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突然ですが、我々には部費がない  作者: 小鳥遊七海
風紀部の防犯システム開発
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世の中には見せた方がいいものもある

本日五話目です。

 俺はなぜか更衣室を撮影した動画を見ていた。画面の中の人は更衣室だけあって躊躇いもなく脱いでいく。

 次第に露になる素肌にハナ様は興奮を隠せないようだ。俺と成田は心を無にしてみている。そろそろ、悟りを開く日も近い気がする。


「そっちは何かあったか?」


 ちなみに龍ヶ崎は別の動画を見ている。本当は俺もそっち(女子更衣室)の方がいいのだが、許可がでなかった。当たり前と言えば当たり前だが……。


「いや、何もないな。最悪の想定は避けれたわけだ」


 女子更衣室で被疑者である男子風紀部員が何をするかと言えば、俺にも想像はつかないのだが、スカート丈でも計るのだろうか。


「男子更衣室は、ちょっといい展開になっているのよ? この金髪の少年はなかなかやるのよ?」


 ハナ様が大興奮している理由は、風紀部の井島(いじま)霧灯(むとう)が同じく風紀部の志染(しじみ)華藤(かとう)に対して、おさわりしているからであった。きわどい場所をねちっこく触っている。志染は「くすぐったいよ」と嫌がっているようなセリフを言っているが、完全に顔は喜んでいる。

 そして、井島はその反応を見てさらにきわどい場所を触り始めるという、地獄の無限ループに陥っていた。


「だー!! やってられっか!」


 成田が切れた。よかった。こいつが切れなきゃ俺がパソコンを投げ飛ばすところだった。


「なあ、これはかなり個人的なことなんだから飛ばそう」


「ダメなのよ? これは実にいい場面(けしからん)のよ? 衣服(風紀)を乱すことこの上ないのよ?」


 建前がルビになっているハナ様は俺と成田をパソコンの前から締め出すと、井島と志染を観察し始める。


「ええい、じれったいのよ? もういい加減入れるのよ?」


 下品なヤジを飛ばし始めたハナ様をひっぱたくと、動画を停止させた。


「龍ヶ崎、これは個人の恋愛だし、人前でやるわけじゃない。見逃してやらないか?」


 井島たちが本当に気の毒に思えてきたので、フォローしてやった。


「うむ。不純異性交遊は校則違反なのだが、同性については規定がないからな……」


 それもどうかと思うが、規定がないものを風紀部が裁くわけにもいくまい。


「あとはトイレだけど」


「こちらも収穫はありません」


 俺の問いかけに田貫が答える。流石にトイレの個室に仕掛けるわけにはいかないので、手洗い場から個室のドアを写すようなアングルなのだが、普通にトイレの中の風景だった。


「外れか……思い付いたときは天才だ!と思ったんだけどな」


 監視カメラは常識的なところにしか仕掛けられてなかったので、非常識な(盗撮される)場所に仕掛けてみたのだが、当ては外れたようだ。


「この人たちは見られてないと思っているのよ? 見られてると思ったらもっと興奮するに違いないのよ?」


 スカートの中に手をいれながら何やらもぞもぞしているハナ様を見て、成田が赤くなっている。完全に童貞の反応だ。俺も童貞だがな!


「やめなさい。ハナ様も見られたら興奮する性癖(たち)なのか?」


「童貞に見られるのは中々いいものなのよ?」


 おしとやか設定は何処かへ行ってしまったハナ様の手をとり後ろに回す。そして、なぜか風紀部の部室にあった手錠をかける。


「緊縛プレイなの? 最近はスマホの変換でも一発変換になるほどメジャーなのよ?」


 興奮し過ぎて頭が悪い人になっているので、龍ヶ崎に頼んだ。

 それにしても見られて興奮するなんて、どんな淫乱キャラだよ。


「あれ?」


「宗川、監視カメラって、見えてたら見られてる(・・・・・)と感じるよな」


 成田も同じことに気がついたようだ。


「監視カメラを見えるように置けば、監視カメラが見えないところで何かするんじゃないか?」


 つまり、生徒から見える位置に置いた監視カメラはチェック対象から外せる。見えない位置に置いたカメラだけチェックすれば動画を見る時間は大幅に減るし、AWS(アマゾン)へ支払う費用も少なくてすむ。


「今夜、早速、監視カメラの位置を変更しますね」


 田貫がさらりという。百台近い監視カメラを一晩で動かせるの?という疑問が湧いたが、そこに突っ込むと薮蛇なので飲み込んだ。


「でもなあ、こいつらが本当に何かしているとは思えないんだけどな」


 見た目の凶悪さで言ったら成田の方が完全に何かしてそうだ。童貞だから許されているようなもんで、悟りの書(セックス)を取ればすぐに悪党に転職出来そうだ。


「私も確信はないが、田貫が集めてきた情報では確実なのだそうだ」


「え? じゃあ、田貫が全部知ってるんでは?」


「全部ではありませんが、事態を収集するぐらいはわけありません。しかし、風紀部が内々に処理したいとのことでしたのでお力添えをするに留めております」


「まあ、風紀部は評判が命みたいなところがあるからな。風紀部内部の問題は風紀部で片付けたかったのだ」


「俺とハナ様は完全に部外者なのだが」


「なんだかんだ言っても宗川は信用に値するからな。それに枝里は他人とコミュニケーション取らないだろう?」


 よくわかっていらっしゃる。風紀部は天敵だけに、この件で仮を作れば今後の活動がやりやすくなる。


「じゃ、明後日ぐらいだな」


「ああ、それまではよく寝かせてもらうよ」


 眠そうな目を擦りながら龍ヶ崎は机に突っ伏した。

最近寒くなったので羽毛布団を出したのですが、気持ちいいですね

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