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白い、雪の中で  作者: 紬希
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揺れる心の中で

香織は自分の気持ちを整理しようとしていたが、その男性が気になって仕方なかった。彼の落ち着いた雰囲気と無言で飲み物を楽しむ姿が、どこか神秘的で、香織の心に不思議な引力を感じさせた。しかし、同時にその感情がどこから来るのか、何を意味するのかが分からず、戸惑いを感じていた。


恭介の存在が少しずつ霞んでいくような気がして、香織は自分でも気づかぬうちにその男性のことを意識し始めていた。それがどんな意味を持つのか、考えることができなかった。ただ、今この瞬間、彼の隣に座るその人に引き寄せられている自分がいた。


恭介はそんな香織の微妙な変化に気づいている様子で、少し視線をそらして黙り込んでいた。二人の間に流れる少しの沈黙が、香織の胸の中に余計に不安を引き起こしていた。彼と再び向き合っていると、まるで過去の関係に戻れたかのような錯覚を覚える一方で、今の自分にはどうしてもその関係が合わない気がしていた。


「香織さん、そろそろ打ち合わせに行こうか?」


恭介が言ったその時、香織は一瞬その男性と目が合い、思わず心が跳ねるような感覚を覚えた。男性の瞳の奥に、何かしらの深さを感じた。それはただの一瞬だったが、その瞬間、香織は自分がまだ何も知らない世界に足を踏み入れたような気がした。


「うん、そうだね。」


香織は自分の気持ちをなんとか抑え込み、軽く頷いた。


男性がいることで、何かが変わる予感がした。それが良い方向なのか、悪い方向なのか、香織にはまだわからなかった。ただ、今後の展開に対する期待と不安が入り混じった感情が胸を締め付ける。


恭介と一緒にカフェを後にするその瞬間も、香織は振り返ってはならない気がして、ただ足を前に進めることしかできなかった。

次の数日間、香織の心はますます乱れていった。恭介との打ち合わせでは、以前のような心地よいリズムを感じることができず、どこかお互いの距離が広がっていくような気がしていた。その一方で、男性との偶然の出会いは香織の心に強く印象を残していた。


ある日の昼休み、ふとした瞬間にその男性が香織に声をかけた。


「香織さん、少しだけお話ししませんか?」


その声に振り向いた香織は、再び彼の瞳に引き寄せられる。彼の落ち着いた眼差しに、香織は一瞬、自分がどこにいるのか分からなくなるような感覚を覚えた。


「どうしたんですか?」


香織は無意識に尋ねた。


「いや、ただ、あなたが少しだけ戸惑っているように見えたので。」


男性は穏やかな口調で言った。その一言に、香織の胸が大きく波打った。男性が何かを見抜いているように感じた瞬間、香織は自分の心をどう扱っていいのか分からなくなった。


「あなたは、自分の気持ちに正直でいてもいいんですよ。」


男性は微笑んだ。その言葉が香織の中で何度も響き渡る。

とりあえず書いてみました

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