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@5 初異世界人

頑張ってます。

地球に戻り、昼食を食べて再び異世界(ガイアース)に行き、魔物と戦い夕方地球に戻った。その後は学校とバイト、それに異世界(ガイアース)での戦闘経験という名の魔物の討伐の日々を過ごし、いつの間にか一ヶ月が過ぎた。

魔物との戦闘等、今では目を閉じて耳を塞いでも余裕で倒せる位に迄成長した。

今日は1日休みになったので朝一(7:00)から異世界(ガイアース)に来ている。戦闘に関しては、エイリスからはもう大丈夫とお墨付きを貰い、今は【終焉の草原】から東に約3450キロの場所だ。街まではあと50キロ程。

このまま行けば今日には街に着くかもしれない。

少し前に【終焉の森】は抜けて今は【マクナスの森】という場所にいる。

森と森の間に【ナスベル山脈】があり、それを越えた麓にも森が広がっておりそれを【マクナスの森】と云うらしい。

あの【終焉の草原】から離れていくにつれて魔物も弱くなっているようで、この辺りだとたまにジェネラルクラスが出るくらいだ。

倒した魔物は全て【ストレージ】に入れてある。


【ストレージ】

生命体以外のあらゆる物を収納する。

中に収納された物は、時間が停止し任意で時間を進める事も出来る。

また、収納された物の分解・合成等もできる。


今やストレージの中は、魔物だらけとなってしまった。

アース・レッド・ブルー・ブラックの各種ドラゴンから始まり、お馴染みのゴブリンやオークにオーガ等も各種エンペラークラス、その他、亀や蛇等色々な魔物が入っている。

正直ストレージと言うより魔物ボックスと言う方が正しいのでは?と思ってしまう。


魔物との遭遇率も落ちてきたので、のんびりと進んで(それでも時速15キロ)

いると、マップに初めて赤点以外の色が表示された。

黄色が4つに灰色が2つ。

エイリスの説明だと…

赤=魔物或いは敵意のあるもの。

青=味方。

黄=無関係・無関心・興味のない又は敵意がないもの。

緑=味方程ではないが好意的。

灰=死者

そして、マップには赤色に囲まれた黄色が4つ。まずいな、魔物に襲われているのか?知ってしまった以上放ってはおけない。俺はマップが示す場所に向かった。

マップの示す場所に近づいていくと馬車が見えた。

傷だらけになりながらも、魔物と戦う冒険者らしき人が1人。

マップと気配で残りは馬車の中に3人いるようだ。

魔物はグリードウルフ。この魔物は一体の強さはそうでもないけど群れで襲ってくる厄介な魔物だ。

やばい!早くしないと全滅だ!!

俺はまだ離れている魔物に向かって魔法を放つ。


風弾丸(エアバレット)


ボファ!

圧縮された風の弾丸がグリードウルフの頭に当たり吹き飛ばす。


「な⁉︎一体何が⁉︎」

「大丈夫ですか⁉︎加勢します!」


俺は神刀アメナカカミを抜き、グリードウルフに斬りかかる。

最初に魔法で倒した1匹を除けばあと5匹。

一番近くに居た1匹を横切りで首を刎ね、空いている左手でエアバレットを無詠唱で放ち2匹を倒す。

残り2匹。残りのグリードウルフが1匹悠翔に襲いかかるが難なく避け、避ける際に刀で横切り魔物の体が上下に別れる。

残り1匹……は、どうやら冒険者が倒したようだ。


「すまない、助かった。」

「いえ、間に合わなくてすいません。」


周りに横たわる人達を見ながら謝る。


「君には責任が無いんだ、謝らなくいい。俺は見ての通り冒険者をしているケインだ。因みにランクはC。本当に助かった。有り難う。」


ケインさんは見た目は20代後半のイケメン男性だ。背も高く筋肉質と言うより細マッチョな感じ。

印象としては優しいお兄さんっぽい。


「何とか間に合えばと思ったんですけどね。あ、俺は悠翔と言います。最近田舎から出たばかりで冒険者になってませんけど…。」

「ハルトか。いい名前だな。田舎から出たと言ったが何処の村だ?そもそもこの森には村等無かったはずだが?」


あ、ラノベの展開じゃん…。エイリスどうしよう?


<そうですね、この位置からだと『北にある村』と言ってください。>


「あ、この場所から北にある村で……。」

「北の村…あぁ確かに北の方に村があると聞いた事があるな。それにしてもハルトはまだ成人し「ケインさん、もう大丈夫なのですか?」ああ、ロイズさんもう大丈夫です。」


ケインさんの話を遮るように馬車から顔を出して話してきたのは、中年の男性で見た目は某竜物語の商人、でも体型は痩せてる。


「それは良かったです。おや?その方は?」

「あぁ、彼は俺たちを助けてくれたハルトだ。ハルト、こっちの人が俺の護衛対象のロイズさんだ。」

「ハルトさん、助けていただきありがとうございます。私はマクナステルで小さな商店をしているロイズと言います。グリードウルフに囲まれた時は本当にもうダメかと思いました。ハルトさん感謝します。」

「いえ、助け合うのは当然ですから、あまり気になさらず。感謝の気持ちだけ受け取っておきますね。」

「そんな!今はこんな状況なので何も出来ませんが街に帰ればお礼させて下さい。」

「ほんと気にしないで下さい。それに俺は「まぁいいじゃないかハルト。」…。」

「助けたのは事実で助かったのも事実なんだ。そんなに遠慮してると逆に何かあるのかと疑われぞ?ロイズさんがお礼したいと言ってるなら素直に受けた方がいい。当然俺も助けられたからなお礼するぞ。遠慮するな。」


俺の言葉を遮ってケインさんが言ってくる。確かにケインさんの言う通りだろう…ここは素直になっておくか。


「分かりました。それじゃ素直に受け取ります。」

「それでいい。とりあえずこのままここに居るのは良くないな。血の匂いで他のを呼び寄せる。先を急ぐとしよう。」

「え?この亡くなった人達はどうすんですか?」

「あぁ、本来なら穴を掘り埋めるか焼くかするんだが、それが出来る状況ではないからな。出来ればちゃんと弔ってやりたいさ。グリードウルフの死体も持って帰れればいい金にもなるんだがな。」


さて、どうするか。俺にはストレージがある。だが、大抵こういうのは驚かせ世からぬ疑惑や疑問を持たれ………とラノベではあるあるなんだよな。

かと言ってケインさんの仲間をこのまま放置も心苦しい…。

エイリスどう思う?


<別に大丈夫だと思います。仮に何かあっても被害はありません。>


そういやそうか、神だし。


「あの、良かったら俺が運びましょうか?」

「ん?どうやって運ぶんだ?一人くらいなら何とかだろうが?」

「いえ、こうやって。」


俺は、近くのグリードウルフに手をかざしてストレージに入れる。

ストレージに物を収納する場合は、通常その物に触れていないといけないのだが俺の場合はその物を視界に捉えているなら触れなくても収納したいと意識すれば収納出来る。

エイリスがいうには、魔力を行き渡らせてその物を触っている状態と同じにするらしい。

ただし、人が身につけている物や強く想い入れがある物は収納出来ないらしい。

その境界は曖昧らしいけど。


「おいおい、まさか収納持ちかよ…。」

「おお!ハルトさんは収納持ちなのですね。」

「はい、ストレージと言います。とりあえず全て収納するつもりですが大丈夫ですか?」

「ああ、構わない。これで仲間達をちゃんと弔ってやれる。ハルト、ありがとう。」

「俺も、このままっていうのも心苦しいと思っていたので…。では、収納しますね。」


俺はグリードウルフ10体とケインさんの仲間だった2人を収納する。


「よし!街に向かうとするか。ロイズさんすまないが御者を頼みます。俺は横で警戒しますので。あとハルトは馬車の中に入ってくれてていい。何かあれば力を借りるかもしれないが…。」

「分かりました。俺も警戒しておきますので何か気付いたら言いますね。」

「助かるよ。それじゃ行こうか。」

「はい。」


俺は、馬車の中に入る。

中には子供が2人寄り添うように寝ていた。


「2人は私の孫でね。右がマイズで左がリーズ。さっきまで怯えていたんだが静かになった途端安心したのか疲れて寝てしまってね。起きたら紹介するから教えてもらえますか?」

「はい、分かりました。起きたら言いますね。」

「お願いします。」


右の子は男の子で左が女の子だ。2人ともまだ幼く8歳位だろうか?

2人ともとても可愛らしい顔付きをしている。観ているだけで癒されるようだ。


マップで魔物が居ないかチェックしながら外の景色を眺める。

馬車が進む前方は木々も少なくなってきており、もうすぐ森を抜けそうだ。

この異世界(ガイアース)に来て初めての人との接触。

ラノベを読んでいる時は、そんなすぐに会話して仲良くなれるものか?と疑問に思っていたけど、言葉が通じるなら案外普通に接する事が出来るようだ。

あと、初めて人の死体を見たのだけど、特に何もなかった。

これは精神的な何かが守られていると思う。精神耐性スキルとか。

そんな事を考えていると、御者をしているロイズさんが話し掛けてきた。


「ハルトさんはお若い様にお見受けしますが、おいくつになられるのですか?」

「俺は、16ですね。」

「ほぉ、まだ成人して間もないのに魔物を殺せる力があるとは、ハルトさんも冒険者なのですか?」

「いえ、俺はまだ冒険者ではないです。街に着いたら冒険者になろうと思って向かっていたところなんです。」

「そうだったのですか。では着いたら身分証はどうされるので?」

「身分証ですか…村では身分証は無かってですし、恥ずかしながら手持ちのお金も無くて……。」

「おいおい、村によっては身分証がない事はよくあるが、お金がないのはまずいだろ?どうやって街に入るつもりだ?」


ケインさんが俺にどうするのか聞いてくる。


「倒した魔物でも売って入れないかと…ダメですか?」

「いや、ダメじゃないが街に入らないと、そもそも売る事が出来ないだろうな。」

「え?そうなんですか…どうしよう……。」


困り顔でうんうん唸って考えていると、ロイズさんが声をかけてくる。


「それでしたら、街に入るお金は私が払いましょう。」

「え?そんな……。」

「これも助けていただいたお礼ですよ。払わせて下さい。」

「ロイズさん、ありがとうございます。」


何とか街に入る算段がついた頃、森を抜け街道に入った。

今まで通った場所も森の街道らしいがあまりそこを通る者は居ない。

ケインさんの話だと、【マクナスの森】の南には海の街があるらしく、そこからの帰り道でこのルートを選んだらしい。

このルートは魔物も出るので使われないが最短ルートらしく今回は孫を早く帰そうと選んだそうだ。

普段ならゴブリンやグリーンウルフ程度なのだが、なぜか滅多に出る事のないグリードウルフと遭遇してしまい今回こんな事になったそうだ。


「ケインさん傷だらけですけど大丈夫なんですか?」

「ん?大丈夫だ。さっきポーション飲んだからな。止血は出来てるさ。」


確かに傷はあるけど血は流れてない。ちょっと治りかけのような傷跡が生々しい。


「良かったら傷治しましょうか?」

「ハルトは、回復魔法が使えるのか?」

「はい、使えますよ。」

「そうか、ならお願いしよう。」

「では、ヒール!」


俺がヒールを唱えるとケインの体が淡く光り、生々しく見えていた傷が治っていく。数秒後に傷跡など完全に無くなっていた。


「ハルト済まない。また助けられた。街に着いたら治療費も払おう。」

「そこまでいいですよ。その代わり俺も冒険者になるんで色々教えて貰えれば嬉しいです。」

「ハルトは冒険者になるんだったな。分かった。」

「ほら、街が見えてきましたよ。」


ロイズさんの言葉で前方を見ると、大きな城壁が視界にいっぱいに広がっていた。


「ハルトさん、もう少しでマクナステルに着きますよ。」


俺はロイズさんの言葉に胸を弾ませて街に向かっていく。


ありがとうございます。

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