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はっぴーえんどを異世界で  作者: 胡桃きね
1/18

プロローグ


(嘘だろ…!ウソだろ…!うそだ!)





ドクドクとうるさくなる息切れ寸前の自分の荒い息を必死に抑えようとする。

木箱の隙間(すきま)からあたりを覗く…

どうやら()いたらしい。安堵のせいか身体中の力が抜けるのを感じる。

必死に走っていて、感じなかったのか斬られた頬にようやく痛みを感じる。


(大通りに戻るか…?いや、人ごみの中ばったり会えば今度こそ逃げられない)


人が多く行きかう、大通りを背に路地の奥へと進む。

土地勘なんてないし、ここがどこかもわからない。でも、同じどころでうずくまってなんていられない。


ドン!


曲がり角を曲がるところで人にぶつかる。


「いたっ!」


情けなく、地面に尻もちをつく。


「大丈夫…?」


妖艶(ようえん)で落ち着いた声の男性に手を差し伸べてもらう。


「すみません。ありがとうございます。」


差し伸べられた手をつかみ起き上がる。


「いいさ。私にとってきみに会えたことが何よりの幸福だからね。」


(え…?)


とっさに彼の顔を見る。


「おまっ…。なんで…!」


なんで!さっき撒いたはずのやつが…!


様々な感情があふれ出す。


「あぁ。かわいそうに。そんな悲しそうに怯えないでおくれ。」


「…な…んで」


「ん?」


「なんで俺を殺そうとするんだ!なにも…なにもしていないだろ!何かしたっていうのか?あんたに。何も…。…何もしていないだろ……。」


「ん?あぁ。私は何もされていないよ。むしろそんなにかわいい顔、殺す方がもったいないよ。」


少し顔を赤らめ、手にもつ紫色の靄を嗅ぐ。


「なら、なんで…」


「だから…。恨むなら、貴方の出生を恨んでね。」


紫色の靄が形を成す。その瞬間目の前に銀色の何かが通る。

世界が反転して、地面が目の前に来る。


(へっ…?)


横に()()()()()()()()()()()()が見える。


自分の死を認識してから痛みが、()()はずの全身から感じる。




痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い いたい いたい いたい いたい イタイ イタイ イタイ イタイ イタイ イタイ




全身から今まで感じたことのない異常な痛みを感じる。


人間は死ぬとき痛みを和らげる成分か何かが出るんじゃ…ない……のか…


この痛みから逃げたい。もう終わってほしい。そんな思いから頭がぐるぐると常に何かを考えている。


ふと。ようやく痛みが治まった。


(ああ。ようやく死ぬのか。)


そう思った瞬間。先ほどの痛みが比にならないほどの痛みととてつもない気持ち悪さが()()を襲う。


あがああ?!?あああああだずえええええええ?!がががああい!


そして余りの痛みと気持ち悪さに意識を失う…




-------------------------------------------------------------------------------------











「っかは!」


目を覚ますと先ほどの路地の曲がり角にいる。


「いたっ!」


頭に痛みが走る。

咄嗟(とっさ)に首を触る。しっかりとつながった首がある。縫い目もない。


夢だったのか?恐怖から生み出した自分の夢だったのか?


べちょ


起き上がろうと地面に手を付けると、粘性の液体に触れる。床一面に広がっている()()()()液体。

鉄の匂いが鼻を衝く()


「やっぱり俺…死んだのか?」


生きている自分とさっき死んだ夢を見た場所にある大量の血液と思わしき液体。

矛盾で頭がおかしくなりそうになる。


「だぁあ!かんがえててもわかんねぇ!とりあえずは生きてる。それでよしとしましょう!」

(まずは、この場から離れよう。じゃないとさっきの頭のおかしい女が来るかもしれない。それにこんな血の量誰かに見られても説明できないし)


路地を抜け、大通りに出る。石レンガの多い家。見たことのない()()?達。


「何度見ても、なれねえな。ッハハ」

路地で出会っても、街中でであっても変わらない。

だったら、人ごみに紛れていた方が安全かもしれない。



「おい!」


びくっと肩が跳ねる。振り返ると、少しガタイのいいおっさんが立っている。


「さっきの兄ちゃんじゃねえか!なんだその血まみれの格好は?」


「いやぁ、ちょっとね…」


「何があったかは知らねえがその恰好じゃ厄介ごとに巻き込まれるだけどぞ。ほらこれやるよ。」


そういいガタイのいいおっさんが大きめのマントを渡してきた。


「いや、金ないぞ?俺」


「そんなの知ってるよ。でも、必要だろ?だったら受け取れ」


なに…!このかっこいいおっさん…!惚れちゃいそう…///


「おい、気持ち悪い顔するなよな。やらねえぞ」


「いえ、ありがたくいただきます!」


そういって、マントを受け取ると、後ろからマントを深くかぶった人が通る。

見間違うはずもない。


「おま…!」


思わず声を上げてしまう。

その声に当然、反応してこちらを向く。


しまった!


男がこちらに近づいてくる。先ほどの()のせいか足元がすくんで動けない。


「ん~?」


じろりとゆっくりと確かめるようにこちら覗く。


(何をしているんだ…街中じゃ殺せないのか?)






そして、男が発した。






                     「()()()()()()






こんにちは。胡桃きねです。

プロローグ最後までお読みいただきありがとうございます。

この作品は、最終話の逆算をして書いておりますので、私の気力次第で完結はするはずです。

気力次第で!

少しでも、皆さんの人生の暇つぶしになれば幸いです。

それでは次回でお会いしましょう。

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