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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【裏話】湖宵とホモる (ド直球) 高校生活
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裏18話 思い出の文化祭② 素敵なおネエ · おニイ喫茶♡ 開店ヨ♡ 高二 二学期

 文化祭当日の朝。

 文化祭開催の二時間前からオレ達はハイテンションでおネエ · おニイ喫茶の準備をしていた。


 このもの凄い熱気は女装 · 男装をして言葉遣いも女言葉 · 男言葉に改めているが故だろう。


 「いや~不安だな……ゴホン。不安ネ♡」

 「お客さんの反応が想像出来ないからな、じゃなくて、からネ♡」

 「ハハハ! レディ♂達、今更ジタバタしても始まらないヨ! 腹を括りたまエ!」


 クラスの皆の慣れていない感じが面白すぎる。



 「わたし、変じゃないかな? おリボン曲がってない?」


 「大丈夫サ、湖宵チャン。君の美しさは夜空に浮かぶ……え~っと」


 「クスクス♪ そんな変な話し方じゃなくて普通にすればいいのに~♪」


 「無理よぉ! 男の子の言葉遣い難しすぎるぅ!」


 湖宵だけがただ一人自然体でいる。

 流石Q極TS経験者だ。


 当たり前だけど湖宵は女の子の格好をしている時の方がイキイキとしていて魅力的だ。

 笑顔が眩しくて可愛い! 明るいイエローのウエイトレス制服も、まるで太陽みたいに輝いて見える! シャイニングビューティー湖宵! ああ~可愛い! 朝っぱらからテンションが上がってきたぜぇ!



 「うおっしゃあぁ! ワチキも気合い入れるでアリンスよぉ!」


 「「「「ブッハァァァ!」」」」


 両頬をパァンと叩いて気合いを入れたら、クラス全員が吹き出した。


 「声が野太すぎる! ワザとだろ!」

 「存在してるだけでオモロイのに笑かすな!」

 「こんな男らしい廓言葉初めて聞いた♪」

 「変なの~♪ アハハ♪」

 「アリンス アリンス~♪」

 「う~♡ やっぱり三五ステキでアリンスゥ♡ 三五が女装してくれるの、何だかわたしとお揃いって感じでイイ♡」


 思った以上にウケてる! 湖宵にもご好評だ。

 今日の流行語は「アリンス」で決まりだな。


 「今日一日頑張るでアリンスよお!」

 「「「アリンス アリンス~♪」」」


 かくして準備は滞りなく完了して、オレ達は今か今かと文化祭の開催を待ちわびるのであった。



 『只今より、今年度の文化祭を開催しま~す!』

 「「「「ワァ~ッ!」」」」


 校内アナウンスが響く。

 ついに文化祭が始まった。


 いや~、このおネエ · おニイ喫茶。海のものになるか、山のものになるか、全く見当もつかんぜ。

 一体どうなってしまうのか、ドキドキもんだぁ!


 「いらっしゃいませぇ~♪ わたし達のクラスにようこそ~♪」

 「ボク達のおネエ · おニイ喫茶♪」

 「楽しんでいってくれヨ♪」


 早速お客さんがやって来たみたいだ。

 まずは看板娘♂である湖宵と男装女子達が華やかにお出迎えをする。


 「えぇ~!? アナタ、男の子なのぉ!?」


 「心は女の子です♪」


 「あらぁ~♪ プロ意識高~い♪ 男装女子達もカッコイイね♪」


 「ありがとう、乙女達♪」


 掴みはOK。すかさず第二の矢を放つ。

 女装男子達がワラワラ現れてお客さんを席までご案内だ。


 「いらっしゃ~セ~♪」

 「二名様ご案内~♪」

 「メニューをどうゾ~♪」


 「プッ、アハハ♪ 男の子達も似合ってるね♪」

 「ナースさんにメイドさん? チャイナドレスや婦警さんまで。喫茶店なのに色々な職業の格好してて面白~い♪」


 わざわざスネ毛まで剃った女装男子達も好意的に受け入れられて良かった。ドン引きされるかと心配していたがそんな事は無かった。皆優しいな。


 え? 三五さんは何をしているのかって?

 クラスの隅っこに、台の上に畳を乗っけた即席のお座敷があってね。

 そこにピシッと姿勢を正して座っているのさ。


 接客はさせてもらえない。

 何故なら……。


 「「おっ……!? お、おおう……」」


 お祭り気分でニッコニコのお客さん達がオレの姿を見ただけでビシィッと凍りついてしまうからだ。

 そりゃビビるよな。喫茶店に入るとクラスで一番デッカイ男が花魁の格好で鎮座しているんだから。


 どうリアクションをとっていいかわからないみたいだがオレという存在は無視出来ないらしく、常にお客さんからの視線を感じる。

 席について飲み物や軽食を注文しながら、クラスの皆とおしゃべりしながら、チラチラとこちらの様子を伺ってくるのだ。悪い気分はしないね。


 オレが優雅に扇子を扇いだり、キセルを吹かす振りをするだけで笑いが立つ。

 時には物憂げに窓の外を見て……。


 「秋が近づいてきたでアリンスねぇ……」


 「「ブフゥッ!」」


 低い声で何かを呟いたりすると、何人かのお客さんが飲み物を吹き出す。

 そこで女装ウエイトレスがすかさずテーブルを拭いて綺麗にする。ナイスカバー!


 いや~、注目されるのが嬉しくてついついはしゃいでしまった。お陰で“笑ってはいけない喫茶店”みたいになってしまった。

 かといって気を静める事もままならない。


 「おすすめは手作りマカロンです♪」


 「コーヒーをお持ちしました♪ 熱いのでお気を付けてくださいね♪」


 だって接客してる湖宵が可愛すぎるからぁ~!

 キュートな格好でチョコチョコ動きまわって笑顔を振り撒く湖宵は兵器並みの破壊力を有している! 気持ちが高揚して静めるなんて不可能!

 少しくらいハメを外しても致し方無いよね。その分は可愛い湖宵にフォローしてもらおう。




 好スタートを切ったおネエ · おニイ喫茶。

 開店して十分も経たない内に、オレと湖宵に縁のあるお客様がご来店された。


 「「「来ちゃったにゃ~♪ お兄さみゃ♪ お嬢さみゃ~♪」」」


 ネコメイド喫茶 C(キュア) C(キュア) C(キャット) で働くネコさん達。すっかりお馴染みの三人組だ。


 「あれ~? み~にゃさん達、今日はお仕事のハズじゃあ?」


 「うん。午後からお店があるけど、ど~しても来たかったのみゃ♪」

 「お嬢さみゃのカワイ~格好も見たかったし♪ お兄さみゃが女装するだにゃんて♪ 絶対に見逃せないにゃ♪」

 「お嬢さみゃ、とっても可愛い……にゃ♪」


 「うふふ♪ ありがとうございます♪ お席までご案内しますね♪」


 明るく楽しいネコさん達が来て更に盛り上がる。

 可愛い湖宵がネコさん達とじゃれ合う姿はとても愛らしくて、クラス中がほっこりと癒される。


 でもウエイトレスの湖宵ちゃんは可愛いだけじゃなくて、オチャメな一面もあるのだ。

 湖宵は隠しきれないニヤニヤ笑いを浮かべつつ、わざとネコさん達をお座敷の近くの席に案内する。



 オレこと高波太夫とネコさん達の目と目が合う。


 「「「ニャニャニャ~ッ!? プッ、プププ~ッ! ニャ、ニャハハハハハハ!」」」


 笑ってはいけない喫茶店。でもフリーダムなネコさん達はお構いなしに大爆笑してくれる。ここまでスカッと笑い飛ばしてくれると清々しい。


 「ま、負けたみゃ! エンターテイナーとして負けたみゃぁぁ!」

 「間違いなく笑いの神、降りてるにゃ! 早起きして来た甲斐あったにゃ!」

 「お、おっきい花魁さんカッコイイ……にゃ♪ で、でもとってもおかしいぃ……にゃはは♪」


 フッフッフ。まだまだこんなモンで喜んでもらっちゃあ困るな。高波太夫の面白さは見た目だけじゃないんだぜ?


 座っていたオレは流麗な動作で立ち上がり、ネコさん達にご挨拶をする。低い声でな!


 「ワチキは高波太夫でアリンス♪ ネコのお姉さん方、お忙しい中足を運んで下すってありがとうでアリンス♪」


 「「「ニャハハハハハハハ!」」」


 ネコさん達が堪らず笑い転げる。

 よ~し、もっと笑わせちゃおう。


 さりげ無い仕草で窓を開けたオレはおもむろにキセルを口にくわえる。

 キセルをフーッと吹くと、意外や意外。

 キセルからは煙じゃなくて、シャボン玉が出てきました~♪ 

 ぽわわわんと空に飛んでいくシャボン玉と憂いを帯びた表情の高波太夫。絵になるだろ? (笑)


 「「「ニャ~ッハハハハハハハ!」」」


 リアルにお腹を抱えて笑うネコさん達。最高のリアクションを返してくれるね。


 「た、高波太夫最高にゃぁ♪ もっと面白いことして欲しいみゃぁぁ♪」


 クラスを見渡してみると他のお客さんやクラスの皆も満面の笑みになっている。


 この調子でおネエ · おニイ喫茶を更に更に盛立ててみせるぞ!

 それが花魁の責務なのだから!


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