022
「やはり手がかりはつかめませんでしたね。」
「んー。そうだね。相手はかなり洗脳が得意みたいだね。」
モモとエンとミシェルは、先程の男を転移魔法で、魔法病院まで送り、会議をしていた部屋に帰っていた。
「モモなら、洗脳を上書き出来ないんですか。」
エンはモモに質問を投げかける。
「出来るとは思うけど、やめた方がいいだろうね。色々問題が出てくるからね。」
「問題って、何ですか。」
ミシェルは、真剣な目つきで訪ねる。
「簡単に言うと2つあるよ。まず、人権が保護できない事だね。プライバシーを覗くことになってしまうからね。それも、僕がやってしまうと、この世界の秩序が狂ってしまうからね。
そして、もう一つだね。こっちの方が本当の理由だね。記憶が消えてしまう可能性が高いってことだね。」
「記憶が消えるですか。」
「そうなんだよ。魔人はね、生まれもって、数種類の特有の魔力を操ると言われているんだよ。まぁ、魔人自体数種類いて、それぞれ一種類ずつ持っているだけだけどね。」
「それは、聞いたことがあります。」
「そう、つまり、もし仮に、魔族落ちになって、助けた
としても、完全に助かったわけではないんだよ。黒魔法は本当に厄介でね。人間の中にある、精神の一部に黒魔力が、結びつき、縛るんだよ。何があっても言わないように、そして、例え無理して記憶を探ろうとすると、魔人の種類にもよるが、爆発や、毒をまいたりするからね。」
「正直言って厄介ですからね。それさえなければ、記憶を探るとかが可能なんですが。」
ミシェルが悲痛をあらわにする。
「まぁ今は仕方がないよ。まだ考えがいたったわけではないからね。」
「さっきの人は後遺症はないのですか?」
「ないよ。さっき助けた人は、秘薬だからね。全てを無効化することができたけど、できれば大量生産して、頑張りたいんだけど、秘薬は 製造が著しく、難易度も比べ物にならないからね。大量に用意することがほぼ不可能に近いんだ。僕が一日中係きりで、秘薬を作ったとしても、30個が限界だろうね。」
「そんな事はないと思われますが、もし仮に魔法病院で、異常が見つかった場合、聖女が、神聖魔法で治しますよ。」
ミシェルは、付け足すように言った。
「まぁ、僕も万能ではないからね。隅々まで検査してくれると思うよ。」
「そうですか。」
エンは落ち着いたように言った。
「それより、魔族落ちが中にいるって事は、本格的に力を入れ始めたって事なのかしら。」
「僕もわからないのが、正直なところだよ。どこかこの都市に空きがあるということだろうしね。もしかすると、都市の中に潜伏しているかもしれない。」
「そんな事はあり得ないと思うのですが。」
「そうだね。どうやって入ったのか、更には角など特徴や、また、もう一つは、まだわかっていない特別な魔力で、バレないように隠蔽しているか。最後の予想は、さっきも言った通り、洗脳されているかだね。」
「それだけ、洗脳がバレない自信があるのでしょうか。」
エンは片手に顎を乗せ、考えを巡らせる。
「いや、魔人の力だけではないと思うよ。」
「どういう事ですか。」
ミシェルも、耳を立てて聞き入る。
「多分だけどね。アーティファクトもあると思うよ。」
アーティファクトとは、古代の魔導兵器とされている。今のところ再現どころか、どうなっているかわからないというのが、現状で、アーティファクトは、洞窟の最下層。いわゆる。ダンジョンで存在している。
「アーティファクトとは、まだまだわからない事もたくさんあるから。まだわからないけどね。」
★
「今日はこの後どうしますか?」
「んー、そうだね。ミシェルに挨拶をしに来たようなものだし、転移魔法で帰るよ。」
モモが立ち上がる。それに続きエンも立ち上がる。
「じゃあ、5帝会議で会おう。」
モモは黒い渦を広げ、モモの自室につなぐ。
★
「ふー。」
モモは自室の椅子に座り、机に肘を立て、考えにふけっていたが、すぐに辞め、耳につけてあるピアスで指示を出す。
「一週間後、5帝会議を開きます。英雄亭ギルドに集まって下さい。」
モモは簡潔に、伝え、考えに耽る。




