012
「エン扉から行かなくてもいいよ。」
モモは仮面をかけ終わったエンが扉から出ようとしたので止めた。
「何故ですか?」
「転移魔法が、あるからね。」
エンは、そういえば、つい最近習った事を思い出し、赤くなる。
「ごめんね。張りきっちゃって。」
「いや、大丈夫だよ。僕もそんなことはあったからね。」
「よし行こうか。」
モモは無詠唱で、白魔法 空間転移 を使った。
そこには、時空間歪みが生じ、目的地との場所が繋がる。
「はい。では、行ってきます。」
エンは、みんなにぺこりと礼をして、モモが作ったゲートに入っていく。
アテナ、ヘスティア、リュウは、笑顔で手を振りながら、ゲートが閉じるまで、優しく微笑んでいた。
★
「着いたよ。あまり着いた気にはならないだろうけどね。」
「そうですね。」
「あとしっかりここの地形は覚えておいてね。」
「はい。転移できるようにですよね。わかりました。」
「そうだよ。それじゃあお披露目と行こうか。」
モモとエンは英雄亭所属がわかるようにして、都市ザライヤの門まで行く。
都市ザライヤとは、アスタリア王国の6つの都市の内の一つである。
この世界には、もう、1つしか国がない。いや、無くなったと言った方が正しいだろう。魔人が、国を滅ぼしていったため、国の数が激減し、それを危ういと考えた国々は、英雄がいたアスタリア王国に合併し、でかくなった。
都市1つ1つが国そのものみたいな規模であった。
そして、魔人というのは、肌が黒く、頭にはツノが生えていて、かなり強い。そのため、都市に入るのを厳しくしている。
「受け付けをしたいのですが」
エンが受け付けの人に言う。
受け付けの人とは、そんな、優しいものではなく。
体がガッチリとしていてかなり体格が良い人であった。
「少し待ってくれ」
男は他の人の対応が忙しい為か、背中越しで適当な受け答えをする。
周りの人達は顔が青ざめる。
「はい。」
エンも別に気にした事はなく受け止める。
「よし、行け。待たせたな」
男は、先ほどまで受け付けしていた人を通し、後ろを振り返る。
すると男の顔は、周りの人達の様に顔が青ざめ始めたのだった。