表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2010  作者: 篠崎彩人
2「聖人の日」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/27

01「人の太陽」

 今、三日目。私はこの段階まで来て漸く悟っていた、一体何が意識の深層に附着しては往々に喚起される概念、天使の三日、なのか。それは、大まかに言えば天使の役割の上での三段階の事だ。偽りの天国に入るまで、偽りの天国から抜け出るまで、そして、本物の天国に入るまで。最後だけは今の所推測でしか無い、何故なら他の二段階もその所業を成して初めてそれが日数として換算された事を自覚出来たからだ(最初の一日目の経過感については慣れない肉体、神経の疲労や混乱による錯覚にしか思えず殆ど何の注意も持てなかったが)、三日目を達成するまでは、一体三日目を過ごした事になる条件が何なのか分からないだろう、そして、三日での死を宣告されている私は、三日目を越えた所に有ると思われる真の天国を知覚出来ないまま終るのだろう、この身この心朽ち果て、死ぬのだろう。またこの天使の羽化、天使が真の天国に入る事で人間的な要素、人としての肉体(今私が人の肉体をほぼ失っているこの状態以上に)や意識を全て消失して獲得する様に思われる翼それと共に有る状態化、までの三段階が何故、日、で換算されるのかについても揺るがざる理由が見出せる。前を行く人、それが私の太陽なのだ。この人を中心に動く事が私の天使としての、言い方を変えれば私と言う無翼天使の行動の全てだ、丁度人が太陽の在り方によってその社会の時間を定めているのと同じ様に。勿論この世界が明るいのは彼女が居てくれるからではない、精神的な明るさ、と言う意味ではこれ以上無い位に眩しいがやはり物理的には空に浮かぶ太陽は有り、意味も無く森羅万象に微笑みを照射している。あの太陽は、今は他人だ、今この世界にあの太陽を太陽として行動している人間は存在しない、と言うより人間意識を持って行動しているのはひょっとすると私だけなのかも知れない。とすると或る意味で前の人は、空の太陽より余程太陽らしい、少なくとも人の太陽と言う意味合いで。この人の太陽が天の太陽に同化した時、やっと人の空の太陽を基準とした時間の凍結が破られるのではないか、そんな幻想を抱いてしまう。だが、この人が天の太陽に溶けると言う事はこの人の存在が私の物だけでは無くなってしまうと言う事だ、万人の女神に生まれ変ってしまうと言う事だ。幻想でしか無いとはいえ、私はこの人の微笑みの光を一身に受けているその万人のイメージを酷く破壊したくなった。だが、そのイメージを破壊することは出来なかった、その万人の中に、私が居なかったからだ、私はそのイメージの外側の存在だったのでそのイメージに影響力を行使する事が出来なかった、忘れる事しか出来ない、汚す事が出来なかった。私は身震いする、もしこの幻想がこれから私が成そうとしている事を隠喩しているとするならば、私の居場所は何処なのだ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ