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突然ですが、我々には部費がない  作者: 小鳥遊七海
風紀部の防犯システム開発
32/65

姉葉の告白と田貫の告白

本日11話目です。

これで本日の更新はおしまいです。

「好きです! 付き合ってください」


 コンピュータ同好会の部室につくと、姉葉が告白していた。斉藤に。

 やはり、俺の予想通りだった。姉葉は斉藤が好きだから、平川先輩を好きなふりして、斉藤と取り合ったんだ。

 姉葉の告白を受けた斉藤も満更ではないと言った感じだ。美少女二人がどうしたらいいか分からなくてモジモジしている姿はぐっと来るものがあるな。

 しかし、なんでコンピュータ同好会の部室で告白なんだ?

 コンピュータ同好会の部室には、姉葉と斉藤の他に田貫がいる。とても告白をする雰囲気の場所には見えない。


「なあ、田貫。この二人はどうしてこんなこと(告白)になってるの?」


「端的に言うと、私のおかげですね」


 原因はお前かよ。姉葉は斉藤を好きな気持ちを隠していたことはなんとなくわかっていた。表に出す気があったなら回りくどい手を使うようなタイプではないしな。


「最初は妹川さんのことが好きだったらしいんですけど、斉藤さんといるうちに好きになっちゃったんですって」


 あれ? そうなの?


「私に相談があったので協力しました」


 田貫は何もかもすっ飛ばして結論だけ述べる。


「大事なところ抜けてない?」


「大事なところ?」


「平川先輩がホモになってしまったのは姉葉が風紀部員に依頼したからじゃないの?」


「え? 何を言ってるんですか?」


「え?」


「平川先輩は最初からホモですよ?」


「それは信じられない」


 じゃあ、平川先輩の中等部女子好きはホモであることを隠す演技だったというわけか? あれが演技とは平川先輩はオスカーいけるのではないだろうか。


「宗川先輩は頭がいい方だと思いますけど、全然深く考えたりしないですよね。本当にエロゲの鈍感系主人公みたいです。平川部長が宗川先輩に好意を寄せていたけど、嫌われることを恐れて胸の内を隠していたことに気づいていなかったんですか?」


 一瞬信じそうになるが、俺は大前提が間違っていることに気が付いた。危ない。危うく田貫にコロコロ転がされるところだった。


「お前は大事な情報を見落としている」


「なんです?」


「俺は最初から平川部長(キモオタ)が嫌いだ」


 大体、中等部女子にしか興味を示さないオタクを嫌いにならないやつがどこにいるというのか。同じ趣味でもない限り、少なくても好きにはならないだろう。


「え? 先輩って、平川先輩のことが好きですよね?」


「それはどこ情報だよ。だって、中等部女子はみんな言ってますよ。先輩は絶対に常盤先輩より平川先輩が好きだって」


「大前提が違うよね?」


 中等部女子の妄想力には驚きだが、俺はそもそも女の子が好きだ。しかも、多彩な反応を返してくれるエロゲの中の女の子だ。現実の女の子があれぐらい反応してくれたら、俺だって現実の女の子の方が好きになるよ。


「でも、ハナ様ぐらい美少女が近くにいて興味を示さないんですよ。これは二人ともホモフラグが立ちまくりにきまっているではありませんか」


 怖い。怖いよ。なんだが、俺の性癖が上書きされてしまう気がするよ。洗脳? これって洗脳だよね? 脳みそ洗っちゃうあれでしょ?


「ところで、向こうは決着がついたようですよ」


 俺が人格崩壊の恐怖に震えていると、田貫が教えてくれた。

 姉葉と斉藤はなんだか百合百合しい感じだ。うまくいったのだろうか。


「宗川先輩。私たち付き合うことになりました」


 晴れ晴れしい斉藤の横で顔を赤らめた姉葉が恋人つなぎした手をぎゅっと握ったのが分かった。とはいうものの、美少女二人が俺に百合報告をして誰得なんでしょうか。


「よかったですね、先輩」


 田貫は俺を二人をくっつけた立役者的な立ち位置に押し上げようとしている。なんだろう、この茶番。今ここで二人の関係をぶっ壊してやりたい気分に陥る。リア充爆発しろ!って感じだ。


「ところで平川先輩はどうするの?」


 俺の問いに二人は顔を見合わせた。すっかり存在を忘れていたようだ。


「平川先輩は結局私たちに靡かなかったですし……」


 簡単に言うと放置したいっていうことだな。気持ちはわからんでもないが、ちょっと平川先輩には同情するな。もう少しで美少女と付き合えるようになるところで、その美少女が百合に走っちゃうんだもん。俺だったら女性不信を通り越して人間不信になるよ。


「キミら、割と我々に対する扱いがひどいよね?」


 中途部女子三人に向けて嫌味を言う。


「そ、そんなことないですよ」


「そうですよ、最大限の敬意を払っています!」


 否定する姉葉と斉藤の二人に対して、田貫は「当然です」という顔で頷いていた。


「まあ、いいんだけどさ。俺、コンピュータ同好会に戻るよ。そして、斉藤は女子コンピュータ部へ行け。我々はリア充に提供する居場所を用意できない」


「「はい!」」


 満面の笑みで承諾の返事をするふたり。本当に何なんだお前らは。


「田貫はコンピュータ同好会には出入り禁止な」


「なんででしょう?」


 自分で悪いことをしたと思っていない人はたくさんいる。いじめをしている方は「いじめている」とは思わない現象と同じだ。そういうやつには言うだけ無駄である。理解などするわけがない。


「自分のない胸に聞いてみろ」


 田貫は首をかしげただけだった。


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