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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【裏話】湖宵とホモる (ド直球) 高校生活
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裏38話 ドキ♡修 ! ② ! 恋の熱気球 高二 二学期

 「はあぁ~っ♡ 三五ってこの一年でホントに男らしいカラダになったよね♡ 頼りがいある~って感じ♡」


 並んでお湯に浸かっている湖宵からチラチラと熱い視線が送られてくる。


 「そう言う湖宵は全然男っぽく成長しないよね。パッと見は女の子にしか見えないくらいだし」


 「まぁね~♡ (チラチラ) Q極TSした時、 “あ~、わたしってやっぱり女の子なんだぁ~” ってちょ~実感したから、脳が男性ホルモンを出さなくなったのかな~? (チラチラ) 」


 容姿は中性的でも中身は100%女の子な湖宵。

 めっちゃ舐め回すようにオレの身体を見てくる。


 くっそ~、イイなぁ~! 

 オレもこよい(♀ver.)とお風呂に入りたいよぉぉ!


 ちょっと悔しいのでからかってやるか。


 「紅葉がこんなに綺麗なのに、湖宵ってば見向きもしないでオレのカラダに夢中なんだ~♪ エッチだね~♪」


 「そ、そんなこと言っちゃうぅ~!? フ、フツーだから! 女の子ならみ~んな、好きな男の子の裸を見たがるから!」


 ワタワタ慌てた湖宵はお湯の中にジャボンと潜って真っ赤な顔を隠した。

 スィ~ッと湯舟の端っこまで泳いでいって、上目遣いでオレを睨みながらお湯をブクブクしている。


 フフフ。可愛いな~♪

 これくらいのからかいは許してもらわないとね~♪


 でも恥ずかしがっている顔をずっと眺めているのは流石に意地悪かな。

 視線を外して夜景でも見ていよう。


 肩までお湯に浸かってゆったりくつろいでいると、サァァァ~……と風の音が聞こえてくる。


 湖宵が大人しくなった途端、静かになって風趣に富んだ雰囲気が戻ってきた。


 チャプチャプ、チャプン。

 しじまに沁みる水の音。

 その正体はワザワザ見なくてもわかる。 


 湖宵がオレの隣にそろ~っと戻ってきたんだ。


 肩と肩がそっと触れ合う。


 「ねぇ、三五?」


 「ん~? 何、湖宵?」



 「気持ちイイこと、してあげられなくてゴメンね?」



 湖宵がポツリ、と呟いたその言葉はオレの心臓をドキンと跳ねさせた。


 オレにも確かに自覚が無かった。

 でもそれは湖宵だって同じだ。


 湖宵は男の子の自分に対して、オレが全くドキドキしないと思っているフシがある。

 それは全くの勘違いだ。

 

 今みたいに無意識かつ無防備に女の子としての本心を吐露されてしまうと、胸が高鳴ってたまらない気持ちにさせられてしまう。

 “高校卒業までは友達同士” ……そんな建前も忘れ去ってしまう程に。


 「湖宵……」


 湖宵の肩を抱き、その瞳をジッと見つめる。


 「あっ……三五……?」


 ゆっくり、徐々に湖宵の顔に自分の顔を近付けていって、そして……。


 「んっ……♡」


 唇と唇が触れ合う。


 そのまま心の中で数字を十数えたら、唇を離す。


 紅葉が一枚ハラリ、と散って湯舟に落ちた。



 「んっ♡ も、もう。ダメだよ、三五♡ 男の子同士でキスだなんて……」


 湖宵のその言葉にオレは思わず笑ってしまう。


 「な、何で笑うの?」


 「だって湖宵ってばキスが終わった後に取って付けたように文句言うんだもんな」


 そう。湖宵は絶対にキスの前に拒絶の言葉を言わない。

 あんなにゆっくり唇を寄せたというのに。

 本当はオレとキスがしたくて仕方無いんだ。


 「可愛いね、湖宵。誰よりも一番可愛い」


 「さ、三五ぉぉ♡ そ、そんな熱いまなざしで見つめられたら、ボク、ボク……♡」 


 

 恋に落ちる、という言葉がある。


 湖宵がQ極TSしてその可憐な姿を見せた瞬間、オレは初めて “落ちていく” 感覚を味わった。


 それからは鈴が鳴る様な声を聞く度に。

 すべらかな手に触れられたり、肌に触れる度に。

 オレはこよいの魅力という名の重力に抗えずに 「うわあぁぁ~!」 とか叫びながら深みに突き落とされるのだった。


 高校一年生の夏休み。それはオレにとって制御できない自らの心と向き合う日々でもあった。


 当時のように突き落とされる感覚を味わうことは今は無い。

 何故ならオレがムラムラするのは女の子のこよいだから。 (最低ド直球)

 されども湖宵はこよい。


 肌を上気させながら瞳を潤ませるその愛らしい姿を見ていると、じんわりと体温が上がって頭がぼぉっとしてくる。

 

 この感覚は恋に落ちていく感覚だ。

 だけど今オレが感じている感覚は否応なしに谷底に突き落とされるかのような、激しいものではなかった。


 例えるならば恋の深淵に向かって熱気球で少しずつ降下している感覚、と表現するのが適当だろうか。


 圧倒的なまでの重力(魅力)に引きずり込まれていく快感ともまた違う、自分の意思で恋の深みに降りていくこの感覚は余りにも斬新でクセになりそうだ。


 もっともっと深く深く落ちる為に、更に言葉を重ねていく。


 「湖宵のお肌、キレイだね」


 「ちょっとぉぉ♡ 見ないでぇぇ♡」


 バチャチャチャチャ!


 後ずさって手で身体を隠す湖宵。


 「何で三五までこっちをジッと見てくるの!? 男の子の身体を見たって楽しくないでしょ~よ、三五はぁ!」


 「そんなことないよ。だって湖宵(こよい)の身体なのは変わらないんだし」


 自分で言ってて気付いた。

 男の子の湖宵がQ極TSカプセルを服用することで何やかやの作用が働き、その身体が女の子のこよいのものへと変わる。

 つまり元は同じ身体。そこは変わらないのだ。


 当たり前過ぎる事実ではあるが、そこを強く意識して湖宵を見てみると若干趣が違ってくるぞ。


 う~ん、やっぱり女の子(こよい)の身体と比べると若干筋肉質で骨が太くてしっかりしている印象かな。

 でも女の子(こよい)の時はスレンダーだったからな。ほんの少しがっしりしたところで男の子っぽさは感じない。

 可愛い。男の子の身体でも湖宵は可愛い。

 

 ドキドキ。ドキドキ。

 ふわふわ。ふわふわ。 

 

 恋の気球がゆっくりゆっくり深淵へと降下する。


 「ふわわわわっ♡ ダ、ダメだってばぁ♡」


 抗議の声を上げるその唇も女の子(こよい)の唇と同じ。


 「ねえ湖宵、もう一回キスしよう?」


 「ダメえぇぇ~っ♡」


 バシャバシャバシャバシャバシャシャシャシャ!


 「うわぁ~っ!」


 湖宵が思いっきりお湯をかき混ぜると湯煙が立ち込めてお湯の飛沫が飛んでくる。

 これは堪らんと身体を丸めてガード。 


 顔を上げてみるとそこに湖宵の姿は無かった。

 NINJUTSU!? JAPANESE NINJUTSU なの、湖宵!?


 「刺激が強過ぎるよぉ! ひゃわわわわぁ~ん!」


 ああ、もっとイチャイチャしたり背中の流しっことかしたかったのに!


 致し方無い。気を取り直して露天風呂を楽しむとしよう。


 ここで恋の深淵に降りていた気球がふわふわり~んと急上昇。

 バイオリズムが次第に正常化していく。


 あ~、いい湯だなぁ。 

 檜の香りが何とも言えない。

 湯舟に浮かぶ紅葉も風流だ。雅だねぇ。


 あぁ~、修学旅行最高♪

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