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第1話 避妊

 魔王を倒すために選ばれた者を勇者と呼ぶらしい。

 そして、私は先代の勇者である。

 だけど⋯⋯魔王を倒すことはできなかった。

 魔王は強く、魔法をあまり使えない私では無理だったのだ。


 私が生まれたのはエルフの里で、国土の全てが森に覆われているエルフのみが住んでいる国だ。

 そんな国の第4王子として生まれた。

 そう、第4王子。

 元々私という1人称ではあった。だけど、今ではそうしなければ。俺や僕と言った言葉は使えない。

 何故なら、私は女になってしまったから。

 魔王を倒しに行って、女にされてしまったのだ。

 女にしてきたのは、魔王の側近である世界に1人しかいない大魔導士の男。


「魔王様に見せるには女でなければいかん」


 などと言って私に性転換の魔法をかけたのだ。攻撃魔法ではなかったから、ある程度の魔法は無効化出来るから、そう思って躱さなかったことが元凶でもある。

 性転換の魔法は禁術とされている。その第一の理由が魔力消費が大きく魔導士10人分の魔力を必要とするらしい。

 魔法師、魔術師、大魔術師、魔導士、大魔導士とクラスがある。

 魔法師の魔力量が1とした場合、魔術師はその10倍、大魔術師は100倍、魔導士は1000倍、大魔導士は10000倍となっている。

 魔法師は世界に1000万人いると言われ、魔術師は1万人、大魔術師は100人、魔導士はほんの数人しかいない。

 だから、そもそもの話使えないのだ。

 また、魔力量が多くても魔法の使い方を知らない者もいる。

 魔術師の10人に1人は魔法の使い方を知らず、大魔術師ともなれば訓練が必要になるほどの魔力量を持っているから全員が魔法を使えるが。

 それの頂点にいる一人の大魔導士なら、性転換させるくらいなんともないのだ。

 とは言っても、そのせいで魔力がすっからかんになり、私の怒りの一撃で容易く葬ることが出来たのだが⋯⋯。

 凄いのか凄くないのかよくわからない奴だった。

 そして対峙した魔王。

 その強さは別格だった。

 仮にも選ばれた勇者だ。

 魔法はあまりつかえないが、それなりに強いと自負している。

 それこそ、魔王がいなければ世界一と思えるほどに。

 魔力量も魔術師程度で、魔法は風属性魔法しか使えないが、私には私が考案した近接弓格闘術というものがある。

 それを使って、私は魔王と戦ったのだが⋯⋯。

 性転換のショックを振り払うようにがむしゃらに戦ったにも関わらず、竜の鱗さえ貫く私の矢が弾かれたのだ。

 弓の外側は刃になっているため、そこで斬りつけようとした。だけど、それも無駄だった。

 非力な私の知恵は、世界一の硬さを持つ魔王の前では無力だったのだ。


 そうして私は蹂躙された。

 強姦と言ったほうが正しい。

 部下を何人も殺したのに、魔王は私を捕らえてあまつさえ犯しまくった。

 ただ、そこには優しさが介在し、私が嫌だと言ったことは基本的にしなかった。そのことには感謝している。

 そしてある日、新たな勇者が私たちの元を尋ねた。


「お前が魔王か」


「ああ、如何にも」


「俺は異世界から召喚されし勇者だ。お前をここで殺す」


 そう言って、新たな勇者は魔王に刃を向けた。瞬間、勇者はあっさりと死んでいた。


「見るな⋯⋯。俺の愛するフォルテ」


 そうして甘いキスをしてくる。

 まるで呪いのようだ。

 私はそれを受け入れるしかなく、ただただ魔王の寵愛を受けていた。


 それから10年が経ち、私は魔王の治世を見せてもらったが、魔国も私たちエルフの国や人間の国などと変わらない。

 ただ昔の魔王が悪人だったというだけで、魔国はいいところなのだ。

 これは、実際に魔国に住んでいなければわからないことだろう。

 だから、私は魔王の妃になることを了承した。


「本当か!?遂に俺と結婚してくれるんだな!」


 魔王の喜びに満ちる顔を見ているとこちらも嬉しくなる。


「ええ。あなたのことはよく見せてもらいましたが、私たちと変わらない。普通の、どこにでもある国の姿。これを認めなければ、私のいた国も否定してしまう。それに⋯⋯いつの間にかあなたに引かれていたようです」


 私は魔王のことがいつの間にか好きになっていた。

 ずっと近くで彼の苦悩やそれを乗り越える姿を見ていたからかもしれないが、好きになるのに理由がいるだろうか。


「⋯⋯そうか。本当にうれしいよ」


 そう言って魔王は私を押し倒す。


「今日からは、避妊しなくてもいいんだな」


 これまではキチンと避妊してくれていた。

 伝説に書かれている魔王では有り得ないことだ。

 そこにも、やさしさが垣間見える。

 どうして世界は彼を憎むのか⋯⋯。

 私にはわからない。

 なら、私が彼を世界に認めさせよう。

 心の底から、そう思った。


なんかまた書いてしまった。

後悔はしてないけど、他作品の読者様に申し訳なさ過ぎて頭が上がらない。

これもまた更新がとまるんだろうなぁ⋯⋯(遠い目)

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