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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【裏話】湖宵とホモる (ド直球) 高校生活
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裏43話 皆で修学旅行~! ② ! バスガイドさんは実は……? 高二 二学期

 京都へは観光バスで向かう。

 クラス毎にワイワイとバスに乗り込んだら出発の準備はOK。


 オレと湖宵は一番前の席に並んで座る。

 ウキウキ ↑ ↑ アゲアゲ ↑ ↑ だぜ!


 

 ブロロロロロロ……。



 バスが発車した。

 と、同時にマイクを片手に持ったバスガイドさんが前に出てきて挨拶してくれる。


 「はぁい♪ 皆さんこんにちは~♪ 私は皆さんのガイドを務めさせていただく、戸塚と申します♪ 本日はよろしくお願いしま~す♪」


 バスガイドの戸塚さんは明るくて笑顔の似合うお姉さん。

 ハキハキした喋り方は聞いていて凄く気分が良い。


 「ウキキィ! バスガイドさんめっちゃ美人だっキィィ~ッ! ウキィ♡ ウキキキィ♡」

 

 聞いていると気分が悪くなるような奇声が後ろの席から響いてきた! 

 また PANSY(パンジー) の病気が出やがったか!


 「ゼロツー! 左を押さえ込め! オレは右を!」

 「OK! ゼロワン!」


 「ウッキッキィィ~ッ!?」


 おお! C(チンパン)T(ツレ) 01 ・ 02 がナイスコンビネーションでPANSYを押さえつけてくれた!

 パチパチパチパチ!

 思わず拍手を送ってしまう程のファインプレー!


 「ウフフ♪ お姉さんが美人だから緊張しちゃったのかな? でもね? 男子の皆さん、固くなる必要なんて無いんですよ? 何故なら……」


 戸塚さんは悪戯っぽい微笑みをたたえつつ、たっぷりと溜めを作ってこう言い放った。


 「バスガイドのお姉さんこと、この私は実は元男の子! そう! Q極TS女子だったのです!」


 「「「えええ~っ!?」」」


 これにはビックリ!

 まさか旅先でQ極TS女子の方に出会えるなんて!

 

 基本的にQ極TS女子の人は大っぴらに自分のことをQ極TS女子……元男子だなどと言ったりはしない。

 だけどバスガイドの戸塚さんはその事実をツカミの挨拶にしているみたいだ。

 オレ達は正に彼女の狙い通りの驚き声を上げてしまった。


 ただ、全ての生徒が戸塚さんの狙い通りのリアクションをしたワケじゃない。


 「ボ、ボクもっ! ボクもQ極TS女子なんですぅ!」


 湖宵だけは自分と同じ境遇にいる女性と偶然巡り会えた幸運に歓喜の声を上げていたのだ。


 「ええ~っ!?」


 今度は逆に戸塚さんの方が心底驚かされる番だ。


 「ちょちょちょ、それって皆さん知っているんですか!? Q極TS女子は色んな意味で世間の注目の的なんですよ!? が、学生時に既にQ極TS経験があるなんて知られたら大変なんじゃあ……?」


 ずずいと湖宵に詰め寄る戸塚さん。

 出会ったばかりの湖宵に対してこんなにも親身になって心配してくれるなんて……。

 オレ達のバスガイドさんが戸塚さんで本当に良かった。


 「大丈夫! カミングアウトは済んでますよ! それに仲良くしてくれる女子のお友達も出来たんです!」


 「付き合ってみると繊月(せんげつ)さんが女の子らしい子だって良くわかったし、話題に事欠かないのは以前からの事だしね」

 「そうそう♪ 面白ければオールOK♪」

 「むしろ憧れの湖宵チャンさまとお近づきになれたから、Q極TSしてくれて良かった! という説も囁かれています!」


 「えぇ~……最近のティー ↑ ンズは柔軟性が高いんですね……」


 もちろん皆が皆、八重津さん達みたいに受け入れてくれた訳じゃない。

 裏でヒソヒソ噂をされたり、腫れ物を触るような扱いを受けて、時には傷付く事もあった。

 

それでも自分の心に正直に生きると吹っ切れた湖宵は学校でも自然な振る舞いをするようになり、イキイキとした表情をするようになった。

 おかげで八重津さん達とも友達になれたんだから、やっぱり湖宵の選択は間違ってなかったんだと思う。



 「それにね♡ ボクには何があっても優しく守ってくれる旦那さま♡ がいるんでぇぇす♡」


 湖宵が胸に寄りかかってきたのでそっと肩を抱く。


 「どうも。湖宵の旦那の三五です」


 「だっ、旦那さま!? こっ、婚約者ってことですかぁぁ!?」


 「気持ちの上ではもう結婚してます」


 「勝ち組ぃぃ!? 肩を抱く仕草がとても自然だった……もしかして男の子の時でもイチャ……えっと、特別に仲良くされてるんですか!?」


 「そ~なんですよぉ♡ 三五ったら、ボクが 「またQ極TSするまでは友達のままだよ」 って言っても聞いてくれなくてぇ♡」


 湖宵の批判!

 でもそんなに嬉しそうに言うからノロケにしか聞こえないぞ。

 湖宵がそんな風に構ってチャンの誘い受けだからオレが調子に乗っちゃうんですけど?


 「うっ、羨ましいぃぃ!」


 崩れ落ちる戸塚さん!


 「でもでもっ! 私には仕事が! 仕事があるからぁ! ううぅ、皆さんがこれから向かう清水寺はぁ! 1994年に世界遺産に登録されててぇ! 有名な清水の舞台はその建築に釘が一本も使われていないんですぅ!」


 おおお。立ち直ってガイドを再開したぞ。

 喋っている内にみるみる元気が出てきたみたいで笑顔満開でお話をしてくれる。

 戸塚さんがバスガイドといい仕事がとても好きだという事が伝わってきて、こっちまで嬉しくなってくる。

 この華やかな仕事は彼女に良く似合っている。


 おかげでバス移動の時間を楽しく過ごす事が出来て、目的地に着くまでの時間があっという間に感じられた。


 

 「はぁい♪ 到着致しました~♪ 皆さん、気を付けて降りて下さいね♪ それじゃあ元気に行ってらっしゃ~い♪」 


 う~ん。なんて爽やかで溌剌としたガイドぶり。

 バスを降りる前に一言、挨拶がしたいぞ。


 「戸塚さんのガイド、とても良かったです。また京都のお話を聞かせて下さいね」


 「は、はひぃぃ♡ この戸塚 イコ、この私、戸塚 イコは! 三五さんの旅が素敵なものになるように精一杯務めます♡ だから早くこのバスに戻ってきて下さいね♡」


 おおおう。何たる好感触。

 自分がQ極TS女子にモテるのを忘れていた。

 下の名前まで教えてもらっちゃったぞ。


 「もう、三五ったらぁ! ホラ、降りるよぉ!」

 「こ、湖宵! 引っ張ったら危ないよ!」


 「モテ神羨ましいキィ! ウキィ! ウキキィ!」

 「ゼロワン!」 「ああ! ゼロツー!」


 「なるほど。今まではフィルターがかかっていて良くわからなかったけど、高波君って普通にいい人なのね」

 「ちょっと天然っぽいけどね~♪」

 「私も天然になったら湖宵チャンさまともっと仲良く……? って、あわわ! 早く降りなきゃ!」


 ワイワイぞろぞろバスを降りて、いざ向かうは清水寺! ではなく近くの大食堂。

 もうお昼だからね。

 元気に観光する為にはパワーを補充しないとね!


 本日のランチは関西出汁のうどん。

 たっぷりの湯葉やお麩が入っていて、とても上品な一杯だ。


 「はぁ~、こりゃ良い出汁だ。色は薄いのに魚系のパンチが効いた味がスゲーする!」


 「湯葉も合うよね~♪ とろとろ~んとしててめっちゃクリーミー♪」


 味わい深いのに食べ応えはとてもアッサリとしていて箸が止まらない。 

 あっという間に器が空になってしまった。


 正直、もっと食べたいなあ。

 オレだけじゃなくPANSY達、他の男子も食べ足りなさそうにしている。


 「ダメだよ、三五。後でカフェでお茶するんだから、今お腹いっぱいにしちゃ」


 「京都の和スイーツ♪ どれ食べようか今から迷っちゃうよね♪」

 「こ、湖宵チャンさまと交換こして食べたいな♪」


 食後に即行でガイドブックを持ち寄ってスイーツの話題できゃいきゃい盛り上がる女子達。

 和スイーツか~。


 「オレは生八つ橋が食べたいな。チョコのやつ」

 「ボク、カスタード~♪」


 「ちょっとアナタ達! あんなニッキじゃなくてシナモンを使った八つ橋なんて、私は認めないわよ!」

 「八重津w 謎のこだわりww」

 「こみこみのツボって独特だよねw ウケるw」


 こうやって皆と話しているのも楽しいが、いつまでもこうしているワケにはいられない。


 さあて、そろそろ次なる目的地 · 清水寺へと向かうとしますか!

 

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