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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【裏話】湖宵とホモる (ド直球) 高校生活
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裏41話 ドキ♡修 ! は、ちょっとお休みして…… 高二 二学期

 「まず最初に言っておきたいんだが、湖宵の心は女の子だから。これは家族やお医者さん、社会にも正式に認められている事なんだ」


 Q極TSカプセルが処方されるまでには幾つかの手順を踏む必要がある。

 大雑把に説明すると以下の通りだ。


 ①保護者から理解と許可を得て、手続きに必要な同意書を書いてもらう。

 ②三人以上の専門医から綿密な診断を受ける。

 ③家庭裁判所に専用書類を提出。


 勿論これらの手続きには長い時間と高いお金がかかる。


 つまり湖宵は厳しい試練をちゃんとクリアーして、晴れてQ極TS女子となったのだ……という旨を三人にも説明した。


 「だからさ、 「今は男に戻ってる」 って本人の前で言うのは勘弁してやってくれないか? きっとモヤっとすると思うんだよ」


 「ウキッ……わ、わかったキィ~」

 「あ、ああ。気を付けるわ」

 「悪い。ちと配慮すべきだったな」


 わかってくれて良かった。

 ちょうど湖宵が席を外している時に伝えられたのはラッキーだったな。


 全校生徒にこれらの事情をわかってくれて欲しい、などという無茶を言うつもりは無いけれど、せめて旅の道連れには湖宵の事を知っておいて欲しかったから。


 「それでだ。ハートが女子な湖宵とビンビン男子であるオレが惹かれ合い、好き合うのは何らおかしい事じゃない。自然の摂理だ」


 「ウ、ウキィ……ま、まだワカル」

 「うん。そこはわかる」

 「オレらも繊月(せんげつ)と話す時、ちょっとドキッとするしな」


 「そ ・ れ ・ で ・ だ! 一回好きになっちまったらもうヤバいんだよ! 何もかんも関係なくなんだよ! 男の身体でも可愛い! チューしたりもしたい! 湖宵さえOKなら! 自然とそんな気持ちが涌き出て、止まらないんだよ。 ま、そういうこった」 (自制が利くイイ男ムーブ)


 「ウギギィ~! 納得しかねるギィ! “論“ が乱暴すぎるギィィ~!」

 「心がそうでも身体は実際に男子なんだからさあ! 現実の壁を簡単にぶっ壊すなよ!」

 「そうだよ! 色々プロセスをすっ飛ばし過ぎだろ!」


 あっれぇ~? 一ミリも共感してもらえないぞ? 何でだ?

 あの制御不可能な恋愛感情の激流をちょっとでも体験した事があるのなら、なんとな~くでも言わんとしている所が伝わるかな、と思ったんだけどなあ。

 あ、でもダメだ。こいつら童貞だったわ。


 ええ~い、それじゃあ尚のこと不毛じゃないか!

 だってトンカツ食ったことないヤツに美味さを言葉で説明するようなもんじゃん。

 究極的にはオレの恋愛感情の話なんだからさあ。


 「ああ~、もう面倒くさい! コレを見ろテメーら! 最強美少女こよい様のお宝ピンナップじゃぁ~い!」


 三人にスマホをビシッ! と見せつける。

 写っているのは高一の夏休みの思い出の写真。

 Q極TSしたこよいの愛くるしい姿だ。


 「「「ウッワアァ~! カワイィィ~!」」」


 スワイプ! スワイプゥ!

 公園デート。

 白いワンピースとお帽子の夏のお嬢さん ・ こよい。

 夏祭り。

 ハート型のわたあめを両手で持ち、嬉しそうにはにかむ浴衣こよい。

 ラブパデート。

 オレの好みに合わせたデートルックに身を包み、蕩けた表情のメロメロこよい。


 沢山の可憐な衣装に身を包んだこよいはどの写真でも輝く笑顔を、恋する乙女の表情を見せてくれていた。


 これを見て心が震えない思春期男子は居ないだろぉ!


 「こんな世界一可愛い女の子がオレのこと好きなんだぞ! お前らがもしオレの立場だったらヤベえって思うだろ!? スゲえって思うだろ!?」


 「「「思う~っ! ヤベえ~っ! スゲえ~っ!」」」


 「オレもこの女の子にマジヤベえ一生モンのガチ恋してんだよ! こよいがQ極TSしてから人生変わったんだよ! それがオレにとって一番大事なことなんだよ!」


 「「「おおおおう……」」」


 オレの吐く気炎の熱含量に圧倒される三人。


 「だからよ、湖宵が卒業まで男の子でいなくちゃいけないのはオレにとっては大した事じゃない……って言ったら語弊があるけどさぁ。そこまで重要な事じゃないんだよ」


 「「「そ、それって?」」」


 「一旦惚れちまったら男の身体になろうが何だろうが、好きなモンは好きなんだよ。そこはもう絶対変わらね~。中身は惚れた女の子のままなんだから、むしろ冷めた態度をとったり、スキンシップしなくなる方がおかしいと思うね、オレは」


 少しの間触れ合えなかったり、距離や時間を置いたくらいで火が消えるようなら本物の恋じゃない。

 ましてやオレと湖宵は離れ離れになったワケじゃないんだし。


 オレはこよいにずっと恋してる → こよいが男の子(湖宵)の姿に → でも中身はこよい(女の子)湖宵(男の子)にも恋してる → キスしたい。


 な? 自然でフツーな流れだろ?

 大騒ぎするような事じゃないだろ?

 だって愛し合っているんだからさ。


 「ウキキィ。男の身体になってる恋人とイチャイチャ気持ちはやっぱり想像出来ないけど、エロ神に一本筋が通った信念があるのは伝わったキィ! そしてその姿勢がモテそうだってことも…!」


 「わかる! 見直したぜ! 高波!」


 「さすがエロ神! いや、モテ神!」


 パチパチパチパチ!

 三人から拍手が送られる!

 和解の瞬間だ。

 


 「ウッキィ~ッ! モテ神! オレもモテたいキィ! どうすればいいキィ!?」


 おおっと。

 オレの話が終わったと思ったら、今度はチンパンさんから恋愛相談をされてしまったぞ。

 やれやれ。モテ神と呼ばれても、オレは N(ナチュラル)B(ボーン) 女子からは遠巻きにされている存在なんだがな。

 それでも良いなら湖宵達が帰って来るまで付き合うとしますか。



…………………………………………。



 「あのよ~。お前は女子をエロい目で見るな。取り敢えずそれからだ」


 「無理だキィ! みんな可愛くて健康的エロスがホトバシッテルキィィィィ~!」


 「ええい。お前は部活に入るかスポーツクラブに入るかしろ! それで大分変わるだろ」


 「ええ~っ!? 部活ですかぁぁん!? で、でももし部活やってるせいで女の子と遊びに行けるチャンスを逃しちゃったりしたら……!?」


 「無ぇよ! そんなチャンス今まで無かったろ!? これからも絶対(ぜって~)無えよ! ムラムラオーラをスカッと発散しねぇと女子と話すら出来ねぇだろうが!」


 「ウキィ~ッ!?」


 ウキ~じゃねえんだよクソが! ジロジロジロジロと女子を下心まる出しの目で見やがって! パクられる前に辞めろ!


 「いよっ! よく言った! 的確過ぎるアドバイスだぜ! モテ神!」

 「本当だよ! コイツ、女の子に目がない以外はイイヤツなのに!」


 C(チンパン)T(ツレ) 01 ・ 02から凄い実感がこもった喝采が!

 コイツらが一番チンパンに振り回されてきたんだろうから当然か。

 今まで苦労してきたんだろうなあ。


 それにしても男連中とアホ話に興じるのは楽しいな。   

 しばらくキャッキャと盛り上がっていると、湖宵達女子グループが仲良く連れ立って戻ってきた。


 「三五~! お待たせ~!」


 なんだか女子達も和やかで親しげなムードだ。

 半ば無理矢理に連れて行かれた形だったけど、有意義な話が出来たみたいで良かった。


 あと、細かいことだけどオレ達四人で男グループ ・ 湖宵と女子三人を合わせて女子グループってな風にちゃんと湖宵が女子の頭数として数えられているのが地味に嬉しい。

 学校側の皆の配慮に感謝の極みだ。



 「高波君……あなたのこと、見直したわ」

 「うん。昨夜、湖宵チャンと一緒に寝ても何もしなかったんでしょ?」

 「湖宵チャンさまのこと、大事にしてるのね!」


 おお? 察するに、湖宵は昨夜の事を洗いざらい吐かされたみたいだが、逆にそれが功を奏したようだ。

 マジで超久し振りにクラスの女子とまともに会話したわ。


 「それでね。今まで誤解して避けていたこと、謝るわ。ごめんなさい」

 「私も。色欲全開のアブない人だと思っててごめんなさい」

 「湖宵チャンさまに毎日エッチなことしまくってると思ってました! ごめんなさい!」

 

 女子三人が綺麗に並んでオレに頭を下げた!?

 ウソウソウソ!?

 頭なんか下げられたら恐縮しちゃうぞ!

 だってオレがエロ姉ぇみたいな存在が自然に寄ってくるムラムラ野郎であることは事実なんだからさ!


 「あ、頭を上げてよ! ホラ、オレ達、同じ班になった仲間じゃん! 今までの事は全部水に流してさ! 仲良くやろうよ!」


 「そうそう♪ ボク達み~んなナカマ♪ まずは皆で興福寺を観光しまくっちゃおう♪」


 「「「「「「お~っ!」」」」」」


 湖宵の号令で皆がまとまった。


 よ~し、こうなったらデートは後のお楽しみにとっておいて、今は今しか作れない修学旅行の思い出を皆で作りに行こうじゃないか!

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