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突然ですが、我々には部費がない  作者: 小鳥遊七海
生徒会の野良アプリ対策開発
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人には退けない理由がある!

 人間は合理的に生きられないようになっている。如何に論理的に考えて正解を導きだそうとも、それが確率的によい選択だったとしても、人間はそれを選択しない。


 俺はコミュニケーション能力が不足しているので、そういうことがわからなかった。


 つまり、初等部の三人組が断固としてアカウントを返さないとは思わなかったのだ。


「ということで、説得も何もなく、とりつく島もない有り様です」


 斉藤の報告を聞くと、やる気のない斉藤のことだから手を抜いたんじゃないかと思ったが、姉葉の話を合わせて考えると斉藤というよりもその三人組が頑固だと気がついた。


「そこまでしてアカウントを守らなきゃならないことってなんだよ?」


「それがわからないから保に助けを求めたんじゃない!」


 アンが悔しそうにいう。


「単に情報が不足しているだけだろう」


 情報が足りないのなら集めればいい。しかし、三人組とは直接の面識はないから、俺が何か聞いても意味はないだろう。


 あとは直接面識があると言えば……。


「龍ヶ崎か、きつねか……」


 龍ヶ崎は事情聴取をしているので、なんらかの情報を持っているかもしれない。


 きつねは三人組の弱味を握っているかもしれない。弱味を利用すれば、頑固でも言わざるを得ないだろう。


「とりあえず、龍ヶ崎に話を聞いてみるよ」


「龍ヶ崎さんというと、保さんの愛人の方ですよね?」


 椿がすっとんきょうなことを言い始める。


「誰が言ってたんだ?」


「見ていればわかります。龍ヶ崎さんは保さんのことをとても愛のある視線で見ておられますし」


 椿はひとりにしちゃいけない人種なんだと理解した。椿はアンと一緒にいた方がいい。


 紀子と我孫子を単独にしないほうがいいように、世の中にはひとりにすると箍が外れるというか本性が駄々漏れになる人種がいる。迷惑なことこの上ないがひとりにならない限りはまともな社会生活を遅れるのだ。

 ここは生暖かい目で見てやるのがいいだろう。


「龍ヶ崎に話を聞くには時間もないし、今日はここでお開きだな。斉藤も姉葉もお疲れ様」


「ここまで関わったら気になりますので、結果は教えてくださいね」


 姉葉はそういうことはあまり興味ないと思っていたが、人並みの好奇心はあるようだ。


「そこのアンちゃんと椿に聞けよ。俺の協力はそんなに期待するな。コミュニケーション能力が高くないというか、ほぼない俺ではこういう込み入った問題は解決できないだろう」


「ふふ。そんなことを言って、結局解決してしまうんでしょう?」


 椿のキャラが段々分かってきた気がする。俺が『気の弱そうな少女』と思ったのは間違いだ。流石に俺。人を見る目がない。コミュニケーション能力のひとつである人を見る目と言うのは中々見につかないものだ。


「椿、お前は俺をなんだと思っているんだ?」


「こ、恋人です……」


 急に気の弱そうな少女を演じる。


「初等部の女子を辱しめるとか鬼畜ですね、宗川先輩」


「斉藤、お疲れ様。もう姉葉とちちくりあいにいってかまわんぞ」


「え……私たち、しばらく自制しようかと……」


「なるほど、しばらく我慢した方が再びエロいことをするといつも以上の快感を得られるもんな」


「そういうことじゃありません! だいたい初等部の前で何を言ってるんですか!」


「そういうお前らはあわや実演を初等部の子に見られそうになったんだから、自制してるんだろ? もう学園でやんなよ?」


「な!」


 斉藤も姉葉も真っ赤である。一生、このネタでいじれそうだな。


「保はその辺にしておきなさいよ! 女子いじめるとか最低の男子のすることなんだから、私の彼氏であるなら許さないんだから!」


 さっきまで部長をいじめる最低の女子をしていたアンのセリフである。


「大丈夫だ。最低の人間をいじめても何の問題もない。だって、アンは部長が最低の人間だと思ったからいじめてたんだろ?」


 まあ、いじめは誰にしてもダメなのだが、いじめを主導していた人間がいじめられる側にまわると、誰も止めないのはなんでなんだろうな?


「ち、違うわよ! あ、あれは……」


「じゃあ、アンちゃんとは付き合えないな。部長をいじめていたんだ。そんなモラルのない子と恋人同士なんて冗談じゃない」


 適当な理由で恋人ごっこを止めるチャンスを得た。


「なお、アンちゃんと友達をしている椿も同様だ」


「ならば友達やめます。これでよろしいですか?」


 椿は即断した。アンはそれを聞いて顔面が真っ青である。


「椿が一番悪党だな。もちろん、簡単に親友を裏切るやつが恋人というのもごめんだ」


「そうおっしゃると思っていました。保さんにふさわしい女性になれるようふたりで精進いたします」


「椿! 私のことはいいんだよ? 最初から仲良くなんてなかったじゃない?」


 アンが擁護し始めた。美しい友情だなと思ったが、所詮初等部である。このまま大きくなるわけがない。


「アンちゃんは私の親友です。それは何があっても変わりませんわ」


 なんか俺は椿の手のひらでころがされてるんじゃないか疑惑が浮かんでいていた。

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