでそ~にゃちゃんにお店を休ませてしまって……今もクッキーで美味死させてしまって……」


 「そ~にゃが居たところで、さほどの役には立たないさ。気にしなくても良いんだよ」


 それはそれでヒデェな。何ちゅう言い草だい。


 しっかしテンチョーさんって心が広いよな。

 こんな良い人のご厚意に甘えっぱなしで良いものか?

 うう~ん、やっぱりダメだ! このまま何もしないでいるなんて、オレには耐えられない!


 「テンチョーさん! やっぱり何かお詫びをさせてもらえませんか!? 皿洗いとか掃除とか力仕事とか! オレ、何でもやりますんで!」


 「ふぅ~む、そこまで言われて遠慮するのは女が廃るね。それならば君には接客をしてもらおうかな」


 「お待ち下さい! それは些か無理があるのでは!?」


 舌の根も乾かんウチに前言撤回してしまうのは心苦しいんですが、ここはネコメイド喫茶ですぜ!? オレにネコメイドになれと!?


 「安心なさい。君がなるのはネコウェイターだよ。そして接客してもらいたいのは、あちらのテーブルのお客様さ」


 そう言ってテンチョーさんが指し示したその先。そこに居るのは……。


 「えええぇぇ~っ♡ 三五がネコちゃんウェイターさんにぃぃ♡」


 「「「「「キャアアアァァ~ッ♡ サイッコオォォォ~ッ♡」」」」」


 「イコ、復活! 三五さんにおもてなししてもらえる大チャンス! 寝てるワケにはいきません!」


 「そ~にゃも復活……にゃっ! おにいちゃみゃ♪ せんぱい♪ のそ~にゃがお仕事を教えてあげるの……にゃっ♪」


 な、なるほどね。湖宵 & FCの皆さん達ならメイドさんよりもオレに接客してもらった方が喜ぶよね。


 「わ、わかりました! オレ、ネコウェイターになります!」


 「「「「「「「「キャアアアアアァァァァァ~~~ッッッ♡♡」」」」」」」」


 CCCにお詫びのご奉公だ。

 湖宵とお姉さん達にも喜んでもらえて一石二鳥!

 これはもう気合いを入れてやるしかないぜ!

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