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セカイは想いで満ちている♪2  作者: 春隣 豆吉
初恋ショコラbitter
4/13

甘党彼氏

「ねえ、そんなにそのチョコケーキ美味しい?」

 quattuorの夏基くんが彼女に話しかける。場所はどうやら彼女の部屋らしく、彼は遊びに来ているらしい。

 「ふうん、そんなに美味しいんだ。じゃあ俺にも一口くれない?甘いものが苦手なのにどうしてって・・・どうしても。俺にあーんして?ほら恥ずかしがらないでよ。ね?」

 そういうと、彼が「あーん」と口を開ける。すると観念したらしい彼女が一口分のチョコケーキを彼の口に入れる。そして、すかさず彼の手は彼女の手をつかむ。

「・・・・ん。甘いけどしつくこないね。へえ、ビターチョコを使ってるの。ああ、それで。え、手を離して?それはだめ」

 一転甘えた感じの彼の顔が、ちょっと大人びた表情になる。

「ねえ、きみと甘さの先も知りたい。だめなんて言わないよね?」

 ここで夏基くんの声で『大人の初恋始めました-初恋ショコラbitter』とナレーションが入り、黒のケースにアザレアピンクのリボンの“初恋ショコラbitter”が映し出されてCMは終わる。

 このCMを見た次の日。会社近くのコンビニには私と同じことを思った人(女性ばかり)がたくさんいて、一様にメンバーのCMが流れているモニターを見ていく。もちろん私もだ。



 そんな私の彼は甘党だ。甘いものなら、和菓子から洋菓子までたいていの物はいけると常々豪語している。2人とも社会人だからデートはもっぱら週末で、スイーツの専門店に行くことと食事のときの食後のデザートは必須だ。

 そんな彼とデートするようになったら太っちゃうんじゃないかと思ったら、逆に会わない時の食生活から甘いものが減り、スイーツ食べ歩きにつきあうのに足を鍛えねばと一駅分ウォーキングなんかもするようになったら、なぜかダイエットに成功してしまった。

 そんな彼がなぜか“初恋ショコラbitter”だけは食べようとしない。最初は私が先に食べちゃったのがまずかったのかと思ったら、俺はそんなに心が狭くないと唇をとがらせた。

 20代後半の男が唇とがらせてる・・・まあ、私だけに見せてるならいいか。

 今日のデートは見たかった展覧会に行った後、彼が最近気になっているというタルトの専門店に足をのばすことにした。

 通り沿いのコンビニに“初恋ショコラbitter”のポスターが貼ってある。quattuorのメンバーが商品を持ってそれぞれにポーズをとっている。店員さんの手書きで“はがさないでください”と書かれたシールが貼られており、改めて人気なんだなあと思う。

「・・・なあ、タルトの店は今度会うときでもいいか?このまま、俺の部屋でもいい?」

「いいけど、どうして?」

「お前が美味しかったって言ってたから、やっぱり“初恋ショコラbitter”を食べようと思って」

「ふふ、やっぱり気になってたんじゃない。素直じゃないんだから」

「ほっとけ」

 彼は少しだけ顔を赤くして店内に入ると、まっしぐらにスイーツコーナーに向かい「初恋ショコラbitter」を2個カゴに入れると、さっさと会計を済ませた。

 ・・・・甘いものを買うことを躊躇しない彼でも、さすがにquattuorのCMがバンバン流れているモニターがある売り場はちょっと恥ずかしいんだろうな。

 いけない、なんだか彼が可愛く見えてやにやしちゃう。


 彼の部屋はシンプルだ。2部屋あるうちの一つを物置にしているせいだと言うけど、とてもすっきりしている。そしてあちこちに私の私物が置いてある。

私が紅茶をいれる隣で、彼が“初恋ショコラbitter”を袋から取り出してテーブルに並べる。

「ほら、お前の分」

「ありがとう、いただきます」

「このケーキって、初代からだけどケースも女性を意識してるよな」

 彼は食べずに、なぜかしげしげとケースを見ている。

「そうだね。今回のケースも大人っぽいけど鮮やかなピンクのリボンが可愛いし。ねね、やっぱケースの外観で買うのが恥ずかしかったの?」

「そういうわけじゃない・・・・」

「え・・・」

 彼の手が私に触れて、顔が近づいてキス。そして力強い腕の中。

「ケーキ、食べないの?」

「あとでな・・・・まずは甘さの先をお前と知りたい・・・」

「え、それって」

 まさか、彼からあのセリフが出るなんて。私がびっくりしていると、彼のほうも恥ずかしいのか真っ赤になっている。

「・・・・言うな。俺も自分で言ってて恥ずかしい。とりあえず今は言うな・・・」

 落ちてきたキスはさっきよりずっと濃厚で、夢中で相手を求め合う。

 私の甘さの先には、いつも彼がいてほしい。

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