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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【裏話】湖宵とホモる (ド直球) 高校生活
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裏45話 ドキ♡修 ! ⑤ ! を合間に挟んでいく! 高二 二学期

 一日中観光した心地好い疲労感が身体を包み、オレ達修学旅行の生徒は何とも言えないフワフワした気持ちで京都の町並みを歩いていた。

 

 瞼の裏には今もライトアップされた紅葉の像がぼんやりと残っていて、それがフワフワ感に拍車をかけていく。


 バスに着くまでの短い間、小説の世界に迷い混んでしまったかの様なまったりした心持ちで夜道の散歩を楽しむ事が出来た。


 「三五さん♪ 皆さん♪ お帰りなさ~い♪ さあ、本日のお宿へ参りましょう♪」


 明るい電灯が点くバスの車内に入り、バスガイドの戸塚さんにお出迎えしてもらうと現実世界に帰って来たって気になるね。


 バスがホテルに着くまでリクライニングシートに深く座って束の間の休息と洒落こもう。


 …………………………。


 「三五さんっ! 明日のガイドもこの戸塚、いえ、このイコに! このイコにお任せ下さいね!」


 「は、はい、ありがとうございます、イコさん」


 「キャ~ッ♡ 三五さんに名前で呼んでもらっちゃったぁ~っ♡」


 いや、だって言外に名前で呼んでって “圧” がすごい出てたからさぁ……。

 良いのか? バスガイドさんが特定の生徒とこんなに親しく接してて。


 「ホラァァ! 早く降りるよ! 後がつっかえてんだからぁ!」


 例によって湖宵に引っ張られる形でバスを降りる。

 そしてホテルのロビーで解散の挨拶をしたら、またも例によってオレと湖宵は特別に用意してもらった二人部屋へと向かうのだった。


 「それじゃあ繊月(せんげつ)さん、また後でね」

 「イチャイチャしすぎて時間忘れちゃダメよん♪」

 「イチャ……はわわわっ。い、一緒にご飯食べてくれますよね? 抜け出したりしませんよね? ね?」


 「ちゃんとご飯食べに行くからっ! 小海ちゃん、ユイちゃん、だいずちゃん、また後でねっ!」


 「「「は~いっ♪」」」


 湖宵ってば今日一日で本当に女子達と仲良くなったなあ。

 ま、これからはオレが湖宵と仲良くするターンなんだがな。 (ゲス顔)



 部屋に着いたら荷物を下ろして、パジャマ兼用の学校指定ジャージに着替える。


 早速お楽しみのお風呂タイムとなるワケだが、今日泊まるホテルには個別の露天風呂は付いていない。

 なので貸し切りの小さな露天風呂に入らせてもらう事になった。

 いわゆる家族風呂ってヤツだ。


 「あぁ~♡ 三五と一緒に家族風呂♡ 夫婦(♂×♂)で一緒に混浴♡ んあぁ~♡ 滾りゅうぅぅ♡」


 くねくね悶える湖宵。

 ドキドキシチュエーションが乙女心をガンガン揺さぶってるね。


 オレは今のうちにズバッと脱いで洗い場で待っていてあげよう。



 カラカラカラカラ……。


 「おお~っ! イイじゃんイイじゃん!」


 昨日の檜風呂とは違い今日は岩風呂だ。


 竹垣でキッチリ仕切られてはいるものの、狭さを感じさせない自然と調和した造りとなっている。

 空を見上げればまん丸のお月さんが。


 装飾も凝っていて竹製ランタンが柔らかい光でお風呂場を照らし、大きな和傘なんかも設置されていて、この上無く旅情を盛り上げてくれる。


 カララララララ……。


 「し、失礼しますぅ~」


 おっと、お姫様♂のご登場だ。


 「湯舟に浸かる前に背中を流してよ、湖宵♪」


 「うえぇぇ~っ!? そ、そそそ、それぐらいなら……セ、セーフ? でも、い、言っとくけどそれ以上のことはしないかんね! 小海ちゃん達と顔合わせ辛くなっちゃう!」


 ほほ~。言うねぇ、湖宵。

 ならば誘惑するような言動は今は控えよう。

 だが、どこまで意地を張っていられるかな? 

 クックック。


 「ああ~……さ、三五のお背中やっぱり大きい♡ こんなに近くで見られてゴシゴシ出来るなんて……ちょ~ドキドキすりゅぅぅ♡」


 「ふう、気持ち良かった。次はオレが湖宵の背中を流す番だね」


 「あっあ~♡ しゃんごのお手々のあたたかみが伝わってきてぇ~♡ 幸せでトロけそうぅ~♡」


 ちょっと背中の流しっこしただけでコレだ。

 ワザワザ誘惑なんてしなくってもセルフでドキドキしてくれるんだから世話無いぜ。


 良い気分でザブンとお湯に浸かり、グ~ッと手足を伸ばす。


 「くうぅ~♪ 疲れがお湯に溶けていくみたいだ。こりゃ極楽だね」


 「そ、そうだね~……三五ぉ……」


 身体を隠しながらチャプンとお湯に入り、そう言う湖宵だったが全くの上の空。

 その視線はチラチラッとオレの身体に注がれている。

 フッフッフ。ドキドキしてるドキドキしてる。


 優越感といったらちょっと違うかもしれないが、湖宵にこんな風に男として意識してもらえると満ち足りた気分になる。

 あ~、輪をかけて良い気持ちだなっと♪


 「なんかムカつくぅぅ! 今に見てなさいよ! 真の姿になった暁には家族風呂でちょ~誘惑してやるんだかんね!」


 そりゃあ望むところだぜ。

 こよいと家族風呂かぁ……おおっと、いけねぇいけねぇ。

 そんな想像をしちまったら、たちまちのぼせてしまうぜ。


 「まあそんなカッカしないで。お月見しながらのんびりしようよ、湖宵」


 「むぅぅ……確かに綺麗なお月様だけどさぁ……ボク今、それどころじゃないんですけど!」


 何だかんだ言いながらも、まったり寛いでリフレッシュしたオレ達なのだった。



 お風呂の後は夕ご飯。

 今日は昨日より広い宴会場で食事をするみたいだ。


 「繊月(せんげつ)さ~ん、こっちこっち」

 「今日のご飯もゴーカよ♪」

 「わ、私のお隣にどうぞっ!」


 「え、えっと……」


 湖宵がチラッとオレの顔を覗いてくる。

 

 「行っておいでよ、湖宵」


 「う、うん! ありがと、三五!」


 女子達がせっかく誘ってくれたので背中を押してあげる。

 オレは男連中と食いますか。


 さ~て、今日のメニューは何かな~?


 「うお~っ! 真鯛の鯛めしだぁぁ!」

 「鯛のお造りもあるキィ!」

 「鯛のアラ汁! 見るからに美味そうだ!」

 「鯛の南蛮漬けに茶碗蒸し! おいおい、どんだけオレらに鯛を食わせたいんだい!?」


 まさかの鯛尽くし!

 良いのか~い? 学生の身空でこんなに贅沢しちゃってさあ? 

 ダメって言われても、もう遅いぜ!

 食うぜ食うぜ~っ!


 「「「「いただきま~す!」」」」


 「鯛めし美味ぇ! 土鍋で炊き込んだ白米に鯛の味が染みていくらでも食える! ほぐれた白身と一緒に食うと更に箸のスピードが上がる!」


 鯛の味ってマジで日本人の味蕾に直撃するよね!


 「お造り美味いキィ! つ~か山葵が美味いキィ! すりおろしの本山葵だっキィ!」

 「うわ~! アラ汁の美味さがオレの想像を越えてきた! 白出汁の味が上品過ぎる! ワケわからん程美味い!」

 「小鉢にも鯛が! 酢味噌で和えた鯛の皮めっちゃ美味い! これ箸休めにならないわ! 箸超忙しい!」


 皆めちゃめちゃ食ってる! 


 「茶碗蒸しトロトロんまんま~♪」

 「お造りがお口の中ですぐトロけちゃう♪ もっと味わっていたいのに♪」

 「南蛮漬けのお野菜も美味し~♪ ネギがシャキシャキ♪」

 「湖宵チャンさま! 鯛めしのお代わりはいかが? 私、おつぎしますね♪」

 「だいずちゃんありがと~♪」


 女子達も仲良く食べてる。

 一つの土鍋の鯛めしを分けあって食べてる姿にほっこりしてしまうね。


 一日観光して回ってお腹が空いてたってのもあるが、今日の晩飯はあまりにも美味過ぎた。

 あっという間に食べ終わって空っぽになった食器を皆で仲良く片付ける。


 ご馳走さまの挨拶をしたら今日はこれで解散……ではないんだな。

 

 何と今からこの宴会場のステージで舞妓さんが三味線と舞踊を披露してくれるというのだ。


 皆でワクワクしながら待っていると、綺麗な振袖を着た二人の優雅な舞妓さんが壇上に現れた。


 「おお! 何て綺麗な着物なんだ!」


 オレも文化祭では花魁の高波太夫でございとかほざいていたが、その時着ていた着物とは雲泥の差だ。

 色鮮やかで華やかなので思わず歓声を上げてしまった。


 「ジ~ッ……」


 はっ! ヤバい! 湖宵がこっち見てる!

 また焼きもちを妬かせてしまったか!?


 「三五ってさぁ、お着物が好きなの?」


 「そう! 着物がね! 着物が好きなんだ!」


 「そうなんだぁ~……」


 そう言うと湖宵は舞妓さん達の方に向き直った。

 焼きもちを妬かせたワケではないみたいで一安心。

 オレも舞妓さん達のお座敷芸に注目しよう。 


 ベン♪ ベベン♪ ベン ・ ベンベン♪ ベベンベンベン♪ 


 片方の舞妓さんが三味線を弾きながらゆったりと唄い始めると、もう片方の舞妓さんは曲に合わせてヒラヒラと振袖を宙に遊ばせるように舞い始める。


 何て洗練された旋律。何て淀みの無い舞い。

 昨今のPOPな音楽に慣れ親しんだ我々ティー ↑ ンズの瞳には、舞妓さん達がまるで妖精の様に希少で可憐な存在に映った。

 この場に居る誰もが彼女達に見惚れていた。


 ステージが終わると舞妓さん達が壇上から下りてきてくれてオレ達と直にお話をしてくれた。

 何でも彼女達は実はオレ達と同年代で、オレ達が高校などに通って居る間に日本の伝統芸能を継承すべく、日夜厳しいお稽古に励んでいるのだとか。

 これにはビックリ。もっと年上のお姉さんだとばかり思ってた。


 お話の後は皆と一緒に集合写真まで撮ってくれた。

 舞妓さんってサービス良いな!


 ちなみに大はしゃぎするかと予想されていた PANSY(パンジー) は意外にも大人しくしていた。


 「舞妓さんはアイドルなのキィ。アイドルのパフォーマンスの邪魔をしたら出禁キィ。二度と近寄れなくなるキィ。もうあの過ちは二度とは……」


 過去に何かがあったらしい。


 舞妓さんにお礼を言ってお見送りをしたら解散のお時間だ。


 「湖宵チャンさまぁ! 私達のお部屋にお泊まりしてくれませんか!? もっとお話したいですぅ!」

 「私も繊月さんとなら同じ部屋でも構わないわよ。まあ先生が許せばだけど」


 「アハハ……そ、そう言ってもらえるのは嬉しいんだけどぉ~……」


 湖宵が寺崎さんにぎゅ~っとしがみつかれている。

 よっぽど気に入られているんだな。


 「まめまめ (寺崎 だいずの愛称) 、こみこみ、ダメよ。湖宵チャン……こよこよは大好きなダーリンとお泊まりしたいんだから♪」


 「こ、こよこよ!? え、えっと、まあユイちゃんの言う通りなんだけど……」

 「私のアダ名と少しカブっているわね」


 中野さんが寺崎さんを引っぺがしてくれた。

 意外と彼女が女子グループのまとめ役なのかもしれないね。


 「い、行こう、三五。じゃあ三人共、また明日ね! お休み!」


 「「お休みなさ~い♪」」

 「うう……湖宵チャンさまぁ……お休みなさい……」


 三人娘とお別れして部屋に戻れば、完全にオレと湖宵の二人きりだ。

 今夜もたっぷり可愛がってあげるからね、湖宵♪


 「あ、あの、ちょっと準備するから待っててもらっていい?」


 「へ? う、うん。どうぞ?」


 カバンを持ってバスルームへ入る湖宵。

 出鼻を挫かれてしまった。

 準備ってなんだろう? オレに反撃する為の秘策?


 考え込んでいる間にバスルームの扉が開かれた。


 「お、お待たせ、三五」


 「こ、湖宵、その格好は……?」


 湖宵は学校指定のジャージから白地に水玉模様の浴衣に着替えていた。


 「家から持ってきたの。少しでも三五の目を楽しませられたらなぁ~って思って」


 はにかむ湖宵のいじらしさに胸を打たれる。


 「ありがとう、湖宵。とっても嬉しいよ」


 可愛いお嫁さんを優しく抱き締める。


 「あっ♡ 三五……」


 反省した。

 今日はベタベタスキンシップしたり、心を乱すような事を言ったりしない。

 

 「眠くなるまでお話しして過ごそうね、湖宵」


 「ふ、ふわぁ♡ そんな風に優しくなでなでされたら、すぐに眠くなっちゃう♡」


 気持ち良さそうに目を細める湖宵の唇に甘~く唇を重ねる。


 舞妓さんのお唄の様に、優雅にゆったりと愛を語ろう。

 オレの愛しい湖宵。  

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