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突然ですが、我々には部費がない  作者: 小鳥遊七海
生徒会の野良アプリ対策開発
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コンピュータ同好会は初等部の実行支配下に入った!

「コンピュータ同好会は我々が占領した!」


 久しぶりにコンピュータ同好会の部室にいくと部長が初等部女子に馬乗りにされていた。

 馬乗りというとエロゲでは羨ましい体制のひとつだが、部長は単に馬になって背中に子供を乗せてるだけだ。


 部長に馬乗りになっている初等部女子のとなりには気の弱そうな初等部女子がおろおろしていた。


 ――パシャ


 俺はスマホで馬乗り児童を連写した。


「な、なに勝手に撮ってるのよ! 肖像権の侵害で訴えるわよ!」


「なんだ、お前は肖像権が生じる仕事でもしているのか?」


 肖像権は誰にでも生じるものではない。モデルやアイドルなど、写真などで利益をあげるような職種に限定される。

 一般人はいいところプライバシーの権利を訴えるのがせいぜいだ。

 どうせバカな大人の決まり文句でも覚えたんだろう。


「とにかく、他人を勝手に写真にとったらダメなのよ!」


「他人にしたらダメなことをしているのはどっちだよ?」


 初等部ごときに言い合いで負けるわけがない。


「こ、これはいいのよ! この人も納得してるんだから」


 俺はさきほどからずっと下を向いている部長に寄り添うように近付く。


「部長、本当ですか? いじめられてるんじゃないんですか? もしいじめにあっているなら知り合いの弁護士に相談できますよ?」


 弁護士の知り合いなどもちろんいない。単なる脅しだ。

 とは、いっても最近はいじめ問題を金にしている弁護士も少なくない。いじめ被害者は社会的な立場を失うから死亡保障と同じぐらいはぶんどれるらしい。


「な、裁判なんて大袈裟じゃない!」


「それはいじめてるがわの論理だ。セクハラと同じで、いじめられてる方がいじめを受けていると言えば成立するんだよ」


 気の強そうな初等部女子は部長からぴょんと飛び降りた。


「ほら、早くたちなさいよ。私がいじめてないって言いなさい」


 これは完全にダメなパターンだな。いじめてる側が強要するなともってのほかだ。

 部長は立ち上がらず震えていた。


「部長、立ちましょう?」


 俺が優しく声をかけると部長は立ち上がる。泣いていた。正直、汚い。助けなければよかった。


「あ、ありがとう。某は伝統あるコンピュータ同好会を守ろうと、アンちゃんのいいなりになるしかなかった」


 気の強そうな方がアンと言うのか。


「大体、保がいけないのよ!」


 初対面の初等部女子に呼び捨てにされることは中々ない。

 あれか? ハナ様のファンかなにかか?


「コンピュータ同好会をほったらかして、アルバイトにかまけてるから、私たちが乗っ取ることになったんでしょう?」


 俺がコンピュータ同好会をほったらかして、アルバイトをしていたことと、コンピュータ同好会が乗っ取られることになんの繋がりが……?


「ああ、わかった」


 俺はわかってしまった。半分だが、我孫子に相談を持ちかけられた野良アプリ、それにコンピュータ同好会に不利になる噂。どちらもこいつらの企みか。


「それにしてもなぜコンピュータ同好会を乗っ取りたいんだ? 他にも色々あるだろう?」


「保のいるコンピュータ同好会でないと意味ないのよ!」


「俺はお前を知らんのだが、まずは自己紹介をしてくれるか?」


「私はどうでもいいのよ。椿が保のことを気に入ってるからものにしたいの」


 気の弱そうな方が椿というのか。椿と呼ばれた少女は顔を真っ赤にしてうつむいている。


「なんだ? 付き合えばいいのか?」


 形式上とはいえ彼女が3人も居る身だ。ここで初等部の彼女がふたり増えたぐらいで問題はないだろう。


「そ、そうよ!」


 椿の代わりにアンがこたえた。


「アンちゃんは俺と付き合わなくていいのか?」


「な、なんで私があんたと付き合うのよ?!」


「椿と俺が付き合ったらアンちゃんはひとりで遊ぶことになるぞ。俺は恋人とふたりきりになりたいからな」


「そ、それは……」


 このアンてこの性格からすると友達と呼べるのは椿だけなんだろう。ものすごい考えている。


「椿……私も一緒につきあってもいい?」


 弱気になっているのか声が小さくなった。椿は頷いている。

 そりゃ、初等部の女子なんて、付き合うと言っても特別仲の良い友達みたいなもんだろう。


「じゃ、あんたの彼女になってあげるわ! 椿を泣かしたら許さないんだから!」


 こうして形式だけどハーレムは整っていくのであった。

ブックマークって外したらポイントどうなるんだろう?と不思議でしたが、減るのか!

身をもって知りました……

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