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突然ですが、我々には部費がない  作者: 小鳥遊七海
風紀部の防犯システム開発
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セキュリティ・インシデント!

 しかし、神は我に試練を与えたもうた。


「宗川、動画が流出している」


 龍ヶ崎が二年の教室まで来て、俺を呼び出して伝えたことがこれだった。

 しかし、そんなことは知ったことではない。


「悪いが俺とハナ様は忙しい。他を当たってくれ」


 冷たくいい放つ。大体、クラウドストレージに保存してある動画が流出しているなら、パスワードを変更する以外にやることはない。


「そう邪険にしないでくださいな」


 田貫が龍ヶ崎の後ろから出てきた。


「流出している動画は姉葉さんと斉藤さんのものです」


「え?」


 ちょっとワクワクしてしまう俺がいる。

 あいつらなら一線を越えてしまっていてもおかしくない。中等部なのにけしからん。


「これ以上は場所を変えてお話いたしましょう」


「そうだな」


 想像が正しければ公の場で話すようなことではないので、田貫の言うままにコンピュータ同好会の部室に向かった。




 どんな動画が流出したのか田貫が見せてくれる。

 見てもいいのか。

 この時点でちょっとがっかりした。


「このように二人で良い雰囲気を醸し出していたのですが」


 モニタの中の斉藤は姉葉にキスをした。そこで動画は終わる。


「流出している動画はここまでです」


 そんなに問題があるようには見えないが。


「田貫が斉藤さんと姉葉さんに聞いたところ、この後、学生らしくない行為に及んだそうです」


「具体的には?」


「肌を合わせたようだ」


 龍ヶ崎が解説してくれた。

 中等部女子の秘密の花園か……二人をからかう以外に使い道はないな。


「クラウドストレージのパスワード変更は?」


 一応、一番大事なことを確認する。


「もうやりました」


「関係者の端末の操作履歴は?」


「宗川先輩とハナ様以外のはチェック済みです」


 俺はやってないが、一応チェックしてもらった。

 今回のような流出事故が起きると、ハナ様が好きな場面を撮影できなくなるのだから、ハナ様はやらないだろう。


「それで、対策はほぼないのだが、俺にどうしろと」


 ネットの恐ろしいところは一度流出したら二度と回収出来ないところだ。コピーが出回るので、元を絶っても無駄だ。


「流出して間もない今なら犯人を特定できるんじゃないですか? 犯人が特定できれば田貫が請け負います」


 犯人を見つけてまた泣かすのか。

 田貫は『悪』に対して本当に容赦ないな。


「俺にそんな技術(スキル)があるわけないだろ? ……いや、まてよ?」


 クラウドストレージにアクセスしたなら、アクセス元(ソース)IPアドレスは学内のWi-Fiに制限されているはずだ。

 つまり、この学園内に犯人がいることはほぼ間違いない。


 次にハナ様が作ったBL収集箱ではなく、乱雑なファイルの中からわざわざ百合のファイルを選んだことで、犯人は膨大なファイルをちょっとずつ見て確認しているに違いない。


「ハナ様に確認してもらう」


 俺は今思いついたことをハナ様へ送る。


 ハナ様からの返信はすぐに来た。

 そして、その情報を田貫に伝える。


「なるほど……」


 田貫は感心しながら学園内のWi-Fiと情報を照合し始めた。


「犯人は理科準備室のWi-Fiルータに接続しているようです」


 俺がハナ様に調べてもらったのは、MACアドレスという無線LANのハードに割り振られた一意の識別子だった。

 このMACアドレスはIPアドレスとセットになっており、IPアドレスが途中で変換されない限り使っている端末のものが使われると前に聞いていた。

 そして、そのMACアドレスは無線LANルータの管理者なら誰でも見ることができる。


 クラウドストレージに今接続している情報からIPアドレスを割り出し、|MACアドレステーブル《arp》でMACアドレスにする。

 そして、閣内にいくつかある無線LANルータの情報を見てどこにいるか特定したというわけだ。


「今は授業がない時間だから理科準備室にいる人が犯人で間違いだろう」


 龍ヶ崎は俺が言い終わる前に部室を出て理科準備室へ向かっていった。


セキュリティインシデントなんて胃が痛い以外の感想はありません。

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