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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【裏話】湖宵とホモる (ド直球) 高校生活
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裏53話 はんなり☆京都デート♡ ③ プラプラ☆ノープランデート♡ 高二 二学期

 オレ達が定食屋さんで注文したのは当然、マイワシの塩焼き。


 水族館の水槽の中でトルネードしてる様を見た時からずっと食べたいって思ってたんだ! (告白)


 まずはお箸でほぐした身を一口パクリ。

 

 「んん~良いお味! 炭火でジュージューいってる脂が最高!」


 お醤油をチッチッとやった大根おろしもパクリ。


 「く~っ! 白身の味が引き立つねえ!」


 苦~い内蔵もホカホカの白飯と一緒にチマチマ食べるとクセになるんだよな。

 つまり全身丸ごと美味い!


 「大根おろし乗っけて~おしょ~ゆドッバァ~。あぐあぐあぐ。ん~ま~♪ お味がジュワッとお口に広がってんま♪ 皮もパリパリでんま♪ ちょっとにがにがなお味もんま♪」


 湖宵ったら丸ごとかじりついてるよ。

 コレ美味いからね。わかるわかる。


 京都のお魚で有名なものと言えば懐石料理でお馴染みのハモだろうか。

 けれどフラッと入った定食屋さんのイワシ料理だって京都を十二分に味わえると思うな、オレは。

 


 焼き魚ランチを堪能した後はまた駅前に戻ってブラブラとその辺のお店を冷やかす。


 と、言っても特に欲しい品物があるワケじゃない。

 オレ達のお目当てのものとは何か? 

 それは即ちトークテーマに他ならない。


 例えばCDショップに入れば 「今流れている曲、前に二人で聴いたよね♪」 「そうだったね。そう言えばあの時のデートで湖宵ったら……」 「やだ~♪ や~め~て~よ~♪」 みたいな。

 そのくせ買い物はしないっていう。

 なんて嫌なお客さんだろう。

 でも枯れ木も山の賑わいということで一つお許し願いたい。


 しばらくそんな感じでプラプラしていたら湖宵がポツリと呟いた。


 「そういえばボク、嵐山シュゼットってのが食べてみたかったんだよね~」


 「シュゼット? ってフランベして作るクレープだよね? ここら辺では食べられないの?」


 「何かね? 嵐山のは生地に八ツ橋の原料の米粉が使われてるちょ~スペシャルなはんなりクレープなの」


 ガイドブックやネットの特集で見て気になってたんだけど忘れてた~、とちょっと残念そうにする湖宵。


 「じゃあ今から嵐山まで行ってみる?」


 脊髄反射でそう提案するオレ。


 「それちょ~イイネ♪ じゃあ電車で食べる用のコロコロ手鞠飴ちゃんを買っていこ~よ♪」


 思い付きでJR嵯峨野線の電車に飛び乗り、十五分くらいかけて嵯峨嵐山駅へ。

 更に徒歩で十分くらい移動して嵐電嵐山駅へ。


 その駅前にはお土産屋 ・ 茶屋 ・ 京グルメなどの数々の老舗が軒を連ねる複合施設があって、こちらのフードコートで件のシュゼットが頂けるのだ。


 「コレコレ♪ コレが食べたかったの♪ いただきま~す♪ ぱくっ。んんん、ん~まぁ~♪ 米粉クレープもっちもちでんまぁ~♪」


 「温かくて甘酸っぱいオレンジソースと冷たくて甘いバニラアイスが絶妙なハーモニーを奏でている! (詩的表現) コレがシュゼットかあ」


 「クレープの上に乗っかってる八ツ橋もパリッパリで良いアクセントになってるね♪ んまんま大満足♪ ワザワザ来た甲斐あったね~♪」


 絶品☆スイーツ嵐山シュゼットを心ゆくまで味わい尽くしたら、来た時と同じ時間をかけて京都駅まで戻る。

 

 嵐山にも渡月橋を始めとした素晴らしい観光名所が目白押しなのだが、今日のデートの趣旨に沿わない為に泣く泣くスルーした。

 

 駅に着いたら目的も無くストリートをうろつくプラプラデートの再開だ。


 「あ、ねえ見てよ三五。 「Re-Fresh(リフレッシュ)」があるよ。京都にもあるんだね」


 「本当だね。地元にもあるお店が旅行先にもあると何故だかホッとするよね」


 Re-Freshというのは全国展開しているインターネットCafeのことで、オレと湖宵もたま~に利用しているのだ。


 「ねぇ~え~三五ぉ~♪ 湖宵、歩き疲れちゃったぁ~♪」


 「えぇ~? 湖宵、寄りたいの~? デートなのにネカフェに寄りたいの~?」


 「だぁってぇ、足休めたいしぃ♪」


 「じゃあカップルシートで休んじゃう~?」


 「うん♪ そ~しましょ~♪」


 てなワケで何の逡巡もせずにほぼノータイムでネカフェに入っていくオレ達。


 『ネカフェて! 何ちゅ~キレの無いデートプランだい!?』

 『京都には素敵なデートスポットが沢山あるのに!』

 『このカイショー無し!』

 『湖宵チャン、あんなにデートを楽しみにしてたのに! 可哀想!』

 『然り然り!』


 お~っと、幻聴が聞こえてきやがったぜぇ。

 ここいらで弁明でもしておくか。

 今日のデートのある意味贅沢な時間の使い方について、ね。


 オレこと高波 三五さんは自慢じゃあないが、閃きだけで世の中を渡っていけるような器用な人間じゃない。

 デートの前には綿密なプランを練りたい。そんな男さ。


 ここで本日のデートプランを紹介しよう。

 『初めての京都の街を湖宵と二人でプラプラする』 以上!


 ここで押さえておきたいのがテーマこそ 『街』 歩きだが、本日のデートの真のポイントは 『初めて』 の街を 『二人』 で歩くことだということ。


  例えばもし知らない場所を一人で歩くとするなら、知っているものは自分だけ。

 故にとことん自分自身と向き合い、見つめ直す事が出来るのだ。

 俗に言う自分探しの旅ってヤツだね。


 じゃあもしそれが二人なら?

 そう! とことんお互いと向き合い、見つめ合う事が出来るのだぁぁ! 


 ショップで商品を眺めている時も。

 小粋な京あめを口の中でコロコロしながら初めて乗る電車に揺られている時も。

 デリシャスなはんなりスイーツを食べている時も。

 どんな時もオレと湖宵はお互いに夢中だった。


 絡み合う視線。繋いだ手と手。紡がれる言の葉。

 プランこそショッパイが、コミュニケーションは花丸で超々限界突破!

 湖宵の瞳はもうキラキラのウルウルさ。


 こんなにメロメロ状態の湖宵と狭い空間で長時間二人っきりだなんて刺激的だぜ!


 ドリンクバーからジュースを一杯とストローを二つもらい、ストールも一枚拝借してからブースに入る。


 二人掛けのソファーに身体をピッタリ寄せ合い、深く腰掛ける。

 その上でストールにくるまると密着度はいきなりのMAXに!


 「ふあぁ~♡ あったかいぃ~♡ キクゥ~♡」


 トロトロに蕩けてちゃってる湖宵がソファーからズリ落ちないようにギュ~ッと抱っこしてあげる。

 すると湖宵はオレに全体重を預けてスリスリと胸に顔を押し付けてくれる。


 「甘えんぼの湖宵ちゃん、可愛いね♡」


 「~っっ♡」


 サラサラヘアーを撫でつつお耳に囁いてあげると、湖宵はゾクゾクゾク~ッと背筋を震わせる。


 「ね、ねぇ三五ぉぉ……も、もっとドキドキすること言って♡」


 あらら、味を占めたみたい。

 よ~し、もっと甘い言葉をいっぱい囁いてあげよう。

 周りのお客さんのご迷惑にならないように超小声で、つまり湖宵のお耳にキスできるくらいに唇を寄せて。


 「好き ・ だよ ・ 湖宵♡」


 「ひぁぁぁ~♡ うひぃぃぃ~♡」


 オレの腕の中でモゾモゾしちゃって可愛い。

 あんまり可愛いもんだからイタズラしちゃいたくなる。


 ストールの下の湖宵のフトモモを指でくすぐっちゃうぞ♡


 「ん~♪ 黒タイツの触り心地ってイイネ♪」


 こちょこちょ。こちょこちょ。


 「んあぁ~っ♡ くしゅぐったいぃ♡ きゃはははっ♡ のーないまやく分泌すりゅぅぅ♡ え~いっ反撃なのぉっ♡ こちょこちょ~っ♡」


 愛の言葉の囁き合い、顔がくっつく程の至近距離での見つめ合い、ストールで隠して秘密のくすぐり合いっこ。

 たっぷり一時間は楽しんだ。

 これで料金は二人合わせて八百円。

 充分にモトはとったね。

 PCの電源は点けてないしマンガも一冊も読んでないけど。


 

 ネカフェから出たらプラプラ再開。

 でもさっきのプラプラとは一味違う。

 一時間に及ぶイチャイチャの末のラブラブなプラプラなんだ!


 湖宵はオレの右腕にピ~ッタリ密着して一時も離れようとしない。

 街に、というかもう二人の世界に入り込んで仲良く語り合いながら歩く。

 

 ふと顔を見上げると日が傾いていた。

 そろそろホテルに戻る時間だ。


 だがその前に本日最後のイベントが行われる京都駅 · 大階段へと向かう。


 実はこちらの大階段には沢山のLEDライトが散りばめられており、季節やイベント毎に異なるバリエーション豊かなイルミネーションが見られるのだ。


 大階段が一面のスクリーンとなりグラフィックイルミネーションが次々に映し出されていく。

 京都の魅力を紹介するPVや可愛いキャラクター、そして今の季節限定の紅葉。


 薄闇のスクリーンが降りた中、恋人と寄り添ってみるイルミネーションは二人のムードを極限まで盛り上げてくれる。

 キラキラと輝くこの光のイリュージョンを、いつまでもいつまでも湖宵と眺めていたい。

 

 それでも時間は有限だ。

 この場所にいられる時間はあと僅かしかない。

 だけれどオレは湖宵になかなか 「帰ろう」 と切り出せないでいた。


 しばらくウダウダと葛藤した後に意を決して重い口を開こうとする……が、オレが何かを言う前に湖宵から声をかけられた。


 「ねえ、三五……こっち来て?」


 熱っぽい吐息を洩らす湖宵に手を引かれる。


 そしてオレは花の香りに魅せられた蜜蜂の様に、物陰へと誘い込まれてしまったのだった。

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