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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【裏話】湖宵とホモる (ド直球) 高校生活
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裏22話 思い出の文化祭⑥ 小粋なサプライズデートでアリンス♡ 高二 二学期

 「ふぅ、漸く三五ちゃんの花魁姿にも慣れたわ。何よ。高波太夫って。単なる出オチじゃないの」


 唐突なメイお姉さんの発言。

 何か慣れるきっかけとかあったか?


 試しに扇を取り出し華麗にヒ~ラヒラ。ついでに湖宵を扇いであげちゃおうっと。パ~タパタ。


 「あぁ~すずし~♪ われわれは~♪ うちゅ~じんだ~♪」


 「フン! そんなの全然面白く無いんだからね!」


 おお~。湖宵とのアドリブコンビ芸にもクスリともしない。本当に克服したんだな。流石はオレ達のハイスペックお姉さん!



 「これで気兼ね無く皆で文化祭を回れるね」


 湖宵が笑顔でそう言うが、お姉さん二人は何故か首を横に振る。


 「私達は私達で楽しんでくるから、アンタ達は仲良くデートしてきなさい」


 「そうですよ。仲睦まじい恋人達のお邪魔なんて出来ません」


 「えっ!? ええっ!? わたし達、お邪魔だなんて思ってないよっ!?」


 「そうだよ。せっかくオレ達の学校まで来てくれたんだから案内させてよ」


 気を遣ってもらうのは嬉しいんだが、申し訳ない気持ちになってしまう。そりゃあ郭言葉も抜けて、思わず素の口調に戻ってしまうというものだ。


 「い~の! だってお坊っちゃま……ううん、お嬢ちゃまが女の子の格好で学校デートが出来る唯一の機会じゃないの。しかも文化祭よ! こんなチャンス逃す手は無いでしょ!」


 「きっと一生の思い出になりますよ。私達とは、また今度遊びましょう?」


 「「あっ……」」


 お姉さん達に言われて初めて気付く。

 確かに文化祭のお祭りムードの中では湖宵が可愛い格好をして心のままに、女の子として振る舞っていても全然許されている。

 つまり、憧れの文化祭デートが出来る。オレまで女装していたからそこをすっかり失念していた。


 「うう~……でもぉ……」


 「い~から。お姉ちゃんからの応援だと思って」


 メイお姉さんが湖宵の頭を優しく撫でる。

 その優しさ、温かさにはかなわない。

 ここはお言葉に甘えよう。


 「ありがとうメイお姉ちゃん、アンお姉ちゃん。大好きっ!」


 「ありがとうメイお姉さん、アンお姉さん。オレも大好きだよ」


 「んふふ♪ どういたしまして♪」


 「どういたし……ププっ♡ あっ♡ 鼻血が♡ くふぅん♡ 三五さんからの「大好き」は破壊力高すぎですぅぅ♡ 生きてて良かったぁ♡」


 「大人の女としてちゃんと決めなさいよね、アンちゃん。全くぅ」


 「アンちゃんって言わないでっ!」


 バイバイ、と手を振りお姉さん達と別れた。

 従姉妹同士でやいやい言い合うその後ろ姿を、オレ達は雑踏に紛れて見えなくなるまで見送った。


 お姉さん達がせっかく作ってくれた大切な時間。心行くまで楽しもう!


 

 「さあ、湖宵。デートしよう」


 「うん、三五♡」


 

 花魁♂とウエイトレス♂という異色にも程があるカップルだけどアリだよね。お祭りだもの。

 仮装してる生徒も割りと見かけるし。普通普通。


 まずオレ達はゲームコーナーを冷やかしてみた。

 輪投げ、射的、スーパーボールすくい、ペットボトルボウリングなど、定番のゲームが目白押しだ。見ているだけでも楽しいね。


 「あっ♪ ダーツだ♪ ダーツならウチにもあるから、わたし得意なんだよ……っと! ホラね~♪ ド真ん中~♪」


 「ワチキはこの木製の手作りピンボールが好きでアリンス。何とも言えない味があって、いつまでも遊んでいられるでアリンス」



 それぞれお気に入りのゲームを楽しんだ後には、これまた定番であるお化け屋敷に入る。


 「きゃ~♡ 暗いな~♡ 怖いな~♡」


 言葉の内容とは裏腹に湖宵の声は弾んでいる。

 何故ならオレと湖宵の手が恋人繋ぎでぎゅ~っと結ばれているからだ。

 暗いから手を繋いでいないと危ないからね。仕方ないね。


 「んふふ~♡ ふんふ~ん♡」


 湖宵ってば上機嫌だね。

 もちろんオレも、滅多に無いラブラブイベントに気分が高揚している。エンジンが暖まってきたぜ!


 その時突然、目の前の暗闇が下からのライトで照らされた。


 そこに居たのはボロボロの衣装を身に纏った三人の落武者!


 「うおっ!」

 「きゃっ! ビックリ!」


 お互いに夢中になっていたオレ達は突然の落武者にそれなりに驚き、一歩後ずさった。

 落武者達は血化粧の様な怖いメイクをしていたり肩に矢が突き刺さっていたりと、結構凝っている。いや~、やられた。まんまと驚かされてしまった。


 「「「ウッワ~ッ! 出たァァ~ッ!」」」


 って、オイ。何で落武者連中がオレ達より驚いているんだよ。

 ……あっ。オレを見て驚いているのか。目の前に下からのライトを当てられたデカい花魁が居たら、そらビビるわな。よ~し。


 「ウワアアアァァァァァァァァ~ッッッ!!」


 とりあえずオレの方も絶叫してみた。驚愕の顔芸付きで。

 湖宵とのラブラブでテンションが盛り上がっていたから、ついね。


 「「「ギャアァァァ~ッ!」」」

 「えっ、何々!?」

 「キャ~ッ!」

 「ワ~ッ!」


 まず脱兎の如く落武者達が逃げ出して、お次に脅かし役のお化け達がパニックを起こしてしまった。

 阿鼻叫喚になっちまったい。


 中でも一番の惨事は女幽霊さん (浴衣姿) が作り物の井戸の中に頭から突っ込んで、パンツ丸見えになってしまった事だろうか?


 「キ、キャ~ッ! キャ~ッ! ハ、ハマって出られなくなっちゃったよぉ! 助けて助けて!」


 「助けてあげるから足をバタバタしないで! 色々見えちゃってるからぁ! さ、三五はこっちを見ちゃダメだかんね!」


 「イエス、マム! でアリンス!」


 悪いことしてしまったなあ。反省反省。

 これからは落ち着いて文化祭を楽しむとしよう。


 

 次に向かったのはフリーマーケット。

 体育館を丸々開放して行われているのでなかなか盛況だ。

 お子様からご年配の方まで幅広い層のお客さんが集まっている。


 「見て三五。あの男の子が遊んでいるおもちゃ。わたし達も昔、あれで遊んでいたよね」


 「本当だ。懐かしい~でアリンス。結構掘り出し物がありそうでアリンスね」


 ふと思い立った。せっかくのデートなんだし湖宵へのプレゼントを探すのはどうだろう。


 「他にも何か面白い物が無いか探してみようよ、でアリンス」


 「うん♪ 宝探しだね~♪」


 衣服 · 雑貨 · アクセサリー · などなどの豊富な種類の品々の中には面白い物が沢山あった。

 でもそれらが湖宵へのプレゼントに出来るかと問われたら、ちょいと小首を傾げざるを得ない。

 元々がご家庭で不要になった品々なのだから当然と言えば当然なのだけれども。


 「色々置いてて面白かったね~♪ 三十年くらい前のゲーム機とか。あれって今のテレビに繋げられるのかな? 多分無理だよね?」


 そう。「面白い」のベクトルが違うんだよね。

 湖宵は他にもLDプレーヤーと洋画のLDセットに興味を示していたけど、そんなモンもらっても困るだろう。今時。


 う~ん、文化部の出し物の中で良さ気なプレゼントが買える所は無いだろうか?


 「湖宵、次は文化部の方見てみない?」


 「イイネ~♪ 行こ行こ~♪」


 心の中で神様にお願いする。

 どうか素敵な物に巡り会えますように! 


 

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