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第20話「使徒殲滅戦④」

格納庫での戦闘は終わりを迎えようとしていた。


「はぁ・・!!!はぁ・・・!!」


エリィの限界は近かった。血に流れる魔導の力。そして心臓を核に永続的に流れ込んでくる魔力。

それによりアイギスの盾は無限に生成する事が可能だった。


だが代償は大きい。


魔力という新しい概念を創造した神、デウス。


その力を使い続けるにはエリィの体はあまりにも脆弱だった。


自身さえも壊してしまう程の魔力を絶えず流し続け、疲労は目に見えて明らかだった。

肩が震え、呼吸が浅くなる。肺が魔力の熱に焼かれているような感覚。


一方エルウッドは


「んーー?終わりか?」


吹き飛ばされた腕と首が再生される。首をゴキゴキと鳴らし、地面に落ちたマルスの剣を手に取る。



「お前の盾じゃあ・・・・俺の【魂】には届かなーーーーーーい!!!!クヒヒハハハ!!!」





コーネリアは静かに語る。


「我々使徒には魔力とは別に、デウスに付与された【特性】があります」


「彼の特性は、【不滅の肉】、肉体的な死から解放された使徒です」


壁に体を預け、片目を開き観察する。


「何かを守る力では、彼は滅ぼせない。」



エリィの限界はもうすぐそこまで来ている、だがそれでも彼女の闘志は微塵も衰えていなかった。

エルウッドを睨みつけ、そして宣言する。



「・・・それでも・・!私はあなたを倒す!!!絶対に!!!」



アイギスの盾が再び放たれる。



「効かねぇって言ってんだろうがああああああ!!!!」


マルスの剣がアイギスの盾を正面から砕く。


しかし――


粉々に砕け散ったアイギスの盾の後ろから、エリィが現れる。

水平の盾の上に立ち、一緒に飛び込んでいた。


砕けた盾の破片が宙に舞い、光を反射する。


「あぁ!?」


エルウッドは反射的にマルスの剣で反撃。


エリィの肩から胸に剣が掠る。内臓には届かない紙一重、肉を切り裂き血が噴き出る。


「あああああ・・!!!!!」


だが、エリィはそのままエルウッドに体当たりする。


「・・・っ・・・!!!この距離なら!!狙える!!当たります!!!」


エリィはエルウッドの腕に手を構え、そのまま盾を顕現する。両断する様に盾が生成され剣を持つエルウッドの手が吹き飛んだ。




手を離れたマルスの剣は地面へと転がる




「・・・ぐあ!!・・クッソ・・・てめ・・!!」


「盾6枚!!!敵を【閉じ込めて!!!!】」


バチン!!!という音共にエルウッドの周囲にサイコロを作る様に盾が生成され、完全に閉じ込められる。


息を整えつつ肩下げ、体の力を抜いた。



「はぁ・・・は・・・死なないのであれば、動けなくするまでです。これで・・・」





剣を失い、四方を塞がれる。しかし、盾の中でエルウッドが暴れる気配が無かった。

今までの彼の言動、振舞いからは考えられない程静かで、穏やかな表情。

彼は自分の残された腕の、手の平をただ見つめていた。



「・・・あいつの、匂いだ。」



「ずっと、探してた、あいつの」





「・・・・デウス」




エルウッドは自分の体に跳ねたエリィの血を見ていた。

その視線は、獲物を見るそれではなく、懐かしい記憶を辿るようなものだった。



デウスの血



ゆっくりと、手に付着したエリィの血を、エルウッドは舐めとる




ドクン      ドクン      



     




            ドクン




爆発。衝撃、格納庫の証明が全て消え、震える。エルウッドの天使の輪が激しく発光し


輪が急速に肥大化する。人間の声とは思えない程の叫びが格納庫を激しく揺らす



「アsgjuagagagaaaaaaaaaaaさsddfggbんhghaahggaaaaaaaaアアアアアアアアアアアアアあああああああ!!!!!!!!!!!!!!」



エルウッド閉じ込めていたアイギスの盾は衝撃により霧散し、エリィはその余波に巻き込まれ弾き飛ばされた。



床に投げ出されたエリィは床に手を付き、顔を上げる。


そして、そこで目にしたものは――


「あ・・!!!う・・・な、何ですか・・・これ・・!!!」



エルウッドの姿が変貌していく。人間とは違う生物の姿へ、強靭な四つ足を持つ大きな獣へ。

10メートルは超えるサイズの翼の無いドラゴン。首から先は全て炎で形を作った様に揺らいでおり、

頭の天使の輪からは絶えず強力な紫電を発していた。



エルウッドは吠える



「breath of fire(竜の吐息)!!!!!!!」



首から先の炎で出来た頭がそのまま爆発的に広がり目の前に炎の塊を叩きつけた


咄嗟にエリィはアイギスの盾を何十枚も正面に重ねて防御する。しかし


バリンバリン!!!と全ての盾は粉砕され、エリィの体に熱を叩きつける


「あああ!!!!あああああ!!!!!!」


エリィ自身の魔法障壁が致命的な火傷を避け、炎の勢いは盾でほとんど相殺された。それでも僅かに届いた火はこれまで経験した中でもっとも熱く、痛く、殺意に満ちていた。


エリィは膝をつき、ほとんど身動きもとれなくなっていた



「力が!!力が!!!力が!!!力が!!!!止まらねええ!!!!!!クヒヒハハハハハ!!!!!」


エルウッドの咆哮が格納庫の天井を震わせる。


炎の頭部が脈打ち、魔力の波動が空間を歪ませる。


床の鉄板が熱で膨張し、壁の配線が焼け焦げていく。



コーネリアが両目を開いてエルウッドを見ていた。


「天使形態!!使徒(我々)の本来の姿!!

デウスの死後、世界の魔力は薄まりその姿を保つことは不可能でした!しかし!」



「小さな彼女に流れる僅かな血に内包される魔力だけでそれを可能にした!その密度、その濃厚さ、なんと美しく、そして芳醇な事か!」



「さぁラムズの子達よ。血を分けた同胞達よ。見せてみなさい。その命の輝きを!!!」



コーネリアの言葉と同時にエルウッドが吠える。


すべてを終わらせる為に


「終わりだ小娘ぇ!!!てめぇのチンケな体を灰に変えて!!俺は心臓を手に入れる!!!最後だぁああアアアア!!!!!」


炎の頭部に、膨大な熱が集中していく。

格納庫の天井が軋み、施設全体を震わせる程の圧倒的なエネルギーで空間が振動する。

エリィは、膝をついたまま、固く目を閉じた。


その瞬間-



エルウッドは横合いから思い切り【殴りつけられ】、魔法障壁がバキン!!!と音を立てて割れる音があたりに響く。


エリィを狙う炎の塊は天井へと狙いが逸れる、そのままエルウッドはその巨体を格納庫の壁に叩きつけられた



「な・・・!!!!にぃ!?」



エルウッドを殴ったのは、格納庫に鎮座していた鋼の巨人



デウス-エクス-マキナ



魔動機が未搭載のはずの対魔法アンチシステム、それが今まさに動き出していた。



「舐めるなア!!!上等だクソがああ!!!!」



態勢を立て直したエルウッドは巨大な4つ足を踏みしめ、そのサイズからは想像もできない速度で巨人へと突撃する。


その様子を、エリィは目を見開き驚愕しながら、ただじっと見つめていた。鋼の巨人の姿を。


そしてその中から感じる、大切な人の気配を。



彼の名前を口にする



「・・・・シズ・・・君・・・?」



-----------------------------------------------------------------------------------





> 魔導エンジン:未検出

> 外部魔力源:異常接続

> 警告:非認証構造体が魔力供給ラインに侵入

> 警告:生体信号が魔力伝導路に直接接続されています

> 警告:魔力圧縮率 312% 超過


──強制起動プロトコルへ移行──


> 魔力流入開始……

> ノイズ検出:■■■■■■■■■■■■■■■■■■

> 警告:神経接続エラー(左腕)

> 警告:神経接続エラー(胸部)

> 警告:神経接続エラー(脳幹)

> 警告:神経接続エラー(魂核)


──起動シーケンス継続──


> 骨格制御ユニット:応答あり

> 関節駆動系:同期開始

> 魔力伝導脈:脈動確認

> 生体魔力圧:安定化処理中……

> 警告:安定化失敗

> 警告:魔力逆流の兆候あり

> 警告:供給者の生命維持限界を超過


──起動閾値突破──


> デュランダル起動コード:■■■■■■■■■■■■■■■■■■

> 鋼殻展開──

> 視覚センサー:起動

> 関節駆動:オンライン

> 魔力遮断フィールド:展開失敗

> 警告:魔力遮断不能、供給者の精神領域に干渉発生


──起動完了──


> デウス-エクス-マキナ《デュランダル》:起動

> 状態:不安定

> 魔力供給源:生体直結




> 警告:起動継続は供給者の肉体崩壊を伴います





殺してやる       シシシ 使徒ヲ     




        エリリe e       守守    殺   



       許    殺殺

                      生キr







明日も更新します。よろしくお願いします

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