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堕落~下には悪夢~  作者: マッキー⌒(ё)⌒
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悪夢の契約書

水原 千代(♀)

ボクは、親から長生きするようにと1000歳をかけて千代と名付けられた。


けれど、今はもうこの名の少女は存在しない。


理由は簡単。


上にいる者を下に堕とす、悪夢になったからだ。



悪夢になる前、ボクは腰まで艶やかに伸びるロングヘアーの黒髪。身長160cmの貧乳であるが、通りすがる人々の目線を釘付けにする美貌をもって生まれたボクは、小学校から中学にかけてモテた。

毎日のように呼び出されて告白をされて、席替えの時はボクの隣をクジで奪い合いでなんやかんやとアピールをされる毎日を送っていた。

そんなある日、女子が燃えるはずのバレンタインで、何故か男子が燃えてボクにチョコを渡してくるという、いわるゆ逆チョコを何十個も貰えた女子中学生としてテレビに取り上げられた。


数日後、ボクに一本の電話がかかってきた。

それはテレビを観た、テレビ業界からのスカウトで、そのスカウトを親が勝手に返事をし、ボクは芸能人となり、初のバラエティーの仕事が決まる。


これにはボクは親に文句を垂らした。

どうしてボクが。芸能人とかにはなるつもりなかったと。

だが親は「文句を言うな!いいか、こんなにいい話はないんだぞ!だがそれでも嫌だというなら親孝行だと思って無理にでもやれ」と、今が人生の絶頂だと言わんばかりに撮影場所に連れていかれた。


(……まぁ本当に絶頂だったのだけれど)○o。


屋内のスタジオは明るく、まさしくthe芸能人の立つ場所であった。それを目の当たりにして顔を赤くし、興奮を隠すように体を小さく震わせる。

けれどそこには人が何十人もといる。



いきなりだが、ボクは人が嫌いだ。


何でだって?


毎日のように取り囲むように人がいたからだ?

いやそれもあるが違う。


正解は、残念ながらボクは生まれつき人の心を聞き取る事ができ、漢字一文字でその人の想いや気持ちを読み取る事ができる。


つまりだ。


告白をしてきた男子の心の声は筒抜け「この人と付き合えたら友達に自慢して、噂として広まって学園内の注目の的!」「マジで好きです!……特にお尻のラインとかヤッバイ!!……LI○E (ラインとかけて)なーんちゃってなんちゃってーそんなことおも(以下略」「まな板だけどお尻がいいっす」


(尻ばっかかよ)○o。


そしてバレンタインの時、人を漢字で見えてたとすると本命を渡してきた奴は好きの[好]と見え、好きじゃないけと渡してくる奴は[偽]で、嫌いな人から貰った人は[嫌]と見え、両思いは[両]、何のイベントも無い人は[無]と、見えるようなものだ。



親はボクが人が嫌いなことも、生まれつきのことと、何一つ知らない。

当たり前だ、隠してきたから親が知る余地も無いし、知っていたらオファーは断ってこんな明るい人だらけの場所に置き去りにしないだろう。……多分だが。


「あれ、見かけない子……あっそういえば新星の大型新人が今日のバラエティーで共演するんだっけ?てか新人がこの人気タレント、薔薇の王子ことビビッドさまに挨拶無しとかあり得ないw伸ばしてあげないとだけど……長年のトーク術で押し倒して、芸能界のきびしさを、そして俺の凄さを見せつけてやる……★」


はい、でた夢叶えて輝いてる奴~。


金髪で白スーツにワンポイントで黄色のラメがちりばめられた帽子を被った30前半くらいの男性がこちらを睨むようにこちらを見てきていた。


ハァ……こう何十人もの心の声が入り交じって聞こえるってのに、こうしっかり聞こえるものと言えば自信満々の自分は成功しているタイプ……。

(まぁ実際に成功させてるけど)○o。

こういうタイプもそうだけど、夢を実際に叶えてる奴等、叶えようしてる人達の明るい漢字をボクは見てこう思う。ウザいと。どんなに漢字が明るく前向きでも、心は正直なんだ。


例えばあの金髪の……何だ?ビ……ペレットでいいや。心の声を聞く限りうざい方の自信家。


「この金髪の俺の魅力にはこのスタジオにいる雑魚(芸能人)と比べ物にならないくらいイケテるけどね★」


この金髪と自信が合わさってか、黄金の[黄]と、このペレットから読み取れる。

黄金は一人でに輝き、その価値は一目瞭然。お金を払ってでも手に入れたい。

芸能界なら金を事務所に払ってでも使わせて頂きたい人材。

……うわ、コイツ心までか漢字まで正直になってる。


まぁなんだ、ボクはこういう気持ちで夢を叶え続けてる奴も、叶えようとしてる奴を見ててつくづく思うよ。


上から下に堕としたいって。



「じゃあ堕としちゃおうよ♪」

「うわっ?!」

明かりを遮断するようにボクの視界をを暗くしてきた右手を払って後ろを振り向くとそこには180cmくらい高さのある、黒スーツを着た銀髪の男がいた。


このボクが背後を取られた?!

普通なら心の声が強く聞こえてすぐ気がつくというのに!ボクは唖然としているとその男は笑いだす。

「驚き桃の木山椒の木かな?もしかして君の初めてもらっちゃった?」

やめろ!誤解が招くような言い方をするな!

「あーごめんごめん、謝るから私を怒鳴らない方がいいよぉ?」

何を言っているのか理解が出来なかったが「何アイツ一人で怒鳴ってるの?」という心の声がそこらから聞こえてきた。これで周りにいる人達からは見えていない事を知る。

「私は人ではありません、人の夢や希望を頂きその人を堕落へと導く悪夢の一人、バクと申します♪」

ハ、ハァ……。

「不思議でしょう?私の心の声、全く聞こえないでしょう?でも逆にそそられません?今までは当たり前のように聞き取れたものが私からは聞きとれなぁい」

つまりなんだ。

「ふふ、私にあなたの力を貸して頂きたい!」

そう言うやこちらの声を押し殺して一枚の契約書と書かれた物を勢いで見せてきた。

「これは悪夢になり、かつ!このバクの下で動いて頂きたいというもの!」

なんだそれ!お前が楽したいだけじゃないか!!

「ははーそれもありますねぇ、しかし!そうでもありません、この私バクはある仕事でヘマを起こしてしまいましてこのように体が透明になり人間から見えないわで夢を取る事が、つまり悪夢の役割を果たせなくなりました」

へー、じゃあやめればい……。

「へー、じゃありません!悪夢は私にとって最高の仕事!なのにこの体……クビになるのを黙って待つしかありません」

すごい騒いでるじゃん。

「口が達者ですね~まぁそんな訳で、私の代わりに仕事をしてくれる者を探していたところ、今見つけました。どうです?なってみませんか?悪夢に」

そんな簡単に声かけていいのかよ……。

「私だって喋りはバカっぽいと思いますがちゃんと考えて動いてますよ。あなた、さっきあの金髪さん見てどう思いましたっけ?」


え?上から下に堕としたいって……。


「言いましたよねぇ?悪夢は、人の夢や希望を頂き堕落へと導くことが仕事って」


その時ボクの背中に戦慄がはしる。


「そう、君がウザいと感じた今を輝き生きる者達から夢を奪い取り、上から下に堕とす。これが私達、悪夢の仕事。どうです?聞いて思いましたよね、天職だって」

優しい顔から一転、悪い笑みをするバク。表情豊かというべきか。それとも心を読めないボクに感情を伝わりやすいようにしてるか……どっちにしろ不気味な奴だ。

確かにボクは嫌なほど人の心や気持ちを見てきて今のように堕としたい思うこともある。けどどう堕とすんだ?ひたすら貶し続けるというのか?バカらしい。


するとバクはどこからかボクにはまだ見えないという瓶を取りだし見つめる。

「これは悪夢にしか見れない瓶、この中に今あの金髪さんの夢や希望が入っています。けれど残念、私のように何の力を持たない者はこの瓶だけを頼りに人を探りだす所から始まります。面倒極まりないですよね……けれどあなたならどうでしょう……」

どういうこと?

「あなたは心を聞ける、そして読むこともできる。ならこの瓶に触れただけで人物は特定でき、この中に詰まった夢や希望がみれるはず、そう!私には見れない瓶の世界をみれるということは仕事の効率をよくなるし?瓶の中がどうなっているのか私も聞けるしで一石二鳥!」

あんたの欲が溢れてるし……。

「んもぅ!!とにかくなりませんか?!悪夢に!焦ってるんですよ、この仕事を後1時間で終わらせて報告しないと私の首が吹っ飛ぶんですよ!」

やっぱりあんたの都合じゃないか!

「まぁ……そうなっちゃいますね。なら!ひとつだけ悪夢になったらのご褒美をあげます」

バクは自分に指を差して笑顔で言う。

「私の心を読めるようにしてあげます」

体に電撃が走った。

ハァ?!ボクはもう人の心を聞くなんてうんざりなんだ!ボクにとってそれは最悪のご褒美。

「でもないと思いますよ?」

契約書を今度は優しく手渡すようにしてこう囁く。

「私は不思議っ子ちゃんでして、私と関わった人は誰もが思います。この人は何を考えているのだろうと。そんな特別な私の心をもあなたは独り占めできる。まさに最高のご褒美。どうです?なりたくなったでしょう?悪夢に」


この時のボクは何を考えていたのだろう、契約書を受け取り内容には目もくれずサインをした。



そしてこの瞬間。

ボクの髪は艶やかさは消え、ボッサボサになり、目の下にはくまができ、白かったセーターは黒く染まり水原 千代という女はこの世から死んだ。



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