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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【裏話】湖宵とホモる (ド直球) 高校生活
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裏44話 皆で修学旅行~! ③ ! 皆で京都さんぽ! 高二 二学期

 ランチを食べ終わったオレ達修学旅行の生徒はお行儀良く並んで参道を歩く。


 目に飛び込んでくるのは情緒溢れる京都の町並み。

 伝統的な和の建築の町家が綺麗に並び、地元とは全然違うレトロでモダンな雰囲気を醸し出している。


 特に目を引く特徴といえば町家の軒下に設置されている “犬矢来(いぬやらい)” だろうか。

 犬矢来とはゆるやかなカーブを描く竹製の柵の様なもので、犬のおしっこやら何やらから家の壁を守る為にあるそうだ。

 しかしながらまるで装飾の様な優美で風情のあるデザインをしているので、思わず小粋な小路にフラフラッと入って近くで鑑賞したくなる。


 まあやらないけどね。

 だって観光客がわんさか一杯で押し合い圧し合いしているから。


 清水坂に入った頃には更に人が増えた。

 何せ周りには定番のお土産を沢山取り扱っているお店や京グルメが楽しめるお店があるからね。


 足元の素敵な石畳をおちおち眺めてもいられないぜ。

 亀の歩みで清水坂を上りきると清水寺の入り口 · 高さ十メートル以上の仁王門がオレ達を出迎えてくれた。


 「おお~デッカい! それに真っ赤だ!」

 「赤じゃなくて朱色よ、高波君。丹塗(にぬ)りっていって伝統のある塗装技術で塗っているからあんなに鮮やかな色になるのよ」


 「三五、皆、見てみて♪ 可愛い狛犬ちゃんがいるよ♪」

 「ホントだ♪ お口をアーンッてしてて可愛いですね♪」

 「繊月(せんげつ)、寺崎、仁王像にも言及してあげて!」


 門をくぐって本道に向かってズンズン進んでいくと仁王門より二倍以上背の高い三重の塔が見えてきた。


 「うわ~大っきいね♪ 其に色も綺麗♪ さっき小海ちゃんが教えてくれた丹塗りってヤツだね♪」

 「ゴージャスでイイ感じ♪ 写真撮っちゃえ♪」

 

 「屋根の南東角にも注目だキィ。龍神の鬼瓦がカッコいいキィ!」

 「えぇ……博識……。意外過ぎる……」

 「PANSY(パンジー) は女に関わりさえしなければ優秀なんだよ、八重津」


 あちこちにある名所をもっとじっくり鑑賞したいところだが、後から後からやってくる観光客に押されては前に進むしかない。

 慌ただしいというか、少し窮屈な感じがするのは否めない。


 だがそんな不満もいざ清水の舞台に立つと吹っ飛んでしまった。


 「うお~っ! 街が一望できる! 凄い景色だぁぁ! つ~か紅葉がヤバい! 一面真っ赤だ! 木ィ何本あんのコレ!?」

 「ウキキ。約一千本らしいキィ」

 「う~いw 落ちちゃうぞ~w」

 「ちょw 押~す~な~よ~w」


 男子達のテンションはMAX!

 それもその筈。

 晴天を仰げる開けた景色。

 そこから眼を下にやれば整然とした京の街と錦雲渓の紅葉の海が!

 これぞ絶景中の絶景!


 「もぉ~、三五ったら。そんなに乗り出しちゃダメだよ」

 「アナタ達もふざけていたら周りの迷惑よ」

 「高波君てケッコーお子ちゃまねw ビビッて損したw」

 「ユイちゃんw わ、笑っちゃ、ダメですよw」

 

 女子はドライだな、オイ。

 冷静にたしなめられてしまったぞ。

 やっぱり男子よりも女子の方が大人なのかなあ。


 「ホラ、行くよ」 みたいな感じで女子に連れられて清水の舞台を後にするオレ達。


 舞台を抜けて左手に向かって進むと地主神社がある。

 大きな円に 「縁」 と書かれた看板が目印の、縁結びの神様をお祀りしている神社だ。


 「キャ~♡ ラブラブ世界遺産キタァ~♡ お参りしなきゃ~♡」

 「お、お守りも買わなきゃ! か、勘違いしないでね! お土産だから! 頼まれただけだから!」

 「わかってるって~♪ こみこみ~♪」

 「わ、私も湖宵チャンさまとお参りします!」


 えええぇ~!? 

 さっきまであんなにクールだった女子達が大はしゃぎし始めた!


 おや? 光の速さでお参りを済ませた湖宵がダッシュで戻ってきたぞ?


 「三五! こっち来て! “恋占いの石” っていうのがあってね! 二つで一セットになってて、片方の石からもう片方の石まで目をつむったまま歩いていけたら恋が叶うんだって! 一緒にやろ!」


 「あのさぁ~、オレ達の恋ってもう叶ってるんですけど?」


 「んもおぉぉ~! いつまでも仲良くいられるように神様にお願いするのぉ~! あああぁぁぁん!」


 ヤバい! 湖宵がぐずりだした!


 「わかったから! やるから!」


 「ホント? じゃあこっち来て♪」


 満面の笑み! 湖宵、現金すぎる!


 「石から石まで約十メートル……ボクの歩幅が約七十センチだから……」


 そして湖宵、本気度が高過ぎる!


 シュタタタタッと速歩きで誰の力も借りずに向こうの石まで辿り着いてしまった!


 「イエイ! クリア~ッ!」


 次はオレの番か。

 石の前に立ち、目をつぶる。何も見えない。

 う~ん、オレにはちと難しそうだぞ。


 「は~い、三五、こっちだよ♪ おいで~♪」


 ん!? オレ、湖宵に手を引かれてる!?

 これズルじゃね!? ……と思ったけど恋のお相手に手助けしてもらうんだからアリなのか?

 はい、オレも楽々クリア、と。


 恋占いの石の他にも “銅鑼の音祈願” や “撫で大国” といった色々な願掛けがあって全部に付き合わされた。

 でもそれだけ湖宵がオレを想ってくれているという証拠だから悪い気はしないね。



 女子達が満足してホクホク顔になったら次の目的地 「音羽の滝」 へ。

 音羽山から流れてくる清水が三本に別れて落ちてきて、それぞれ学業成就、恋愛成就、延命長就のご利益があるという。


 「てりゃ~っ!」


 湖宵ってば柄杓をシュパッと素早く動かして、三本の水をいっぺんに汲んじゃった。


 「はい、三五! スーパーご利益ウォーターだよ! 飲んで!」


 う~ん、相変わらず無茶苦茶するな。

 良いのか? こんな事して……。


 「あの~、ご利益があるのは一つだけですよ? 欲張るとご利益が無くなってしまうんです」


 「ええぇ~!? そうなんですかぁ~!?」


 愚行を見かねた隣の観光客の方が親切に教えてくれた。

 やっぱりズルはダメなんだね。


 「私も似たような事やるトコだったわw」

 「恋愛! 恋愛成就の水はどれキィ!?」


 大人しく作法を守ってお水を頂き、清水寺から出るオレ達。



 ドンドン行くぜ! お次は三十三間堂だぁ!

 でも清水寺からは結構歩く必要があるので、カフェに入って一休みを挟む。


 「白玉抹茶パフェんま~♪ コロコロの栗ちゃんがいっぱい入っててんま~♪」

 「和の甘味といえば、あんみつよね。あんこが上品で良いお味♪」

 「宇治抹茶ティラミスなんてのもあるわよ。滑らかチーズクリームで抹茶の渋みがまろやか♪ ちょ~マッチ♪」

 「う゛あ゛~! 抹茶ラテ頼んだら子犬ちゃんのラテアートがっ! こんなの可愛過ぎて飲めませ~んっ!」


 女子達がスイーツを食べながらよもやま話に花を咲かせている。

 色々な種類のスイーツをわけっこしてパクパク食べているけれども大丈夫か?

 ここのお店はサービス満点で一つ一つの量が結構多いんだけど。

 オレなんかはもう口の中が甘ったるくてもう食べられない。


 「高波、千枚漬け食べるか?」

 「柴漬けもあるでよ」


 「お~っ! サンキュー、二人共!」


 甘いものは女子達に任せてオレ達男子は本場京都のお漬け物を楽しむとしますか。



 ティータイムが終わるといよいよ三十三間堂へ!


 見所はずら~っと並んだ沢山の千手観音像! その総数、何と一千と一体!

 何でもお顔の造形がそれぞれ異なり、自分が今会いたい人と似たお顔が必ず存在するとか。


 「お~、これは壮観だね、湖宵」


 「そ~だねぇ~、さんごぉ~」

 「ふわぁ……っと。しつれい」

 「はぁ~、イイ気持ち~♪」

 「幸せです~♪ く~……」


 女子、お腹いっぱいになって眠くなっちゃってるし!

 それこそ観音様みたいに安らかな顔しちゃってるし!


 「ウキキィ♡ 美少女達の無防備な表情、そそるキィ~♡」

 「ゼロワン! ゾーンプレスだ!」

 「よしきた! ゼロツー!」

 「ウッキイイィ~ッ!?」


 男子はうるせ~!

 全体的に空気が弛みきってる!


 でもまあ仕方ないか。

 もう夕方だしね。流石にダレてもおかしくない。


 日本一長~い木造建築物である本堂や風神 ・ 雷神像といった数々の国宝をボケ~ッとアホ面で眺めるというのも贅沢な旅の楽しみかた……と、言えなくもないかな?


 

 ダ~ラダラ観光し終わって外に出ると、辺りはもう真っ暗。


 オレもそろそろバスへ帰りたくなってきたが、最後にもう一ヶ所行く所がある。


 気力を振り絞って歩き、本日最後の観光スポット ・ 高台寺へと到着する。


 ここの庭園ではライトアップされた紅葉を見ることが出来るのだ。

 光に照らされた紅葉が闇に赤色や黄色に、常緑樹が緑色に光ってとてもカラフルだ。


 庭園自体もとても広くて美しく、大きな池が二つもある。

 臥龍池の水面に映る光輝く紅葉があまりにも鮮明で幻想的だ。

 

 「綺麗だね……三五」


 湖宵がぎゅっとオレの手を握ってくる。

 暗闇とはいえ、周りに人が沢山居るのに大胆だ。

 ロマンチックな雰囲気が湖宵をそうさせるのだろう。


 かくいうオレも雰囲気にあてられてドキドキしてきた。

 湖宵の手を握り返し耳元に顔を近付けて囁く。


 「今夜もいっぱい仲良くしようね、湖宵」


 「も、もおぉ……三五のバカァ」


 誰もが光の芸術に目を奪われているなか、オレだけは湖宵の恥ずかしがりながらも嬉しそうにはにかむ顔を堪能することが出来た。

 そんな顔をされてはたまらない。

 

 フフフ、今夜の逢瀬が今から楽しみだ。 

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