裏54話 ドキ♡修 FINAL STRIKE ! 高二 二学期
湖宵はオレの手を引っ張りながらズンズン進む。
辺りをキョロキョロ見回して、人が居ない方へ陰から陰へと俊敏に。
人がいっぱいの大階段の裏手にあるエスカレーターを上り出発のプリエがあった東広場へ。
しかし今の湖宵は祝福の鐘に目もくれない。
物陰に連れ込まれたと思った次の瞬間、湖宵は我慢出来ないとばかりにオレの首の後ろに回した両腕にギュ~ッと力を込めた。
「あああ……三五、好き、好きっ♡ んん~っ♡」
熱烈なハグ、そしてキスの嵐。
男の子の姿になった湖宵の方から恋人らしいアプローチをかけてくる事は今まで全くと言っていいくらい無かった。
そんな湖宵がキスまでしてくれるとは今日のデートがよっぽど心に響いたんだろう。
もしくは抑え切れなくなった熱い想いの発露だろうか?
どちらにしても湖宵の気持ちに応えなければ。
オレからも湖宵を強く抱き締め、キスのお返しをする。
「んふふふふぅ~♡ むっちゅううぅぅぅ♡」
すると湖宵のボルテージは更にヒート!
キスの激しさが増し、思いっきり吸い付かれる。
一旦離れたかと思えば次は何度も何度も重なってくる湖宵の唇。
オレも湖宵に昂る気持ちのままキスをするのが大好きなので、湖宵にも満足するまで堪能させてあげちゃおう。
そして数分後。
「ンはぁ~っ♡ ンは~っ♡ ンはああアアアア~ッッ♡ 三五とのキスちょ~ヤバいぃぃ♡ の~が灼けるぅぅぅ♡ マジ地上最強の快楽ぅぅぅ♡ あ~かわいそうっ♡ 三五とキス出来ないなんて世界中の女の子達かわいそうぅ~っ♡」
湖宵のテンションこそヤバい!
越えちゃいけないラインギリギリだぁ!
だがイチャイチャして湖宵の燃え盛るパッションを発散させる時間はもう無い。
門限が近づいているからだ。
ここは幾分か冷静さを保っているこのオレが湖宵をホテルまで連れて帰らねば。
「湖宵、もう帰る時間だよ。そろそろ……」
「イ゛ヤ゛ァァ~の゛お゛ぉぉ~! もっとデートするの゛ぉぉ!」
「でもさぁ、もう帰らないとお風呂入る時間がなくなるよ?」
「あ゛~! そうだったぁぁ! じゃあ早く早く! 早くホテルに戻ろう、三五!」
湖宵をクールダウンさせることは出来なかったが、目的は果たせた。
そうと決まればここには用は無いとばかりに、湖宵はオレの身体にガッチリ組み付いてホテルに向かって一直線に進む。
凄いパワーだ! あっという間にホテルに到着!
ホテルに部屋に帰ったら休む間もなくお風呂場へ直行。
修学旅行最後の露天風呂だ。
今までの湖宵ならドキドキと胸をときめかせながらも、オレの裸をジ~ッとガン見したり積極的にペタペタくっついてきたりはしなかった。
だって湖宵のハートは花も恥じらう乙女そのものなのだから。
だがしかし今の湖宵は……。
「さあ旦那様♡ こちらに座って下さぁい♡ お背中を流しますねぇ~♡」
自分から背中を流しに来るだと!?
何て積極的!
しかも以前は恥ずかしがってチャチャッと終わらせていたのに、今はクリーム状に泡立ったスポンジをジ~ックリ、ネ~ットリと擦りつけてくるではないか。
「あぁ~♡ やっぱり三五のお背中広~い♡ 逞し~い♡ ナデナデ……あぁ~触り心地も最高~♡ この肌の滑らかさ、この弾力……。う~ん、☆五つ!」
レビューされた!?
そして、めっちゃボディータッチしてくるじゃん! くすぐったいんだが!
「三五の反応カワイイ♡ でもジッとしててね♡ 今、お背中ピカピカに洗ってあげますからね~♡ むふふふふぅ♡」
背中を隅々まで磨かれてしまった。ちょっとヒリヒリする。
若干フラつきながら湯舟に浸かるオレに対し、湖宵の攻勢は激しさを増す一方だ。
「んあぁぁ♡ 三五ってば今、これ以上無いくらいエッチな格好してるぅぅ♡ なんたって裸だもんねぇ♡」
遠慮の無くなった湖宵の視線がオレの肌を刺す。
「はぁ♡ 肩から鎖骨にかけてのライン、たまんない♡ 腕の筋肉もステキ♡ 特に広~くて飛び込みたくなる胸元♡ 湖宵ちゃん的にカッコ良くって大好きなのぉぉ~♡ キャアァ~ッ♡」
バチャバチャバチャバチャ!
「うぅ……ううう……」
が、ガン見です! ガン見されております!
舐め回すかの様に裸を見つつ、ワザワサ声に出して寸評するとは!
流石のオレでも恥ずかしいよ!
「見てるだけじゃ我慢デキない~ん♡ さ、触っちゃお♡ ……んひぃぃぃ~♡ しゅごぃぃっ♡ 三五のお肌サイコオォ♡」
めっちゃ触られてる!
つ~か上半身を満遍なくペチペチ叩かれまくってる!
「弾力があって、ピチピチプチプチでイイ♡ 昇天しそぉぉ♡ こ~んなにヤバい行いが許されるだなんて♡ お嫁さん♂️になってヨカッタ~ッ♡」
許可を出した覚えはありませんけど!?
ア~ッ! アッアア~ッ!
攻めてくるじゃん! 湖宵、めちゃめちゃ攻めてくるじゃぁ~ん!
「三五、おうた歌ってよ! おうた!」
「た、旅ゆけば~♪ 駿河の国に茶の香り~♪」
「んキャアァァ♡ 良いお声ぇ♡ ボク専用のイケメンアイドルがぁ♡ 温泉でボクだけのために歌ってくれるなんてぇ♡ 天国すぎりゅうぅぅ♡」
バチャバチャバチャバチャバチャ!
やりたい放題じゃね~か。
でも湖宵の自由にさせてあげちゃう。
熱視線から身体を隠すこともしないし、ペチペチからも逃げたりしない。
これが惚れた弱みってヤツか。
「三五ってばお顔が真っ赤になってるぅ♡ キャ~ワイイィィ♡」
「こ、湖宵がめっちゃガン見してタッチしてくるからでしょうが!」
「んふふふふぅ♡ そんなこと言って全然抵抗しないクセにぃ♡ んひひひ♡ タッチタァ~ッチ♡」
「アァ~ッッ! アッアッアァ~ッ!」
修学旅行初日の入浴時、オレは男の子の時の湖宵との恋愛は主導権を握れるのが良い……などと宣っていたが、今や完全に立場が逆転してしまっていた。
確かにね? 湖宵の身体自体には興奮しないよ?
でもね? ここまであからさまにオンナとしての欲望迸る目で見られてしまっては、恥ずかしいやら嬉しいやらで頭が茹で上がってしまう。
てゆうか、迫ってくる湖宵の姿がこよいの艶姿とダブって見えてきた。
オレはもうダメかもしれない。
「うぅ……うううぅ~っ……」
何とかブッ倒れるまでにお風呂から上がることが出来た。
「は~♡ 気持ち良かったね~♡ 三五、おいでおいで♡ そろそろご飯の時間だよ~♡」
ズルズル、ズルズル。
湖宵に抱き着かれて引き摺られる様に宴会場まで運ばれていくオレ。
あたかもぬいぐるみの如く。
極限まで興奮しきった湖宵の瞳は妖しい輝きを放っている。
魔性の瞳に魅いられたオレは湖宵の言いなり状態だ。
これから一体どうなってしまうのだろうか……?