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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【裏話】湖宵とホモる (ド直球) 高校生活
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裏42話 皆で修学旅行~! ① ! 湖宵のお友達! 高二 二学期

 「ねえ、三五聞いて! 女子の皆といっぱいお話しして、すっごく仲良くなれたんだよ!」


 ニコニコ顔の湖宵がオレの側までやって来て、嬉しい報告をしてくれる。


 「うぉ~っ! 快挙じゃん! 湖宵に女友達が出来たのって幼稚園以来じゃない!?」


 何せ湖宵は小学校に上がった頃には既に女子から秋波を送られていたからな。


 「繊月(せんげつ)さんとは以前からゆっくり話をしてみたかったわ。女の子の心を持っているんだもの。きっと話が合うって思っていたわ」


 彼女は女子グループの一人、八重津(やえつ) 小海(こみ)さん。

 クールな雰囲気の少女で、湖宵の内面を見極めようとする冷静な判断力を持っているようだ。


 「フツーにイイコだしね~、湖宵チャン♪」


 あっけらかんと湖宵を認めて仲間に入れてくれたのは、中野 ユイさん。

 明るい雰囲気のムードメーカーだ。


 「湖宵チャンさまがQ極TS女子だって初めて知った時はガッカリしちゃったけど……今は本当の気持ちを知れて良かったって思います!」


 こちらの寺崎 だいずさんは湖宵 F(ファン)C(クラブ) の会員だった人。

 王子様への憧れを変に拗らせたりせずに素直に湖宵と仲良く接してくれる、とても有難い存在だ。


 この三人が旅を通じてもっともっと湖宵と仲良くなってくれれば良いと切に願う。

 その為にも……。


 「ウキィ~♡ オレらの学年でトップクラスの綺麗どころと一緒なんて~♡ ラッキッキィ~♡」


 このチンパンから三人を守らねば!

 インターセプトして童貞チンパンの両肩をガッ! と掴む。


 「ウギギィ~! 痛ぇギィィ~!」


 「貴様、湖宵のお友達を不埒な目で見る事はオレが許さんぞ!」


 「あら。高波君、ありがとう」

 「男らし~♪ 頼りになる~♪」

 「湖宵チャンさまの王子様ですもんねっ!」


 「フフフ~♪ ね、三五はとっても紳士でしょ? 言った通りでしょ?」


 おおっ! 女子グループの皆がオレの背中に隠れてくれた! 

 この頼られてる感、男冥利に尽きるぜ!


 「ムギギィィ~! モテ神がモテてるギィ! 羨ましいギィィ!」


 「だったら態度を改めて女子にお話してもらえるように努力しろ! オレも協力するから」


 「ム、ムギギィィ~! モンキッキィィ~ッ!」


 懊悩する童貞チンパンジー。

 いや、こんな呼び方は奈良 · 京都の景観を損ねるな。


 「よし、今日からお前の名は PANSY(パンジー) だ! 良い機会だから生まれ変わろうぜ? 花を咲かすんだよ!」


 加えて 「チンパンジー」 から余計なものを取れ、というダブルミーニングでもある。


 「わ、わかったキィ~。 オレもカワイイ女の子と話したいキィ~」


 やっぱり女子に遠巻きにされてしまうのは悲しかったし、普通に接してもらえると嬉しかった。

 それをPANSYにも教えてやりたい。


 「まあ普通に話し掛けてくれるのなら、普通に会話するのも吝かではないわ」

 「カワイイって言われること自体は悪い気しないしね♪」

 「う、うん。そうですね」


 「が、頑張るキィィ!」


 PANSYが前向きになった!

 やっぱ皆優しいな。あんな醜態を晒しまくった猿野郎と話す機会を作ってくれるなんて。


 「PANSYかあ。良いアダ名だな」

 「モテ神ィ、オレらには何か無いのか?」


 「お前らは C(チンパン)T(ツレ) 01 · 02だよ」


 「シーティーゼロワン!? 何それヤベえカッケえ!」

 「SFみを感じるぅ~! イイネ!」

 

 ええ~……? 数字で管理してるだけなのに気に入るのかよ……。

 まあ良いや。猿も大人しくなったところで、改めて観光するとしようか。

 皆揃ってLET'S GO GO!



 オレ達男子グループの心を一番引き付けたのは、何と言ってもクールな仏像の数々だ。

 白を基調にした真新しい国宝館に安置され、ライティングされた仏像はメチャクチャカッコいい!


 特に千手観音菩薩像には目を奪われた。

 何てったってデカさが違う!

 像の高さはなんと、驚異の五メートル越え!

 四十二本の手に沢山の宝物を携えて優雅に立つそのお姿からは、オレ達のような仏教にも彫刻にも明るくない学生にさえ、その荘厳さ、神々しさといったものをビシバシと感じさせてくれる。


 後、仏像の何がカッコいいかっていうと、名前がカッコいいんだよな。

 「板彫十二神将立像(いたぼりじゅうにしんしょうりゅうぞう)」、「四天王立像(してんのうりゅうぞう)」……男心をくすぐるクールなドキドキネーミングが目白押し!

 

 あんまり男心をくすぐられたもんだから、オレ達は誰が一番カッコいい名前の仏像を見付けられるか競争を始めてしまうのだった。


 「オレは 「不空羂索菩薩坐像(ふくうけんさくぼさつざぞう)」 ! カッケえ! 字面も言葉にして口に出した響きもマジカッケえ!」

 「オレは 「化仏(けぶつ) · 飛天(ひてん)」 ! シンプルにイイ!」

 「いや、 「天燈鬼(てんとうき) · 龍燈鬼(りゅうとうき)」 のゴールデンコンビ感が一番だろ! イカツい名前なのに燈籠を抱えてちゃんとお役目をはたしてるギャップにもグッとくるぜ!」


 う~ん、イイネ! さすが国宝! LGR(レジェンドレア)クラスのグッドネーミング!


 「「「で、モテ神は?」」」


 「オレはやっぱり 「阿修羅像(あしゅらぞう)」 かな」


 「「「おぉ~、征くねぇ~ (王道を)」」」


 仏像界のスーパーヒーローは外せないよね!

 阿修羅……厳しさと激しさを感じるカッコいいお名前。

 なのに像のお顔やお姿は超クールで美しい。

 くぅ~、シビれるねぇ!



 男同士で盛り上がっていると、ふと気付く。

 あれ? 女子は? 姿が見えないぞ?


 スマホで連絡をとろうと思い立ち、慌てて国宝館を出たところで…………女子達を見付けた。 


 「うわ~♪ 鹿ちゃん、毛並みフワフワ♪ 撫でても逃げないんだ~♪」

 「奈良の鹿は人に慣れているのよ。繊月(せんげつ)さんは昨日は触ってみなかったの?」

 「アハハ……うん。昨日はポ~ッとしてたから」

 「もったいな~い。こんなにカワユイのに♪」

 「湖宵チャンさま、もしかして夜のお楽しみのことで頭が一杯だったんじゃあ……? ううん! ダメダメ! そんなこと考えちゃ! わ、私も鹿さん触りま~す!」


 紅葉舞い散る木々の下、女子達は鹿と戯れていた。

 良かった。はぐれたかと思った。


 それにしても見目麗しいJKの皆さんが鹿を可愛がっている姿は絵になるね。

 頭や胴体を撫でたり、一緒に写真を撮ったり……。


 くそう、鹿め。

 ワンダリング ・ ステーキの分際で女子にモテやがって!

 今に見ていろ。ジイちゃんから鹿肉が送られてきたら、ブ厚いステーキにしてニンニク醤油のソースをたっぷりかけて美味しく頂いてやる!

 いや、オレンジソースの方が良いか?

 デミグラスソースも捨てがたい……。


 ん? はっ! い、いつの間にか鹿に囲まれている!

 ヤメロ! 集まってくるな! そんな悲しそうな瞳でオレを見るな!


 「あっ、三五! うわ~、三五ってば、鹿ちゃんにモッテモテ♪」

 「仏像見学はもう良いのかしら? 随分熱心だったわね」

 「てか高波君w めっちゃ鹿にツンツンされてるw」

 「た、大変! でも鹿さんをモフモフするチャンス! え~い、モフモフ~♪」

 「ウキィ! モテ神、鹿にもモテてるキィ!」

 「つ~か、まだまだ集まってくんだけど!」

 「あっち行け! オレらは鹿せんべい持ってないぞ!」



 うっかり邪悪な思考で鹿を呼び寄せてしまったが、鹿を追い払ったりモフッたりしている内に班の皆の距離が少しだけ縮まった……ような気がする。


 鹿騒動の後は紅葉を愛でながら、五重の塔、三重の塔、南円堂、北円堂といった歴史的建造物の数々をまったりと見学していった。


 美しい自然と歴史の調和に感心し、感想の言葉を交わし合いながら一緒に散歩する……フフフ、イイネ。

 我が班にも一体感というものが出てきたじゃないか。


 もっともっと皆でこの風景を歩き尽くしたいところだが、残念ながらそろそろ場所を移動しないといけない時間となってしまった。


 だが、名残を惜しんでいる暇など無い! 何故なら次の旅の目的地は……そう! 京都なのだから! 

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