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突然ですが、我々には部費がない  作者: 小鳥遊七海
生徒会の野良アプリ対策開発
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ハーレムの使い方

 きつねは俺の形式上ハーレムメンバーの一員である。しかし、きつねは明らかにハナ様が好きで、俺には興味がない。ハーレムとは何なのか疑問に思えるが、リアルハーレムなど所詮はエロゲの中の世界。リアルにはないから価値があるのである。


「きつねに頼みがあるのだが」


 俺はコンピュータ同好会の部室にたまたまいたきつねを見つけて話しかける。


「なんでしょう? 御兄様」


 よくわからないが何故か御兄様呼びになっている。どういうことだろう。


 まさか、龍ヶ崎と恋人同士になったことがばれたとか?


「なんで御兄様なの?」


「ハナ様とご結婚される方は血が繋がらないといえども御兄様ではありませんか?」


 いつハナ様と結婚することに? ハナ様は俺の形式上のハーレムメンバーとして、今でもエロゲの開発をしているに違いない。俺もこんな面倒なことははやく終わらせてアルバイトにいくのだ。


「では、妹。あの事件の三人組からパスワードを聞き出せ。そして、野良アプリを抹殺しろ」


「よろしいのですか?」


「何が?」


 きつねは顎に人差し指を当てると、首をかしげた。


「あの三人組は野良アプリと呼ばれるものを配布などしておりませんよ?」


「よし、それ以上話すな!」


 これは面倒なことになっているに違いない。あの三人組が犯人でないのなら、さらに出てくる第三者など俺が切り崩せるはずもないだろう。


 もうやめである。これ以上したら俺がアルバイトする時間がなくなってしまう。


「しかし、御兄様。学園の裏サイトを運営してあることないこと流しているのは事実です」


「噂はどうでもいい。問題は野良アプリだ」


 人の噂などそのうち覚める。人間は飽きやすい。だから粘着しているやつも時間が立てばどこかへいく。そして、どこかの掲示板みたいにスパムしか書き込まれなくなっていくのだ。


「野良アプリと呼ばれるものの情報はまだつかめていません」


 きつねにしては珍しいなと思った。


「相手は相当なやり手です。私では歯が立ちません」


 ますますセキュリティ企業へ依頼するような案件じゃないか。


「俺は何もしないからな」


「まあ。さすが、御兄様ですわ! 私が何も言わなくても分かるなんて」


「何もしないといっている」


「わかっております。貢ぎ物は用意いたしました」


 俺の頬がピクリと動く。


「ものによっては考えないでもない」


「今回は前払い報酬と、成功報酬に分けさせていただきます」


「ちっ!」


 思わず舌打ちする。報酬を貰ってとんずらはできないらしい。


「その分、成功報酬は破格です」


「何か聞いてもいいか?」


「私がためたハナ様のマル秘写真集……と思ったのですが、お渡しするにはまだ時気が早いので、龍ヶ崎家と縁が切れる情報をお渡しします」


 正直な感想、俺は要らないと思った。


「前払いの方は?」


「いつものエロゲですが、鳳さんの会社のライバルと言われるレーベルから出ているエロゲ三本セットです。御兄様がお作りになっているエロゲをより良きものにするためにはライバル会社の研究も必要ではないかと思いまして、調達いたしました」


 きつねは本当に気が利く。


「よし、それで手を打とう」


「それでは依頼内容をお話致しますね?」


 きつねが笑うと、お寺に奉納された日本人形みたいで怖いのだが、研究資料(エロゲ)のために踏みとどまった。


「御兄様には簡単なことです。問題の三人組をろうらくしてくださいませ」


 簡単なわけないのだが、とりあえず受けて踏み潰してもよさそうな依頼に思えた。


「わかった。まかせろ」


「ろうらくするときは、道山さんからおねこいたしますね」


 成田の妹にはあったことがないが、成田が同性愛なので、妹も同性愛なのかもしれない。何しろ百合百合しい斉藤と姉葉のキスシーンを見て喜んだぐらいなのだ。


 ちなみに三人組はどの辺に現れるんだ?


「では、三人組の情報を話しましょう」


 俺はきつねから三人組の話をこれでもかとインストールされた。もはや、自称友達のアンや椿なんかよりも詳しいレベルだと思われる。


「しかし、ここまで調べているのなら、きつねが自分でやったほうが早いだろ?」


 俺の問いにきつねはただ微笑むだけだった。

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