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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【裏話】湖宵とホモる (ド直球) 高校生活
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裏77話 怒濤のモテモテお見舞い攻勢 第①弾 綺麗で優しい大人のお姉さん達 (高波 三五FC所属) 高三 二学期

 母さんの言葉はまるで天上から振り降ろされた神の金槌の様に強烈無比だった。


 「い~い? 三五! アンタを産まれた時から見てきたこの母が断言するわ! アンタは一人じゃ何やったってダメなの! 周りの人を大切に出来なけりゃあね!」


 「うっ! うぅぅ……」


 そうだ。その通りだ。オレはいつの間にか周りが見えていなかった。

 信じた道を真っ直ぐ突き進んでいたつもりが、思いっきり迷走していた。


 そして母の言葉は真実に気付かせてくれたと同時に、オレの小さな虚栄心、凝り固まったネガティブ思考、傲慢さ、身勝手さ……などといった負の感情までをも完膚無きまでに打ち砕いた。


 「ハア……ハア……!」


 メンタルが破壊されたら、精神力によって今まで無視されてきた無茶な運動による筋肉痛、徹夜の勉強によって蓄積した疲労、風邪による倦怠感や関節痛、などなどが一気にズンとこの身にのし掛かってきた。


 ギャアァ~! 身体が痛いよ! キツいよ! 熱くてダルいよ!

 オレ本当どうかしてた! こんな状態なのに勉強を止めないとか!

 ほとんどノイローゼだった!


 「あとね! 気に病むだろうと思って言わないでおいた事もこの際だから言っちゃうわ!」


 まだあんの!? いえ、自分が悪いのでお叱りの言葉はありがたく受け止めたいと思うんですけれども! 少しゆっくり! もう少しゆっくりでお願いします! 今超キツいんです! 胃の中のモノ全部吐きそう!


 「実はねえ。こよちゃんにメイちゃん &(あ~んど) アンタの F(ファン)C(クラブ) のコ達が連日お見舞いに来てんのよ。今も居間に居るの」


 「ゲホッ! マ、マジ!? ゲホゲホ!」


 「マジよ。いや、学校の子達もお見舞いに来てくれるのよ? でもね、すぐ帰っちゃうの。だって居間に入ると大勢の女の人がお葬式みたいにメソメソ泣いてんだもの! そりゃUターン必至よ!」


 「メ、メソメソ……!? 泣いて……!?」 


 「しかもね、今日なんか凄いわよ。三五達が行った修学旅行でバスガイドしてたってコがウチに来て、シレッとFCに合流してんの。アレにはビビったわ」


 「イ、イコさんまで来てるの!? ゲホッ!」


 うわあぁぁ! 申し訳ないぃぃ! 祟る! 前述の症状プラス心労が祟って更に具合が悪化するぅぅ!


 「あ、あぁぁ……」


 い、いや、それよりも! オレを、こんなオレなんかを慕ってくれている皆を泣かせてしまった……!?

 そ、そうだよ。オレの取り柄なんて魅力的な人達との出会いに恵まれていることくらいなのに。

 そんなオレが皆を蔑ろにするなんて言語道断だ。


 「覚悟しなさいよ、三五! お母さんは鬼になるわ! 今から順番に女の子達をここに呼んでくるから! お見舞いしてやるから! アンタには良い薬よ!」


 「ひぃぃ……ひぃぃ……!」


 お見舞いの意味が違ってきてるよ母さん!

 オレもう心を入れ替えたからちょっとだけ猶予をくれない!? トイレで吐いてスッキリしてくるから!


 「待ってなさいよ三五~!」


 バタ~ン!


 あああ、行ってしまった……。

 身体が辛いのとビックリしたのとで舌が上手く回らなくて、反省したと伝えられなかった。


 もはや腹をくくるしかない。

 皆を心配させてしまった罰だ。素直に叱られてキチンと謝ろう。

 オレの胃袋、頼むからもってくれよ。 (リバースしないように)



 コンコンコンッ。


 部屋のドアが控えめにノックされる。


 「ど、どうぞ」


 「失礼します~、三五さん、お加減はいかがですか……あぁっ!」

 

 「三五さん! お身体を起こさないでっ!」


 「そのまま寝ていて下さい! ああ、顔色がこんなに悪く……」


 「汗もいっぱいかいて……さ、三五しゃまぁぁ」


 アンお姉さん、イコさん、社会人として働いているお姉さん達大人組が優しい言葉をかけてくれるが、それに甘えて寝たままでいることはどうしても出来なかった。


 重い身体を起こして深く頭を下げる。


 「ごめんなさい! オレ、無茶して風邪をこじらせてお姉さん達を心配させてしまって! その上お仕事まで休ませてしまうなんて……」


 「い、いえ、お仕事休んでませんよ! 私、在宅ワーカーですので!」


 そうだった。アンお姉さんはライターのお仕事をしているんだった。

 Q極TS女子の観点で世相を切る記事が大層話題を呼んでいるのだとか。

 それに帰国子女でもあるので翻訳のお仕事も受けているそうな。


 「バスガイドは他の地方を観光したり本を読んだりしてお勉強しなきゃダメなんです! だから今もお勉強中! 決してズル休みじゃないのです!」


 京都から遥々(はるばる)オレの家まで足を運んでもらったイコさんには一番申し訳ないと思っていたのだが、なるほど。合間にバスガイドの勉強もしていると。

 多分建前なんだろうけど、そう言ってもらえると罪悪感も多少薄らいだ。


 「私もお店を休んでませんよ。遅番のシフトに代わってもらったんです。だから安心して下さいね」


 こちらのショートカットが似合うクールで洗練された印象のお姉さんは夢藤(むとう) 紫夜(しや)さん。

 ヘアサロン勤務のオシャレなお姉さんだ。


 「私も私も! 実家で働いてるんでいくらでも融通が利きます! てゆ~か最近働き詰めだったんでちょうど良かったです!」


 こちらの小柄で可愛らしいお姉さんは箕谷(みのたに) みりさん。

 実家がお花屋さんだそうで、ご近所では評判の看板娘なのだとか。

 それも納得。いつもニコニコしていて明るいみりさんが居ると、周りの雰囲気がパッとお花が咲いたようになるのだ。


 さて。お姉さん達のお話をまとめると、お仕事に支障の無い範囲でお見舞いに来たので気にしなくて良い、とのことなのだが。


 「でも皆さんを泣かせてしまったって……」


 「なな、泣いてなんかいませんよ!?」

 「そ、そうですよ!? まさか、ねぇ!?」

 「おお、大人ですし!?」

 「そうですし!?」


 異口同音に否定してくれるけど、本当かなあ?

 でもオレが気に病まないようにそう言ってくれてるんだな。嬉しいな。心なしか身体がスッと楽になってきたかも。


 「お姉さん達、ありがとう」


 自然と口元が緩む。

 ああ、久し振りに笑ったような気がするな。


 「あっ……♡ いつもの三五さんの笑顔♡ お悩みがあって無理をされていた、とお母様から伺っていたんですけど……」

 

 「お身体の具合が悪そうなところを除けば、この前お会いした時 (実はイコさんは事ある毎に遊びに来る) のまんま♡ 解決したんですね♡」


 「解決したと言うか、母さんに目を覚まさせてもらったんです。焦って周りが見えなくなったらお終いだって」


 「三五さま……良かった。ゆっくり身体を休めましょうね」


 「あとは元気になるだけですよ、三五さまっ♡」


 なんて心優しい人達なんだろう。ご縁が出来てラッキーだ。

 一部のお姉様方からナチュラルに 「さま」 付けされているのは不思議だけれども。


 まあとにかく、この人達の言うこと聞いてりゃ間違いないね。


 

 「お姉さん達。オレ、心から反省しました。なので、何でも言うこと聞きます!」


 「「「「キャ~ッ♡ な、何でもぉぉ!?」」」」


 何故か色めき立つお姉さん達。


 「じゃ、じゃあ、私達にたっぷり甘えて安静にして下さいっ。これはお姉さんの命令ですよ♡」


 アンお姉さんが代表してそう言ってくれた。

 散々ご心配をおかけした上で、更に甘えるのにはちょっと抵抗が無いでもない。

 しかしここはご厚意をありがたく頂戴するべきだ。

 そして元気になった暁に、受けたご恩を必ずお返ししよう。


 「とっても優しいご命令をありがとうございます、お姉さん」


 「ああぁ♡ 三五さんの花丸笑顔ぉ♡ 尊いぃ♡」

 「好きっ♡ もう、好きいぃぃっ♡」

 「今のセリフ “(へき)” に死ぬ程刺さったわ……ダメよ、ダメダメ、私っ♡」

 「三五さまっ♡ 三五さまぁぁん♡」


 オレがいつもの調子を取り戻したらFCの皆さんもいつもの様子に戻った。

 う~んモテてるな、オレ。何度見ても不思議な光景だ。


 「じゃ、じゃあ、汗をフキフキしましょうね♡ お、お着替えもしませんとっ♡♡」


 「「「会長のエッチ! 超サイッテ~! 風邪ひいてる人にっ!」」」


 「ち、違いますう! 欲望とかじゃないですう! 大人だもん! 分別ついてるもん! ただ純粋に三五さんに気持ち良くなって欲しいだけだから! 健康的に!」


 汗か。そう言えば確かに冷や汗も含めて沢山の汗をかいたので気持ち悪い。

 パジャマもぐっしょり濡れて重くなってるし。

 う~ん、花も恥じらう乙女にお願いする事じゃないかもしれないけど、もし本人が良いんなら……。


 「身体、拭いてもらいたいなあ」


 「「「「はいぃ♡ お任せ下さいいぃ♡」」」」


 うわあ。全員が濡れタオルを構えだした。

 皆さん、誰かに役目を譲るつもりは微塵も無さそうだぞ。


 パジャマの上を脱いで上半身裸になると、お姉さん達が皆こぞって身体を拭いてくれる。


 「はあぁ♡ なんて逞しい……♡」

 「もう大人の男の人の身体なんですね♡」

 「私が男の子だった時とはまるで違うぅ♡」

 「鼻血出ちゃうぅ♡ 我慢しなきゃぁぁ♡」


 何やら真っ赤なお顔でうわ言を呟いておられるようだが、その手つきは恭しくてとても丁寧だ。王様にでもなったみたい。


 「はあ……冷たくて気持ち良い」


 「「「「キャァァ~ッ♡」」」」


 凄い盛り上がりだなあ。 (他人事ムーヴ)

 あ、みりさんが鼻血出した。


 流石に下半身は自分で拭かなきゃね。

 お姉さん達に少し後ろを向いてもらって、その間にタオルで身体を拭ってパジャマと下着をパパッと着替える。


 「さ、三五さんがお着替えしてる……♡ わ、私の真後ろで……♡」

 「ああ~♡ 衣擦れの音ォ~♡」

 「はあぁぁ……♡ な、何という桃色空間っ♡ も、妄想がぁぁ♡」

 「刺激的過ぎぃ♡ は、鼻血がぁ♡ ドキドキでだくだくが止まらないっ♡」


 いやあ、すいませんね。もうバッチリ終わりましたんで。

 よっし! サッパリしてFeel so good♪


 さあ、麗しのお姉様に全力で甘えるぜ! 看病してもらって元気にならないと!

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