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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【裏話】湖宵とホモる (ド直球) 高校生活
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裏23話 思い出の文化祭⑦ トラブルもプレゼント選びも高波太夫にお任せでアリンス♡ 高二 二学期

 「うわぁ~ん! ママ~! どこぉ~?」


 体育館を一歩出たところで、迷子らしき子供と出くわした。


 「大変! どうしたの? 迷子になっちゃったの?」


 泣き声が聞こえた瞬間、湖宵は迷子の少年の元へ駆け寄った。

 デートの最中であっても一切の躊躇無く泣いている子供に声を掛けられるその優しさに、改めて関心させられる。

 心根が正しくて温かい人を恋人に持ててオレは本当に幸福者だ。


 「わぁ~ん!」


 「どうしよう。な、泣き止んで~」


 おおっと。幸せに浸っている場合じゃなかった。オレも迷子の所に行かないと。


 「わぁぁ~……おっ!?」


 オレに姿を見るや否や、ピタリと泣き止む少年。正に泣く子も黙る衝撃的容姿ってか。


 目を見開き、一秒も逸らさずに見詰めてくる少年に対し、オレは胸をドンと叩いてこう言った。



 「任せておきナンシ」



 「う、うんっ!」


 「さ、三五凄いっ。花魁の威厳で有無を言わさず安心させちゃった」


 まずは放送室に行って迷子のアナウンスをしてもらおう。

 そう思って湖宵と二人で両側から少年の手を繋いで歩き出した。


 でも間も無く、少年のママの方がこちらを見つけ出してくれた。オレ達の人目を引くコスプレが役に立ったね。


 「ウチの子を保護して下さって、ありがとうございました!」


 「おネエちゃん……ぼく、もう泣かないよ!」


 ママに抱っこされた少年が自分の胸を叩きながら良いセリフを言ってくれる。

 ここはオレも胸を叩いてそれっぽいセリフを言わなければならないシチュだな。


 「忘れないで……アナタは一人じゃない、でアリンス」


 「キャ~ッ♡ 高波太夫さま~っ♡」


 シメに湖宵が歓声を上げてくれる。

 これにて一件落着!


 

 それにしても人が沢山集まる文化祭ではトラブルというものが付き物らしい。



 道の端でお婆さんが足を捻って動けなくなっていたり……。


 「お婆ちゃん大丈夫? さあワチキの背に負ぶさりナンシ。保健室までお連れするでアリンス」


 「あらまぁ、助かるわ。ありがとうねぇ」


 「キャ~ッ♡ 高波太夫さま~っ♡」


 

 女生徒がナンパ男達に絡まれていたり……。


 「俺達と抜け出さねぇ?」

 「ウメーもん食わせてやっからよぉ」


 「い、嫌……。や、止めて下さい……」


 オレはすかさず男達の肩を強い力で掴んだ。


 「痛って……えっ!?」

 「何すん……だっ!?」


 振り向いた男達は花魁(オレ)の怒りの形相を見るなり硬直する。



 「止めナンシ」



 オレの一言で、男達のイキリやムラムラといった感情が煙の様に消えていった。

 シュ~ンと覇気が消え呆然とした表情をしていることからそれが見てとれる。


 「お、おお……」

 「う、うん……」


 スゴスゴと引き下がっていく男達。


 「あ、ありがとうございましたっ!」


 「気にしないで、でアリンス」


 「キャ~ッ♡ 高波太夫さま~っ♡」


 

 トラブルが相次いだせいで文化部の展示を行っている校舎に辿り着くのに時間がかかってしまった。


 「うふふ♡ やっぱり三五って凄いな♡ カッコ良いな~♡ わたしの自慢のダンナ様だもんね♡ むふふ~♡」


 だけど災い転じて福と成す。湖宵からの好感度はうなぎ登りだ。

 これはオレというよりは高波太夫の力によるものだろう。花魁って凄い。


 この調子でナイスなプレゼントを贈って好感度を限界突破させたい!



 文化部の展示を端から順にザッと見ていく。


 文芸部、美術部、写真部、天文部、書道部、鉄道研究部……。

 どの部の展示も気合いが入っていて見応えある。

 でも一つ誤算があった。

 物販を行っている部がほとんど無いのだ。


 大体の展示物の横にQRコードが添付してあって、レポートや写真をタダでダウンロード出来るのだ。

 文芸部の部誌ですら最新刊以外はPDF形式でダウンロード出来てしまうというサービスの良さ。

 親切なのは大変結構なのだが、形に残る思い出を湖宵にプレゼントしたいオレとしてはご不満だ。


 「三五、三五! 次は手芸部だよ! 早く早くぅ!」


 おっ? 湖宵の目が輝き出したぞ? 

 長い間男の子として暮らしてきた湖宵は可愛いもの、綺麗なものに並々ならぬ興味を持っている。

 手芸部とは湖宵にとってさぞかし魅力的な空間に違いない。

 どうか手芸部のオリジナルグッズが販売されていますように!


 「わぁ~♪ 素敵♪ わたしにも作れるかな~?」


 「ゆっくり見ていってね~♪」


 湖宵は展示されている手芸部員達の作品に目移りしている。

 ぬいぐるみ、手作りアクセサリー、刺繍、羊毛フェルトのマスコット、バッグにペンケースなど。

 手芸部員達のセンスが遺憾なく発揮されたファンシーな力作の数々に湖宵はもうメロメロだ。


 その隙にオレはキョロキョロ視線をさまよわせて目的のものを探す。


 あっ! あった! お土産コーナー!


 その一角のテーブルの上には毛糸を編んで作った小さなぬいぐるみ……あみぐるみ達がズラッと並んでいた。

 これらは全て手頃なお値段で販売されている。


 これだ! この中から一番可愛いあみぐるみちゃんをお迎えして湖宵にプレゼントしよう。

 う~んどのコが良いかな。色々な種類の動物がモチーフになっているけど、中でもオーソドックスなネコとイヌのモチーフのあみぐるみが豊富に取り揃っている。


 湖宵はネコ派だからネコから選ぼう。

 ううむ。でもネコだけでも相当な種類があるぞ。

 色もカラフルで体型が違っていたりして一匹一匹にそれぞれ個性がある。


 オレは売り子さんがガチガチに緊張してしまう程、真剣に吟味に吟味を重ねた。


 「このコを、お迎えしたいでアリンス……!」


 「はは~っ! 流石お客様! お目が高い!」


 オレが選んだのはアメリカンショートヘアのネコちゃん。

 スラッとした美猫さんながら表情はあどけなく、愛らしさが大爆発だ。はっきり言って他のコ達より頭一つ抜けた可愛さだ。

 それに印象が湖宵に似ているし。もし湖宵がネコちゃんになったらこんな感じだろう。


 可愛い巾着袋にあみぐるみを入れてもらった。

 手芸部の皆さんは女子力高いな。素晴らしいセンスだ。

 これならきっと喜んでもらえるぞ。


 「ねぇねぇ三五っ。聞いて聞いて。わたし手芸に興味出てきちゃった。帰りに本屋さん寄っていい?」


 手芸作品がよっぽどお気に召したのか笑顔満開で駆け寄って来る湖宵。オレも釣られて笑顔になってしまう。


 「いいよ。でもその前にはい、これプレゼント。きっともっともっと手芸が好きになるよ」


 「えっ? えっ? プ、プレゼントッ!? あ、ありがとう~♡ わぁぁ~♪ 可愛い巾着~……? あれ? 何か入ってる? わぁぁ~♪ 何かな~♪」


 突然のサプライズプレゼントに驚きつつも、湖宵は嬉しそうに巾着袋を開ける。


 「きゃっ♡ きゃわわわわわあぁ~~んっっ♡ カワイィィ~ッ♡ 何このコちょ~カワイイッ♡ アメショのネコちゃんだぁっ♡ うわぁぁぁ~♡ 嬉しいっ♡」


 アメショのあみぐるみちゃんにほっぺスリスリする湖宵。喜んでくれて何よりだ。


 「ふふ♪ こちらのおネエさん、すっごく一生懸命選んでいたんですよ~♪」


 おっと~。売り子ちゃ~ん。そんなことバラされちゃったら恥ずかしいよ。

 でも恋のアシストGJ(グッジョブ)

 か~っ。やっぱ女子力高い子は違うな~。


 「そうなんだぁ、わたしの為に……。うう~♡ 三五ぉありがとうっ♡ このコ大事にするねっ♡ 大好きっ♡」


 「どういたしまして。オレも大好きだよ、湖宵」


 幸せ一杯の笑顔でネコあみぐるみちゃんを抱っこする湖宵。

 作ってくれた手芸部員さん達も嬉しそうにしてくれているし、プレゼント選びは大成功!


 でもまだまだデートは終わらないぜ。

 さあ、次行ってみよう! 

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