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幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【裏話】湖宵とホモる (ド直球) 高校生活
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裏17話 思い出の文化祭① 衣装合わせするわヨ♡ 高二 二学期

 「しゅぴゅるるるるぅぅ~……」


 湖宵の寝息で回想から現実へ引き戻される。


 今は新幹線で修学旅行の目的地へと向かっている所だ。発車して一時間は経っただろうか?


 それなのに湖宵が目覚める気配は一向に無い。

 どんだけはしゃぎ疲れているんだよ。

 明らかにあの体育祭の時より疲弊してない?

 

 それに体育祭でオレが大活躍していた時より興奮していなかった? 三五君的にちょっとショックなんですけど?


 はぁ、窓の外でも眺めるか。車窓から見慣れない風景を眺めていると旅に出たって気分に……うん、ならないな。だって凄いスピードで景色が変わっていくんだもんよ。速い。怖い。

 久し振りに新幹線に乗ると「新幹線超速ぇ~な」としか感想が出て来ないよね。特に車両連結部に行った時とか。


 暇だなあ。湖宵から目を離すのは何だか不安だからあまり席を立てないし。


 今度は文化祭の事でも思い返してみようか。

 一日中変なテンションで笑いっぱなしだった程、面白くてクレイジーな文化祭だったから退屈はしないハズだ。




★★★★★★★★★★




 二学期に入ってから、オレと湖宵は文化祭の準備に大張り切りで勤しんでいた。

 高校に入って初めて参加する文化祭だからすごく楽しみにしていたのだ。


 ……うん。去年の今頃は皆にエロいエロいと言われ始めた時期だったから、ふて腐れて文化祭に参加せずに湖宵と一緒にサボって遊んでいたんだよね。ゲーセンで。

 

 いや~、あの頃は若かった。今じゃエロいと言われても全然何とも思わないぜ。(真顔)


 そんな事はさておき、オレ達のクラスの出し物を発表しよう。


 ジャカジャカジャカ……ジャカジャン!


 定番中の定番! “おネエ · おニイ喫茶”だぁ~っ!


 え? 「定番の意味を辞書で調べろ」? 「そんな狂った企画が通る訳ないだろ。死にさらせ」?

 フッフッフ。甘いな。


 Q極TSは今や社会現象!

 異性になりたいと願うトランスジェンダーの人々の気持ちを少しでも理解する為に男子は女装、女子は男装、言葉遣いも異性のものに改めて接客をするのだ。

 これ即ち社会勉強。断じておふざけではない。


 その証拠に全国の文化祭で性転換をテーマにした出し物や研究発表等が見られて、その模様がTV番組でも取り上げられている。

 普段真面目に勉学に励んでいる生徒がキャッキャとおネエキャラを演じている所がTVで放映され、それを見た母さんが「時代の波……キテるわね」とか言ってた。


 そんな訳でクラス一丸となっておネエ · おニイ喫茶の準備に取り組んだ。

 ウチは実際にQ極TSした経験のある人気者 · 湖宵がいるクラスだから気合いの入り様も一入だ。

 湖宵の人生のパートナーであるこのオレも、ある意味人気者であると言えなくもないしね。


 

 準備は着々と進んでいく。

 お客さんに提供するメニュー決め、メニューの試食会、内装のデザイン決めに製作……などなど。


 そして、衣装合わせ。


 「うおおおお……」

 「こ、これをオレらが着るのか……」

 「実物を見るとちと腰が引けるな……」

 「ス、スカート短いよなどれも大体……。スネ毛がさぁ……」


 喫茶店をやるという事なのにウエイトレスの衣装だけでなく、定番のコスプレ衣装各種がオレ達男子一同の前に勢揃いしている。

 ナース服、チャイナドレス、セーラー服、メイド服、チア衣装、巫女服etc.

 

 こ、これをオレ達が着るってか。確かにこの現実には震えるわ……。


 「「キャ~♪ 湖宵ちゃ~ん♪」」


 オレ達が尻込みしている間に、湖宵が一番乗りでお着替えしたみたいだ。女子が我先にと湖宵の前に集まり、歓声を上げている。


 「ウ、ウエイトレスさんになってみました~……ど、どうかな?」


 「きゃあぁ♡ 繊月(せんげつ)君ステキ♡」

 「メイクもバッチリ♡ 本物の女の子よりキャワイイ♡」

 「キ、キレ~イ♡ 憧れちゃうぅ♡」


 湖宵のその姿を見たその時、オレの心臓がドキンと跳ねた。


 明るいレモンイエローが基調のロングスカートに純白のフリルエプロンを合わせたシンプル イズ ベストなデザイン。更に胸元にリボン、頭にはレース付きカチューシャ。


 何て可愛い格好のウエイトレスさんなんだぁぁ! ああ~っ! 湖宵~っ!


 Q極TSしていた時と比べると大分背が高めでクールな印象を受けるが、その洗練された容姿は美少女以外の何者でもない。



 「さ、三五。ボクのこの格好どうかな? か、可愛いかな?」


 湖宵がオレにニコ~ッと笑いかけてくれる! その花丸笑顔は女の子(こよい)そのもの。

 ああっこよいだぁ! オレの大好きなこよいの笑顔がこんな所で見られるなんて、何て嬉しい不意打ち!


 全身の血がギュンギュン巡り体温がジワジワ過熱するぅ! キタキタ、この感じ! 久々に燃える恋してる~って感じだ!

 

 「もちろん! この世の誰よりも可愛いよ! オレの湖宵~っ!」


 「キャ~ッ♡ 嬉しいぃ♡ 三五の熱~い視線、たまんない♡」


 ピョインピョインとその場でジャンプする湖宵。スカートの裾がピラっと翻る。

 美形なのにこの可愛らし過ぎるリアクション、オレの方こそたまらないよ♪


 「ウキイィィ~ッ! 悔しいキィ! エロ神羨まし過ぎるキィィィ~ッ!」

 「チンパンに同意するのは癪だが……」

 「繊月の変身っぷりは確かにヤバいよな」

 「めっちゃ綺麗だよな、純粋に」


 湖宵の美しさ、可愛らしさにクラスの男子はメロメロだぁ。う~ん凄い優越感を感じる。


 「へっへ~んっ! 湖宵はもうオレのお嫁さんなんだぜ!」

 「もぉ~っ♪ 三五ったらはしゃぎ過ぎ♪ でももっと言って♪」


 「プッ、高波君ったら子供みたい」

 「いつもは大人っぽい(エロい)のにね~」



 イイねえ! テンション上がってきたし場も盛り上がってきた。

 よ~し、ここはオレも衣裳に着替えて一発ウケを狙おうか。このチャイナドレスなんてどうかな?


 「待って高波君! そんなエロい格好しないで! 気の弱い女子が泣いちゃう!」

 「高波君専用の衣裳を用意してあるから! ホラ、こっちに来て!」


 ええ~? オレ専用の衣裳? 

 女子達がそう言って広げて見せたのは、着物。

 ハイハイ。肌を露出するなって事ね。


 ブレザーの上だけ脱いでその上から着物を着せてもらう。

 次に帯をぎゅっと結ぶ。苦しい。

 更にカツラまでかぶせられて、簪みたいな飾り物までプスプスと突き刺されてしまう。


 「メイクはボクがしてあげるね~♪」


 湖宵が器用にパフパフ塗り塗りとオレの顔にメイクを施していく。

 メイクが完了したら全体像を確認する為、姿見の前に立ってみる。


 「ブッハアアァァァッ!」


 自分のあまりの変わり様、そして滑稽さに堪らず吹き出してしまった。


 「ア、アハハハハ! お、花魁だ! デカくて肩幅が広い花魁が居る~っ! ヤバい! これ面白すぎ! アッハハハハ!」


 あからさまにおネエっぽい! 例えばこう、鏡に向かってニカッと笑うと……アハハハハ! 強そう! 競馬新聞見ながらタバコ吹かしてそうだ! は、腹が! 腹がよじれるぅぅ!

 これは皆にも見せて笑ってもらわないと!


 「二十一世紀の花魁 · 高波太夫ヨ~ン♡」


 「「「「うおぉぉぉぉう……」」」」


 あっれ~? スベった? いや、それにしては皆の視線が妙に熱っぽいような?


 「やっぱりエロい……でも」

 「う、うん。凄く貫禄があるよね」

 「強い(断言)」

 「存在感クソでけぇな、オイ」

 「高波太夫さま……ポッ♡」

 「キッキッキィ~……ウキィィィィ♡」


 何だその反応は!? 面白かろうが!? てか、そこの童貞チンパンジー! オレを見て照れるな! 何でもありかお前は!


 

 「さ、三五、あのね。言葉では言い表せないけどとにかくスッゴく素敵だよっ。思わず甘えたくなるくらい包容力があって……こ、これは今度の文化祭、大変な事になりそうだね!」


 そう言う湖宵のキュートさも、オレを狂わせるんだよなぁ。

 テンションの上がった花魁 · 高波太夫様が何をしでかすか、わかったモンじゃない。


 湖宵のお言葉通り、今度の文化祭は何だか波乱が起きそうだ!

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