裏27話 思い出の文化祭⑪ ミスコン開催! 最強の美少女 (男子含む) は誰だ!? でアリンス♡ 高二 二学期
控え室でミスコンの段取りを説明された後、オレ達は舞台袖へと移動した。
あああ……。白雪姫の講演の時には見上げていたステージにまさか自分が立つ事になるなんて……。
「事実は小説よりも奇なりかずき君でアリンス」
「奇なりかずき君は関係無いでしょ!? 三五っ!」
とか何とかくだらないこと言ってる間に開演時間になっちまったい。
ブザーが鳴り、ゆっくり幕が上がっていく。
ステージの真ん中に立つ高橋にカッ! とスポットライトが落ちる。
「Ladies & Gentlemen! 大変長らくお待たせ致しました~! 放送部Plesent's ミス · 帝栄須高校コンテスト! ただいま開催デスワ!」
「「「「ワアアアアアァァァ~ッ!」」」」
パチパチパチパチ~ッ!
おおっ!? 結構ギャラリーからレスポンスが返ってきてるぞ!? 意外に客の入りは悪くないのかも? ……つっても観客が居たら居たで不安になるよな。緊張するし。
「ハイハイ! 今から登場する乙女達は書類審査 · 第一次 · 第二次審査を潜り抜け、遂に! この栄光のステージへと辿り着いた当校が誇るべき美少女☆達でゴザイマス! どうぞ拍手でお迎え下さい!」
高橋イィ! 手前テキトーブッこいてんじゃねぇぞゴルァァ! そんな審査があったらオレが通る道理が無ぇだろうがぁぁ! オレの出オチ感が増す前振りをすんじゃねぇぇ!
「それではエントリーNo.1の方! どうぞ~♪」
♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪
軽快な音楽と共に山田さんが現れ、緊張しながらもステージ中央へと歩を進めていく。
うわっ。ステージ後ろのスクリーンに山田さんがデカデカと映ってら。後でオレもこんな風に映されんのか。嫌だなぁ~。
「綺麗なドレスの女の子が来てくれましたね♪ では自己紹介をどうぞ~♪」
「ほ、放送部一年の山田 絵々ですっ! よろしくお願いしますっ!」
「カワイ~!」「ドレス似合ってる~!」「イイネイイネ~!」「頑張って~!」
ペコリと頭を下げる山田さんに対し声援と拍手が飛ぶ。
観客の反応は生暖かくて優しい。ちょっと安心。
「ではここで特技を披露してもらいましょ~♪」
オイ高橋。そんなんあるなんて聞いてねえぞ。
「は、はい! 山田、皿回しをします!」
そして意外な特技だな、オイ。
山田さんはまず右手に持った細い棒の先端をプラスチック皿のフチに引っかけて……? おおおっ! 勢いをつけて回し始めたぁ! 棒を持ち上げると回転している皿も天へと持ち上がるぅ!
おっ? おっ? 左手にも棒を手に取って? お皿を引っかけて!? 右手でお皿を回しながら!? 左手でお皿を回したぞ!? ウオ~ッスゲ~! 皿回し二刀流だぁ~っ!
そして山田さんはバンザイをする様に棒を思いっきり持ち上げたぁ! その天辺には二つのお皿がクールクルゥ!
「ハイ~ッ!」
決まったぁぁ! ウルトラDだ~っ!
「上手~!」「スゴ~イ!」「イイゾ~!」
パチパチパチパチ!
観客からの拍手!
そしてオレも舞台袖から拍手を送る!
「ウオ~ッ! 山田ウオ~ッ!」
パチパチパチパチ!
「ムムムッ! やるわね山田ちゃん! 負けないんだから!」
オレが山田さんに声援を送ったことで湖宵のライバル心に火が点いたみたいだ。
「山田さん、どうもありがとうございました♪ 続きましてエントリーNo.2! どうぞ~♪」
♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪
山田さんが高橋の隣に移動すると、次は鈴木さんがステージ中央に向かう。
実に堂々とした歩き方だ。彼女はちょっと強気な性格なのかもしれない。ツリ目だし。
「ハイハイ。自己紹介をどうぞデスワ♪」
「わ、私は鈴木 美衣! 二年生よ!」
本当に強気キャラだった。
さて、強気な彼女は一体どんな強気な特技をブチかましてくれるんだぁ!?
「あ、あやとりするわっ! ハイ、東京タワー!」
うわぁ~……地味だな鈴木~……。
これスベったんじゃね?
客席がシ~ンとしちゃってるぞ。
「ほうき! コーヒーカップ! 六段はしご!」
お? お? お?
「亀の甲羅! ビヨンビヨンゴム! 自家用ヘリコプター!」
HA、HAEEEEEEEE!
何たる手捌き指捌き! DEX高すぎだろ鈴木ィィ!
「わぁぁぁ!」「上手上手~!」「ほほえま~!」
パチパチパチパチパチ!
スクリーンにドドーンと映し出された鈴木さんのあやとり芸に皆が喜んでいる。
もちろんオレも。舞台袖から歓声を送ろう。
「イイゾ! イイゾ! 鈴 · 木!」
「ムムムム~。鈴木ちゃんもヤルジャナイ!」
湖宵の闘志も更にヒートアップ!
「良かったデスワ! 続いて参りましょう! エントリーNo.3! どうぞ~♪」
♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪
三番目にステージに登場したのは田中さん。
鈴木さんとは対照的におっかなビックリ歩いている。小柄だしどことなく小動物っぽい。
「アララ♪ 小っちゃくてとっても可愛い出場者さんデスワ♪ お名前は?」
「た、田中 思惟です……。い、一応これでも二年生です……」
一年生かと思ったけどオレらとタメだったのか。
でも三人娘の中では一番気弱そうだ。
心配だなあ。泣いちゃったりしないよね?
「さあ、思惟ちゃんはどんな特技を見せてくれるんデスノ~?」
「子供扱いしないでっ! 高橋! え、えっとっ! か、関東にある駅の名前で一人しりとりしますっ!」
えええ~っ!? た、田中さん!? 今日イチで意外なんですけど!? 何その特技!?
「新宿! 国立! 千葉! 八王子! 品川! 早稲田! 高田馬場! 馬喰町! 上野動物園西も……あ゛。に、にし……(小声) 渋谷! や? や~……矢部! (横浜線) 平和台! 池袋! 六本木! 木更津! 築地! 新浦安! 水道橋! 信濃町! 茅ヶ崎! 銀座! 三軒茶屋! や~……八坂! (西武多摩湖線) 春日部! 弁天橋! 新木場! 箱根湯本! 東京! 鶯谷! 日光! 宇都宮! や~……や、山田! (京王高尾線) 立川! 蕨! 東小金井! 板橋! 汐留! 目黒! ろ……? 六本木一丁目! 明治神宮前! 恵比寿! (山手線) 巣鴨! ………………」
SU、SUGEEEEEEEE!
何か途中怪しい箇所があったけれどおおむねスラスラ駅名が出てきた!
大人しそうな見た目からのこのギャップ!
客席の反応やいかに!?
「お、おう……」「う、うん……」「アハハハハ! “や”に弱すぎ! アッハハハ!」
う~ん、イマイチ。
でも刺さる人には大ウケしてる!
ちなみにオレは大ウケしてるほうだ。
「ギャハハハハ! お、お腹痛い!」
パンパン! (手を叩く音)
「上野動物園西門」でアウトになっているのに、ゴリ押しして延々と続けている所にツボったのだ。
いや~、放送部は面白い人が多いな。放送部に入部しても良かったかもな。
「んむむむむむぅ~! や、やるわね放送部っ! でもわたし負けないっ! 見ててね三五っ! 絶対に貴方のハートを掴んでみせるからっ!」
出番直前で湖宵のモチベーションがMAXに!
これはもの凄いパフォーマンスが見られそうだ!




