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突然ですが、我々には部費がない  作者: 小鳥遊七海
風紀部の防犯システム開発
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風紀部はリソースが不足している

本日四話目です

 風紀部はリソースが不足しているらしい。ルールを守らせる活動は恨みを買いやすい。それを知らない生徒はいない。だから、風紀部に入ろうするものは、元々そういう職業の政治家や警察官になろうと考えているか、自分の正義を実現しようとしている。


「監視カメラは生徒を監視するわけではないと言ったが、何を監視したいんだ?」


 龍ヶ崎が「生徒を監視するわけではない」と言ったことで、俺はだいたい予想がついた。生徒に知られないように仕掛けられた監視カメラはここにいるもの以外は、ハナ様しか知らない。


「風紀部員だ」


 なるほど。「自分の正義を実現しようとしているやつ」を監視するために利用するのか。


「監視カメラをわざわざ使う必要あるのか?」


「憎たらしいことに奴等のやっていることには決定的な証拠も証言もないのだ」


 龍ヶ崎は、苦々しい表情になった。


「そんなに上手いことやっているやつらが、うちにいること事態が驚きだ」


「お前が言うな」


 成田が突っ込んでくる。


「エロゲを部費で買い、学校へ持ち込み、中等部女子の前でプレイするとか、奴等の次に並ぶ悪党だぞ」


「他人から聞かされると、俺も随分悪だな……」


「とりあえず、動画を保存するところまでは、明日には出来るそうだ。田貫の話によれば、まだ追加機能があると聞いたが?」


「ああ、効率よく証拠を見つける機能を頼みたい」


 なるほど。今のままでも証拠をつかむという要件としては足りているだろうが、いかんせんリソース不足だ。原因は秘密裏に動いているからだが、ハナ様を含めるとしても五人しかいない。

 学園内の至るところに仕掛けられた監視カメラは、百台以上に昇る。いくら人がいない時は録画しないからといって、これを全部見るのは不可能だ。


「監視対象は特定出来ているのか?」


 どうやって見つける機能を作るか、俺にはわからないが、条件が絞り困れている方が作りやすいのではないかと思った。


「本人がやっているかわからないが、被疑者は数名いる」


「じゃあ、写真や特徴をくれ。ハナ様に相談してみる」


「あと、この件はくれぐれも他のものたちには内密にな」


 龍ヶ崎は口に人差し指を当てる。


「わかってる」


 そいつらの敵と認定されたらどんな被害にあうか分からないからな。ハナ様だけなら田貫が守ってくれるだろうが、他のメンバーまで手が回らないだろう。


「それにしても厄介なことに巻き込んでくれたな?」


「まあ、宗川と私の仲ではないか」


 龍ヶ崎はそういって笑った。




 思わずシリウスになってしまったが、要件をハナ様へ伝え、田貫から預かった報酬を手渡したあとは、エロゲである。

「はじめてのおにぃちゃ」は神パッチのおかげで名作の域にまで達していた。なぜこの状態でリリースしなかったのか、不思議でなら無い。


「保を監視するのよ?」


 ハナ様は動作確認用に借りてきた監視カメラを俺の横においた。カード型でかなり小さい。電源は無線充電らしく、監視カメラとしてはかなり優秀な(見つけにくい)部類ではないだろうか。


「存分に監視したまえ」


 部室で開発している以上、俺とハナ様は遊んでいるていを取っている。


「しかし、このカメラすごいな」


 俺はテスト用アカウントに保存された映像を見るが、エロゲをしている俺の顔は気持ち悪かった。それを何分も見なければならないかと思うと吐きそうだ。


「あ、そうだ。ハナ様。これって早送りみたいな動画になら無いかな?」


「保にしてはいい考えなのよ?」


 早送りにして見れば、関係のない場面を飛ばせる。関係ありそうな場面が来たら普通の速度で再生すれば少しは効率が上がるだろう。

 あとはハナ様が作っている被疑者を見つける機能があれば、見なければならない動画もぐっと減るだろう。




 数日後、風紀部の部室には目の下に隈のできた龍ヶ崎と成田がいた。


「見つからん」


 端から動画をチェックしているそうだが、証拠を掴むまでには至っていないそうだ。特に被疑者が映った動画を見ても何の問題もないという。

 ちなみに最初の日の動画すら見終わっていないらしい。家でもスマホでチェックし続けており、この方法ではしっぽすらつかめないことがわかった。


「さらに悪いお知らせがあるのよ? AWS(アマゾン)の前払い料金が尽きたのよ。もう動画を解析できないのよ?」


「そ、そんな。風紀部の二か月分の部費がたったの三日で溶けるだと……?」


 すごいショックを受けている龍ヶ崎が少し気の毒に思えた。


「ハナ様、いくら入れてたの?」


「システム使用料を抜いて十万円ほどなのよ?」


「システム使用料が二十万円ってぼり過ぎじゃねーか!! ヤクザかよ!」


 ヤクザに就職する成田が何かわめいている。まあ、俺も取り過ぎだと思うが。


「何を言うんです? ハナ様が大好きな本を読まずに開発したシステムなのですから、それぐらいは当然です」


 田貫が変なフォローを出す。今思ったが、田貫とハナ様を一緒に連れてきちゃダメだったな。


「システム使用料はあとで決めるとしても、このままじゃ動画はたまる一方だぞ」


 根本的な問題は動画が見切れない量あるということだ。そりゃ、張り切って百台以上も仕掛けたんだから、そうなるわな。かと言って、手伝ってもらう人数を増やすわけにはいかない。

 治安維持には監視カメラを増やせばいい!とかいう意見をよくtwitterで見たが、それはあまり考えていない人の意見なんだということをよく理解した。俺も龍ヶ崎もその仲間だったわけだが……。


「ああ、俺、天才かも?」


 その場にいた全員が俺を胡散臭い目で見た。たまには俺も天才になるんだよ。


この章はシステム開発比率が低めになっているので、流し読みができる内容のなさです。

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