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@7 ロイズ商店

もう12月…早いものですね。

頭の中でのストーリーを如何に文章にするのか……難しい限りです。

ケインさんと別れ、俺はロイズ商店に行くことにした。

と言っても何処にあるか分からない。

どこかで人に聞くかな。

ぐぅぅ…あーそう言えば結構な時間経ってるよな、軽く時間を確認したらお昼過ぎ。

先に腹ごしらえしていくか。

ロイズさんのお店を探しながら街を歩いていると、何とも言えない良い匂いのする屋台があったので、そこで昼食を済ませる事に決めた。

そこは串焼きのお店のようで、肉と野菜の焼けるいい匂いが食欲をそそる。


「おっちゃん、一本ちょうだい。」

「あいよ!一本330Gだよ。」

「はい、330G。」

「毎度あり。」


俺はその場で串焼きを食べてみる。

胡椒が効いているのか、少しアクセントはあるが肉自体の旨みがすごくはっきり言って美味しい。


「おっちゃん、美味しいよ!」

「そりゃ嬉しいねぇ。モウオークの肉は中々手に入らないんだぜ?」

「へぇー、モウオークって肉なんだ。胡椒も貴重なのにたくさん使ってるよね。」

「まぁな、ちょいと独自の仕入れがあるんでな。こうやって屋台でも使えるのさ。」

「そうなんだ。おっちゃんロイズ商店ってどこにあるか知ってる?」

「おう、それならその通りを真っ直ぐいって……。」


屋台のおっちゃんにロイズ商店の場所を聞いて、お礼にもう一本買ってから向かった。この串焼き本当に美味しい。

それとやっぱりこの世界も香辛料は貴重のようだ。

ならば、てっとり早く香辛料で儲けるのがいいかも知れない。

俺は人気のない路地に入り売る香辛料を用意することにした。

まずは【異世界ショップ】を開く。

目の前にパソコンのディスプレイのようなものが浮かび、そこに楽○やアマ○ンのようなネット通販的な表示がされる。

使って初めて知ったが、異世界での対価は魔力。

なので実際買いたい放題だ。

しかも家電なども異世界では魔道具化し使用できる。

このシステムを考えると、異世界では何不自由なく暮らせる様に出来ているな。俺を神にした者はこっちに住めと遠回しに言ってるように思う。

まぁ今は香辛料を売って金にする方に話を戻そう。

まず蓋付きの壺と地球産の塩と粒状態の胡椒を買うことにした。

画面をタッチして、購入を押すと身体から何かが抜ける感じを受ける。まぁ魔力なんだけど…。

すると目の前が光り、収まると壺と塩と胡椒が出てきた。

そしてそれが重力に従って落ちていき……ガシャン、バサッ!

大変な事になりました。

まさか目の前とは言え空中に出るとは……しかも香辛料はむき出しで出てくるとは……。俺は目の前に落ちた物をストレージに収納してどうにかならないかとエイリスに聞いた。

そしたら、そのままストレージに収納出来るように調整してくれた。

さすがエイリスだ。最初から相談していればよかった。

ストレージに入れたとはいえ、落ちた物を売るのは流石に憚れるので新たに買い直しをしたよ。

ストレージの中で壺の中に塩と胡椒をそれぞれ入れておいた。


それからしばらく歩くと2階建ての大きな商店が見えてきた。

2階部分には【ロイズ商店】とこれまた大きな看板があり、ただの小さな街の商店では無いことを窺わせる。

お店に来てほしいとは言われたけど、何となく「会って大丈夫なの?」と思ってしまう。

でも、このまま顔を出さないのも失礼だから行くしかないか。


「すいませーん。ロイズさんに会いに来たんですけど?」

「はーい、いらっしゃいませ。会長に面会ですか?えっと御約束は?」

「あ、ロイズさんに呼ばれて来ました。」

「そうですか、では確認を取りますのでお名前をお願いいたします。」

「はい、ハルトと言います。」

「ハルト様ですね、少々お待ち下さい。」


お店の店員さんが奥へと入っていく。

待ってる間に改めて店の中を見てみると色々な物が売ってあった。食料となる、小麦や肉、野菜に干した魚や香辛料と思われる物、その中には塩や胡椒もあった。やはりこの世界の塩や胡椒などは地球に比べかなり質は悪いようだ。

あとは、ポーションや武器に防具。魔道具らしき物や一般的に使う日用品等もあり、総合商店と言ったところだ。

そりゃ建物も大きくなるわけだよ。


「お待たせ致しました。確認が取れましたので、商談室にご案内致します。どうぞこちらへ。」


店員に促され、後ろに着いていく。

奥へと行くと左右に扉がありそれぞれ第1~第6商談室と書かれていた。そして、一番奥には特別商談室と書かれた扉があり店員はそこに向かい、扉を開けて中に入るように言ってきた。


「会長はすぐ来られますので、少し此方でお待ち下さい。」


そこはVIP専用なのだろう。シンプルではあるが豪華な雰囲気の調度品が置かれ、テーブルやソファも高級感を感じる。


「いやぁ、ハルトさん!よくぞ来てくださいました。」


ソファに座った瞬間、扉が開きロイズさんが入ってくる。

旅の時とは違い、今のロイズさんは大商人と言っても過言ではない服装で現れた。

ロイズさんの性格なのか、その服装も高級感を醸しながらもシンプルなデザインだ。

再開を喜ぶようにロイズさんは座っている俺に握手をし、ソファの対面に腰を降ろした。

すると、いつ用意したのか店員さんがお茶を出してくれる。

仄かに薫る芳ばしさは、ほうじ茶を思い出させるようだ。

「失礼しました。」と店員さんが頭を下げ部屋を出ていく。

お互いにお茶を一口付け、一息入れるとロイズさんから話しかけてきた。


「ハルトさん、よく来てくださいました。冒険者カードは無事お作りになられましたか?」

「はい、お陰様で無事に。色々お世話になりありがとうございます。」

「いやいや、命の恩人なのですからこれくらい当然ですよ。」

「そんな大したことしてませんけどね。」

「あの時は、ハルトさんが来なければ皆死んでいたでしょう。ですから、本当に感謝しているのです。それと、これは少ないですがそのお礼です。お受取り下さい。」


ロイズさんは懐から、袋を出してテーブルに置いた。

その際にカチャンと音がしたので、多分お金なのだろう。


「少ないですが、金貨50枚が入っています。」


金貨が50枚って日本円で500万か。人助けしたと言ってもこれは貰いすぎだな。だからって完全に断るのもロイズさんに悪いし……あ、そうだ!あれなら上手くいくかもしれない。

俺は、テーブルに置かれた袋に手を出さずにロイズさんの顔を見る。

俺はある考えが浮かび訝しむロイズさんに話を切り出す。


「ロイズさん、ありがとうございます。気持ちは嬉しいですけど…でもそのお金は受け取れません。私にとっては、この街に入るようにして頂いただけで十分です。なので、1つ提案と言うか相談があるのですが……。」

「……相談ですか?私に出来ることなら聞きますよ。」

「ありがとうございます。ロイズさんは商人ですので買い取ってほしい物があるんです。」

「ふむ……買い取りですか?一体どういった物でしょう?」


ストレージからテーブルの上に塩と胡椒が入った壺を1つずつ出した。


「壺…ですか?その壺は一般的に売られている壺のようですが……もしかして中に入っている物がそうなのでしょうか?」

「はい、そうです。此方が塩、こっちは胡椒になります。」

「塩と胡椒ですか…秘密にするような……ん?……ハルトさん。これは!?」


俺は説明したあとに、そっと壺の蓋を開けた。

ロイズさんはこの世界では見ることのない洗練された純白の塩と胡椒を見て困惑する。


「ロイズさん、鑑定していただいても結構ですよ。」


この世界では、一般的に直接鑑定をすることは少ない。それは鑑定スキルを持つものが少ないからだ。

なので、鑑定専用の魔道具があり基本はそれで価値の真贋を見極めている。

しかし、ロイズさんは鑑定スキルを持っているようだ。

鑑定と言っても出来るのは物だけ。

人や魔物などのステータスは、精霊眼でないと視れない。

どうやら、ロイズさんは鑑定スキルを使い結果を見ているようだ。

因みに鑑定するとこう見える。


【名前:塩 品質:最上級品】


「なっ!!は、ハルトさん!」

「ロイズさん、何も聞かないのが良い商人ですよね?」

「え、えぇ。もちろん。しかし、ハルトさんは確か北の方の村の出身と…。その村ではこのような塩を造ることが出来るのですか?」

「ロイズさん?……北の方にある村に行かれたとしても、この塩はありませんよ?」


俺はロイズさんの商人としての矜持を試すことにした。

これ以上聞いて来るようなら、これきりで終わりにするつもりだ。


「そうですか…いやはや、あまりにも信じられない物を見てしまったのでつい興味深くなってしまいました。そうですね、商人としてお客様の詮索はするものではありませんね。ハルトさん失礼しました。では、こちらの胡椒も?」

「ええ、鑑定すれば分かりますが最上級品ですよ。」

「なるほど、確かに胡椒も最上級品ですね。ですが、私には難しい話です。これを買い取り売れば必ず売れます。ですが供給が少なすぎる。これでは、お店として売ることが……。」

「それは、大丈夫です。まだそれなりに有りますので。」

「おぉ、それならば買い取りさせて頂きます。因みにどれ程の量なのでしょうか?」

「塩、胡椒それぞれ50キロはあります。」

「それほどの量を!!それなら塩はキロ18,000G、胡椒は16,000Gでどうでしょう?」


エイリス、これって適正価格かな?


〈はい、少し高めに買い取りしてるみたいです。〉


「ええ、構いません。それでお願いします。」

「では、今お金をお持ち致しますね。」

「ロイズさん、目の前にあるじゃないですか。」


俺はテーブルに置いたままのお金の入った袋を指さす。


「これは、ハルトさんのお金であって……。」

「それはさっきお断りしたじゃありませんか。その代わりに取引してもらっているのですから。」


俺はお金の入った袋を開けて、金貨を16枚出しテーブルに並べ、残りを袋ままロイズさんの方に置いた。


「合計で金貨16枚。確かに頂きますね。」

「いやはや、そうですか。ハルトさんがそうおっしゃるなら…。」

「これからも良い取引が出来たらと思います。」

「はい、こちらこそお願いしたいですね。」


そのあとは、少したわいのない話をしてお店を出た。

お店の入り口でロイズさんは、また要らしてくださいと俺に握手をしてお店へと戻っていった。


ありがとうございます。

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